【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~ 作:kayako
part1
コロニーウーチバラ・リュウタン広場付近では――
ジンを計2機撃破したソードカラミティが、ティーダを追い続けていた。
途中ウィンダムの空襲に遭遇しながらも、ソードカラミティパイロット=カイキ・マナベは絶えず注意を払っていた。当然、ティーダのいるはずの方向へ。
――あの、クソレポーターに連れて行かれた妹はどうなった?
しかもあろうことか、あの腐れガキは戦闘中に実況などという、常識では考えられない、戦場に対する侮辱に等しい行動をやってのけた。
恐らくその為に、マユがティーダの操縦を代わっているのだろう。
襲い来るウィンダムと前方のハイマニューバ2型を注視しながら、カイキの鋭い歯がギリっと噛み締められた。
その向こうに見えるは、女の柔肌のように白いティーダの装甲。
マユの傷の状態が、脳裏をよぎる。
「あれ以上、傷つけさせるか! 『チグサ』を!!」
まだパワーゲージは安全域だ。カイキはレバーをぐいと押し倒し、ソードカラミティを突進させた──
ティーダの真っ白な機体に、今まさに傷をつけようと斬機刀を振りかぶるハイマニューバ2型、その黒い鋼の巨人に向かって。
「ディアッカ、お前も港口に戻れ!
内部でオルトロスは危険すぎるっ」
太陽光ブロックからコロニーに侵入したウィンダムを目で追いつつ、イザークは吼えた。
彼は破壊された太陽光ブロックからではなく、外壁面の倉庫からコロニー内部へ突入する方法を選んでいた。ウィンダムが向かったと思われる港口にできるだけ近い場所へ先回りし、迎え撃つつもりで。
しかし、内部へ通じるハッチはコロニー管制側に開かせるにしろ、太陽に向かって時計回りに回るコロニーに機体の動きを合わせなければならず、その分時間のロスは激しい――
イザークの苛立ちはつのる。
ウーチバラのようなシリンダ型のコロニーは、コロニーの回転による遠心力を利用して地上部分に擬似重力を発生させている。重力の影響が無視できるシリンダの軸部分に近い港口付近から突入すれば、ザクファントムでも内部での飛行が可能だ。
勿論、今破壊された太陽光ブロックから直接突入する方法もあるが、ザクファントムの推力でコロニーの擬似重力を振り切ることが可能か、そして破壊されたブロック付近で巻き起こりつつある暴風を突破できるか、イザークには判断がつかなかった。
《いつものゲリラと思って甘く見たね、隊長》
言葉は軽いが、ディアッカの口調は真剣だ。
自分の至らなさを恥じ、イザークは呟く。
「……うるさい」
と、そこへゲイツRのシホ・ハーネンフースから通信が入った。
今回、彼女は待機のはずだったが……? イザークは眉をしかめつつ、モニターでシホのゲイツRを確認する。
彼女の機体がグゥル(MS支援空中機動飛翔体)に乗り、煌くコロニーを背景にして、ザクファントムの横へ滑り込んでくるのが見えた。
《奴らは自分が直接追います、隊長は向こう側から迎撃を!》
ナイスタイミングだった。グゥルのようなフライトユニットがあれば、太陽光ブロックからの突入もうまくいく可能性が高い。
一瞬でイザークは判断を下した。
「了解だ。
風に気をつけろ、ハーネンフース!」
破壊された太陽光ブロックからは既に、コロニー内部の泥土や建造物の残骸などが真空中に飛び出し始めている。空気が大量に漏れ出しているのだ。
すぐにあそこは暴風域となり、侵入不能になる──しかしシホのゲイツRは、グゥルの推力をうまくコントロールして風を読み、飛び込んでいく。
その間にも、外壁にとりついていた残りのウィンダムが襲いかかってくる。
ディアッカがビーム突撃銃でザクファントムを守りつつ、どうにか応戦していた。
PHASE-03 太陽と開闢神
コロニー内部、リュウタン広場にて。
ナオトの視界の向こうにはハイマニューバ2型の黒い巨体が迫っていたが、そこへソードカラミティのエメラルドの機体が、ようやく追いついた。
ソードカラミティはハイマニューバ2型の斬機刀に向けてパンツァーアイゼンを発射し、一瞬のうちにワイヤーで刀を絡めとり動きを制止させる。
しかしその力比べも何秒もつか──
その間にも、マユは後部座席でキーボードを操りつつ、早口で何事かを呟き続ける。
「コード403より、753を同調。新たにアクセスコード10-5948-000取得、
……コード承認。主要値101、102更新、確定。
変数誤差、修正完了。サブプログラム展開後、第5回線よりメインで、ああっとそれからプランRでシステム起動。各プロシージャ、編集終了。No26モジュール、確認。パワーモード、切換完了。
システム、ブック・オブ・レヴェレイション、オンライン」
こんな早口は、レポーターのナオトでもそうそうできるものではない。
ナオトのコンソール・パネルのディスプレイに、滝のように大量の文字列が走り出す。
外の景色を映し出しているモニターにフィルタがかかる。薄紅の紗が視界にかけられたような錯覚が、ナオトを襲った。
「え、……何だ、これ?
何をしたんだ、マユ!」
「ナオト、協力して。今、そっちのOSを書き換えた。
私とハロの言うとおりにして、アマミキョ行くにはそれしかない!」
ナオトは唇を強くかんだ。マユは微笑んだままだ。
「書き換えた? OSを? まさか、コーディネイター用に!?
そうなったら操縦できるわけないだろ、僕に!」
「『半分』なんでしょ、大丈夫だよ。
マニュアル転送するから、その通りに入力してね。各フェイズ3秒以内に」
ナオトはディスプレイに映し出されたマニュアルを一瞥し──目を丸くした。
一体全体、何をする気だ。こんな意味不明な操作、できるわけがない。