【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~ 作:kayako
「コロニー内へ発進だと?」
アマミキョに収容され、アフロディーテのハッチを開いたフレイは、整備士にアマミキョの状況を聞いていた。
報告を受けるや否や、彼女はブリッジへの回線を素早く開く。
「社長、敵によるおびき出しかも知れません。内部への進入は危険です」
だが、社長の答えは変わらない。
《忘れた? アマミキョの目的。
困っている人は助けなきゃ》
「……この状況でそれを言うか」
フレイはカタパルト全体を見回し、皮肉たっぷりに呟く。勿論、相手に聞こえないように。
アマミキョの発進前後の混乱により怪我をした整備士が何人も、医療ブロックにまで行けず、カタパルトにまで放りこまれているのだ。
その隅に待機していた作業艇・ハラジョウから、2人のノーマルスーツが飛び出してきた。まっすぐフレイの方へ飛んでくる。
一方コロニー内――リュウタン広場にて。
ソードカラミティの援護を受けたティーダの中で、ナオトは必死でマユの指示に従っていた。
眼前にはまだ黒ジンことハイマニューバ2型が見える。さらに上空からはウィンダムが迫っていた。
何で、ザフトと連合の両方から狙われているんだ。僕らは!!
「フェイズ1、オールグリーン」
「フェイズ2に移行……ナオト!」
ハロとマユが急かす。
攻撃されるティーダの中で、ナオトは言われるまま、座席横のキーボードを叩いていた。
転送ずみのマニュアルに書いてある通りに、言語の意味も入力の理由も全く分からないものの、コリオリ係数の変更やらメタ運動野パラメータ更新やら制御モジュール直結やらの入力を行なっていく
……が、どうしてもマユと同じようなキーボードの操作はできない。できるわけがない。
「駄目だ、フェイズ2失敗!
無理だよ僕には!!」
キーボードを思わず拳でぶっ叩くナオト。
「そ。
じゃあ、死ねばいいよ」
バックミラーごしに、マユがにっこり笑うのが見えた。
世界で最も残酷な言葉を、何故こうも簡単にこの娘は言えるのだ? しかもこんな笑顔で。
その間にも、上空からウィンダムが迫る。
ビームライフルの攻撃が、まともにティーダに直撃した。コックピットが衝撃で軋み、エネルギーゲージがレッドゾーンを示す。
さらに、ハイマニューバ2型からの通信が轟く。
《その機体は重要なんだ。
子供の非常識で、大人を困らせるもんじゃない!》
「うるさい……
大人の非常識で、子供が迷惑こうむってるってのに!」
ナオトに、もう敬語を使う余裕はなかった。
マユが呼びかけてくる。
「ナオト。早くしないと、システム自体起動できなくなる。
パワーエクステンダーだって無限じゃないんだよ」
「だからこれ、何のシステムだよっ」
「時間ないから、とにかくやって。その指の人になっちゃうよ」
言葉だけは叱っているようだが、マユの笑顔はあくまで優しくみえる。口調も明るいままだ。
「むぅ~……
確かにフェイズ2はちょっと多いね、3と5だけやればいい。
あとはこっちで何とかするから、落ち着いて」
再び、ウィンダムの火線がティーダと、そして黒ジンまでもを襲う。
だが黒ジンは怯むことなく、爆撃の勢いも利用しつつ、自らを縛っていたワイヤーを斬機刀で断ち切った。
黒ジンの狙いはあくまでティーダだ。ソードカラミティの攻撃をかわし、ウィンダムの攻撃すら跳ね除け、黒ジンはティーダに突進する。
──だが勿論、ソードカラミティそしてカイキも負けてはいない。
黒ジンの刃をよけたカイキは思い切って、対艦刀・シュベルトゲベールを抜き放った。
コロニー内部でこの15.78mのレーザー対艦刀を振り回すのは危険なのだが、マユを守ることを何よりも最優先とする男がカイキだ。
黒煙燻る空気の中で、対艦刀と斬機刀が火花を散らす。
上空、コロニー内の擬似重力の届かぬ場所では、ウィンダム2機とシホのゲイツRが交戦状態に陥っていた。
ゲイツRは巧みにグゥルを操りつつ、ウィンダムのビームライフルをかわす。
しかしウィンダムのうち1機の動きは、シホを驚かせるほどのものだった。
「ナチュラルで、これほどの空戦を!?」
しかしそのウィンダムは地上や上空への影響を全く考慮せず、とにかくゲイツRを落すことしか考えていないように思える。
ここは地球でも宇宙でもない。上空には太陽光ブロックがあり、居住部分を形成する大地は地球上とは比較にならないほど脆い。だからこそ、コロニー内でのビーム兵器使用は禁忌とされている
――はずだが、ウィンダムは容赦なく使ってくる。
ウィンダムのビームは地上の建造物を直撃していた。おそらく地下シェルターへの被害もただ事ではなかろう。
空薬莢一つの落下でも人が死ぬことがあるという現実を、奴らは知らないのか?
「こいつら、バカかっ!」
普段冷静なシホであっても、こんな戦い方をされては義憤にもかられるというものだ。
シホは動きの鈍い方のウィンダムを狙い、複合防盾に装備されたビームサーベルを最小限の出力で突出させる
――相手がナチュラルの兵士ならば、これでも十分だ。
ゲイツRはビームの雨をかいくぐり、グゥルを蹴るようにして空中に飛び出し、一息にウィンダムに斬りかかる。
エンジン部には至らないよう、コックピットを狙い、斬りつけた。当然、コロニー内で大爆発させない為だ。
わずかな閃光と共にウィンダムの動きが止まり、機体が重力に引かれ、落下していく。
同時にシホはグゥルを遠隔操作して、既に動かないウィンダムをそこに乗せた。
これならば、地上に機体が墜落することはない──
そのままグゥルは地上にウィンダムを降下させていくが、シホにそれを見届ける余裕はない。
――それほどに、もう一機のウィンダムの動きはただ事ではなかった。今撃墜した機体とは比較にならないレベルに。
グゥルという支えを失ったシホのゲイツRを、そのウィンダムはジェットストライカーの推力を最大限に使って攻撃してくる。
シホは機体を重力に捕らえられぬよう、バーニアを噴かしつつ迎撃しながらも、地上への配慮を忘れなかった。
特に、味方であるザクファントムが何処から出現するかを──