[本編完結]オサレ詠唱の申し子   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 久しぶりです。直哉の声優が発表されたので続きました。


[AFTER STORY] 愛染宗介消失編⑤

 ユーハバッハ率いる四人の騎士は、ランスロットと呼ばれた男の先制攻撃によって所在はバラバラになっていた。

 その中でも重要になってくるのは、現状の愛染を助けられるかもしれないという『月島さん』という存在の無事であり、その護衛に乙骨憂太、ミゲル、七海建人が付いていた。

 

「私では足手纏いになってしまいそうですが、居ないよりはマシでしょう」

 

「そう言うなヨ、確か()()の形はもう見えてるんだロ?そこまでの練度なラ、十分な戦力だゼ」

 

「黒白の羅、二十二の橋梁、六十六の冠帯、足跡・遠雷・尖峰・回地・夜伏・雲海・蒼い隊列、太円に満ちて天を挺れ、縛道の七十七天挺空羅(てんていくうら)

 

 乙骨憂太が空中に文字を書くかのように呪力の込めた腕を動かし、まるで空にヒビが入ってるかのような枝分かれした模様が浮かび上がると、スゥーと消えた。

 

「___今、月島さんが無事である事、月島さんの生存が最優先事項である事をみんなにテレパシーで伝えました。やはり愛染先生の記憶が戻った事から、言霊呪法は問題なく使用できるようですね」

 

「宗介を助けるためにハ、お前が頼りになってくるぜ月島サン」

 

「僕はそこまで守られるほど、弱くないと記憶にある筈だけど…その行為に敬意を表するよ」

 

 やれやれと、肩を落としながら言う月島さんだが、その顔は満更でもなさそうであった。

 

「やはり策を弄していたか…愛染宗介、油断ならぬ男だ」

 

 背後から声が聞こえると、条件反射の様に四人は振り返る。

 白を基調とした軍服らしき隊服に、白色のマント、一目で敵の親玉だと感じた七海建人はその人物に問いかけた。

 

「何者ですか?」

 

「我が名はユーハバッハ、お前の全てを奪う者だ」

 

「そうですか…ようやく、この事件の親玉が分かりました。ですが、愛染先輩のため、最初から全力で行かせてもらいます。しかし時間稼ぎくらいしかできないでしょう、乙骨くんは月島さんを安全な場所に」

 

 七海は自身の武器である刃の付いていない出刃庖丁を構え、敵対している人物に対して"ある言葉"を唱えた。

 

卍ッ解!___…往生千泊一重(おうじょうせんぱくひとえ)!」

 

 瞬間、七海の持つ呪力量が別次元の物に変わり、現状で言えば五条悟という実力者と比較しても"別次元"のものとなった。

 

「卍解…だと?」

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 『卍解(ばんかい)』、それは愛染宗介が真相鏡花水月によって改変した後の世界で発見された術式の新たな終着点。

 文字通りの別の次元から取り入れられた卍解は、術式効果を変え、はたまた単純な自己増加という自身の願いを叶える形で術式が進化した姿こそ、卍解に当たる。

 

 卍解を習得した者とそうでない者、使っている者と使っていない者、その比較は比べる事すら烏滸がましい。

 

「(…この私が押されているだと?)」

 

 七海建人の使う卍解、往生千泊一重は、相手に弱点を作り出す十劃呪法とは違い、()()に弱点を作り出す。

 

「(私の攻撃が全て効いていない…何故だ)」

 

 七海と対峙しているユーハバッハは呪力で作り出した両刃の剣を七海に向けて振り下ろすが、返す形でカウンターをその体に叩き込まれ、砂煙を出しながら後ずさる。

 

「___私の卍解、往生千泊一重は自身に自分の身長の1000分の1の大きさの弱点を作り出し、それ以外のダメージを無効化し、無効化したダメージの1000倍のダメージをあなたにフィードバックさせる。あなたがいくら自分の強さに自信を持っていようと、その強さが私の前では仇となります。(まぁ、今初めて成功しましたが…)」

 

「認めよう、七海建人。お前は、私に一方的に奪われる弱者ではない事を…聖別(アウスヴェーレン)

 

 突如として、ユーハバッハを中心に光のオーラが集まると、その後オーラはユーハバッハに集まった時とは逆に、様に元いた場所に戻って行った。

 

「瞳の色が…いや、瞳の数が変わった?」

 

大聖弓(ザンクト・ボーゲン)

 

 無数の呪力で作られた剣が、七海を取り囲む様にして360度至る所からその剣先を向けた。

 

「千を超える呪力で作られた剣の軍勢!だが…」

 

 しかし、その剣の数を向けられて尚、七海建人は"全て問題なし"と自覚した。

 慢心から来る自信でもなく、ただただ事実だと思っているからだった。

 

 自分の弱点はホクロほどの大きさしかなく、その弱点をピンポイントで突かれない限り自身にダメージを与えられることはないと知っているからだ。

 故に動きは制限されながらも、弱点以外に受け止めた無効化されたダメージのフィードバックをユーハバッハに向けて叩き込もうと獲物を振りかぶった。

 

「ユーハバッハ!お前はここで祓う!」

 

 振り上げられた獲物がユーハバッハに当たろうとした瞬間、七海のある一部分をユーハバッハは指突で貫いた。

 

()()だな」

 

「クッ!…何故私の弱点が?」

 

 七海は口から血を吐き出しながら、体勢を崩した。

 

「私は未来を視る。今後起こる出来事を、今後起こるであろう危険を…そして、未来で私の前に倒れるお前の姿を」

 

 膝から崩れ落ちた七海にとどめを刺そうと、ユーハバッハは剣をふりあげ、首に下ろした。

 

「次は貴様か…乙骨憂太」

 

 ユーハバッハの振り下ろした剣を倒れた七海を庇う様に、乙骨が割って入り、日本刀で剣を受け止めた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「卍解を使う必要すらなかったな」

 

 五条と戦闘を行なったトリスタンは、頭部が消失し、胴体と泣き別れの状態で仰向けで倒れた。

 

「なんや、えらい拍子抜けやったわ」

 

 最初に襲撃を受けた直哉も、領域展開後の焼き切れた術式が回復した後、早々にランスロットを撃破。その場を移動しようとしていた。

 

「思ったより早く済んだようだ。早速乙骨くん達に合流しよう」

 

 夏油が発見したガウェインも本人が思ってるよりも早く片付けることができ、乙骨達に合流しようとしていた。

 

「しっかり連携できたからってのもあったけど、案外楽に勝てちゃったわね」

 

「俺もそれは少し気がかりだ」

 

「まぁ、なんにせよ乙骨先輩達に早く合流しよう!」

 

 釘崎、伏黒、虎杖達もパーシバルを撃破し、その場を後にしようとした。

 四騎士がほとんど同じタイミングで撃退され、撃破したメンバーはその場を離れようとした瞬間、死体であったはずの敵の体が再生を行いながら起き上がった。

 呪霊であっても頭で反転術式を回す関係上、頭部を消滅させていれば反転術式によって傷を回復することはない。それなのに五条、直哉、夏油、虎杖達と戦闘を行なった刺客は立ち上がった。

 

「卍解!___満漢獄樂焦土(まんかんごくらくしょうど)

 

 五条の背後で立ちあがろうとした刺客トリスタンに向けて、突如として現れた両面宿儺は卍解をぶつけた。

 

「クハ、敵を殺して油断するとは最強という肩書きも聞いて呆れる」

 

「この呪力…まさか両面宿儺!」

 

 元呪いの王と現代最強が、ここで顔を合わせた。

 

「卍解…氷雪獄日紅蓮(ひせつごくじつぐれん)

 

 夏油の元にも、復活して不意打ちを決めようとしたガウェインに伏せていた裏梅が現れ、卍解を叩き込んだ。

 

「君は、渋谷の時の…」

 

「宿儺様と___愛染宗介からの指示だ。貴様が危うくなったら護るように言われている」

 

 裏梅自身、渋谷で会って以来だが宿儺と愛染宗介の指示もあり不詳不詳駆けつけていた。

 そして、羂索も…。

 

「卍解___真体福音降原(またいふくいんこうげん)。…ひさしぶりだね、悠仁」

 

「誰?」

 

「誰なんです?」

 

「え、誰!?」

 

 顔も姿も変わって大和撫子の美女になった羂索を三人は普通に気が付かなかった。

 

「俺の卍解、どれだけの物か君がよう分かるように教えたるわ…秒速30万km(キロ)や…もう聞こえてへんか」

 

 光速を超えた速度を出せるようになった直哉の卍解で、立ち上がった瞬間のランスロットは既にその体を崩壊させていた。

 

「悪いな、俺の卍解、"神降光(かみおろしのひかり)"は常時発動型やねん…ユーハバッハか親衛隊とか知らへんけど、本来なら俺一人で事足りんねん…せやけど___」

 

 一瞬悲哀の表情を浮かべた直哉は、光速を超えた速度を持って乙骨の元に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 お疲れ様でした。
 卍解がすごいと言っての愛染陣営が平然と卍解使いまくる展開…やっぱり愛染の対策が光る。
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