【悲報】レストレンジの子、ロングボトムの子にガチ恋してしまう 作:血を裏切る者
─────物心ついた時から、私の感じる時間に『色』は無かった。
思い出せる限り最も古い記憶は、綺麗に整えられた木の枝を持った知らない大人達。その中でも、傷だらけで歩くたびにコツコツと音がする男の人がした話は、私の両親が口にするのも憚られる
彼が話した事を聞いても、私は特に何も思わなかった。
私に家族と呼べるものはいない。屋敷しもべ妖精の『ロージー』は世話をしてくれるが、彼と接していてもなんというか……私が欲しい何かを感じれない。
「ニハルお嬢様、お食事をお持ちしました」
とくに目的も何も抱かず、最低限食事と睡眠を確保するだけの行為を何日も繰り返す、人間なのかすら疑わしく思われる無気力な日々。
たまにロージーや大人の人達が色んな本やおもちゃを渡してくれたけど、微塵も興味を抱けなかった。
本は読めなかったし、ロージー達から文字を教えてもらった後も、ただ時間を潰すだけの行為であることは変わらなかった。
おもちゃは数分見たり触ったりすれば、石ころと変わらない程度の価値にしか思えず、二度とおもちゃ箱から出すことは無くなる。
『魔法』は"便利だからと"教えられこそしたけど、1度成功したら終わり。
ほんの少しだけ湧いてくる興味やら何やらも消えていく。
最低限の繰り返しを続けたまま迎えた11歳の誕生日。月明かりを眺めてロージーが作る料理を待っていると、フクロウが咥えていた一通の手紙を私に渡してきた。
しばらく手紙を眺めていると、料理の用意が終わったロージーが開けるように"お願い"──屋敷しもべ妖精が何かを頼むような行為はお互い極力避けるべきらしい──してきたので、私は手紙の封を開ける。
ホグワーツ魔法魔術学校
校長 アルバス・ダンブルドア
マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員
親愛なるニハル・レストレンジ殿
このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。
新学期は九月一日に始まります。
七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。 敬具
副校長ミネルバ・マクゴナガル
「ホグワーツ……」
この時はただ無感情に呟いただけで、思いもしていませんでした。
11歳の子供にしか届かないただの手紙が私の人生において!! 最も素晴らしい始まりを報せてくれるという事を…………!!
7月31日。私はロージーと『闇祓い』のガウェイン・ロバーズの付き添いでダイアゴン横丁に来ていた。
ホグワーツで学ぶ為に必要な教材───私は目的が無いのに勉強などしても意味が無いと入学を断ろうとしたけど、ホグワーツ入学は本人の意思に関わらず強制的に行かねばならない決定事項のようだ──を買うために、私は初めて外の世界というものを知った。…………と同時に、外も家も同じで私に意味も目的もくれなかった。少し期待していただけに落胆もした。
私としては興味の無いことだから別にいつ行こうと構わなかったし、何処かで待ってロージーに全部買わせようともしたけど……ロバーズもロージーも口を揃えてそれは絶対に無理だと言った(本人がいないとダメなものがいくつかあると言っていた)。
ダイアゴン横丁に入る途中、ニンニクの臭いが強烈なターバンを巻いた男の人から声をかけられた気がしたけど、全く素知らぬように背を向けていた。ロージー達に後頭部から声をかける人はいるのか聞いたけど、そんな人はいないと言われた。
お金を引き出すために、グリンゴッツでロージーから渡された『鍵』と母親が使っていたらしい杖を受付の小鬼に見せる(アズカバンに入れられた際にロージーから渡されて、魔法の練習に使っていた)。
レストレンジ家専属らしい小鬼が先導して、ロバーズと一緒にトロッコで家の金庫に向かう。
……今度から金庫の外で待って、お金はロージーかロバーズに出してもらおう。金貨だらけで目が痛い。
ロージーとロバーズが魔法薬の道具と教科書類を買っている間、私はマダム・マルキンの店でぼうっとしながら採寸を受けていた。
途中、ブロンドの毛が生えた蛇みたいなのに話しかけられたけど、興味が無かったから適当に相槌をして時間を潰していた(私が名前を教えた時、どこか既視感のある驚き顔をしていた)。
杖も新しく買うらしい。オリバンダーの店で巻尺に巻かれたと思えば、何本も杖を握らされた。
握った杖が100を越えた辺りでようやく───オリバンダー曰く、杖がだそう───納得のいくものが出たそうで、7ガリオンを支払った。クマシデに不死鳥の羽根、22センチで比類なく頑固……そうオリバンダーに説明されても、私はさっぱり分からない。今まで使っていた母親の杖と、買った杖。どっちも魔法が使えるから同じにしか思えないというのに。
……そういえば、この杖を振った時、不思議な匂いがした。今まで嗅いだことのない、いつまでも求めていたくなるような、そんな匂い。
周りはそんな匂いはしなかったと言っていたけど……それからは、私しか感じなかった匂いを嗅いでいた事がずっと頭から離れなくて、よく寝れなかった。
──────今まで1度たりとも抱かなかった私の悩みは、9月1日の出会いを前にして吹き飛んでいった。
セリフの語尾に♡は……
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必要ッ!!
-
不要ッ!!