時が経つのは早いもので、俺とアイの初デュエット曲を投稿してから一週間が経過した。
「やっと…やっとだ…」
「結構時間かかっちゃったね」
今、俺たちは施設の人ともにある場所に向かっていた。
「やっとSNSを始められる」
「反響すごそう」
待たせたなお前ら…
俺の動画初投稿から早12日。俺たちは今日、スマホを買うぞ…!
◆◇◆◇
『m/a/g/n/e/t』を投稿してからの勢いはそれはもう半端なくて、投稿して僅か一時間後にはチャンネル登録者が80万人を超えて、日付が変わる前には当初の目標であった100万人を超えてしまった。その後も勢いは留まることを知らず、次の動画を投稿するまでに登録者は108万人になっていた。すごい。
コメントもタグもリアルタイムで次から次に新しいものが付け足されていっては消えてを繰り返していて、炎上したわけでもないのにお祭り騒ぎになっていた。
気になるコメント内容だが、やはりアイに対するものが多く、その全てがアイの容姿や歌唱力を称賛するものだった。あとは俺が予想していた通り百合系のものも多くて、その次に曲に対するもの、といった順番だった。まぁそうだよな、お前ら百合大好きだもんな。
そしてそれを見たアイも最初こそ自分の人気具合に戸惑いつつあったが、百合コメントに関してはさも当然とばかりに腕組みして頷きながら一つ一つしっかり確認していた。
あと歌ってる時は気付かなかったけど、俺たちの距離──体も心も──が近かった。うん、全然意識してなかったし自分で編集してる時ですら何の違和感も持たなかった。だって別にいつもお互いべったりだしそれが普通というか…、端から見たら異様に感じるのかも。
それでも俺もアイもこの距離感をやめるつもりはない、というか別にそれが俺たちからしたら普通の距離感なのだから。
まぁ、あえて言い訳をするのであれば『m/a/g/n/e/t』に関しては俺もアイもいつも以上に気持ちが昂っていて歌に感情を乗せ過ぎたかもな。歌詞も百合百合してるし。
それ以降の話だが、『m/a/g/n/e/t』投稿から一週間後の今日までに、俺たちは引き続き毎日投稿を続けた。ストックはまだまだあるからね。違うのはこれまでのように俺のソロオンリーではなく、俺とアイのソロ曲が二曲ずつ、デュエットが三曲といった内訳だ。
これがもう反響がすごくていくつものネットニュースになったし、SNSもすごいことになってるらしい。初投稿からたったの五日でチャンネル登録者が100万人を超えたことはYouTubeでも史上三位の快挙であるらしく、『Mirastrea』は今世界で最も勢いのあるYouTuberとなってるらしい。この時代はまだ芸能人の参入もないからね。あ、そうそうチャンネル名を『トゥエル』から『Mirastrea』に変えた。もう俺だけのチャンネルじゃないしね。
ちなみに今の登録者は202万。まさかの200万超えである。この前100万超えたばかりだぞ…。収益申請だって先日施設の人にお願いして俺とアイの口座を作って貰ってようやく通ったばかりなのに。登録者が爆増したのはやはり海外勢の影響が大きい…もとい俺がそっちを狙ってソロ二曲を英語の曲にしたのもあるだろうけど。
俺の最終目標は世界一のアイドルになることだから、その下地としてまずは全世界に俺たちを知って貰うことにあるから、ある意味狙い通りと言える。このペースだと三年後には1000万行ってたりしてな。ダイヤの盾だっけ?眉唾物だと思ってたけど意外と現実味を帯びてきたな。
閑話休題。
スマホ購入に関しては割とあっさり決まって、俺とアイは某りんご社の先日発売されたばかりの最新機種を同時購入した。操作法に関しては俺は前世でもこの会社の物を使っていたから問題はない。アイもさすが現役JSだけあって触りだけ教えたらあっという間にものにしていた。
何故今なのか…、それはやはり収益化が正式に決まったことが大きかった。それに職員たちも俺たちの動画をチェックしているようで、登録者200万超えの今最も勢いのあるYouTuberがSNSをやっていない=スマホを持っていないという驚愕の事実に対するコメントの圧にびびっていたのもあるが。
何にしろ時間はかかってしまったものの予定通り二人同時に最新機種を購入できたのは大きい。
そして俺たちはスマホを買ったらその日のうちに〝あること〟をやると決めていた。それは──
「スマホ購入記念、SNSアカウント開設記念に配信しよっか」
「動画は慣れてきたけど配信は緊張するね~」
配信。Live放送やら生放送ともいう。
元々決めていたことだから異論はない。タイミング的にも200万人突破とも被るし話題性も大きいと思う。
この配信については昨日の動画の終わりに『大切なお知らせ』としてしれっと載せておいた。
さて何人来るかな?今朝一瞬確認したら待機人数2000とか見えたような気がしたけどまさかね。だって平日の朝9時だぜ?仕事あるよなハハッ。
「SNSは配信中に皆の前で始めてリスナーを誘導する形でいいよね?」
「それでいいと思うよ。偽者も確実に潰せるしね」
「あいつら私の名前使ってずいぶん調子に乗ってるみたいだからな。私から正式なコメントで文句言えばあとは私の信者が消してくれるだろう」
「エルの信者筆頭が私だけどね。……エルの偽者ほんと死ねばいいのに」
「こらこら、あまり汚い言葉を使っちゃダメよ」
「ごめんなさい…でもあいつらエルの名前を利用して汚いことしてるし、エルのことも…」
アイが喋っている途中だが、俺はアイの頭を撫でた。
「よしよし、そこまでにね。…嬉しいよ、アイがそう思ってくれるのは。てか私もアイの信者になるよ。信者兼最愛のパートナー」
「え…っ、嬉しい!じゃあお互いファン1号になろ♡」
「将来ファンクラブ出来たらそうしよう」
今までファンクラブとか入ったことないけど。会員ナンバー0とか1とかだよね。お互いに名誉会員とか名誉会長とか名乗ってそれを公表したいな。
早く見せ付けたい。全世界に俺とアイのいちゃつきを見せ付けたい。アイは俺のものだってことを伝えたい。これが〝承認欲求〟というやつなのだろうか。いや、少し違う気がする。そもそもの動機は、
俺がまた思考の坩堝に嵌まりかけていると、隣からカシャっという音が聴こえてきた。
あれ、この音って…。アイの方を見ると、携帯を構えて俺の写真を撮っていた。
「ん?どうしたの?」
「Twitterに載せるエルの写真撮ってるの」
「ほう」
待たせちゃったからたくさん供給しないとね、というアイは連写モードに切り替えたらしくカシャカシャカシャカシャ撮りまくってきた。
「いぇーい」
俺は相変わらず無表情だけど、仕草だけは決めてみる。
俺って写真撮るときも笑えないのか…。
「やばい、笑えない」
「え?」
「写真撮るときも笑えないなんて…!」
ちょっと残念に思っていると、アイはんー、と考える素振りを見せてから俺のそばに寄ってきて背中を預けるようにもたれ掛かってきた。
反射的にアイのお腹に手を回して抱き寄せる。
「アイ?」
「自分用に撮る~」
そう言って俺の腕に収まりながら、インカメを片手を掲げて2人の顔が写るように角度を調節してカシャリ。
「見て!エル笑ってる」
「!…ほんとだ」
アイが見せくれた写真、そこには後ろからアイを抱きしめながら不意な撮影にも関わらず自然な柔らかい笑みを浮かべる俺がいた。
「最初からSNSに載せるって言っちゃうと無意識に身構えて固くなっちゃうのかも」
「ふむ…」
「今のも強引ではあったけど、自分用って先に伝えたことで緊張が解けたんじゃない?」
「確かにそれはありそう」
「今ので何となく分かった。エルは意識するとダメみたい、自然体が一番いいんだって」
「…なんか、とことん皆とは真逆なんだね。普通写メって角度とか表情とか意識しまくって何度も撮り直しするんだよね」
「それは私にも分からないけど…やっぱりそうなのかな」
SNSに大量発生している自撮り女なんかは皆同じ構図だ。角度も表情も加工具合も。だからこそそいつらを馬鹿にした、『量産型』という言葉が生まれたのだろう。本当の美人は加工なんかしなくても綺麗なのだから。それと、自分は綺麗だって自信があるから、そういう気持ちが表情にも表れると思っている。毛穴を隠すとかニキビを隠すとかは所詮言い訳に過ぎない。
「これ言っちゃうと炎上しそうだからアイにしか言わないけど、私やアイはいつ、どの角度から撮られても絶対的な可愛さは揺るがないけど、中途半端な美人程度じゃ角度によっては崩壊するから気を遣うんだと思う。常に美人でいられるのは私やアイレベルの顔面国宝クラスだけかな」
「今の女優とかアイドルも加工強いもんね」
「そうそう。白過ぎたり細すぎたり目大きすぎたり…不自然に感じるときがあるし」
「私は分からないけど、エルは本当にいつもかわいいよね。さっき連写で撮ったけど、全部かわいいもん。瞬きの瞬間すらかわいい」
「それはまぁ私だからね。あとアイもいつも可愛いから大丈夫」
そう言いながら俺は携帯をカメラモードにしてアイに向けて構える。
カメラをアイはにこっと笑ってピースを作って頬に当てた。
シンプルな構図で加工も何もない謂わば『バニラ』の写メだが、このままでも余裕で投稿できるくらい可愛い。
「やっぱりアイはレベルが違うわ。このままでも投稿できる。これから先とんでもないことになりそう」
「えへへ、そうかな…?でもやっぱり少し加工は欲しいかも…?」
「ん、おすすめの加工アプリも調べて落としとくか」
「そうだね。私も勉強しなきゃ…エルはあまりそういうの興味なさそうだし」
「いや…興味ないというか、私たちレベルならする必要なくない?って感じかな」
俺やアイのレベルだと加工してもしなくても変わらないと思うんだよな。むしろ半端な加工じゃ劣化するまであるだろ。
「確かにないのかもしれないけど、やっぱり大勢の人に見られるから最高の自分でいたいな、って…。ゲームとかで例えるなら、まだやれることがあるのにボス戦に行っちゃうみたいな?」
「あー、わからなくもない。要するにまだ加工という伸び代があるにも関わらず投稿しちゃうみたいな?」
「そうそうそんな感じ。そのままでも98点だけど、加工すれば100点まで伸ばせるよ的な」
「なるほどね。そういう考え方もあるか。なら不自然にならない程度に加工も入れるか。んで、たまに無修正も交ぜることで私たちの顔面の強さがより引き立つか…」
「うん、だから最高のパフォーマンスを保つために必要なのが加工、かな」
なるほどねぇ。やっぱり元男の俺と違ってアイの意見は参考になる。確かに人前に載っけるなら常に最高の自分でいたいという気持ちは分かる。〝俺〟だった頃にもそういう経験はあった。しかも俺たちってまだ化粧すらしてないからな。……自分のことながら末恐ろしいな。
「おっけー。私も自撮りの勉強する。アイをたくさん可愛く撮る」
「私もエルいっぱい撮るよ!載せる用と自分用に」
「ん、とりあえずツーショットいっぱい撮ろ?」
「うんっ♡」
こうして話が一段落した俺たちはカメラを交代で持って色々な構図でツーショットや単品の写真を撮りまくった。
大好きなアイとたくさん密着できて、俺もアイも終始にっこにこだった。
早く夜にならないかな。アカウント開設して大量投下したい。
この日から俺たちは隙あらばお互いを撮影してそれぞれのSNSアカウントに投下した。
今までの期間を埋め合わせるような怒涛の写メラッシュにファンは狂喜乱舞し、俺たちのアカウントは一気に──良い意味で──燃え上がり、日本のトレンドのトップ3が『トゥエル』『アイ』『Mirastrea』になった。
それだけでなく、お互いが余りにも相方ばかり撮ることによって、トゥエルを見たければアイのアカウントに、アイを見たければトゥエルのアカウントに飛べという謳い文句まで生まれてしまうことになった。
◆◇◆◇
「こんばんは。トゥエルです。名字はありません」
「アイです。将来の夢はエルに名字をあげることです」
『うおおおおおおおお』『まってました!!!!』『きたあああああああ』『かわいい』『かわいい』『かわいい』『かわいいいいいいいい』『可愛い』『かわいい』『すげーかわいい』『2人ともかわいい』『顔面国宝』『うわ2人ともかわいすぎる』『2人とも顔ちっちゃ』『まってカメラ近い』『こんなに可愛いのか』『これは顔面国宝』『世界一の美少女の配信はここですか?』『トゥエルほんと可愛い』『アイー!すきだー!』『アイちゃんの目にお星さまが咲いてる』『いつ見ても虹眼きれー』『この時をまってた』『生き甲斐』『トゥエルのおかげで人生楽しいよ本当にありがとう』『自殺しようとしてたけどトゥエルの動画見てもう少しだけ頑張ってみようと思ったよ』『百合最高』『百合最高百合最高百合最高』『はーすっごいかわいい』『生配信って誤魔化し効かないのに動画と変わらないってやばない?』『うわぁかわいいなぁ2人とも』『アイちゃんの夢応援してます!』『開幕から見せ付けてくスタイル』『アイちゃんいいね』『アイ好きだわ』『冒頭の挨拶でもう好きだわ2人とも』『トゥエルが最初から挨拶で名字はありませんって言ってるの伏線だったのか…』『初配信おめでとー!』『このために速攻仕事終わらせてきたぜ』『俺もバイト休んだわ』
すごい。もう出だしからコメントで埋め尽くされてる。
夜になって、俺とアイは初めてLive配信を行っていた。いつもよりカメラを近くにセットして二人でパソコンの前に椅子を並べて座っている状態だ。
登録者200万超えの新規精鋭YouTuberの初配信、ということで俺たちを取り上げる記事も多く、SNSのトレンドにも上がったりしていたらしい。注目度は鰻上りで、朝の時点で既に待機人数2000人だったそれは、配信一時間前には2万人、10分前にはついに10万人を超えていて、配信が始まった現在もどんどん増え続けてついに20万人を超えた。
今現在20万人以上の人たちが画面越しに俺とアイを見ているのだ。
緊張してないと言えば嘘になる。
「コメントすご」
「追いきれないね」
次から次へとコメントが流れていく。ものすごい速度だ。一つのコメントが現れてからスクロールバーの外へ流れるまで一秒もない。
とても追いきれない。
『まって2人とも近い』『画面の向こうにトゥエルがいる…』『アイめっちゃかわいい』『アイちゃんかわいい』『トゥエルと並んでかわいいってやばいだろ』『トゥエルとアイ顔同じくらい?』『トゥエルはもう言わずもがな』『アイが如何にかわいいかよくわかった』『何で2人とも俺の学校にいないんだよおおお』『か、かわいい!』『すきです』『トゥエル結婚してくれ』『カメラ近くて2人の顔が目の前にあってやばい』『リモートしてるみたい』『いつもの動画より俄然近くて色々やばい』『この距離で見るトゥエルまじでかわいいな』『この2人と同じクラスメイトのやつら羨ましすぎる』『本物の美少女』『生配信でこの顔面を拝めるとは』『かわいいいいいい』『2人ともめっさかわいい』『アイちゃんしゅき』『顔面偏差値100×2』『世界一かわいい小学生が2人』『虹眼うつくしい』『アイちゃん目にお星さま咲いてる!』『二人とも超きれー』
「皆ありがとう。コメントも見ているけど、勢い良すぎて追いきれないな。ごめん」
「だけどちゃんとコメント読んでるからねー」
メインでやることは挨拶とSNSアカウント開設と誘導、偽者への注意喚起、今後の展望を語ることで、それ以外は基本的にその日に合わせて喋ろうということになっている。
コメントばかり見ててもきりがないから、早速本題に移ろうかな。
「まずは改めて自己紹介から。どうも、トゥエルです。名字はありません。趣味は音楽活動全般…その中でも特に歌と作詞が好きかな。自分で作った曲を皆に聴いてもらいたい。アイと共に『Mirastrea』というツインボーカルユニットを組んでいる。将来の夢はアイと結婚して幸せな家庭を築くことだ」
そこまで言い切ってアイにバトンタッチ。
「はーい。…はじめまして。アイです。エルことトゥエルと『Mirastrea』でツインボーカルやってます。趣味は…最近だとエルの写真を撮ることかな?将来の夢はエルと結婚すること!」
『きゃああああああ』『てぇてぇ…』『え?まって2人の夢が』『すばらしい!』『やっぱりデキてるじゃないですかー!』『三次元の百合なんて興味なかったけど今初めて尊いと感じたよ』『キマシタワー』『ここにキマシタワーを建てましょう』『百合』『百合』『てぇてぇ』『尊い』『なんて美しい百合』『百合』『百合』『キマシタワー』『百合キチャアアアア』『百合!!最高!!』『うおおおおおおおお』『百合最高百合最高百合最高百合最高百合最高』『百合最高百合最高百合最高!!!』『この百合は推せる!!』『相思相愛だ』『俺たちは何を聴かされてるんだ』『早く結婚しろ』『末長く爆発しろ』『美少女の百合はいいなあ』『おいこの配信今の同接22万だぞ』『初っぱなからとばすね君ら』『尊さがキョダイマックスした』『尊さ爆血してる』『全国の純粋なキッズたちの性癖を歪めるな』『これは歪むなぁ』『あーあこの配信で何人の性癖が歪むんだか』『かまわんもっといちゃつけ』『百合の花が咲いてますね』『素晴らしい提案をしよう。お前も百合にならないか?』『この国にどんな百合が生まれるか、俺がこの目で確かめてやる』
確かにまだ恋だの愛だのを知らない子供が見たら性癖歪むよな。
そう考えると人生二周目で中身大人の俺はともかくアイは耳年増っていうか…。〝
「質問タイム行こうか。答えられる範囲でなら何でも答えよう」
「私たちが拾えるように、ちょっとだけコメント遅くしてくれると助かるなぁ?」
ナイスアシスト、アイ。アイの気の利いた発言により、決壊した河川のごとき勢いのコメントも、僅かではあるが低速した。本当に僅かではあるが。
『ん?』『ん?』『ん?』『ん?今何でもって』『ん?』『何でもって』『お前ら無駄にコメント流すな』『質問しろ』『ん?』『ん?』『今何でもって』『何で二人はアイドルになろうと思ったんですか?』『二人の年齢が知りたい!』『2人の出会いは!?』『作詞作曲は全部自分でしてるって本当?』『施設暮らしって本当ですか?』『お互いの好きなところは?』『二人とも特徴的な瞳だけどそれ本物?』『スリーサイズしりたい』『普段何してるの?』『トゥエルちゃんの出身地はどこですか?』『トゥエルって何人?』『いきなり100万超えたときどう思った?』『アイドルになろうと思ったきっかけは?』『2人ともガチの百合なの?』『百合営業ですか?』『デキてる?』『magnetのときやたら距離近かったけどあれは演出?それともガチ?』『二人は実在していますか?』『200万人おめでとうございます。今のお気持ちは?』『アイドルになったらYouTubeやめちゃう?』『どんなアイドルになりたい?』『ここがアイドルになるための下地ってマ?』『トゥエルちゃんに会うにはどうしたらいいですか?』『お二人の間に僕が入って三角関係になるのはどうでしょうか?』『逆にお互いに直して欲しいところとかある?』『SNSに蔓延る偽者へ一言』『SNSやらないんですか?』『お二人は夫婦ですか?』『好きな映画は?』『詩を書くとき何を考えてる?』『ボイトレとかどうしてる?』『好きなアニメとかある?』『好きな本は?』『遊びに行くならどこ?』『今日何食べた?』『座右の銘とかってある?』『自分が思う自分の長所と短所』『好きな食べ物と苦手な食べ物』『好きな漫画は?』『季節どれが一番好き?』『地球最後の日がきたら何する?』『好きな音楽とか』『お風呂でどこから洗いますか!?』『一億円もらったらなにしたい?』『されたら嬉しいことは?嫌なことも』『得意教科と苦手教科!』『好きな動物は?』『2人の好きなタイプは?』『最近泣いたことは?』『トゥエルちゃん貴族説あるけど本当?』
「締め切りここまで!」
「うわっ、すっごい来てるじゃん」
アイの言う通りものすごい数だ。なるべく前部答えたいが、都合上言えないものもいくつかあるな。
「たくさんの質問ありがとう。では順に答えていくぞ。だが都合上答えられないものもある。そこは許せ」
「世の中には知らない方がいいこともあるってね」
「ああ。暴かれきった女よりも謎が残る女の方が美しいのさ」
なんて言ってみたけど別に困るような質問はあまりないな。
まぁ幾つかの質問を意図的にはぐらかすことで聞き手の想像力を掻き立ててよりミステリアス感を醸し出したり…狙ってできるかわからないけど。
「順番に行くぞ。──何故アイドルになろうと思ったか。…一言で言うなら金のためかな」
俺がそう言うとやはりコメントがざわついた。そうだよな、普通ここは綺麗事をほざくよな。でも
「私の──私たちの最終目標は結婚して蜜月を過ごすことだ。外国に別荘を買ってそちらへ移住しようと考えている。そのためにはお金が要るが、私たちは家もなければ親もいない。子供であるがゆえに真っ当にお金を稼ぐこともできない。だが詰んでいるわけではない。幸いにも私たちはこの顔と才能を貰った。それを活かさない手はないだろう?それが最も活用できるのがアイドルというわけだ。無論、ここでの活動記録もそれに含まれるぞ。あとは…これは最近思うようになったことだが──私の歌を聴いて欲しいから、だな」
「私も同じかな。あとは私の場合純粋にエルのとなりに立っていたいのと──自分の気持ちに本当でいたいから、かな。ね?エル?」
「そうだな」
『尊い』『理由が思ったより闇深い』『壮大な目標だな。応援する』『ならお金稼いだらやめちゃうってこと?』『百合』『尊い』『お金のためか、単純だが絶対的な理由だな』『応援してる』『正直に答えてくれてありがとう』『なんだろう、普通ならうわって思うんだろうけどこの2人の場合頑張れって思えてくる』『ますます好きになった』『これから大変だろうけどがんばって!応援するよ』『早く結婚しろ』『純度の濃い百合だ…』『てぇてぇ…』『君らほんとに小学生?』『その歳でもう人生設計してる…』『しっかりしてる子だなぁ』『最近の小学生はすごい』『才能の正しい使い方』『ツンツンツンツンからのデレきたな』『最後デレたなかわいい』『アイちゃんけっこう重たいね』『トゥエル最後本音出てるぞ』
別にデレたつもりはないが、そういうことにしておいた方が都合が良さそうなので特に触れないでおく。そしてアイが初っぱなから重たいのがバレてて草。確かにアイドルに興味ないのに、俺のことを追いかけて自分もアイドルになるって普通に考えたら重たいよな。俺は全然そうは思わないんだが、客観的に見たら相当重いんだろう。理由に関しても正直叩かれると思ったが全然そんなことなくて一安心。
「次。年齢と出会いか。これは私が答えよう。年齢は7、出会いは私が施設に入れられて一年後にアイが来た。ついでに施設暮らしも本当だ」
『これは動画で言ってたもんね』『本当に毎回7歳って聞くたびに嘘だろって思う』『年齢詐称してないか』『お前のような七歳児がいるか』『(肉体年齢が)7歳ですね』『精神年齢成人済みだろ』『小学一年生?』『とても7歳とは思えない聡明さ』『俺より頭良い七歳児』『まじで7歳なら天才すぎる』『俺トゥエルより賢い自信がない』『七歳があんな歌詞かけるのか』『2人とも7歳にしては落ち着きすぎてる』『実は人生二週目だったりしない?』
最後のやつ、正解。
「作詞作曲は全部自分でしている」
「お互いの好きなところ!」
「良い質問だな」
「…私はエルの全部が好きだよ。でも強いて言うなら…私がつらい時に的確に欲しい言葉をくれるところかな。それと私を愛してくれるとこ!」
「私もアイのすべてが好きだ。その中でも特に私という個を受け入れてくれるところと、私を愛してくれるところだな」
アイを見て微笑む。俺が先に答えたアイになぞるように被せると、アイは一瞬驚いた表情を見せたがすぐにふにゃりと破顔した。
「えへへ…」
「ふふ…」
アイがチラチラ俺を見て甘えたそうにしていたので、腕を広げると飛び込んでくる小さな身体を受け止めて頭を撫でる。愛おしいなぁ…。
『脳が焼き切れた』『尊い』『尊い』『イイゾ~』『ああ"~』『なにそのお互いの回答尊すぎませんか』『キマシタワー』『俺たちは何を見せられてるんだ』『いいぞもっとやれ』『美少女同士の百合最高!』『イチャイチャするな』『こいつら公然の場で平然といちゃつきやがる』『ブラックコーヒー飲みながらじゃないとまともに見られんわ』『てぇてぇ…』『本気で好きなんだなお互いに…』『癒される』『2人の後ろに百合の花が見える』『2人の周りだけ別世界だ』『もっとイチャイチャしろ』『爆発しろ』『俺も混ざりたい』
最後のやつ、百合に挟まる男は地雷だぞ。
「どんどん行くぞ。…私たちの瞳は本物だ。私の目もアイの目も。特にアイの瞳は一番星を宿してるんだ。燦々と輝いていてとても魅力的なんだ。吸い込まれるような天性の瞳だぞ。まぁ私だけの一番星だがな」
「エルの瞳は銀河を宿してるんだよ!エルの目ってよく観るとたくさんの星がキラキラ輝いてて、それが天の川みたいに繋がってるんだよ!すっっっごく綺麗なの!だからエルの瞳には銀河が宿ってるの!さすが私だけのエル!」
『まーたいちゃついてるよ』『てぇてぇ』『百合』『ラブラブ』『百合が濃過ぎて胃がもたれる』『銀河眼』『一番星』『銀河を宿す虹眼の美少女ってか』『アイちゃんは一番星の生まれ変わり?』『トゥエルの二つ名銀河の妖精にしよう』『それいいな』『リアル銀河の妖精』『ぶっちゃけ二次元よりトゥエルの方がかわいい』『また渾名が増えるのか』『虹色の瞳って本当に綺麗』『ぶっちゃけどんな宝石よりも美しいと思うよ虹眼』『この世界で唯一の瞳だもんな。宝石なんかと違って替えがないしそもそも比べるのも個烏滸がましい』『おい一つの質問ごとにイチャイチャする気か!?』『いいぞもっと百合しろ』
「ありがとう。実際この眼は自慢なんだ。褒めてくれて嬉しいよ。アイもありがとね、私だけの一番星」
「えへへ。私もエルが褒められてて嬉しくなっちゃった…」
まぁ綺麗だよな虹眼。原作でも明らかに他とは一線を画すものとして描かれていたし。
「スリーサイズと出身は秘密。普段は私もアイも学校だ。放課後は買い物に行くか自室で作詞作曲、動画作成、歌唱力トレーニング、アイの英語の勉強…とか」
『やっぱそこは秘密か~』『まぁ最初から期待してなかった』『歌唱力トレーニングって何してるん?』『アイちゃん英語勉強してるの?』『もしかして今後英語の曲のデュエットある?』
「ほう、鋭いな。まぁノーコメントで。歌唱力トレーニングとは名ばかりに実際にはひたすら歌ってるだけだ。本物の歌手がどのようなトレーニングをするか知らないしな」
「最初の頃のエルは毎日声が枯れるまで練習してたんだよ。10時間とか歌ってるときもあった」
「懐かしいな…。確かに初めは毎日10時間してたな…」
アイドルを目指すと決めたばかりの頃は、自分の実力が分からなかったのもあって、空き時間はひたすら歌ってた。おかげで何とか人前で歌っても恥ずかしくないレベルにまでなって、動画を撮り始めてからは編集とか編曲をしないといけないからそこまで時間は取れないけど、それでも平均で三時間は歌ってると思う。
『ファッ!?』『枯れるまでって…』『努力家なのね』『10時間!?』『天才な上に努力も欠かさない』『これは勝てないわ』『天才が努力したら誰も勝てないのよ』
「私のアイドルとしての目標は世界一だからな。次、100万超えたときどう思ったか。すごいなぁと思ったよ」
「さすが私のエルだなって思った」
『軽い』『あっさりしすぎ』『普通1日で100万再生はいかないのよ』『すごいなぁってトゥエルちゃん君ね…』『そういうとこマジで好きだわ』『ここでもアイちゃんさりげなく牽制してて草』『さりげなく自分のものアピールするアイちゃん』『百合最高!』『すき』
だって俺トゥエルだし。心のどこかでそりゃ100万くらいはいくよなって気持ちも確かにあった。
「次がある意味お前たちの一番気になるところだろうが…、百合営業とかデキてる?とか距離近いのは演出?とか。…逆に訊こうか。私たちのこれが演技だと思うか?」
「思うかー!?」
アイを抱きしめて挑発的な視線だけを画面に向ける。
『思わないです』『思わない…です』『これはデキてますね』『これは新婚』『あつあつ』『これが演技だとしたら俺は人間不信になる』『思ってないよ』『今までのやり取り見てて確信したよ。この2人はガチだって』『もうね2人の言動の節々にお互いを想う気持ちが出ちゃってる』『隠しきれない愛がそこにはある』『尊さがレシプロバーストしてる』『すまんどうしても聞かせてくれ…二人は女の子が好きなのか?』
「「ちがうよ」」
そのコメントを見た瞬間、偶然にも俺とアイの声が被った。
「女の子だから好きなんじゃなくて、
「女の子が好きなんじゃない、
ほとんど同時に回答したことで、コメントが大いに盛り上りを見せた。
それには触れずに進行する。同時にアイが俺の胸に顔を埋めて甘えてきたので愛でる。
「次の質問。実在してますか?してるから安心しろ。200万人突破おめでとう。ありがとう。まぁ正直こんな早くいくとは思ってなかったからだいぶ驚いてる。アイドルになったらYouTuberやめるか…やめないよ。ここでの活動も続ける」
『アイちゃんかわいいな』『まじ?』『200万達成歴代最速だぞ』『200万おめでとう!』『マ?続けてくれるん?』『さっきからトゥエルに甘えてるアイが可愛すぎる』『やったーーー』『やったぜ』『ありがとう』『ありがとう!』『よかったあああ』『続けてくれるのまじで嬉しい』『やめないで!って言おうとしたけど続けてくれるって聞いて安心した』『いまだにトゥエルが実在してるのか不安になる』『わかる』『神聖すぎて画面の中だけの存在なんじゃないかって思う』『トゥエルのこと世界一清楚という言葉が似合う女の子だと思ってる』『トゥエルに甘えるアイちゃんかわいい』『完全にトゥエルのこと信頼しきってるね』
「ありがとう。私はここにいる。三年後は毎日テレビで私たちの姿が見られるようになるさ」
『かっこいい』『売れると確信してるのがクソかっこいい』『一生ついていきます!』『トゥエルが言うと説得力があるな…』『実際売れる要素しかないもんね』『それ言い切るのかっこいい』『自信たっぷりなトゥエルかっこかわいい』
「次…どんなアイドルになりたいか。ほう」
「…ふーん」
その質問を読み上げると、これまで俺の胸に顔を埋めっぱなしで我関せずといった様子のアイがおもむろに顔を上げた。
「どんなアイドルか。そうだな…私にとってアイドルとは──」
【天使】
念願のあいふぉん(最新機種のすがた)を手に入れたぞ!
自撮りでは笑えないことに絶望した。でもアイと一緒ならにっこにこ。
加工しなくても顔面最強は揺るがないけど、一応加工はする。この思想は暗に、働いている女性は化粧をするのがマナーと言われる男尊女卑的な部分からきている。それが転じて自撮り載せるなら加工するのは最低限のマナーか?って考え。ちなみにトゥエルの中の人的にはそれって男尊女卑じゃね?と思ってるがセンシティブな問題なので口には出さない。
自分よりもアイの写メばかり撮ってアイ専用フォルダを作る予定。
現在初配信中。
【一番星】
念願のあいふぉん(最新機種のすがた)を手に入れた。
自分よりもエルばかり撮る。私のエルは可愛いし美人だし無敵だから皆見てよ!
加工はけっこうする。エルに加工がいかに大事かを説いた。
隙あらばエルを盗撮する。食事中、お風呂、寝る時、寝顔、寝起き、授業中の横顔など油断してる時のエルを狙い撃ちするのが趣味。どんな時も顔面国宝は揺るがずどの角度から撮っても顔面偏差値100なのに対して自分のことのように喜ぶ。
現在初配信中。
質問コーナーが長くて若干オネム。エルのおっぱいやわらかい。ここで寝る。
…おっとこのタイミングで良い質問がきたね。