【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~   作:kayako

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part7 接近する『運命』

 

 

「ジュール隊は、助けてくれたでしょ。

 マユ、君も見てたろ? ザクファントムの斧さばき!」

 

 マユはぽかんとしてナオトを見つめたままだ。ムジカ社長も困ったように唇をすぼめる。

 

「全く、何度言えばっ!」カイキがすかさず憤ったが、シホが先を制した。

 

「作業艇の件は、理由あってのこと──

 あの白いモビルスーツだ!」

 

 彼女は右腕の包帯を忌々しげに見やり、次いでカイキとフレイにまっすぐ顎を向ける。

 

「あの光は一体何だ!? 

 生涯忘れえぬぞ、あの忌まわしき光と痛み!」

「って、あ……!」

 

 瞬間、ナオトが何かに気づいたようにシホを振り返り、彼女の包帯を見つめた。

 シホはなおも抗議を続ける。「事と次第では、プラントへの報告もやむを……」

 

 

 そこへ響く、ナオトのさらなる大声。「すいませんっ! 

 それ、やったの僕ですっ」

「え?」

 

 

 思わず振向いてしまうシホ。

 見ると、ナオトが彼女に向かって床にぶつかるほど頭を下げ、必死で謝罪していた。

 

「ごめんなさい。ゲイツRの、パイロットさんですよね……

 あの時は、ありがとうございました」

 

 頭を下げたまま、上目づかいにシホをチラ見するナオト。

 突拍子もない少年の言葉に、さすがのシホも唖然とする。

 

「それゆえの……素人動作だったのか」

「そーだよっ」

 

 またも子供の声が響く。今度はマユだ。

「アマミキョに乗りこむ為だったの。仕方ないじゃん」

 

 しれっと開き直るマユ。

 サイは頭を抱えたくなったが、半笑いになるしかなかった。

 

「だから、ティーダのことは心配しないで!」そう言い放つマユに対して──

「だから、の意味が分からん……」サイは呻きを押さえられず。

 

「ごめんで済むなら、戦争など起こらぬ」シホは諦めたように、ため息をつきつつもなお、フレイやマユを睨みすえる。

 まだまだ抗議が続きそうな雰囲気にナオトがぴょんと飛び上がり、強引にその場を治めようと怒鳴った。

 

「だからぁ! 

 たった今決まったんですよっ、僕とマユが正式にティーダに乗るって!」

「え……」

 

 一瞬現実を信じられず、思わずナオトをぽかんと眺めるサイ。

 その直後

 

「え、えぇええぇ!!?」

 

 サイはつい絶叫してしまい、フレイと社長を振り返る。

 フレイは相変わらず、濃い睫毛をほんの少し震わせる程度の反応しかしなかった。

 

 

 

 

 

 

 ウーチバラ港湾部より、民間シャトルで2時間ほどのデブリ空域。

 アマミキョがとうに通過したその場所には今、3機のモビルスーツが接近していた。

 

 ザフトのニューミレニアムシリーズ・ザクファントムにザクウォーリア。

 ザフトの未来を託された新型2機はそれぞれ、ザクファントムが白、ザクウォーリアが紅に塗られていた。

 ザクファントムは高機動力を誇るバックパック・「ブレイズウィザード」、そしてザクウォーリアは砲撃戦装備「ガナーウィザード」を装着している。

 

 さらに彼らを護るように、ひときわ鮮やかなトリコロールカラーで彩られたモビルスーツが、星の間を流れていく。

 ユニウス条約締結後にザフトで開発されたモビルスーツ群「セカンドシリーズ」──

 その代表格、「インパルスガンダム」だった。

 

《将来を嘱望されたミネルバ隊の最初の任務が、特殊部隊の救出かぁ》

 

 紅のザクウォーリアから、通信が発せられた。

 威厳を保つよう努力しているようだが、明らかに少女の声だ。

 

《だからって、油断するなよルナ。

 生き残りが隊長機だけって……》

 

 インパルスから、こちらもまたあどけなさの残る少年の応答が流れる。

 

《何だってんだ、その船》

《ミネルバ・ジュニアよりはマシな船みたいね》

《やっぱりオーブの船だな。ろくでもない騒ぎを起こす》

 

 吐き捨てるような少年の呟き。少女は無難になだめることしか出来なかった。

 

《でも、貴方の国よ?》

《だから腹が立つ》

《二人とも、お喋りは終わりだ。捕捉したぞ》

 

 呑気な2機に対し、前に出た白のザクファントムからひどく冷静な声が響いた。

 声だけでは、それがたった16歳の少年だとは誰も気づけないだろう。

 

 彼らの目の前に、ひときわ大きな浮遊物が近づく。それは一見隕石のようにも見えたが、外部には分からないように内側が巧妙にくりぬかれている。

 岩のように偽装された出入口から、まずザクファントムが入っていく。

 安全を確認し、ザクファントムは単眼のカメラアイを二度光らせ、合図を送った。

 

 その中身は──ちょっとした急造の要塞だった。

 モビルスーツ拘束用機材が何台か備えつけられている。が、今そこに固定されているモビルスーツは1機もない。何人かノーマルスーツが浮遊していたが、いずれも整備士のようだ。

 ただ、突貫工事で増設された発進口には黒いモビルスーツが1機のみ、右膝関節部を折り曲げ、崩折れるような体勢で沈黙していた。

 

 あれは、ジン・ハイマニューバ2型──

 紅いザクウォーリアの少女は、内部に進入しつつ無線で呼びかける。

 

《こちらミネルバ隊! パイロット、応答願います》

 

 呼びかけに応え、ハイマニューバ2型のハッチが開き、黒いノーマルスーツの大柄なパイロットが姿を現した。

 コクピットからは離れぬまま、無事を示すように大きく右手を振っている。

 

《お怪我はありませんか!?》

 

 紅のザクウォーリアがゆったりとした動作で発進口に着地し、パイロットをのぞきこむように単眼を光らせる。

 その後ろでは、ザクファントムが素早くハイマニューバ2型の装甲に触れ、損傷のチェックを始めていた。

 ヘルメットの通信回線を調整しながら、ハイマニューバ2型パイロットも応えた。

 

《救援、感謝する。自分はヨダカ隊隊長、ヨダカ・ヤナセ! 

 テロリストによる民間救助船の乗っ取りが発生した。至急、追跡を頼む!》

 

 後方からザクウォーリアに追尾してきたインパルスも、ザクウォーリアに比べ相当鋭敏な機動で着地し、ハッチを開いた。

 

「ご無事で何よりです! 

 ウーチバラの件は了解しています」

 

 そこにいたのは、ザフトのエリートの証=紅のパイロットスーツを纏った紅い瞳の少年

 ──シン・アスカ。

 

 勿論、彼はこの時、何も知らなかった。

 彼の目前でその身体を爆砕され、彼を苛烈な運命に投げ込むトリガーとなったはずの妹が、新たな運命を歩んでいることを。

 彼を差し置いて、彼女の兄を名乗る者たちと共に──

 

 

 

 ~~~~~~

 

 次回予告

 

 アマミキョを迎える、灼熱のコロニー。

 そこでナオトとシンの運命は交錯し、激突する。

 だがフレイは不敵に微笑む。まるで、こうなることが分かっていたかのように。

 様々な思惑を乗せて進む船の中、サイは──

 

 次回、機動戦士ガンダムSEED Revelation

「ミントン・ランデブー」

 亡霊の呪詛、断ち切れ! ザク!! 

 

 

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