【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~   作:kayako

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part6 収容所にて

 

 

 何で。どうして。

 何で、今? 

 サイ……一体、どうしちまったんだ? 

 

 

 カズイの足腰から、一気に力が抜ける。

 サイの言葉の一つ一つが、冷たい刃となってカズイの心臓を抉る。

 今ここで、こんなところで、サイに見捨てられたら。

 俺は、もう──

 

 

「やめてくれよ、サイ! 

 何言ってるんだ、お前そんな奴じゃ……」

「お前に俺の、何が分かってるっていうんだ? 

 自分のことすら分かっちゃいないお前がさ、ちゃんちゃら可笑しいね。

 お前、自分がどんだけ卑劣で矮小な奴か、まだ分かってないのかよ? 

 アマミキョが沈んだのは、お前のせいなんだよ!」

「何だよそれ……分かんねぇよ。

 サイ、何言ってんのか全然分かんねぇよ!!」

 

 両拳を握りしめ、思わず叫ぶカズイ。

 そんな彼の襟ぐりをサイは思い切り掴むと、ぐいと自分の方へ引き寄せた。

 助けを求め、カズイは哀願をこめて彼を見つめる。

 

 

 嫌だ、嘘だと言ってくれ。

 あの時、俺がいてくれて良かったって、言ってくれたじゃないか──サイ。

 

 

 だがサイの表情はそんなカズイを見て、歪む。

 見たこともないほど、眉間に険しく怒りの皺が寄る。

 白目が剥かれ、口の端が笑いの形にも見えるほどに引き攣った。

 

「戦いは嫌だなんてほざいて、みんなを放り出してアークエンジェルから逃げた癖に。

 今更どのツラ下げてアマミキョまでついてきたんだと思ってたら、まさか女探しだったとはなぁ。しかもスパイの女ときたもんだ。

 見事にその女に振られた癖に、未練がましくあいつを手引きして──

 だから、アマミキョは沈んだ!」

 

 嘲笑すら交え、サイはカズイを罵倒する。

 

「貴様ら! 

 私語は慎めとあれほどっ!」

 

 兵士たちがわらわら集まってきたが、トノムラがそれを制した。

 言葉を発さず、じっと二人の様子を観察している。

 サイはそれに気づいているのかいないのか、まだカズイを怒鳴り続ける。

 

「ホント、ヤな奴だと昔っから思ってたけど……

 俺が構ってやらないとなんて、余計な情けをかけてたらこのザマだよ。

 元々信用なんかしてなかったけど、アマミキョが沈んだ上に収容所にブチ込まれるなんてな。

 ホント疫病神だよ、お前は」

 

 その刹那――

 頬を張る軽い音が一発響き、サイは乾いた地面に呆気なく倒された。

 殴ったのは勿論、カズイではなく──

 トノムラであった。

 

「いい加減にしろ。

 次に私語を交わすなら、この程度ではすまんぞ」

 

 地を這いずりながら、張られた頬をじっとサイは押さえている。

 その目がやがて、じろりとカズイを睨んだ。

 ずれた眼鏡の奥から、お前には恨みしか残っていないとでも言いたげなその視線が、カズイを刺す。

 

 

 なんで。なんで。なんで──

 カズイの中を、様々な過去の想いが駆け抜けては、消えていく。

 

 

 全部、嘘だったのか? 

 あの優しさは、全部嘘だったのかよ? 

 2年前、俺をアークエンジェルから降りた時に励ましてくれた言葉も。

 もう一度、一緒にアマミキョに乗った時も。

 俺がアムルさんに裏切られた時も──

 アマミキョが沈んで二人で漂流していた時でさえ、サイは優しかったのに!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイとカズイが収容所に囚われ、48時間が経過。

 二人は別々のバラックに引き離され、それぞれが厳しい労苦の生活を強いられることになった──

 ただカズイにとって救いだったのは、数少ない自由時間は意外に好きに動けることと、周囲の人物が比較的穏やかな者たちだったことだ。

 中には子供が集団で生活しているバラックなどもあり、新人のカズイを興味津々で見に来る子供らなどもいた。

 カズイの心が晴れることは当然なかったわけだが、この環境は彼にとってかなり救いだったと言える。

 

 だが、サイは──

 トノムラの所へ直接連行されてから、その姿を見なかった。

 あの一件以来、サイに関する全てがカズイの中では粉みじんに砕けていたが、それでも彼を信じたい気持ちはどこかにあり。

 結局カズイは自由時間を使って、子供たちから少しずつ情報を得た。

 

 もっとも、確実と言える情報は少なく、分かった事実は──

 サイがあれからずっと、トノムラのいる所長室に囚われていることだけだった。

 一日中両腕を縛られ天井から吊り下げられていたなどという、かなり信憑性に欠ける噂もあった。やはり、子供の情報というだけのことはある。

 カズイはサイの件については、もう自分の目で見たこと以外、信じるのは止めることにした。

 

 そのかわり、何故かトノムラの情報だけは多かった。

 目立たないが、真面目な好青年。何だかんだで業務を丁寧に教えてくれたはずのトノムラ。

 それが何故、あのような男になってしまったのか──

 

 

「僕、聞いたことあるよ。

 妹がブルーコスモスに連れてかれて、人質になってんだって」

「え~? 私は家族全員って聞いたけどな」

「俺ぁ恋人って聞いたぜー」

「バッカでー、アイツに彼女なんかいるかよー」

 

 ……子供らの言葉を、どこまで信じたものか。

 やはりカズイには判断がつかなかったが、ともかく、話をまとめると。

 

 

 2年前の戦いの後。

 連合領に家族を残していたトノムラはオーブに隠遁する選択はせず、故郷に戻った。

 極刑を課されると分かっている場所に敢えて戻った理由は分からないが、恐らくその前後で家族か、それと同等の存在を人質にとられたか、脅迫されたか──

 いかにも、ブルーコスモスがやりそうなことではある。

 連合は当然に彼を極刑に処すると思われたが、彼にとってはそれよりも重いであろう刑を課した。

 それが、僻地の収容所における戦争犯罪人の処刑。つまり、大量虐殺執行である。

 

 平和な世界を望んで敢えて軍を離れ、命を賭けた戦士に対して──あまりにも惨い。

 だがそれが、ブルーコスモス流の見せしめでもあるのだろう。

 殺されるよりも遥かに酷な刑を課し、そんなトノムラの姿をある程度公にすることで、アークエンジェル脱走事件の再発防止ともなる。

 アマミキョでは聞き慣れていたが、この状況下では、何とも嫌な言葉だ。

 

 しかし、改めてもくもくと「仕事」に邁進するトノムラを見かけるたび、カズイは思う。

 女子供までも含めた戦争犯罪者(とされた者たち)を次々に収容し、不要な者は「処分」し、部下と軍用犬を使って収容者たちを過酷な労働へ追い立てる。

 時には、トラックで一定数の収容者を連行していったと思ったら例の爆発音が響き、数分後に悠々と部下を引き連れて帰ってくる──

 

 

 その横顔にはかつての優しさや気弱さは勿論、わずかな後悔や憐憫すらも見えない。

 一体何故なのか。

 そこまで徹底した、冷たい演技を強いられているのか。

 

 

 ただ──カズイには、トノムラの境遇に想いを馳せている余裕はそれほどなく。

 サイがどうして、ああなってしまったのか。

 そして自分は今後、どうなってしまうのか──

 少しでも時間が出来るとそればかり考えてしまって、不安が止まらない。

 情けない。

 しかも自分は特に尋問されることもなく、長く不安な時間だけが過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 ただ一度だけ、カズイがサイに会わせてもらったことがある。

 サイのことが気になって所長室のあるバラックの前をうろついたものの、どうにも決心がつかず入れなかった──

 そんな時、トノムラがカズイを部屋に招き入れたのだ。

 

 取調室にも似たその部屋には、机と二つの椅子以外、ほぼ何もなかった。

 天井付近の換気用小窓以外には、ろくな窓もない。

 奥に少し広めの、砂場に似たスペースがあり、そこに粗末な敷物を敷いてサイが横になっていた。

 サイの囚われの部屋であると同時に、トノムラにとっての囚われの部屋でもある──

 そのような空気の漂う、陰湿な部屋だった。

 サイは特に外傷らしい外傷はないように見えたが、その顔色は真っ青を通り越して白かった。

 ひどい汗をかき、たった数日でかなり痩せたようにすら思える。

 恐る恐る近寄ってみると、ずれた眼鏡の下から、憎しみのこもった視線がじろりとカズイを見上げた。

 

「……何で、来た?」

 

 カズイは答えられないまま、黙るしかない。

 答えは一つしかないが──サイが、心配で。

 だが彼はカズイの心情を踏みにじるが如く、トノムラに呼びかける。

 

「所長。こいつが、何か知っているわけがないでしょう──

 俺、さんざん言ったじゃないですか。この裏切り者の臆病者に、アークエンジェルやアマミキョの機密事項なんか、話せるわけがないですよ」

「稚拙な愚弄は聞き飽きた」

 

 トノムラはつかつかと軍靴の音を響かせ、サイとカズイの間に割り込むと──

 不意にサイの、後ろ手に縛られた腕を無理矢理に捩じり上げる。

 サイはその意図する処に気づいたか、必死で腕を引っ込めようとする。が、トノムラの力に勝てるはずもなく、その両手首はカズイの前に晒された。

 

 そこにあったものは──

 明らかに、爪の間に何かが深く突き刺されたとみえる、左手の薬指と小指。

 二本とも、爪の根元あたりまで赤黒い筋がくっきりと浮かび上がっている。思わず顔を背けたくなるほど、腫れ上がり方が酷い。

 トノムラはあくまで冷静に、事務的に言い放つ。

 

「カズイ・バスカーク。

 貴様はアマミキョの基幹システムに、携わった経験はあるか?」

「い、いえ……」

 

 目の前に見せつけられたサイの指。その酷さに、カズイはそう答えるのが精一杯だ。

 俺は使いっ走りをやらされているだけだった。アマミキョのシステムがどう動いているかなんて、知るわけがない。

 

「では、アークエンジェルもしくはその乗員と、この1カ月のうちに接触したことは?」

「サイの見舞いをした時に、ちょっとだけ……ですが」

 

 無理矢理に近い形で、サイはその会話に割って入る。

 

「彼らと話なんて、こいつは殆どしようともしませんでしたよ。

 こいつはアークエンジェルが大嫌いで、逃げ出したんだ!」

 

 サイが悪態をつくが、トノムラはその腕を抑えたまま微動だにしない。

 

「今はバスカークに質問している──黙っていろ。

 現時点での、アークエンジェルとの通信コードは知っているか」

「知りません」

 

 知る気もない。

 サイの爪をじっと見ていることしか、カズイには出来ない。

 恐らく、針か何かを間に刺されたのだろう──赤黒く変色しつつある爪には、申し訳程度の消毒液しか塗られていない。

 薬液すらひどく染みるとみえ、サイの表情は痛みに歪んでいた。カズイを嘲笑しながらも。

 蚊の鳴くような声で呟くしかないカズイ。

 

「……俺は、知らない。

 本当に、何も知らないんです」

 

 その意味では、サイの言葉に嘘はない。

 

「分かった」

 

 それだけ言うと、トノムラは不意にサイを突き放す。

 力なく床に転がるサイ。

 トノムラはそんな彼には目もくれず、カズイに告げた――

 

「帰れ」

 

 その一言だけで、カズイは所長室から追い出された。

 サイとろくな会話をする余裕すら、与えられないまま。

 

 

 

 

 

 

 その二日後、事件は起きた。

 収容者たちに課せられている開墾作業中に、カズイは何者かに背後から殴られ気絶した。

 そして気づいた時には、同じ収容者らしき男が二人、カズイの周りを囲んでいた。

 

 場所は、鬱蒼とした林の中──

 労務作業の場所とは離れているため、他に人の気配は全くない。その二人がどうやってトノムラの眼を盗み、カズイをここまで運んできたのか、全く分からなかった。

 一人は頭髪に白いものが混じった、やや彫りの深い西洋系の顔立ちの男。身体つきから、元軍人だったようだ。

 もう一人は──

 その男より首一つほど高い身長と、1.5倍はあるかと思われる体重を誇る大男。

 常に舌をわずかに出しながら、口で息をしている。

 

 これまで何度かこの二人を見かけたことはあるが、今、この大男の息づかいはやたら激しくなっているように思える。

 明らかに、カズイを殴ったのはこの巨漢だった。

 その赤い鼻先を、ぬっとカズイに近づける大男。

 ぎょろりと剥かれたままの二つの眼球は、それぞれが微妙に、別々の方向をむいていた。

 口からは、生臭いよだれが次々に流れ出している。

 熱い息。覗く虫歯。

 ──明らかに、大男の頭はイカれていた。

 

「やめろ。

 そ奴は無関係だ……今の処は」

 

 元軍人風の男が静かに言うと、すぐに大男はカズイから手を引っ込めた。

 何が起こっているのか、意味が分からない。

 

「念のため聞くが──」

 

 元軍人風の男はカズイに尋ねた。

 

「2年前、貴様はアークエンジェルに乗っていたか」

「ハ、ハイ」

 

 また、アークエンジェル絡みかよ。勘弁してくれ。

 カズイは恐怖のあまり、反射的にそう答えるしかない。

 

「の……乗って、いました。

 途中で、降りましたが」

「何処で」

「オーブで、です」

「オーブ解放戦前か」

「ハイ……」

「ならば、いい」

 

 それだけ言い捨てると男は巨漢を引き連れ、縛った手を解きもせず、静かにカズイの前から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 殆ど身動きが出来ないまま放置されたカズイがようやく発見されたのは、日が暮れてからだった。

 自力での脱出を諦め、眠り込んでいたところを兵士たちに叩き起こされ、カズイは無傷で収容所に戻された。

 

 その帰途で──カズイは、トノムラを見かけた。

 泥の塊のようになっている一人の男を手錠で繋ぎ、連行してくるトノムラを。

 彼に繋がれ、無理矢理ふらふら歩かされている男に視線を移し──

 カズイは、息を呑んだ。

 

 

 あれは──

 眼鏡が外れているから俄かには分からなかったが、あれは──

 

 

「サイ!?」

 

 

 カズイは慌てて駆け寄ろうとしたが、当然兵士たちに押しとどめられた。

 だが彼の声に気づいたのか、男の視線がぼんやりとこちらを向く。

 常夜灯の無情な光が、そのずぶ濡れの身体をはっきりと晒し出す。

 

 あれは確かに──サイだ。

 ラクスから貰った服が全て見事に泥にまみれ、その泥を洗い流そうとして河にでも飛び込んできたかのような、目茶目茶な有様だ。

 よくよく見ると顔は泥だけでなく、血で汚れている。

 

 だがその眼は、カズイを見た時──

 ほんの一瞬だけ、喜びと安堵の色で満たされたように、カズイには思えた。

 すぐにサイは目を背けてしまったが、あれは確かに本来の──優しい眼の色じゃなかったか。

 このあまりの異常事態の中で、カズイは何故か安心してしまった自分を感じていた。

 と同時に、閃光のように、ある思考が彼の中で覚醒する。

 

 

 俺の考えは、酷く傲慢なものかも知れない。

 だけど、何となく分かった気がする──

 サイが何故、俺にあんな態度を取ったのか。

 この推測は完全な誤りで、もしかしたら本当にサイは、俺に対して酷い嫌悪感を抱いているのかも知れない。

 だって俺は、あんなことを言われても仕方のないことをしてきたのだから。

 ずっとサイの優しさに甘えて、俺は自分で自分を許してきてしまったのだから。

 

 だけどもし、俺の予想が当たっていたら。

 むしろ、その可能性の方が遥かに高い。今まで俺は、ずっとサイを見てきたんだ。

 どう間違ったって、あんな態度を取る奴じゃない。取れる奴じゃない。

 

 

 カズイはようやく気づいた──

 

 

 俺は一体今まで、サイの何を見てきた? 

 この状況下──

 頭が回りすぎるほど回るあいつであれば、俺に対してあのような態度に出るのはむしろ、必然なんだ。

 どんな状況でも他人を想い、自分を二の次にしてしまうあいつであれば。

 サイに一体、何があったのか。

 俺が縛られている間、サイに何が起こってしまったのか──

 俺が心配すべきは、そっちだ。サイが俺を嫌いになったかどうかなんて、今考えることじゃない。

 

 もし本当に俺が嫌われていたとしたって──

 それはそれで、構わないじゃないか。今まで疎まれなかった方が不思議なんだ。

 

 

 

 

 

 

 どこまでも蒼く輝く天空を駆ける、ストライク・フリーダム。

 だがその翼はよく知られる自由の青ではなく、紅蓮に染まっている。

 翼だけではなくその姿は全て、血でも塗りたくったような紅に輝いていた。

 ルージュと名付けられた、武装のわりには華奢な機体。そこにまとわりつくように、スカイグラスパーが滑空してくる。

 

「ねぇ、その目的地ってのはどこなのさ」

 

 ストライクフリーダム・ルージュのパイロット。マユ・アスカ──

 もとい、チグサ・マナベの可愛らしい声がコクピット内に響いたが、のらりくらりと逃げるような回答しかスカイグラスパーからは返ってこない。

 

《もうすぐだよ、チグサ。

 もうちょい辛抱だ、とっときのプレゼントがあるから》

「ちぇ。良さげな獲物なんて、なーんにもないじゃん」

 

 チグサはメインモニターを軽く睨みつける。

 眼下には美しい緑の山岳地帯が延々と広がっていたが、その山の間から少しずつ、小さな色とりどりの折り紙のような家々が覗きはじめ、やがて市街地が露わになりだしていた。

 当然、ストライクフリーダム・ルージュが見えた瞬間からこれらの街の人々は騒ぎ始めているわけだが、チグサにとってそんな事は知ったことではない。

 

「早くドラグーンX、試射したいよぉ」

《さってと、低空飛行に移りますかね。お嬢様》

「ふん。

 相変わらずヤな言い方すんね、トールはさ」

 

 チグサが素早く、なおかつリズムを取りながら軽快にレバーを操作しようとした、その時──

 けたたましいアラートが鳴り響いた。

 

《来た!》

 

 スカイグラスパーからの、ノイズ混じりの叫び。

 同時に、紅のパイロットスーツに締め上げられたチグサの細いしなやかな身体は、激しく上下左右にコクピット内で撹拌された。

 さらに計器のあちこちから、警報が狂奏曲を盛大に鳴り響かせる。

 サブモニターで確認すると、愛機の左腕が見事に関節部からぶっ飛んでいた。

 

 ──ふぅん、やるじゃない。

 

 チグサは確信する。粋なプレゼントもあったもんだ。

 ストライクフリーダム・ルージュの警戒システムと、自分の反射神経すらすり抜けてこの機体にダメージを与えられる奴なんて、これまで教えられた限りでは4人しかいない。

 一人はフレイだが、あと三人のいずれか──

 出来ればあいつか、『お兄ちゃん』に当たってほしいが。

 

 チグサはゆっくりと、後方モニターを確認する。

 そして彼女の唇には、その幼さに見合わない歪んだ笑みが浮かんだ。

 

「大当ったりぃ~。

 やっと来てくれたんだねぇ──

 待ってたよ。キラ・ヤマト」

 

 

 

 

 ~~~~~~

 

 次回予告

 

 

 友を守ろうと、友の手を振り払う者

 友を守ろうと、友の手を掴む者

 家族を守ろうと、己を血に染める者

 全てを吹き飛ばす劫火の向こうに、彼らは果たして何を見る? 

 

 次回、機動戦士ガンダムSEED Revelation

「オギヤカ浮上」

 

 その紅は、革命の狼煙か。ルージュ! 

 

 

 

 

 

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