☆霧雨魔理沙☆
高校3年生の女子高生、頭はそこまで良くないが力は結構強い。黄色寄りの金髪、身長は高めでボーイッシュ。
☆アリス・マーガトロイド☆
今学期より都合で外国から転校してきた女子高生。金髪と水色の瞳、そして赤いフリース付きのカチューシャが特徴。
新学年の始まりを告げる始業式の日、私は前年度と同じように駅へ向かっていた。春特有の日差しの暖かさに加え、冬の時に残った肌寒い微風の残った、過ごしやすいのか気持ち悪いのか、少し新鮮さに近い不思議な感覚にさせる環境だった。駅が見えてくる。プシュー、という停車音と共に電車は減速して停止した。
「危ない危ない…これを逃したら遅刻するところだったぜ…」
急いで改札を通り、ホームへ上がると同じ制服を着た見慣れない金髪の女子が立っていた。身長から見るに恐らく学年は同じくらい、だが外国人みたいな金髪、青白い肌に水色の瞳…あんな奴は見たことがない。何故なら私の家は学校から少々遠く、この駅から学校へ登校する生徒なんて私くらいだったからだ。勿論、同じ制服を着ている同年代を見るのは、記憶が正しければこれが初めてだ。
『転校生か…?』
疑問半分にも乗車するために、電車のドアへ向かう。通勤通学する人が少ないこともあって本数は少なく、それに比例するように乗車する人は非常に少ない。勿論停車時間も短いが、混雑して押し戻されるよりかはずっとマシ、これも田舎の恩恵なのだろうか…
そう思いながら電車のドアへ入ろうとすると「うおっ!?」と、驚愕の声と共にホームと電車の間に足が突っかかってしまった。足を取られて転びそうになった…しかし、その体は電車の床に叩きつけられず、それどころか何かに持たれるようにしてさせられているようだ。後ろを振り返ると、そこには先程ホームにいた外国人らしき子が居た、私を後ろから抱き抱える感じで。
「だい、じょうぶですか?」
「あぁ、助かったぜ。ありがとうな」
お礼を言うと、その子は嬉しそうに頬をピンク色にして鞄を抱き抱えて首を縦に振った。本当に心底嬉しそうな顔をしている。人助けが好きな子なのだろうか…
電車のシートに座ると、何故かその子は私の隣に座ってきた。目がキラキラしているし、何かに興味を示しているような顔だ。もしかして、興味を持っているのは私…?
「えっと…どうしたんだ?」
「おなじ制服だったので…同じ学校の人かと思って…お話がしたくて…」
少々拙い日本語で話す彼女は、予想通り外国人らしい。ヨーロッパとかアメリカの人っぽいけど、私は日本人、アジアの人間だから顔を見ただけで出身が1発で分かるなんてことはまずない。
「転校生か?」
「は、はい! 両親が仕事で日本に来てて、いっしょに来たんです…」
「どこから?」
「ふ、フランスのパリからです…!」
どうやら転校生というのは本当だったらしい。良く見るとフランス人らしい顔つきをしている。こういうのもアレだが、すごく可愛い。幼少期の頃に、一度は憧れた絵本の中のお姫様…その理想系に最も近い人が、私のすぐ目の前にいるのだ。
「日本語話せるのか?」
「はい! ここに来る前にちょっと勉強を…でも、まだまだです…」
「1人だけで駅に来たのか?」
「はい…両親は仕事で…」
近くには彼女の両親らしき人はいない。初めての異国の地、果ては1人だけで駅に向かわせる。忙しいのか親に蔑ろにされているのかは分からない。彼女の親も親だが、アリスの方も1人でよくよくここまで来れたものだ。
「のどかですね…」
窓から外の景色を眺める彼女は呟く。確かに、この駅の辺りは田んぼや畑が広がる場所であり、その駅は田畑の中心部あたりにある小さく閑静な住宅街の端っこにある。
「フランスにもあるんじゃ無いのか? こういう田畑とかは」
「あるはあるんですけど…私はパリで今まで…」
「都会っ子、ってことか」
「まぁ…多分そういうこと…」
社会科の教科書で見たことがあるが、フランスはEU加盟国であって最大の農業国、というのは知っている。小麦や飼料、畜産を交互にこなう混合農業が盛ん…なんて話を、珍しく起きていた時に受けた社会科の授業で聞いたことがあるのを微かに覚えている。
「そうだ、まだ名前知らなかったな。私は霧雨魔理沙、よろしくな」
「私はアリス、アリス・マーガトロイド。よろしく!」
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「そろそろだぞ」
「はうぁっ!?」
車内でずっとおしゃべりできると思いきや、アリスは数分も経たない内にこくりこくりと意識が飛びかけ、遂には鞄を抱え、私の方に頭をくっつけながら居眠りを始めてしまった。顔はまるでガラスの棺桶に入れられた白雪姫のようで…っと、それについては後にし、私の声に驚いて飛び起きたアリスは開きかけている目を細い指を持つ小さな手で擦り、ふたたび私の方向を向いた。
「ちょっと距離があるんですねー」
「あぁ、各駅停車でも20分、快速でも10分かかるからなぁ…それに快速列車は滅多に停まらないし」
「そうなんですか…」
電車のドアが開き、ただでさえ少ない乗客は先を争うようにして飛び出していく。
「なんであんなに急いでいるんですか?」
「見てみろ、もう8時ちょうどだぞ」
「ほんとだ!」
私がアリスにスタート画面を映すスマホを見せると、目を見開いて慌て始める。何を思ったのか、私の手首を掴んで引っ張るように走り始める。
「アリス! 改札口はそっちじゃないぞ!」
「あ…ごめんなさい…」
顔を赤らめ、落ち着いたアリスを誘導して改札口へ向かう。私の使っている駅は学校と共に市の中心部にあって、県庁所在地であることも相まって駅はかなり混雑している。勿論、多くの電車が合うまるだけあってか駅はかなり複雑な構造をしていて、私も初めの頃は迷い易い場所だった。アリスは私の腕にしがみつくようにくっついてくる。
「アリス…恥ずかしいからやめてもらってもいいか?」
「ご、ごめんなさいッ!」
驚いたようにアリスは離れる。もうすぐ改札口という所であったがために多くの人にこれを見られてしまったのはかなり恥ずかしい。多くの人が私たち2人に目線を向ける中、私は恥ずかしさに震えかけた体に喝を入れ、改札口をアリスと共に後にした…