【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~   作:kayako

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part2 きっかけ

 

 

 その半年後──

 C.E.72年3月17日にユニウス条約が締結され、地球連合とプラントの間で停戦条約が結ばれた。

 

 さらに、その3ヵ月後。

 オーブより北西に位置する、東アジア共和国のとある島国に、俺は来ていた。

 国の名はチュウザン。再構築戦争前の日本──つまりオーブの源流となった国──の、南端に位置する島々を中心とした国だ。昔はもう少し小さな島だったらしいが、地殻変動により現在のオーブの3分の2ぐらいの土地を持つ。

 俺は今、ここにいる。動きを止めてしまった時間を取り戻すために。

 

 

 

 オーブに戻ってからというもの、出来ることは出来る限りするつもりだった。

 政治・軍事・経済の勉強は勿論、カガリ姫もといアスハ代表に頼み込んでオーブ国立図書館の奥の奥まで入り、歴史を研究したこともある。

 同時に、これも代表の協力を得てのことだが、モルゲンレーテ社の契約社員となってモビルスーツ開発の真似事をやってみたりもした。

 

 とにかく、やれるだけのことはやっていた。しかし、どこか方向を間違っていたような気もする。何故なら――

 

 

 相変わらず俺の時間は、停止したままだったから。

 無我夢中で色んなことに手を出して何かをしたつもりになりながら、実は何もしていない。

 それに気づかされたのは、ミリアリア・ハウから突然、カメラマンとして起つ、という決心を聞かされたときだった。

 

「焦っちゃダメ、貴方は貴方の道を行けばいいの。

 私はもともと、貴方を見ていて自分も頑張ろうって思ったんだからね」

 

 そんな言葉と印象的なウインクを残し、彼女は独りで旅立った。

 エルスマンには気の毒だが、これも彼女が選んだ道だ。誰にも止める権利はない。

 勿論ミリアリアがそう出来たのは、アスハ代表の尽力あってのことだ。

 いくらオーブの民間人の学生で戦闘に巻き込まれたとはいえ、俺たちは一旦は連合軍へ志願した身だ。しかもオーブ戦以降にアークエンジェルに残っていた者たちは全員、脱走兵扱いとなる。

 そのままでは世界を飛び回るカメラマンになどなれるはずがないし、俺だってこうして連合領である東アジアに来られるはずもない。アスハ代表には感謝してもしきれない──

 もっとも現在のオーブの状況を見る限り、彼女に政治的能力があるかどうかは正直、微妙だが。

 

 

 

 ミリアリアが出発してしまってから、俺はひどい焦燥感にかられた。彼女がそれを見越したかのように「焦るな」と言ってくれたにも関わらず。

 懸命に何かをやっているつもりでいながら、何もできていない。いったい何をやっているんだ、俺は。自分が情けなかった。

 

 戦争が終結したはずの今でも、紛争は世界中で未だに絶えることがない。それどころか、各国の復興が遅れている上にインフレが発生し景気は低迷、経済状況は最悪だ。

 オーブとて例外ではなく、物価は戦前の数倍に跳ね上がっている。その上税率も引き上げられた。経済担当相によれば復興の為の一時的な手段にすぎないそうだが、どこまで本当か。アスハ代表はそいつを真っ正直に信じているようだが。

 

 ナチュラルとコーディネイターの対立も、表沙汰になることがなくなった分、陰湿に裏で続いている。現に、オーブの繁華街では昼も夜も、ナチュラルとコーディネイターの喧嘩に端を発した暴動が後を絶たない。

 俺は争いを目撃するたびに仲裁に入ったが、毎回何も出来ずに殴られるばかりだった。

 

 

 所詮、キラやアークエンジェルがいなきゃ何も出来ないのか、俺は──

 

 

 そんな時だ。ちょうどモルゲンレーテ社で、海外緊急救援隊が結成されようとしている話を聞いたのは。

 オーブの非政府組織として構成される予定の緊急援助隊。今までも何度か各国に援助隊を派遣しているオーブだが、今回のものほど大規模なプロジェクトは初めてらしい。

 

 その対象となる国は様々だが、中心となるのは東アジア共和国の一角・チュウザン。連合に参加しているがオーブ、特にアスハ家とは関係が深く、どちらかといえば中立に近い国だ。

 勿論、この地に居をすえたコーディネイターも少数ながら存在する。

 しかし現在この国は、南部地域から出現した新勢力と、資本主義による復興と発展を望む北側(チュウザン政府側)に分断されており、内部抗争が絶えない状況だという。

 

 しかも連合参加国でありながら戦後、チュウザン政府は堂々と中立を名乗り、コーディネイターの受け入れを積極的に推進したために混乱に拍車をかけているらしい。だが、そのおかげでチュウザンの技術力は飛躍的に高まったそうだ。

 今、この国に必要なものは他国の援助、それによる戦災からの復興。一言で言うと実にたやすいが、現地ではテロや暴動が相次ぎ、さらに富俗層と貧困層との差が激しくなっているという。

 

 ──行きたい。俺は思った。

 

 たとえこの活動が、オーブの宣伝活動に直結していると分かっていても。

 入隊するには勿論試験が必要で、出来うるならばチュウザン入国経験のある者が望ましい

 ──当たり前の条件といえる。

 

 それを聞いたとたん、俺は荷造りを始めていた。

 俺の中で止まった時間を動かすための鍵。もう一度、俺のネジを回してくれる力。

 俺は、それがここにあると、必死で信じた。

 今思えば、『彼女』を忘れることで俺の時間が動くとか……そんな浅はかなことを考えていたのかもしれない。

 

 

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