【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~   作:kayako

32 / 436
part4 シホの奮戦

 

 

「コロニー内へ発進だと?」

 

 アマミキョに収容され、アフロディーテのハッチを開いたフレイは、整備士にアマミキョの状況を聞いていた。

 報告を受けるや否や、彼女はブリッジへの回線を素早く開く。

 

「社長、敵によるおびき出しかも知れません。内部への進入は危険です」

 

 だが、社長の答えは変わらない。

 

《忘れた? アマミキョの目的。

 困っている人は助けなきゃ》

「……この状況でそれを言うか」

 

 フレイはカタパルト全体を見回し、皮肉たっぷりに呟く。勿論、相手に聞こえないように。

 

 アマミキョの発進前後の混乱により怪我をした整備士が何人も、医療ブロックにまで行けず、カタパルトにまで放りこまれているのだ。

 その隅に待機していた作業艇・ハラジョウから、2人のノーマルスーツが飛び出してきた。まっすぐフレイの方へ飛んでくる。

 

 

 

 

 一方コロニー内――リュウタン広場にて。

 ソードカラミティの援護を受けたティーダの中で、ナオトは必死でマユの指示に従っていた。

 眼前にはまだ黒ジンことハイマニューバ2型が見える。さらに上空からはウィンダムが迫っていた。

 何で、ザフトと連合の両方から狙われているんだ。僕らは!! 

 

「フェイズ1、オールグリーン」

「フェイズ2に移行……ナオト!」

 

 ハロとマユが急かす。

 攻撃されるティーダの中で、ナオトは言われるまま、座席横のキーボードを叩いていた。

 転送ずみのマニュアルに書いてある通りに、言語の意味も入力の理由も全く分からないものの、コリオリ係数の変更やらメタ運動野パラメータ更新やら制御モジュール直結やらの入力を行なっていく

 ……が、どうしてもマユと同じようなキーボードの操作はできない。できるわけがない。

 

「駄目だ、フェイズ2失敗! 

 無理だよ僕には!!」

 

 キーボードを思わず拳でぶっ叩くナオト。

 

「そ。

 じゃあ、死ねばいいよ」

 

 バックミラーごしに、マユがにっこり笑うのが見えた。

 世界で最も残酷な言葉を、何故こうも簡単にこの娘は言えるのだ? しかもこんな笑顔で。

 

 その間にも、上空からウィンダムが迫る。

 ビームライフルの攻撃が、まともにティーダに直撃した。コックピットが衝撃で軋み、エネルギーゲージがレッドゾーンを示す。

 さらに、ハイマニューバ2型からの通信が轟く。

 

《その機体は重要なんだ。

 子供の非常識で、大人を困らせるもんじゃない!》

 

「うるさい……

 大人の非常識で、子供が迷惑こうむってるってのに!」

 

 ナオトに、もう敬語を使う余裕はなかった。

 マユが呼びかけてくる。

 

「ナオト。早くしないと、システム自体起動できなくなる。

 パワーエクステンダーだって無限じゃないんだよ」

「だからこれ、何のシステムだよっ」

「時間ないから、とにかくやって。その指の人になっちゃうよ」

 

 言葉だけは叱っているようだが、マユの笑顔はあくまで優しくみえる。口調も明るいままだ。

 

「むぅ~……

 確かにフェイズ2はちょっと多いね、3と5だけやればいい。

 あとはこっちで何とかするから、落ち着いて」

 

 

 

 

 

 

 再び、ウィンダムの火線がティーダと、そして黒ジンまでもを襲う。

 だが黒ジンは怯むことなく、爆撃の勢いも利用しつつ、自らを縛っていたワイヤーを斬機刀で断ち切った。

 黒ジンの狙いはあくまでティーダだ。ソードカラミティの攻撃をかわし、ウィンダムの攻撃すら跳ね除け、黒ジンはティーダに突進する。

 

 ──だが勿論、ソードカラミティそしてカイキも負けてはいない。

 黒ジンの刃をよけたカイキは思い切って、対艦刀・シュベルトゲベールを抜き放った。

 コロニー内部でこの15.78mのレーザー対艦刀を振り回すのは危険なのだが、マユを守ることを何よりも最優先とする男がカイキだ。

 黒煙燻る空気の中で、対艦刀と斬機刀が火花を散らす。

 

 

 

 

 

 

 上空、コロニー内の擬似重力の届かぬ場所では、ウィンダム2機とシホのゲイツRが交戦状態に陥っていた。

 ゲイツRは巧みにグゥルを操りつつ、ウィンダムのビームライフルをかわす。

 しかしウィンダムのうち1機の動きは、シホを驚かせるほどのものだった。

 

「ナチュラルで、これほどの空戦を!?」

 

 しかしそのウィンダムは地上や上空への影響を全く考慮せず、とにかくゲイツRを落すことしか考えていないように思える。

 ここは地球でも宇宙でもない。上空には太陽光ブロックがあり、居住部分を形成する大地は地球上とは比較にならないほど脆い。だからこそ、コロニー内でのビーム兵器使用は禁忌とされている

 ――はずだが、ウィンダムは容赦なく使ってくる。

 

 ウィンダムのビームは地上の建造物を直撃していた。おそらく地下シェルターへの被害もただ事ではなかろう。

 空薬莢一つの落下でも人が死ぬことがあるという現実を、奴らは知らないのか? 

 

「こいつら、バカかっ!」

 

 普段冷静なシホであっても、こんな戦い方をされては義憤にもかられるというものだ。

 シホは動きの鈍い方のウィンダムを狙い、複合防盾に装備されたビームサーベルを最小限の出力で突出させる

 ――相手がナチュラルの兵士ならば、これでも十分だ。

 

 ゲイツRはビームの雨をかいくぐり、グゥルを蹴るようにして空中に飛び出し、一息にウィンダムに斬りかかる。

 エンジン部には至らないよう、コックピットを狙い、斬りつけた。当然、コロニー内で大爆発させない為だ。

 

 わずかな閃光と共にウィンダムの動きが止まり、機体が重力に引かれ、落下していく。

 同時にシホはグゥルを遠隔操作して、既に動かないウィンダムをそこに乗せた。

 

 これならば、地上に機体が墜落することはない──

 そのままグゥルは地上にウィンダムを降下させていくが、シホにそれを見届ける余裕はない。

 ――それほどに、もう一機のウィンダムの動きはただ事ではなかった。今撃墜した機体とは比較にならないレベルに。

 

 グゥルという支えを失ったシホのゲイツRを、そのウィンダムはジェットストライカーの推力を最大限に使って攻撃してくる。

 シホは機体を重力に捕らえられぬよう、バーニアを噴かしつつ迎撃しながらも、地上への配慮を忘れなかった。

 特に、味方であるザクファントムが何処から出現するかを──

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。