【完結】機動戦士ガンダムSEED Revelation ~紅蓮のフレイ~   作:kayako

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part7 舞い降りるウィンダム

 

 

 同時刻。

 サイの頭上にも、同じようにモビルスーツが華麗に舞い降りてきた。

 ただし彼はナオトのようには、素直に受け止められない。

 

「連合の新型……

 何故、ここに?」

 

 まるで時空の狭間から突然現れたような異常な印象が、そのモビルスーツ隊にはあった。

 チュウザンの軍には存在感がまるでなく、各地のテロをどうすることも出来なかったはず。なのに、既にこれだけの数のGAT-04、ウィンダムが配備されていたというのか? 

 

 しかし未だに50センチも動かずにいるミストラルと格闘中のサイには、すぐそばに降りてくるウィンダムをどうすることも出来ない。

 と、ウィンダムの外部スピーカーから声が響いた。

 

《アマミキョ隊員ね? 

 今助ける!》

 

 サイが何か言う間すらも与えず、ウィンダムは両側のマニピュレータを伸ばし、サイごとミストラルを運河の中からすくい取っていく。

 

《下手に動かないで。落ちるわよ》

 

 その女性の声は、未だ砲音の鳴りやまぬ街の中、妙な安心感をもってサイの心へ響いた。

 見ず知らずの声に励まされただけで安堵してしまうとは、一体自分はどれほど人間不信の中にいるのだろう? 

 一方でサイは、ミストラル一台すら満足に動かせない自分の無力さを痛感させられていた。

 俺がどれほどやっても動かせなかったミストラルを、このウィンダムは軽々と持ち上げている。

 

 考えてみれば当たり前だが、その当然のことが──

 サイは、悔しかった。

 

 

 

 

 泥だらけのままウィンダムから降り立ったサイとミストラルを、アマミキョカタパルトでは誰も歓迎はしなかった。

 ウィンダム隊のおかげで、ダガーLのテロ部隊は撤退したものの――

 アマミキョは相当数の負傷者が運び込まれ、ウーチバラでの最初の襲撃時もかくやという大混乱に陥っていたのだ。

 サイがようやく一人でミストラルを搬入し終え、使い物にならなくなったジャンパーを脱ぎ捨てた瞬間

 

 ――モビルスーツデッキから一発響く、高いビンタの音。

 見ると、帰還したフレイがまたもや、ナオトを叩いていた。

 熱で関節部を損傷し、乾いた泥に塗れたティーダの白い機体もそこにある。

 

「これが僕の仕事なんです! 

 僕しかティーダを動かせないんだっ!!」

 

 またやったのか、ナオト──

 サイのため息を聞く者は、誰もいなかった。

 

「思い上がりも大概にしろ」フレイの再度の一発が、ナオトの叫びを中断させる。

 問答無用とばかりに彼を打つ、紅いパイロットスーツの掌。まるで血の翼だ。

 

「分かっていないようだな。

 地上降下時にTPシステムに狂いが生じたのは、貴様の出すぎのせいでもある!」

「だって、あの時はもっと砕かなきゃいけなかったでしょ」

「黙れ子鼠! 自らの過失を自覚しろ!」

 

 さらに一発。カイキもハマーたち整備士も、尻もちをついて抗議するナオトを冷たく見下げている。

 ティーダを点検しているミゲルとラスティもまた、ナオトを庇おうという素振りも見せない。

 フレイは『今の』彼女にしては珍しく、明確に怒りを露にしていた。

 

「自分の責任を全て他の者に押しつけ、命令を無視して戦場を荒らし。

 キラ・ヤマトの猿真似をした挙句に何の成果も挙げられず、ただティーダを損傷させて帰還するなど──

 論外もいいところだ。

 貴様など、ティーダは勿論、アマミキョにも必要ない」

 

 ナオトはそれでも折れずに、フレイに当たり散らす。

「僕をティーダから降ろしたら、ティーダはもう動きませんよ!」

 

 だが、フレイの冷たい宣告はその上から、容赦なく降りそそいだ。

 

「地上に降り、ティーダの代替パーツの準備は整った。

 今までご苦労だったな、ナオト・シライシ」

 

 フレイの言葉の意味を、咄嗟には掴めなかったのか――

 ナオトの眼球は、いつもよりさらに大きく剥かれた。

 

「ご苦労はこっちだがな」ハマーが後ろから突っ込みを入れる。

 人々の嘲笑を浴びながら、口答えも出来ずに動けなくなってしまうナオト。

 

 陰から見守りながら、サイはその姿の痛々しさに思わず目を背けた。

 ナオトの左腕の包帯の下からは、未だに血が滲んでいる。

 首から肩にかけてのあざがさらに色濃くなっている。またパネルにぶつけでもしたのか、額からも血が流れていた。

 

 そんな彼に、フレイは憐憫の欠片すら見せずに言い放つ。

 

「マユ・アスカの負傷の責任を取ってもらうぞ──

 ナオト・シライシ。今後、ティーダへの搭乗及びカタパルト、ブリッジへの進入の一切を禁ずる」

 

 

 

 ~~~~~~

 

 次回予告

 

 喧騒の中、そうと知らずに開かれた戦端。

 容赦なく運命の波に巻き込まれる船で、一層孤立を深めるサイ。

 しかし一通の手紙が、彼に希望を教える。

 それは無力な彼への光となるか、それとも──

 

 次回、機動戦士ガンダムSEED Revelation

「開戦」

 

 己の任務、見誤るな。アマミキョ! 

 

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