[本編完結]オサレ詠唱の申し子   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 やりたい最終回の構図が頭の中で出来てしまったので、もしかしたら続くかもしれませんが、例によってパッパと話が進みます。
 ちなみに今回かなり短めです。過去編の区切りとしてはここまでなのでね。


鏡花水月っぽい何か

 BLEACHには『鏡花水月』と呼ばれる斬魄刀がある

 様々な効果や形状を持つ斬魄刀の始解の中で、形状そのものは変わらないがその効果は恐ろしいもので、『鏡花水月の始解を見た者の五感全てを操る』と言うものである。沼地を花畑にも蠅を竜にも見せることが出来るというぶっ壊れ能力であるが、もちろん弱点もある。

 鏡花水月の見せる幻覚には必ず対象を用意しなければいけない事、そもそも鏡花水月の幻覚を見せるには鏡花水月の始解の瞬間を前もって見せておく必要があること。

 

 私は考えた、藍染惣右介の様に呪術高専を裏切る様な立ち回りをするなら鏡花水月の能力は必要不可欠であるが、裏切る様な行為は考えておらず、その場で出会した呪霊もしくは呪詛師と対峙した時に、わざわざ鏡花水月の始解を見せる隙があるのかどうかと。

 

 答えは否であった。そもそも鏡花水月の恐ろしい点と戦闘での利点は、多数の味方がいる状況での同士討ちの危険性であるが、呪霊はともかく呪詛師は基本的に群れることはない

 それならば本来の鏡花水月の効力を出すなら対象は一人だけに絞り、術式強度と出力を縛りで底上げできるものにして、発動条件は、目視での視認、戦闘以外で使うなら自分の内包している呪力量と質の誤認程度のことでいい

 『浴』の回数を重ねるごとに呪力が禍々しくなっているから、誤魔化す程度の効力で事足りるからね…。

 

 そしてその条件を基準に幻覚を見せる術式を持った呪霊を見つけ出し、力での主従関係を作り呪物化して取り込み、拡張術式と術式対象の拡張を施すことによって、私が勝手に名付けた術式『鏡花水月』を会得するに至ったが…保険で甚爾くんに私と五条悟の見た目を逆にする幻覚を掛けておいたのが役に立った様だな。

 

「パイセン!大丈夫かよ!」

 

「なんとかね、刺されたのが胸で良かった。コレが頭なら私は死んでいたな」

 

 胸に刺さった天逆鉾を抜き取り、反転術式で傷を塞ぐ。実際脳で回す反転術式の関係上、五条でもない限り脳みその損傷で反転術式が回せないことがある。

 

「それ反転術式か…使えたんなら良いけど、パイセン…やっぱり術式を二つ持ってるよな?」

 

 ん?六眼を持ってるのに鏡花水月がバレていなかったのか?…考えられる要因としたら、言霊呪法が隠れ蓑になったか、『浴』によって禍々しくなった私の呪力が鏡花水月を隠したかだな…いや、羂索の死体の脳みそを入れ替えて体を渡る術式も、六眼では分からなかった様だから私の場合でも知らなかった訳か。

 

「……その口ぶりなら前々から知っていた様だね。いや、六眼なら当然か。そう、君が言ったように私は言霊呪法の他にもう一つ術式を持っている、名を鏡花水月と言う…」

 

 待て待て、反転術式で脳が冴え渡ってるから私が術式の開示をしようとしたと五条が戦闘態勢に入って警戒してるので、手で制止する。

 

「あぁ、安心してくれ、別に君と敵対しようとも、高専側に事を起こそうとも考えていないさ。対象の一人に私が設定した感覚を誤認させる…言ってしまえばその程度の術式と言うことになる。後は私の呪力の本質を隠す程度さ」

 

「それを信じろってことか?」

 

「私が隠していた手前で説得力は無いが、どこかで折り合いを付けるべきでは無いかな?実際に襲撃者…禪院甚爾の攻撃を私が受ける様に認識を誤認させたのだからね」

 

 そう言うと五条は何かを思い出してハッとした顔をした。おそらく、甚爾くんに虚式『茈』を撃とうとした時に、完全に体の動きが止まっていたのと明らかに動揺していた顔を思い出したのだろう。

 

「……だからって」

 

「まぁ、しかし納得できないのなら今、君が私を殺せばいい。自分でもこの禍々しい呪力は自覚している…それを今まで見てきた君なら私を殺す大義も名分もあるだろうからね」

 

 実際『浴』によって魔に近づいた時から覚悟はしていたし、裏切ることはないのでここまで言い切っても大丈夫なのだが、五条の蒼く綺麗な瞳が一瞬震えた様な気がした時、ニッと笑って言葉を吐き捨てた。

 

「俺、大義だとか名分だとか持ち出すやつ嫌いなんだよね。だからパイセンが何か企んでたら…そん時は一発ぶん殴るから、覚悟してくれよ?」

 

 五条がすごくいい笑顔で拳をこちらに突き出した。ふぅ、なんとか納得してくれた様だな。

 

「そうだな…殴られない様にしなくてはいけないね」

 

 私も五条の拳に合わせるように腕を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 あの後、夏油の後押しもあり天元様との同化をしなかった天内理子だったが、元星槳体の九十九由基の前例があるのと、五条家が全面的に天内理子のバックアップに回った点と、更に天元様が原作同様安定しているところから、特に大事には至らなかった。強いて言うなら五条家が呪術上層部から少し嫌われた程度である。

 

 それから天内と黒井さんは五条と夏油を交えて夏祭りやら、紅葉狩りやら、雪合戦やら、花見大会やらを楽しんだ。ちなみに私は呼ばれたり、呼ばれはしたが任務と被り行けなかったりを繰り返したこともあって、そこそこ仲も深められた様な気もする。天内からは会うたびに「胡散臭いやつじゃ」と言われる訳だがあの藍染様の見た目だから仕方がない。

 

 私が呪術高専で教鞭を執ってからも灰原は任務で死ぬことはなかったが、単純に自分の力不足を感じて呪術師を引退、消防士になったらしい。それと夏油は今のところ闇落ちはしていない。

 

 羂索が運良く呪霊操術の術式を持った人物のボディを手に入れたのか、はたまた私が闇堕ちフラグを折ったからなのか分からないが、現在は突発的に呼ばれることの多い五条の補佐的な役割として一年生の副担任をしている。

 もしかしたら呪物を取り込んで呪霊の味を知っていることも『浴』によって呪霊の血を浴びたことがあると、夏油と五条にコッソリカミングアウトしたこともあって、夏油のストレスが下がったのもあるかもしれないな。ちなみに五条は「キモすぎw」ってウケていた。

 

 しかし夏油の闇落ちフラグを折ることに必死になっていたことから、原作は「呪術廻戦0」を跨いで虎杖が両面宿儺の指を食べたことから始まってしまい、推定だが羂索の妨害によって他の原作展開に介入できず、時間だけが過ぎていき渋谷事変が始まってしまった。

 ちなみに憂太は自分で里香ちゃんの解呪方法を引き当てて呪術廻戦本編のように特級認定された。

 

 渋谷事変は原作を知っていても回避方法が絞られてしまう。羂索が綿密にその穴を埋めたことから、やはりと言うべきか五条が封印されてしまった。

 羂索相手ではどうしても後手に回ってしまうな。

 

 

 




 お疲れ様でした。
 過去編の次が渋谷事変ってすごい高跳びだなぁ…まぁでも実際やりたいことやった後のウイニングラン感覚なのでね…
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