日間1位行ってましたね…何事かと思いました(小並感)
漏瑚は目の前の人物、愛染宗介に対して前もって羂索から聞いた情報を思い出す。
『彼の術式は言霊呪法、基本的に決まった動きのない術式で分類上呪言に近いものがあるね。その効果も術師によって上下してしまうから、呪力量と出力さえどうにかできれば一人が一つの軍にも匹敵するなんて言われていたかな。基本的に弱点はその詠唱の長さ。簡易詠唱や、詠唱破棄をやってた人もいるけど、火力はお粗末なものになってとてもじゃないが実戦で使える物じゃない。もし仮に彼と対峙することになったら詠唱の隙を与えない事、これに尽きるね』
この羂索の言葉を思い出した漏瑚の動きは早かった。
「領域展開ー
漏瑚が選んだのは対峙した瞬間の領域展開であった。
この行動には二つの根拠があった。まず始めに羂索からの情報、言霊呪法は詠唱の隙を与えない速攻が望まれる点。
もう一つが愛染宗介が使った幻術の術式である。漏瑚が体感した幻術にはあらかじめ対象を用意する必要があった点、これは術式発動における条件のような物だと考えた漏瑚は、愛染宗介自身の姿を幻術によって身代わりを用意する前に領域によって封じ込めること。
仮に羂索の情報そのものが幻術によって誤認されていた場合、事実の偽証をする時点で大した使い手ではないと判断し、下手に逃げられるより領域内で殺した方が安全であることも理由に加わる。
「やはり燃えぬか…」
漏瑚の領域、蓋棺鉄囲山は並の術師であれば領域に入れた瞬間に焼死するほどの威力を秘めているが、相手が五条悟クラスの人物であれば過去に領域の押し合いで負けた一件から、そのレベルの術師には領域効果は薄いと結果が出ていた。そして目の前の人物に対しても羂索の情報通り五条悟クラスの人物であったことが証明されてしまった。
ただ、この目の前の人物が本当に愛染宗介であるのかさえ、幻術によって定かではないのだからつくづく幻術使いは面倒臭いと漏瑚は内心悪態をつく。
「ふむ、領域を展開されてしまったか…しかし領域の押し合いで決着をつけるのは味気ないね。それならここは、火力勝負と行こうか」
「ふん、その痩せ我慢もどこまで続くか…貴様は幻術使いだからな、幻術が解かれた時の貴様の姿はお笑いだろう」
焼け焦げ、幻術によって火傷を負っていないように見せている可能性もある愛染宗介に対して、今にも焼死寸前の姿を思い浮かべ漏瑚は怪しく笑みを浮かべる。
「可笑しなことを言う、一体いつから──鏡花水月を遣っていると錯覚していた?」
「…あぁ、鏡花水月とは君の言う幻術の術式の名前のことだよ」と補足を入れる愛染宗介だが、漏瑚にとっては目の前の人物が本当に五条悟クラスの人物であるように見えないのが気配や呪力量から判断した結果である。いくら羂索から実力を隠されていると言われても、実際に対峙した時の印象から漏瑚は心のどこかで愛染宗介の事を舐めていた。
「…いや、気配などのあれこれは掛けたままだったね、これは失礼なことを言った。訂正しよう。しかしお詫びと言ってはなんだがせっかくだ、今の私の呪力を見せよう…砕けろ、鏡花水月」
愛染が腰に指していた特級呪具天逆鉾を逆手に持ち、術式解除の詠唱を唱える。
すると漏瑚にはパキリとガラスか、はたまた世界が割れる様な音が聞こえたかと思うと、途端に重圧の様な物が自身に降り注ぐ。正体こそ呪力そのものの圧であるが、それがまるで物理的重さを持っているかの様に体が竦む。これが生物としての格の違いだと言われれば納得する様なものである。
「追撃はないのかな?ではこちらも行くとしよう…血肉の仮面・万象・羽搏き、ヒトの名を冠す者よ」
詠唱が始まった、そう自覚してから漏瑚は攻撃に打って出る。
領域内では基本的に術式そのものに対しての環境によるバフが入る。自身の有利なフィールドであるマグマの滝壺の様な溶岩が流れる岩肌から炎や溶岩で応戦するも愛染が手に持つ特級呪具天逆鉾で全てを切り払われる。
「雷鳴の馬車、糸車の間隙、光もて
詠唱が終わるかと思われる瞬間、漏瑚は自身の呪力の残りを気にすることなく大技を使おうと腕を振りかぶる。
「やらせんぞ小童!!極ノ番──」
漏瑚の使おうとしている極ノ番『隕』は威力そのもので言えば、仮に領域内でなくとも指十五本相当の宿儺でも直撃したならタダでは済まない破壊力を誇る。それが領域内であれば尚更その威力は増すこととなる。
しかしそれは当たれば、そもそも術を発動したのならば…と付く。どんなに高威力の技や奥義であっても発動しないことにはその真価は発揮されない。
「縛道の六十一、六杖光牢」
漏瑚は極ノ番を使おうと手を振り上げたが、しかし強制的に体は自分の意思とは違って腕を下ろし停止した。ピクリとも動かない体の異常を確認するため胴体に目線を移動させると、光の板が合計六枚、体に突き刺さっている。
漏瑚がなんらかの拘束技だと気づいた時には、既に遅かった。
「破道の七十三、双蓮蒼火墜」
漏瑚の身は皮肉にも、愛染の出した炎で焼かれることとなった。
「──もし…君が勝負を急ごうとせず、五条の時の様に周りの術師を巻き込みながらヒットアンドアウェイに徹していれば、これほど一方的な展開にはならなかっただろうね」
愛染宗介の術式、言霊呪法は基本的に対人向けの術式であるが、愛染宗介の課した縛り、呪力量と出力からもはや対軍以上の代物となっていた。それ故に使い所は自身の領域内や人のいないフィールドに限定されてしまっていた。
更に愛染が漏瑚に使った術は二重詠唱と呼ばれる技法である。一つの完全詠唱の破道に別の簡易詠唱の縛道を混ぜることで、対象の拘束と高火力の技を一度に両立させる技法であり、領域外で使おうとすれば大災害を引き起こす様な技を領域内に凝縮させた結果であった。
「儂は…
「憧れは、理解から最も遠い感情だよ」
◆◆◆
Q.アナタにとって愛染宗介とは?
「学年の違う先生!勉強でもわからないところがあったら気軽に教えてくれるし、宿儺関連を気にしない数少ない人、そんでもって…」
と、虎杖悠仁が答える。
「頼れる大人です。基礎がしっかりしていて澱みないと思います。それからこれは俺に限った話ではないですが」
と、伏黒恵が答える。
「正ー直、良い先生って感想しか出てこないのよね。でもこれだけは言えるわ」
と、釘崎野薔薇が答える。
「まともな大人、多分かなり強い」
「甘いお菓子くれる良い人」
「しゃけ」
「でも」
と、禪院真希、パンダ、狗巻棘が答える。
「良い先輩だよ、私も幾度となく救われた。…あーでも」
と、夏油傑が答える。
「正直パイセンがいるだけで結構安心感あるよ、僕も傑も孤立しない様に立ち回ってる節もあるし、それも原因なのかな、とにかく胡散臭いw」
と、五条悟が答える。
ちなみに『胡散臭い』と全員が口を揃えて言っていた。
お疲れ様でした。
書くの遅いのでちょっとずつ区切りをつけて投稿するかもしれません
それとやっぱりヨン様の見た目だからみんな胡散臭いって言ってるね…行動は本当に良い人なのに…