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前編後編合わせて4万文字以内は無理でした!
絵心さんみたいな頭の良い人は私には書けません!
後半は力尽きました。本編書かなきゃ…。
◇かっこいいブルーロックのキャラはいません
◇ミヤアンの百合はあります!!←むしろこれが書きたかった
やっぱりハーメルンだとブルーロックは微妙ですねー。私が最近夢で見てる原作もので、こっちで受けそうなのは呪術くらいか。
さしすの同期としてアイエルぶち込んでも良さそう。アイの術式作るにあたって、歌姫と差別化して、ウタちゃん的な術式にしようかな。ウタ+美九(破軍歌姫)とか強そう。けど音の振動って結局無限超えられないか…。何にしろ最後はエルが強すぎてすべてを無に帰してしまうけど。
一月某日──
いよいよ今日、ブルーロックの運命を懸けた一戦が行われる。
試合開始一時間前、俺たちは最後の打ち合わせのためブルーロック内のモニタールームにいた。一緒に来ていたミヤコさんは先に関係者の席に向かっていて、斉藤社長の方は仕事があるらしく後から合流するらしい。
俺たちの出演は完全にサプライズだから、メディアはおろか選手たちすら知らない。知ってるのは絵心やアンリちゃんといったブルーロック関係者のみだ。ここに来るときも、前回とは違って従業員用通路から入館した。万が一にも俺たちの姿を選手たちに見られたりしたら、極限まで高めている彼らの集中力を
「さすがに観衆がすごいな」
「チケットも争奪戦だったらしいじゃん!」
「はい!ありがたいことに、それだけ皆さんこの一戦に注目してくれているんです!」
「まぁ、奴らの目的は糸師冴だがな」
絵心の言うように、会場は糸師冴コールがすごい。今まで一度も招集に応じなかった糸師冴が参加する上、その相手が前代未聞のストライカー育成施設のブルーロックとあって、この一戦は日本のみならず世界中から注目を集めている。
「いいな…乗っ取りがいがある」
「やる気だね、エル」
「えっ?乗っ取るってどういうことですか?」
俺のこの発言を理解できていないのはアンリちゃんだけだった。
「アイドル様はこの試合における注目をすべて自分たちがかっさらうつもりらしい。観客やメディアの目を日本代表と糸師冴から〝
「ええっ!?話題性を奪うってことですか!?」
「そうだ。私たちに与えられた時間はハーフタイムの10分程。だが、10分
「やれるものならやってみなよ、
俺と絵心の視線がバチバチにぶつかり合う。さすが、
──なら、俺がやることは一つだけ。
「……フッ。あんたが監督なら、きっと勝つさ。それは代表相手に立ち回りやパフォーマンスを魅せつけるといった選手たちの今後の活動の話ではなく、
「どうしてそう思う?」
「直感」
「…なに?」
「えっ」
俺の返答が予想外だったのだろう。絵心は一瞬顔をしかめ、アンリちゃんは声に出すほどきょとんとしている。普段から理論尽くめの合理主義者的な発言ばかりしている俺が、勘とだの直感だの、根拠のない発言をすることはほぼないからな。
「意外か?私だってたまには自分の直感に従うこともあるさ」
「……やっぱりトゥエルちゃんは世界一のエゴイストだよ」
「最高の褒め言葉だな」
「トゥエルさんでもそういうことを言うのですね…」
絵心の中で何が俺を世界一のエゴイスト足らしめるのかは、俺には分からない。大凡の検討はついているが…。
だが、俺もこの業界に身を置いて7年。アイがいるからこそ良い意味で吹っ切れた俺は、圧倒的実力主義を掲げてこの芸能界を駆け上がってきた。
誰からも文句が出ないように、最初から周囲と圧倒的な差を見せ付けて黙らせてきたのが俺だ。そしてその事に何の罪悪感も抱いていない──抱いたことすらない。蹴落としてきた人間は実力がないからだと言い聞かせてやった。
別に相手の絶望する顔が見たいとか、そんな気色悪い趣味はない。そう言い聞かせないと自分を保てないとかでもない。そもそもそんな軟弱な精神じゃいつか耐えきれずに折れてしまうだろう。俺はアイを護ると決めたあの日から、生まれ変わると決めたのだから。
「知らなかったの?エルは最強なんだよ」
「そうだな。彼女が世界一たる所以を思い知らされたよ。〝銀河を宿す〟と言われるだけあるね」
「そもそも〝人間〟が〝銀河〟に呑まれないわけないじゃん。〝星〟にすら、人間は届かないのにさ」
ああ、アイの言わんとしていることが俺には分かってしまう。それは絵心も同じだったようで。
「確かにその通りだ。
「案ずるな。私はブルーロックを応援していると言ったはずだ。それに…先日連合から送られてきた映像を見て、気になる選手も見つけたし」
「ほう?」
「え!本当ですか!?」
「はっ?」
あ、やべぇ今の発言は地雷だったかも。案の定絵心は興味深くこちらを観察し、アンリちゃんは興味深々です!と言った感じで詰め寄ってきて──最後にアイは硬直した。久しく見ることのなかった、奈落を彷彿とさせる黒い一番星が冷たい輝きを放っている。
「アイ。私の一番は常にアイだ。……いや、そもそもアイ以外に比べる相手もいない。私の世界にはアイしか生きていない。だから本当なら
「…でも、気になる選手も見つけたって言った」
「確かにそう言った…。ごめんね…アイを不安にさせるような発言をしちゃって…。決してアイ以外に目移りしたとかじゃないの。気になる、っていうのは観察対象として興味深いという意味で言ったんだ。ほら、集団の中に他とは違う変な生き物を見たら『なんだこいつ』ってなるじゃん?たとえば、同じ柄の猫の集団の中に、一匹だけ違う柄の猫がいたら一瞬見ちゃうでしょ?そんな感じかな?だから世界がひっくり返ったとしても、そいつを男として気になったとかじゃないから安心してほしい。誤解させるようなこと言ってごめん。愛してるよアイ。……伝わってくれたかな?」
「…うん、大丈夫…。私の方こそ、不安になっちゃってごめんね…」
今のアイが空元気なのは判りきっている。俺はアイを抱きしめて優しく頭を撫でた。こうなったアイをそのままにしておけない。それに、逆の立場なら俺だってヘラる。
「ううん、私の方こそごめん。もし逆なら私だって不安に感じちゃうよ。ごめんねアイ…。大好きだよ。ずっと、ずぅっと一生懸命。私の最愛。アイと出逢ったあの日から、私の世界にはアイしかいないんだ。愛してる。不安になるなら何度だって言うよ。愛してるよアイ。これからも私と一緒に生きて欲しい」
そこまで言って、俺はアイにキスをした。アイとの繋がりを感じたいから、ただのキスではなく舌を入れて、絡み合うように。寂しくないよ、ここにいるよと伝えるように。アイも俺が舌を入れると、自らも舌を出して歓迎してくれた。アイの温かい口内と、熱い吐息に包まれながら、大切なんだと愛情を込めて唾液を送り込むと、アイも同じように唾液を俺に流し込んでくれた。ああ…幸せだ。今俺たちは心と体のどちらも繋がっているんだ…。
ふと目を開けると、同じタイミングで目を開けたアイと目が合った。大きな桔梗色の瞳には、燦々と輝く白い一番星が宿っていた。俺の想いが伝わってくれたかな?
「んっ、はぁ…♡…エルぅ…♡」
「アイ…大丈夫、大丈夫。私はどこにもいかないよ」
「えへへ…うん♡ずっと一緒!」
「ずっと一緒!」
アイに笑顔が戻った。良かった…。それにしても本当に俺は学習しないバカだなぁ…バカなんだから気をつけないと。
「愛してるよエル…」
「愛してるよアイ」
「えへへ♡愛してるよっ!」
「愛してるよッ♡」
「愛してるよ~~~~~♡」
「あーいーしーてーるよー♡」
「愛してるよエルッッ!♡」
「愛してるよアイッッ!♡」
こうして他に何も考えずに、ただただ夢中で愛を伝えられるこの瞬間が好きだ。
俺とアイ──二人の愛情が交差して、より一層強い想いへ昇華されるから。
「えへへっ、いーじゃん!」
「いーじゃん!いーじゃん!元気になった?」
「うん!もう大丈夫!エルがケアしてくれたから!」
「おー!良かった良かった!何かあったらすぐケアするからね」
「ありがと♡エルもね」
「うん、ありがと♡」
「愛し──」
「
色々なバリエーションで伝え合っていたところに、横やりをくらって反射的に体が震えてしまった。そういえばここブルーロックで、しかも絵心とアンリちゃんの真ん前だった。
アイと
「はわわ…尊い…なんて尊い百合なの…!」
「アンリちゃん君ね…」
「絵心さんには
「
「ありがとうアンリちゃん!」
「アンリちゃん最高!」
ほらみろ、アンリちゃんはちゃんと
ちなみに初見では盛大にテンプレの間違えをしたアイだが、今はもう間違えない。アイは才能ある人間の名前はちゃんと覚えるのだ。うちの社長だけは、毎回ツッコミ入れてくれるからという理由でわざと間違えてるけど、そんなところも愛嬌があって可愛い。
「絵心さん?どうかしました?」
「トゥエルちゃんが興味を持った奴について心当たりがあってね」
「えっ!?」
訝しげに俺を見る絵心に、アンリちゃんが声をかけたら、思わぬ返答。
へー、やっぱり絵心には分かっちゃうか。まぁあの曲を聴けば分かる人はすぐに結び付くかな。特に総指揮官として全選手のデータを詳細に把握している絵心ならある意味当然か。
「私も何となく分かったよ」
「えぇ!アイさんまで!?分からないの私だけですか!?」
意外かもしれないがアイが分かったのは予想の範疇だ。俺と一緒に送られてきた映像を観てたし、俺のリアクションも隣で見ていた。しかもアイは俺よりもずっと感覚が冴え渡ってるからな。〝あいつ〟とアイは五感が発達しているという共通点もあるし。
「鈍いなぁアンリちゃん。ちゃんと曲は聴いたかい?」
「ちゃんとリピートして100回聴きましたよ!」
え、すご。めちゃくちゃ聴いてくれるじゃん。
「すごぉい!うれしー!」
「そんなにたくさん聴いてくれて……アンリちゃんありがとね」
「いえいえ、お二人のファンならこれくらい当然のことですから!」
「それでも多忙なスケジュールの中で時間を作ってそれだけ聴いてくれたのは嬉しいよ」
「うんうん!」
でも待てよ?うろ覚えだけど、アンリちゃんて仕事終わるのが20時半で、朝起きるのが5時半なんだっけ。そこからご飯とお風呂を除いたら自由時間て二時間もないんじゃないかな。そんな中でたった一日で100回も聴いてくれたのはすごいというか確実に睡眠時間削ってるよね。そこまでしなくていいから寝てくれ…。いや嬉しいけどさ!心配になる。
「アンリちゃんさ、昨日の睡眠時間は?」
「え?えーと、昨日は三時間ほど…」
「ちゃんと寝なさい」
「はい…」
絵心に言われるって相当だぞ…。
「いや、その心配するなら少しは仕事手伝ってやれ」
「却下。俺はサッカー以外しなくていいという契約でここにいる」
「うわぁ…ニート…」
「ニートじゃん…」
仮にも衣食住を世話になってるんだから、少しくらい手伝ってやればいいのに。逆にこいつは普段何をしているんだ?
「ッ…ふふっ…言われてる…っっ」
「
そんな理由、ね…。わざと俺を煽るようなことを言って、俺の真意を聞き出そうってことか。いいだろう、ならば納得いくまで答えてやる。
「そうだ。日本代表の映像は観たことがないが、糸師冴がヘボだのゲロだの言っていたのを聞いた。そして奴は相手がブルーロックだから自分が出場するとも言っていた。この時点で糸師冴がブルーロック>日本代表としているのは火を見るより明らかだ。私はサッカーのことは分からないが、送られてきたブルーロックの映像を観て監獄勢の勝利を確信した。既にチームとして完成された日本代表は、良くも悪くも型に沿った動きしか出来ない。それを崩して爆発させるのが糸師冴の仕事だろうが、私は堅実な糸師冴よりも、全員がFWというブルーロックスの化学反応が勝ると思った」
「ほえー…」
「…………」
絵心もアンリちゃんも黙っている。といってもこの二人のそれはまったくもって異なる思惑だ。アンリちゃんの方はただ感心しているだけだが、絵心は違う。まだそれだけじゃ足りない、続きがあるんだろう?と言わんばかりに、顎をしゃくり無言で続きを促してきた。
こいつ、この俺を顎で使うとは…。
「適正試験も見させてもらった。ブルーロックスは『勝つ』ためだけにここまで来ただろう。各々与えられたポジションでの役割をこなしつつも、常に全員がゴールを狙う…。その貪欲さはまるで飢えた獣の集団じゃないか。そこに極上の餌を与えたら…貪り尽くすだろう。それに、そもそも初めから見据えているものが違うじゃないか」
「見据えているもの…?」
ぽかんと呆けているだけだったアンリちゃんが首を傾げた。
「ブルーロックは世界一のストライカーを目指すための施設…。
──そう、俺のこの〝眼〟に狂いはないんだよ。仮に原作を知らなかったとしても、俺は
「……トゥエルちゃん。君、うちでアナリストしない?」
「却下。私はまだやることがある」
「冗談だよ。半分ね」
「半分ですか…」
「ダメだよ!エルは私と一緒に暮らすんだから!」
「アイちゃんも一緒にマネージャーになればいい。君たちがいたらあいつらの指揮も上がるだろ」
「ついでに私の指揮も上がります…!なんちゃって」
「ダメだ。私が許さん。アイをこんなケダモノだらけのところに預けられるか」
何を言い出すんだこのクソキノコめ。アイと出会わなかった世界線の俺ならともかく、今の俺にそんなこと言っても無駄だからな!ちょっとだけ魅力的だなとは思ったけど…。
「…というか、そろそろ時間じゃないか?いつまでもここにいていいのか?」
時計を見ると既に試合開始15分前に突入していた。
それまで座っていた絵心は資料を持って立ち上がり、アンリちゃんも表情を引き締めた。
「ああ、そうだな。──俺はもう行く」
「私もスタッフさんたちに指示飛ばさないと」
「……
「……
「ああ。やってみせろ」
「期待してるね!」
絵心は後ろ手にひらひらと手を振って先に行ってしまった。あの仕草かっこいいから俺も真似したいんだよね。なんて考えながら俺たちも後に続くようにモニタールームを出る。最後に出たアンリちゃんが鍵をかけたのを見届けた。
「お二人とも本日はありがとうございました。関係者用通路の場所はご存じで?」
「うん、大丈夫だよ」
「左様ですか。なら、名残惜しいですけど私もこれで失礼しますね。お二人とお話ができて良かったです!」
「うん、私たちも二人と話せて良かった」
「アンリちゃんも頑張ってね」
「ふふ…ありがとうございます。…最後に一つだけ言わせてください」
そこまで言うと、アンリちゃんはそれまでのにこやかな表情から一変、きりりと頬を引き締め真剣な表情を作った。
「なに?」
「……
「……あらら、バレちゃってたか」
「やるねぇアンリちゃん」
「トゥエルさんが、選手の今後じゃなくて得点数で勝つって言い切ったときに気づいたんです」
けっこう早い段階で気づいていたんだね。それってつまり、それだけ絵心のことを見ているってことじゃん。やっぱりお似合いだよあんたら。
俺が発破をかけたのは原作で絵心が腑抜けた発言をしたからだ。何が『ブルーロックはもう既に勝ってる』だ。試合にも勝負にも勝たなきゃ意味がないだろって思っていたからこそ、俺は絵心の中に抑えられていた
世界一のアイドルであり、世界一のエゴイストであるこの俺がそう言えば、絵心ならすぐに確信に到れると思って。
「監督なら可愛い教え子たちを最後まで信じてあげないとダメじゃん?それが〝愛〟だよ。その上で試合にも勝負にも勝たなくっちゃ意味がないでしょ」
「愛…、そうですよね。まず何よりも私たちが彼らを信じてあげないとですよね…!」
「選手たちは最後まで諦めずに戦うよ。だから、アンリちゃんもどうか最後まで選手たちを
ここで負けたら、それは死んだも同然。次なんてない。ブルーロックにいたことが有利になるとか、そんな話じゃない。絵心甚八が育てた
「ッ…はい!大丈夫です!私、絶対に勝てるって信じてますから!」
「うん。大丈夫。私たちも全力で応援するから。だからまだ泣いちゃダメだ。それは彼らが勝った時までとっておくんだ」
「あなたたちを勝利へ導く星乙女になってあげる♡だから、私たちのこともちゃんと見ててね?」
「はっ、はいっ!もちろんですっ!ありがとうございます!」
そうして俺たちはさっきの絵心を真似て、涙目のアンリちゃんに背を向けると片手を上げてひらひらと…。うん、俺たち最高にキマってる!
時間は刻一刻と迫っている。
日本サッカー界を変える運命の一戦が、まもなく始まる──
◆◇◆◇
関係者席に着くと、そこには先に戻っていたミヤコさんと、何故か斉藤社長の姿があった。
「遅かったじゃない。もう始まるわよ」
「ん、ちょっとあの二人と長話ししてて」
「あれ?佐藤社長じゃん。仕事じゃなかったの?」
「斉藤な。お前らがこの試合に対してやけに熱が入ってるから、気になってな。昨日のうちに出来る限りのことはやっといたんだよ」
言われてみれば確かに、普段の仕事はライブ以外は程よく手抜きでこなしてたからな。全力を出しすぎても他の出演者を喰らい尽くして
──まぁ手を抜くのは日本国内限定なんですけどね?
「おー!有能じゃん!」
「この一戦は日本サッカー界の時代の節目だよ。新しい時代が生まれる瞬間を刮目して見ておけ」
「トゥエルはブルーロックが勝つと思ってるの?」
「うん」
「でも相手は日本代表だろ?しかも糸師冴もいる。それに対してブルーロックってのは高校生の寄せ集めで、全員FWなんだろ?勝てるのか?」
「勝てるさ。私の目に狂いはないのは、あんたたちもよく知ってるでしょ?」
確かに社長の言うことは尤もだ。というか世間一般の意見がまさに今斉藤社長が言った内容だ。ほとんどの人間が、今回の試合は勝負にならないだの一方的だの好き放題言っている。専門家ですら日本代表が勝つと決めつけている。確かに普通の相手ならそうだろう。だが、彼らは違う。
迷いなく伝えると、二人は頷いた。
「そうね」
「そうだな…。トゥエルがそう言うなら、そうなんだろうな」
「もう始まる。まぁ観ておけ」
頑張れよ、ブルーロック。新たな歴史の1ページを刻め──!
◆◇◆◇
前半戦が終了した。目まぐるしく移り変わる展開を制したのはブルーロックスだ。
1-2とまさかの1点リードで前半戦を終えたのだ。これには実況解説も客席も大盛り上がり。だって誰しもが日本代表側が有利とみていたのだから。もしかしたらこのまま勝ってしまうのではないかという、それぞれの思惑が入り乱れる結果となった。
代表戦は原作でも最高に面白い回だったし、俺も一番好きだった。それを生で観ているという感動と、平面ではない立体的な動きの躍動感がある。俺だった頃も含めて、スポーツ観戦なんてしたことないけど、こんなに熱狂するものなのか。
「お前の言った通りだな…トゥエル」
「このまま勝っちゃうのかしら」
「…いや、まだこれからだよ」
「そうなのか?でもお前は勝つって──」
「ああ、だがそれは代表側に奴がいないからだ。…来るぞ、〝悪魔〟が」
「悪魔ってあの時糸師冴が引き抜いた人?」
「うん。…よし、行こう、アイ。ここからは私たちのステージだ」
「うん!このスタジアムの全員の注目を奪っちゃおうエル!」
「うん!」
そして俺たちは、始めに関係者用通路から更衣室に行って持参した衣装に着替える。もうこのトゥエルの原作衣装も七年ものだ。時たま違う衣装を纏うこともあるが、ほとんどのライブはこれだ。アイの方も色違いでまったく同じものを着用している。ちなみに俺が紅でアイが蒼だ。そんな衣装に着替えた後、スタジアムに直結している大きな部屋へ向かう。ここまですべて打ち合わせ通りだ。移動式のステージに乗って、その時が来るのを待つ。
今回の俺たちの出演は、ブルーロックの関係者以外は完全非公表だ。メディアにも勘づかれないように気をつけていたからな。まぁ完全なサプライズって感じ。その方が面白い。
その時、最終調整をしていたであろうアンリちゃんが部屋に入ってくる。俺たちと目が合い、お互いにこくりと一つ頷く。
それを合図に、スタジアム証明が消える。ざわめく会場。
さぁ、行こう!
◆◇◆◇
「前半を終えて得点は1-2でなんと
実況の途中でスタジアムの証明が一斉に消えた。何事かと騒ぐ会場と実況スタンドを余所に、突如として鳴り響くBGM。そして虹色の証明が騒然とするスタジアムを照らし出す。
ここからは私たちのステージだ。
いつものように、お互いの左手薬指──そこに嵌められた永遠のマリッジリング──にキスをする。
さぁ、伝説のハーフタイム・ショーの始まりだ。
【Light My Fire】
「今解き放て 秘めた想いを
無に帰る現実 断ち切るために」
ブルーロックよ、今こそそのエゴを解き放て。ここで負けたらすべてが終わる。またつまらない日々に戻るのは嫌だろう?
「運命が必然だとしたって
Nobody can predict what will happen
必死に抗ってくんだ その瞳に映した 未来をこの手に」
運命に必然なんてない。未来は誰にも予測できない。お前たち自身で切り開くんだ。お前たちの手で未来を掴んでみせろ。
「Shout out! 己の存在」
存在を誇示しろ!日本へ、世界へ示せ!
──既に会場のボルテージは最高潮だ。俺たちの登場に会場は大興奮で、黄色い悲鳴がひっきりなしにあがっている。でも、こんなものじゃないだろ?まだまだイケるよな?ついてこいよ!
「叫べ!!!!!!!」
「みんな叫べええええええ!!!!!!!」
「「「「「「WoWWWoooW!!!!!!!」」」」」」
「君に聞こえるまで
そこからは 何が見える?
Light my fire」
かっさらえブルーロック。頂を見据えろ。内なる炎を煌めかせろ。
勝利の女神は待っていても降りてこない。お前たち自ら引きずり下ろせ。
……………
…………
………
……
…
歌い終わった後のスタジアム全体を包む大歓声の中で、一際近くから聞こえた方へ顔を向ける。
それは選手の控えベンチの方で、そこにはブルーロックの選手たち。ロッカールームから飛び出して来たのだろう、一方的に見知った顔ぶれが並んで一斉にこちらを見て──楽しそうに笑いながら手を掲げて盛り上げてくれている。何人かは俺たちの名前をめちゃくちゃ叫んでる。彼らの後ろには腕を組んで頷く絵心の姿もある。
反対側の控えベンチも、日本代表選手に加え、俺のファンを公言する糸師冴と、彼が引き抜いた士道龍聖がどこからか取り出したサイリウムを振っていた。…いや、お前らそれどこから出したし!?
いや、今はそんなことよりも──
「──はい!どうもこんにちは。星野トゥエルです!!」
「星野アイです!!」
「あなたを導く──」
「──運命の星乙女」
「「〝
すっかり馴染んだこのアイドルによくある口上を述べると、ドッと沸く歓声。
この場にいる人間だけじゃない──この放送を観ているすべての人間の注目を一身に受けているのを感じる。トゥエルに成ってから知ったことだが、この肉体は自身へ向けられる強い感情を受信する力もある。だから本当に人々の視線、そこに含まれる熱を感じるのだ。
奪れる──この試合の主役の座を、俺たちへ。
「改めて、今回この〝
「よろしくね~」
「「「「「「うおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」
「な、なんと言うことでしょう!!この日本サッカー界の命運を懸けた一戦に、世界一のアイドルと名高い『Mirastrea』の二人が応援に駆けつけてくれました!これは嬉しいサプライズだあッッ!!!」
「黙っててごめんな?お前たちを驚かせようと思ってな。なんせこの話が決まったのが一週間前だったからさ」
「ほんと急だよね。準備とか間に合うの?って思ったもん」
「でも驚いたよ。まさか私たちが出演する前提で話が進んでいたのだから」
「初めて会ったときから胡散臭いな~って思ってたけど、会長さんも喰えない人だよね~」
うっわ!言われてやんのあの銭ゲバ狸会長。それにしてもナイス煽りだ、アイ…!俺たちのトークは台本ではなく、いつもその場で繋げてるから、今のは紛れもないアイの本音だ。思ってても普通は言わないだろうことも容赦なく切り捨てる。世界一と呼ばれるようになってから、そのキレはさらに増している。
俺も負けてられない。
「アイ!それは内緒!」
「あっ!そうだった…てへ♪みんな今のは忘れて~!」
「皆忘れろ~!」
すかさずフォローに入ると、俺の意図を瞬時に理解したアイがさらに被せてくれる。
これを利用しない手はなかった。一度発言した内容は取り消せないし、忘れてと強調することでより一層記憶に残るのだ。
「そうだ!いいこと考えた!歌って皆の意識を流せばいいんだ!」
「それ最高じゃん!」
俺が流れを作ると、やや困惑気味だった会場が、今度は足並み揃えて『おおおお!!』と期待の歓声をあげる。
「この日のために作った新曲。今歌った曲も、次に歌う曲も、私たちから見たブルーロックをイメージしたものだ」
「エゴイストたちの気持ちを歌にしたよ!」
「それじゃあ聴いてくれ。Mirastreaで──『カオスが極まる』」
……………
…………
………
……
…
「Check it! My foot or BPM
どっちでもいいから証明してくれ
Damn it! Find out rare DNA
見つけられない限りはどうせタイムオーバー」
お前たちの刻む鼓動を見せてみろ。最高の〝
「analyze 突き詰め memorize
ごっこ遊びに割けるにべもない
賛美歌は美化しがたいbecome right?
頭がいてえよな」
玉蹴りになんか付き合ってられないよな?アイツらのソレはサッカーじゃない。エゴのないサッカーなんて観ていて頭抱えちゃうよな。
「How crazy is that feeling?
How crazy is that feeling?
去った栄光の日に 希望があった日に 戻りたくなったなんて 寝てんのかよ」
一度その狂気を知ってしまったら、もうあの生ぬるい日々に戻りたいなんて泣き言は言わないよな?
「足りない 足りない 足りない
抉られるくらいわけないぜ 君はどうだ?」
焦燥と苛立ちを渇望に変えて、どんな試練も乗り越えるんだ。お前はそこで朽ち果てるほどヤワじゃないだろ?
「楽園は近いぞ」
その先に望む景色はある。
「ぶちかましてくれ
見たことがなけりゃないほどドラマチックだ
やばすぎんだろ
カオス極まる 息もできないくらい
これのどこがアリアドネの糸だ 笑わせないで欲しいのに
気味が悪いほど 恍惚の泥沼だ 助けないで」
カオスを愉しめ、そして恍惚の泥沼へ沈め。
「How crazy is that feeling?
How crazy is that feeling?
画すべき一線を越えろ」
イカれてるだろ?お前も狂ってしまえ。常識を捨てろ!
「楽園は近い」
そこにゴールはある。
「ぶちかましてくれ
見たことがなけりゃないほどドラマチックだ
やばすぎんだろ
カオス極まる 息もできないくらい
忘れないでくれ 運命論は無駄だ あがけるだけあがいたらいい」
エゴをぶちかませ!こんなイカれたサッカー見たことない!お前の渇望で運命を変えてみせろ!イケるところまでイケばいい!
「邪魔だ、すっこんでろ
着地はもうどうでもいい つまり恍惚はもうとめどがない だから前例になく超気持ち良い
君はどうだ?」
後先考えるな。試練を乗り越えて恍惚に浸れば、もうその快楽から抜け出せなくなるから。お前もそうだろう?
「かつてないデッドヒート 極まってしまった」
戦いの果て、ここに最高のエゴイストが誕生してしまった…!
……………
…………
………
……
…
「「みんなありがとおおおおおおおお!!!!!」」
「「「「「「WoWoohoooooo!!!!!!」」」」」」
瞬間、割れるような大歓声。あちこちから俺たちへのコールが聞こえる。
この特設スタジアムの収容人数はアリーナ席がない分、一般的なドームと同じ程度だが、まるで海外のスタジアムでライブをしたときのような大盛況だ。
「ありがとう!本当にありがとう!とっても楽しかった!!最高でした!!」
「私もだ。まさかあのブルーロックで歌える日が来るとは思わなくて…感慨深い…!今までのライブで一番緊張した!」
「〝結婚記念ライブ〟より?」
「緊張度合いはこっちのが上かな。あれは素の私たちだったし」
「わかる~!あれは普段の私たちをさらけ出しただけっていうか、日常の延長に近かったもんね」
「うんうん!こっちはまさにサッカー界の時代の節目って感じだもん。その歴史的瞬間に私たちが立ち合えたことに感動してる!」
ああ、本当に楽しい!アイドルやってて良かった!
帰りたくないなあ。ずっとここで歌っていたい。
「「「「「「アンコール!!!アンコール!!!」」」」」」
スタジアムが一体となって、俺たちへのコールがかかる。最早この場を支配しているのは日本代表でも、糸師冴でも、ブルーロックでもなく、
ステージの上じゃあ私たちが〝
「コールありがとう!本当に残念だけど、私たちはここまでだ」
「みんな次のライブまでその熱と昂りを取っておいてくれる?」
本当は今すぐアンコールに答えて歌いたい。でも限られた時間の中でやれることは決まっている。メタ的な意味でこれ以上ハーフタイムショーを引き延ばすと、この後の試合内容に影響が出るかもしれないから、ここで撤退だな。当初の目的は果たせたし。
「最後にこれだけ言わせてくれ」
俺の言葉と同時に、溢れんばかりの歓声が一斉にスンとなった。それは俺たちがここを完全に支配している証だ。
「今から言うのは私たちの個人的な意見だ。……勝ってみせろ、
「以上!!Mirastreaでした!それじゃあみんな~!また次のライブで会おうね~!!」
瞬間、またも爆発する大歓声。鳴り止まないMirastreaコールに混じって、ブルーロックのそれも聞こえた。
◆◇◆◇
試合終了のホイッスルが鳴り響く。電光掲示板に示された得点は、3-4。
〝
「本当に勝っちまうとはな…」
「これから日本サッカーはどうなるのかしらね…?」
「すごい…!どうしよう…!私、ちょっとだけサッカーしたくなってるかも!」
「あとで一緒にしようか」
「やろ!」
我ら苺プロダクションもびっくりの結果だ。まぁ俺は初めから知ってたけどな!
「ちょっと選手に挨拶してくる」
「私も行く~」
「おーおー!ヒーローインタビューか。ま、好きなだけ話してこい。この後お前らはフリーだ」
「気が利くな!ありがとう」
アイと共に関係者用通路からロッカールームへ向かい始めた時だった。
「トゥエル」
「なんだ?」
「奪られちまったなァ」
そう言われて、フッ…と無意識に零してしまった。
「──そうだな」
そこで二人とも俺の声色に歓喜が浮かんでいることに気づいたらしい。
「お前、嬉しそうだな」
「負けたのに嬉しそうね」
「嬉しいよ」
社長たちの方へ振り向いて、俺は満面の笑みを浮かべた。
「あの瞬間、彼はこの私に勝ったんだから」
◆◇◆◇
ブルーロック側のロッカールームに着いた。中から未だ興奮覚め止まぬ選手たちの声が聞こえる。
いる…!ここにブルーロックのキャラクターたちがいる!うわあああ!緊張する!!俺がトゥエルじゃなかったらやばかった。然り気無くアイを見ると、普段と変わらない様子だった。こういうとき何も知らないアイが羨ましい。よし、思想思念を使ってと……ふぅ。
情緒を固定させた俺は、アイと一緒にいつぞやの糸師冴のようにノックもせずに入室した。
「あれ?絵心さ──」
「ん?お前なに固まって──」
「──えっ?」
絵心が入ってきたと思ったのか、入り口に近い奴から俺を見て──口を間抜けにぽかんと開けて固まった。
「あ…!トゥエルさん!アイさん!来てくれたんですね…!お疲れ様です…!」
「お疲れ様。少し気になってな」
「アンリちゃんもお疲れさま~」
唯一アンリちゃんだけが反応して、俺たちを見てぱあっと表情を輝かせた。泣き顔で、だけど。感極まって泣いてしまったのだろう。誰か一人くらい抱きしめてやれよ、そういうところだぞ。
さて、目当ての奴は……いた!そいつの元へ歩を進めると、モーセの海割りのこどく左右に別れる選手たち、その間をアイを引き連れて通る。コツコツ、と俺とアイのヒールの音だけがこの広いロッカールームに響く。
俺たちの目線の先──そこにいるのは。
「潔世一だな?」
「────」
え?無反応?不思議に思い首を傾げる。もしかしてコイツじゃないのか?だとしたらクソ恥ずいんだけど。
「……?違うのか?」
「えー?でも頭に双葉ついてるよ?」
アイも潔世一らしき人物をまじまじと観察している。
「──ハッ?……トゥエルと……アイ?」
ああそうか、いきなり部屋にやってきて『潔世一だな?』とか普通に考えてやばい奴だよな。そりゃ固まるわ。きっと内心でヤベー奴来た!とか思われてるんだろうな…。悲しみ。
ちょっと思想思念使ってみようか。
「あぁそうか。すまない、私としたことが自己紹介を忘れていた。…改めて。どうも、星野トゥエルです!」
「星野アイです!」
「あなたを導く──」
「──運命の星乙女」
「「Mirastreaですっっ!!」」
するとようやく徐々にだが皆の心の声が聴こえてきた。誰しもが困惑しているようだった。
──は?嘘だろ?すっげー可愛い!話しかけようかな…。顔良過ぎる!顔面国宝だ!なんやあの非凡の塊は…!お、推しが目の前に…!!トゥエルだ…トゥエルがいる…!かっっわっっ!!!ば、バカな…なんだあのキューティクルは!?
ずいぶん騒がしいことになってるが、今の俺は気分がいいから、最後のは聞かなかったことにしてやろう。絶対イガグリだろ。あと一人おかしな奴いるけど蟻生だろ。
「……え、っと」
「それで、お前は潔世一で合ってるな?」
「あ、うん…。トゥエル…だよな?アイドルの…。どうしてここに…?」
そわそわしている周囲を代表して潔が話しかけてくる。
「私たちはお前に会いに来たんだ。
「へっ?──お、俺に!?」
「私たちね?ちょ~っとだけ君に興味が湧いたんだぁ」
俺に関しては単純に推しに会いたかったというファン心理もあるが。
マジかよ…。なんで潔ばっかり!俺もトゥエルに君に興味が湧いたんだって言われてェ!という声は今は無視する。
「最後の
「アレすごかったよね!私感動しちゃったもん!」
「あー、ありがとう…?」
「ふふ、そんなに固くならないでくれ。ヒーローインタビューの延長とでも思ってリラックスしてくれ」
俺はそう言って、こっそり潔に精神力強化の魔法をかけた。これで普段通りに話せるはずだ。
潔の精神の波が平常に戻ったことを確認して成功したと確信する。
「ああ、わかったよトゥエル。アイもありがとな」
うお、いきなり呼び捨てかよこいつ。まぁいいけど。
──は?潔テメェあの二人を呼び捨てかよ。潔の奴急に態度変わりすぎじゃね?アイちゃんかわええなあ。
…確かに日常会話で俺たちのことを話すときに呼び捨てなのは分かるが、本人を目の前にしての呼び捨てには外野も困惑している。
「悪ィ、呼び捨てしちゃったな。トゥエルさん、アイさん」
「大丈夫だ。呼び捨てでかまわない」
「私も平気だよ~」
「そっか。ならそう呼ばせてもらうな、二人とも」
「話を戻すが、私たちは今回の出演にあたってブルーロックの選考映像を全て送ってもらったんだ。でもその時既に四日しかなくて、さすがに全部を観ることはできなかったから飛ばし飛ばしではあったが。ただ一人の選手を除いてな」
「それが君だよ、潔世一くん!」
「まじで…。二人とも忙しいだろうに…嬉しいよ。ありがとな二人とも。…なぁ、訊いてもいいか?」
「ん?いいぞ」
「どうして俺なんだ?他にもすごい奴はたくさんいただろ?例えば…そこの凛とかさ」
潔はロッカールームの端に座って俯いている選手を指した。へぇ、あれが糸師凛…。なんかあらゆる負の感情を煮詰めたような闇を纏ってるけど。たぶん、最後の糸師冴との会話が原因だろうなぁ。
まぁそれは俺たちが口出しすることじゃない。
「それはお前が常に進化しているからだ。試合中に自分自身をパズルのように見立てて、周りの動きや会話から戦術のヒントを得て、常に最適な自分へ
「それまでと全然違うやり方なんて、頭では解ってても簡単にはできないよ。今までの自分を否定することになるからね。それを躊躇なくやってのける君はまさに適応能力の天才だよ!」
「最後のゴールはお前がここで今までに学んだことの集大成と言ってもいい。それくらい苛烈で、鮮やかなものだった」
「私たちが目を奪われちゃったからね。初めてだよ、一瞬とはいえ負けた!って思ったのは…」
「ふふ、未来永劫誇っていい。お前は私たちのハジメテを奪った唯一の男なのだから…」
挑発的に笑うと、周りから俺に向けられる感情が爆発したのが判った。何人かは顔を赤らめている。至近距離で俺の微笑みが直撃した潔は、ヒュッと息を飲んで顔を真っ赤にして手で唇を覆った。乙女かよ、可愛いな。
──潔殺す。なんで潔なんだよクソッ!俺もトゥエルとアイのハジメテ奪いてェよ!潔死ね。許さねェ。潔殺す潔殺す潔殺す。ええなぁ潔くん。潔ばっかりズルい!クソが、あの凡め。さすが潔、トゥエルんとアイぴーの心を奪うなんて!やるじゃん潔。裏山、裏山。いーなー俺もトゥエルとアイに褒められたい。あいつばっかりマジサガるわぁ。トゥエル俺のことも褒めてくれ。…俺もアイによしよしされてェな。
色々な声が聴こえてきて面白いな。自分でもなかなか攻めた発言だなとは思うけど。
もう少しいってみるか。
「噂通りの良い眼だな」
「ひえっ」
──うわ、かっっっわ!!やべェ…顔良…、虹色の瞳綺麗すぎ…、髪艶々…なんだよその光沢天使の輪かよ…、それにすっげェ良い匂い…、てかちょっと胸当たってるし…やわらか…ッ!何考えてんだバカか俺は…!いや、でもこれは…!この子のハジメテを俺が…、ちがう!やめろ俺!変なこと考えるな!
いや、うるさっ。心の声だいぶ忙しいな…思わず笑いそうになるからヤメロ。
俺が何をしたのかというと、潔の両肩に手を置いて、ぐいっと顔を近づけたのだ。そのまま触れてしまいそうなほどの距離で眼を視てみる──へぇ、これが〝
「エルー?ダメだよ~男の子にそんなに顔近づけたら」
「おっと、ごめんねアイ」
「次はないからね!」
「うむ」
完全に解析する前にアイに引き剥がされてしまった。やばいかなと思ったけど特にヘラった様子はない。よかった。
「そうそう、もう一つ言いたいことがあってな?」
「な、なんだ…?」
「カオスが極まる──私たちが歌った二曲目の方なんだが、あれはブルーロックのイメージと言ったが、実はもう一つモデルが居てな。ここまで言えばもう解ると思うが、お前をイメージして詩を書いたんだ」
「俺を…!?」
──なんだよそれ…!そんなのもう恋じゃん。潔殺す。ズルいぞ潔!あいつだけは許さねェ。つまり曲作ってる間トゥエルとアイは潔のことを考えてたってこと!?許さん、許さん。やっぱり潔さんすげェ…!
「そうだ。さっきも言ったが私たちは選考映像の時点でお前に興味を持っていてな。お前の在り方がブルーロックの象徴に相応しいと思い、勝手ながらお前のここでの生き様を詩にさせてもらった」
「いいよね?」
「あ、うん。むしろ嬉しいって言うか…」
「そっか。よかった」
「トゥエルさん、アイさん。社長さんとミヤ──マネージャーさんがお見えになられたそうです。私たちもそろそろ絵心さんのところに行きませんか?」
あれ?社長たちもう絵心のところ行ったの?早いな。本当楽しい時間はあっという間だなあ。
「え?もう?」
アイも同じことを思ったみたい。
「ん、了解。行こう、アイ」
「うん」
「お二人とも、よろしければ選手たちに一言頂けますか?」
「うん。……改めておめでとう、ブルーロック。あの90分は間違いなくお前たちの存在を世界に知らしめた。これから日本サッカーは新時代の幕開けだ。お前たちの想いが、日本サッカーの夢を開花させたんだ。これからも応援しているぞ、ブルーロック!」
「私はさ、サッカーなんて興味もないし、当然ルールだって知らない。それでもこの試合はすごく熱狂できたし、手に汗握る展開に一喜一憂した。スポーツの試合で感動するって初めてだよ。絵心さんの言ってた通りだね。あなたたちは世界で最もフットボールの熱い場所を創り、世界にその名を轟かせた。本当にすごいことだと思う。私も応援してるよ。おめでとう、ブルーロック!」
俺もアイも〝がんばれ〟とは言わない。だって彼らはもうこれ以上ないくらい頑張ってるから。言われなくても頑張るだろうから。
「ありがとうございます!」
「アンリちゃんも、選手たちのサポートお疲れ様」
「アンリちゃんのサポートがあったからこその結果だよ!ゆっくり休んでね」
「ッ…!恐縮です…。ありがとう、二人とも…」
ブルーロック全体を通して見るとアンリちゃんが一番の貢献者だよな。よく食べてよく寝て休んでくれ。
「じゃあ行こうかな」
「はーい」
彼らに背を向けて歩き出す。もちろん片手を上げてひらひら振るのも忘れない。
「潔世一」
「っ、おう」
「さっきの
「眩しいね潔くん。今回は君に目を奪われちゃったけど、次は負けないからね!」
それだけ言って今度こそ俺たちは部屋を後にした。
「「「「「潔ィィィィィィ!!!!!」」」」」
華やかな女子たちが消えたロッカールームに、男子高校生たちの怒りの叫びが響き渡った。
◆◇◆◇
〝
アンリちゃんに連れてこられた先の部屋に入ると、そこには
「戻ったぞ」
「お疲れ様~」
ここに来るまでにほとぼりも冷めた俺たちは、いつも通りのテンションに戻っていた。
「あら、お疲れ様」
「来たか」
「お疲れ様、Mirastreaのお二人。君たちの活躍は見させてもらったよ。素晴らしかった。こんなことを言う柄じゃないが、年甲斐もなく興奮したよ。こんなに胸が高鳴ったのは久しぶりだ」
おおー…あの絵心にここまで言われるなんて、やっぱり俺たちは凄いコトをしたんだな。
それだけあのライブは熱狂した。日本のみならず、世界の人たちの関心を一斉にかっさらった。俺も歌っていて普段よりも多くの感情を受け取った。同時視聴者数という意味ではワールドツアーよりもはるかに多いだろう。あの瞬間、間違いなく俺とアイは世界一注目を集めていた。
「俺もだ。生で観るMirastreaのライブ…感動した。
「僕からもお礼を言わせてください。ここに来るまでずっと諦めていた冴ちゃんの熱を呼び起こしてくれて、ありがとう」
糸師冴とマネージャーからもお礼を言われた。〝見たかったモン〟というのはおそらく最後の糸師凛のアレと、もう一つあげるとすれば潔世一の一連のゲームメイクのことだろうか。〝諦めていた〟というのは糸師冴から見た日本サッカーのことだろう。
だが、決定力不足の日本サッカーに革命的なストライカーを生み出したのは俺たちではなくブルーロックだ。きっかけは俺たちにあったとしても。
「……お前がパスを出したくなるような〝
「……そうだな。まだまだ発展途上だが、期待くらいはできるのがいる」
なんだよその言葉選び…。それじゃあお前が本当に言いたいことが全然伝わらねぇだろうが。
「それをちゃんと弟に伝えろよ?さっき控え室で会ったが、ずっと俯いていて怒りと絶望に支配されていたぞ。お前、最後に弟の前で潔世一を評価しただろ」
聞こえてたのか…、と驚く糸師冴を後目に、俺はさらに続ける。余計なお節介かもしれないが、原作を知っている身からしたら、ここではっきり言わないと糸師凛があまりにも気の毒で。
「あれじゃ明らかに言葉不足だ。今の言葉もそう。弟からしたら、俺はお前じゃなく潔世一がいい、と言っているようなものだ。『俺が本当に見たかったのは最後のお前のプレーだ。俺が世界一のストライカーになれると思っているのはお前だけだ』と、はっきり弟に伝えろ。じゃないと余計に拗れるぞ」
これもお前ら兄弟のためなんだ。やっぱり読者からしたら和解して仲良くサッカーしてる糸師兄弟が見たいんだよ。
俺の言葉を聞いた糸師冴は酷く動揺していた。信じられない、といった様子で目を見開いた後、悲痛に顔を歪めた。俺のせいで凛が…、とぶつぶつ言っているところをマネージャーに背中を擦られている。
「……『お前は周りが弱かったから無意識に
少し言い過ぎたかもしれない。だが一度出た言葉は取り消せないし、こうなってしまった以上最後まで伝えないといけない。原作なんて俺らが介入した時点であってないようなものだから、ここでレールを戻すことなんて必要ない。糸師兄弟のことも好きだった俺としては、ファンとしてこいつらには少しでも幸せになって欲しいだけなんだ。
俺の言葉を皮切りに、部屋に静寂が訪れた。誰もが口を閉じる中。ゆっくり顔を上げた糸師冴は、先程までの死にそうなくらい蒼白な表情ではなく、憑き物が取れたようなスッキリした顔つきだった。
「分かった。今思うと、俺が言葉不足だった。そのせいで凛が今も苦しんでいるなら、俺はプライドなんてかなぐり捨てて凛と話をつけようと思う」
「こちらこそ、部外者のくせに余計な口出しして悪かった」
「いや、
──底が見えねぇ。これが世界一のアイドルか。俺が届かなかった、頂点の座に君臨する者…。
「ねぇねぇ、仲直りできそう?」
「あぁ」
「だって。良かったね、エル!」
「うん」
「話しはまとまったかな?」
話が良い方向に向かって終わりを告げようとしていた時、空気を変えたのは絵心だった。
「あぁ、こっちはもう大丈夫だ」
「では改めて礼を言おうMirastrea。彼らの
「あなた方のお力添えがあったからこそ、この
原作知ってましたー、なんて言えないし、返す言葉も見つからないので「ん」とだけ返した。
「これからどうするの?」
今度はアイが絵心に話しかけると、絵心は眼鏡の奥の瞳を歪めニヤリと笑うと、部屋にある五つのモニターを操作した。そこに映し出されたのは、誰もが一度は聞いたことがあるような世界の有名クラブたち。
「これは…」
「欧州リーグか?」
「ほぅ…」
これは社長たちも糸師冴も知らなかったようで、この場にいる全員がモニターを見つめている。
「これより〝
おー!これは生で観ると熱いなぁ。内側から深い感動が込み上げてきて、なるべくそれを表へ出さないように抑えていると、絵心が俺とアイを
「トゥエルちゃんとアイちゃんに質問です。
「……エゴの覚醒か?」
先に俺が答える。
「他には?」
「潜在能力の覚醒?」
次にアイが答える。
「どちらも正解だ。そして、それらを引きずり出した要因は何でしょう?」
点と点が線で結ばれる。アイも到ったのだろう、俺たちはまったく同時に答えた。
「「〝環境〟」」
「その通り。この〝
「あぁ、そうだな」
「まぁ私たちは先に配信で慣らしたけどね」
「それも生き残る上での立派な生存戦略だね。さて、俺は思った。これで日本代表は俺の手の物になったが、だからと言って今の彼らがW杯で優勝できる可能性は〝ゼロ〟だ」
はっきり断言した絵心に、社長とミヤコさんとアンリちゃんが息を飲んだ。さすがに世界を視てるだけあって、糸師冴とマネージャーは、まぁそうだろうなという顔で頷き、アイはふーんとあまり興味なさげだ。
「さらなる上昇をしなければ、世界の壁は超えられないと。そこで──」
「
「その通り!……あぁ、それとトゥエルちゃん」
「ん?」
「君はアイドルなんだから『ブチ込む』なんて言わない方がいい。君のその顔と声で『ブチ込む』は刺激が強すぎる」
「ん。表では言わないからだいじょーぶ」
それにもう俺の口の悪さは周囲にバレてるし。さすがにカメラ回ったら言わないけど。かつては拘っていたトゥエルムーブも、今ではだいぶ砕けてると思う。
「
社長はさすがに知ってるらしい。俺は
「そうだ。人気・実力・金、全てにおいて今最も熱い
「よくそこのオーナーが許可出したな」
社長に同意しつつ、ミヤコさんとアンリちゃんが小声で会話し始めた。
「本当にね。ねぇ、大丈夫なの?人手も予算も足りないんじゃなかったの?」
「絵心さんが俺に任せろってめずらしくやる気を出したんです。それに、もう日本サッカーの全権は
「そう…。嫌なことがあったら我慢しないで言いなさいよ?その時は愚痴くらい聞くから」
「うぅ…、ミヤコさんが優しくて幸せ…お姉ちゃんになって欲しいです…」
「ふふ。もうあなたは私の妹みたいなものよ」
「ほ、ほんとですか!?嬉しい…。ミヤコお姉ちゃん…」
「あらあら。アンリは甘えん坊ね…よしよし♡」
「はわぁ♡イケナイことに目覚めそう…♡私の〝
「妹がいたらこんな感じなのかしら?可愛いわぁ♡よしよし♡」
──部屋の片隅で濃厚な百合空間が広がってる。
アンリちゃんは心底幸せそうだし、ミヤコさんも満更ではない様子。というかアンリちゃん、あれはもう落ちてるよな?ミヤコさんのよしよし♡は俺もされたことあるけど、破壊力やばいから…。社長もあれで落ちた説あると思ってる。
それからというもの、完全に二人の世界に入った彼女たちは放っておいて、俺たちは絵心の説明を受けていた。
そして改めてお互いに健闘を称え合い、糸師冴とマネージャーも帰ったので、俺たちとそろそろ
「それじゃあ私たちはこれで失礼する」
「あぁ、何かあればまた
「皆さん本当にありがとうございました!!」
「アンリちゃん送ってあげて」
「はい!」
そうして本部会議室を後にした俺たちは、アンリちゃんの付き添いの下、ブルーロックの送迎バスに乗って帰路に着いた。もちろん──
「さらばだ〝
「
楽しかったな、ブルーロック。また何かあればここで歌いたいね。そんな話をしながら、俺たちは事務所へ向かい、そのまま解散となった。
「やだ~!お姉ちゃんと離れたくない~!」
「明日から二週間オフでしょ?仕事が片付いたら二人でご飯行くって約束したじゃない」
「でもぉ…」
「またすぐ会えるわよ。アンリが頑張ればその分たくさん会えるから」
「そ、そうですよね…!よし、私頑張ります!」
「ふふふ、イイコね♡たくさん頑張ったらご褒美あげる♡」
「はふぅ♡しあわせぇ♡」
「…………」
「……あんたの奥さん強いな」
「……だろ?」
……うん、これからも一ファンとして、楽しく観させてもらうぞ、ブルーロック。
◆◇◆◇
──アディショナルタイム
トゥエルとアイが去った後のロッカールーム
「やっば…!クッッッソ可愛かったんだけど!」
「ほんとそれ。テレビで見てもやばいのに生で見ると超絶可愛かった」
「あれは確かに世界一のオシャ顔と言われても納得できるな」
「世界一の美少女えっぐ」
「ヨーロッパの血筋つよつよかよ」
「二次元超えてる人初めて見ました…」
「天使、天使」
「あれがトゥエル…」
「アイちゃんもクソ可愛かった」
「あれは眼は一番星の生まれ変わりだわ」
「てかあの二人入ってきた瞬間からこの部屋超良い匂いしてたんだけど」
「だよな、ここすげェ汗臭いのにあの二人いる間だけ花畑みたいな香りしてた!」
「あれが本物の顔面非凡や」
「あの二人に会えたのは最高にアガるけど、潔ばっかり褒められてるのはマジでサガるわ」
「あのお二方に認知されるなんて、やっぱり潔さんかっけェっす!」
「お、おい潔…!」
「なんだよイガグリ」
「お前途中トゥエルのおっぱい当たってただろ!うらやま…じゃなくて!ど、どうだった…!?」
「お前それっ…!?」
「イガグリ!?」
「よくやったイガグリ!!」
「お前マジ神」
「イガグリきめぇ……お前最高かよ!」
「お前らだって気になるだろ!!あの顔面であのおっぱいだぞ!?」
「あの推定GよりのFって言われてるトゥエルのおっぱいはどうだったんだよ潔ィ…!?」
「ッ………………めちゃくちゃ柔らかくて、超気持ちよかった」
「「「「「潔殺す!!!!!」」」」」
【天使】
アイドルとしてのトゥエルはまさしく超越者。仕草、発声、踊り、話術といったすべての技巧がカンストを優に超えている。意識せずとも彼女の一挙手一投足が人々の視線を奪い、心を鷲掴み離さない。それは人々にとって呪いであり祝福。さらに自身へ向けられる感情をエネルギーに変換して進化し続ける世界一のエゴイストアイドル。
ハーフタイムショーのゲリラライブは大成功。サッカーファンの心をがっちり掴んだ。後のBLTVでの再生回数は30億再生を超えて、ぶっちぎりの一位。さらにMirastreaのおかげで二人のファンが興味を持ったことで、BLTVの登録者は原作よりも多くなっている。
ブルーロック勢に会えてテンション上がった。推しにはグイグイ行く。ファンサし過ぎかなって思ったけど、直前の試合で魅せられてしまったため、勢いに任せた。何気にこの世界に転生してから初めて敗北した。
この日の夜に、潔に嫉妬したアイにめちゃくちゃお仕置きされた。
【一番星】
アイドルとして後天的超越者に片足を突っ込んでいる。元々天性の才能だったが、幼少期からエルと自主練していた上、常にエゴを解放しているので原作を優に超えるスペックとなった。エルと結婚したことで、精神が幸福で満たされたことによりさらに進化、無限の成長というチートを得た。第二の超越者アイドルが降臨する日は近い。
ライブでのトークはいつも即興。思ったことや感じたことをそのまま発言する。良し悪しは考えずに直感的に話すアイと、それに瞬間的に対応できるエルのコンビは最強そのもの。
ブルーロックの選手たちは潔以外知らない。だからこそ余計に彼らの潔へのヘイトが高まっていることも知らない。エルと一緒に選考試験で潔を見た時は、エルの興味を奪った相手なので面白くないものを感じていたが、ラストゴールで魅せられた。人生で初めて敗北を味わった相手である潔に、エルとは違う形で興味を持った。ちなみに夜もエルとは勝ったり負けたりしているけどそれはノーカン。
この日の夜に、潔への距離が近すぎたエルに誰がパートナーかをわからせた。
【ミヤコさんとアンリちゃん】
二人でご飯食べに行ったり遊びに行ったり買い物したり。
二人ともスーパーキャリアウーマンだけど、26歳と22歳だし普通に遊ぶでしょ。
アンリちゃんの家族構成のお姉ちゃんがどういう人物か分からないけど、この世界線ではミヤコさんも第二のお姉ちゃんに。
この二人の関係はブルーロックが終わっても続いてるといいな。