メンヘラ天使とヤンデレ一番星   作:リララ

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はじめまして。
こちらは【推しの子】の星野アイがお相手の(TSありの)百合夢です。
純粋な百合ではないので苦手な方はお手数ですがブラウザバックをお願いします。

本作は元々非公開で身内でのみ楽しんでいたものですが、〝刺さる人には刺さるかも〟というお言葉をいただいたので試しに公開する運びとなりました。
本作は「小学生」編、「中学生」編、「世界進出」編の三部構成+エピローグです。
書きたいシーンや思い付いたネタをすべて書いているので非常にスローテンポです。
初めはpixivに投稿するか迷ったのですが、内容的に男性向けかな?と思ってこちらに決めました。
ストックがあるうちは毎日投稿しますので、よければ見てやって下さい。


第一章「小学生」編
銀河を宿す虹眼の天使に成ったけど現代日本なんだが


 風に舞散る桜の花びらが儚くも美しい季節の、良く晴れた日の昼下がり。木造の部屋に備え付けられたベッドの上で、体を丸めて両膝を抱えるように蹲っていた。

 開いた窓から入り込む暖かい春風に包まれながら、(うず)めていた顔をゆっくり上げて、ぼんやり木目調の天井を眺めながら染みの数を数えていると、不意に脳内に自分の知らない記憶が奔波の如く流れ込んできた。そして突如として脳内に響き渡る無数の声。

 

「──は?」

 

 一体何だというのか。部屋を見渡すと、少しばかり時代を遡ったホテルのような一室で、当然ながら俺の知ってる場所じゃない。ここはどこだ。というか──

 

「声が……違う?」

 

 聞き慣れた低音の〝(自分)〟の声じゃなくて、鈴の音を鳴らしたような美しくて透明感のある澄んだ女性の声。ただ声というにはあまりにも綺麗すぎる。それは一流の音楽家が奏でる楽器の音色のようで、きっと一般的にイメージする天使の美声とはこういう声を指すんだろうなと思った。

 ふと自分の手を見てみる。見慣れた武骨で大きな男の手ではなく、雪のような白さと繊細さの宿る、華奢でしなやかな女性の手。

 それを知覚した瞬間、脳内に無数の可能性が浮かび上がってはあり得ないだろと否定し続ける。それでも体は正直とは言ったもので、不安と緊張で身の震えが治まらないでいた。

 恐る恐る頬を撫でてみると、信じられないほど指通りの良い滑らかできめ細かい柔肌が迎えてくれた。すべすべさらさらの天使の美肌だ。

 

「そんなっ……!?」

 

 ここまできたらもう認めざるを得ない。

 内側から込み上げてくる言い様のない恐怖と不安に押し潰されそうになりながら、慌ただしくベッドから下りて、暖かな色合いのフローリングに素足を着ける。ヒノキ材だろう真っ直ぐな木目のフローリングは触り心地は良いものの、建物自体が古いのか一歩進む度にミシッと音を軋ませて、それがまた俺の不安で落ちつかない気持ちを掻き立てる。

 距離にして僅か数メートルながら、ようやく辿り着いた木製のチェストの上に置かれた鏡台を前にした時、俺はすべてを思い出した。

 

「トゥエル……!!」

 

 鏡に写る西洋風の美少女の姿を見て、忘れていたかつての記憶が呼び起こされる。

 

 前世がアラサーの社会人のオタクの男で、休日返上が当たり前のブラック企業に通勤中に事故で死んだこと。その後何の脈絡もなく生まれ変わっていたこと。行く宛がなく彷徨っていた所を〝ここ(児童保護施設)〟の職員に拾われてそのまま部屋を借りて住んでいること。

 

 これは俗に言う〝転生〟というやつだろう。

 

 よく二次創作で見たやつだ。すぐに状況を飲み込めるくらいにはそういう話を見ていた。

 ついに俺も転生した!異世界では無かったけど美少女に生まれ変わったし、これで第二の人生は勝ち確!そう素直に喜ぶことができたらどれだけ良かっただろう。気づけば無意識のうちに額に手を当てて天を仰いでいた。先に言っておくと、これは決して悪いことではないのだ。

 ならば何故俺がこうも悲観しているのか。それは転生先の世界と転生したキャラクター双方に問題があるからに他ならない。

 

 現代地球にトゥエルはオーバースペック過ぎるだろ──

 

 ◆◇◆◇

 

 トゥエルというキャラクターがいる。

 

 かつて一世を風靡し、第一作目発表から20年が経過した今も尚サブカルチャー枠の最先端を牽引する大人気小説及びそれを元にしたアニメ、ゲーム『永遠のアルカディア』。

 シリーズは外伝や短編を合わせると30を超え、圧倒的な数ながらそれぞれに強い個性がありキャラ被りしない美女・美少女たちと繰り広げる非常に重厚なストーリーで瞬く間に日本のオタク文化の火付け役となった伝説的作品。

 該当世界にして億を超える年月の戦い──それらすべてにおける実質的黒幕とも言えるキャラクター。

 

 アルカディアシリーズの世界の定義は三つの階層に分かれていて、下から主人公たちの住まう『内なる世界』とそれを管理する『内なる神』、無限に枝分かれする『内なる世界』を内包する、一つの巨大な『外なる世界』とそれを管理する『外なる神』、最後にそれらすべてを管理する『管理世界(正式名称不明)』となっていて、基本的に下層世界の存在は上位世界を認識することができず、これらの世界は互いに干渉することもないとされている。

 また、作中の共通認識として()()()()()()()()()()()()()()()()()ので、他の作品なら最強格であろう〝無限の速度〟〝触れたら即死〟〝精神汚染系能力者〟〝不老不死の存在〟等が、(ことごと)く『外なる神』に瞬殺されたりする。そんな中で、明確に高次元の存在と証明された『外なる神』を、より高位の世界から監視・管理しているのがトゥエルだ。やっていることを見ればまさに神そのものと言える。実際にトゥエルという名前は、作中の古い言葉で『真なる神』を意味している。しかもこの名前は、本来暮らしている世界の階層が異なるために、彼女の本当の名前を誰も発音できないことから便宜上名乗った名前に過ぎないという事実。

 

 その能力を簡単に説明すると、名前を『思想思念(しそうしねん)』といい、能力は〝常識改変〟〝思考誘導〟〝精神操作〟〝因果律操作〟〝読心〟〝創造〟〝異能剥奪〟〝異能付与〟〝魂魄保存〟と明らかにやばい字面が並んでいる。さらにこれらはあくまで作中で使用されたものを列挙しただけであり、他にも能力はあるとされている。普通こういう搦め手系の能力は格上には効かないことが常だが、今しがた説明したように、トゥエルは最上位世界の存在だからどんな相手にも効いてしまうのだ。

 特に読心術が使えるのが厄介で、心を読めるということがどれたけ戦闘において優位性を(もたら)すかなど言うまでもない。不意打ちや意表を突くような攻撃も事前に分かっていれば恐れるに足らなくなる。まぁ原作でのトゥエルの戦闘シーンは片手で数える程しかない上に、すぐに相手の思考を操って情報を吐かせて戦闘自体を回避しているのであまりそっち方面では活用してなかったが。それよりもこの読心術、どうやら自動発動のようで範囲もかなり広いらしい。さっき俺の記憶が戻った瞬間に脳内に響いた無数の声は、この施設の中と周囲の人間たちのもののようだった。そんなもの普通なら脳が処理落ちしそうだがそこはトゥエルボディ。中身が俺でもしっかり自我を保てている。並列思考っていうの?なんか物凄い勢いで勝手に自動処理してる。ただ鬱陶しいことには変わりはないから、早めに対策を考えないとな。

 そしてトゥエルには死の概念がない(・・・・・・・)。よくある吸血鬼系の〝今まで殺した数だけ命がある〟といった不老不死や、神様系の弱点である〝自身への信仰心が失くなると存在を保てなくなり消滅する〟などと違って、死そのものが最初から存在しない。作中では他に『外なる神』が共通で死の概念がないのだが、物語終盤に造られた、彼らを殺しきることが可能な武装でもトゥエルを殺すことはできなかった。

 

 考察ではトゥエルたちのいる管理世界は我々読者の世界だと言われている。つまり我々は始めから結末の定められた物語を追体験していただけなんだと、それを仄めかせるような描写もあって、この説は瞬く間に拡散し、めちゃくちゃ荒れた。トゥエルというキャラクターは実はかなり初期から登場していたものの、世界の構成やその成り立ちが明かされたのが物語終盤だったこともあり、後付け、蛇足、後味が悪い、そもそもトゥエルと管理世界の設定はいらなかった、など散々な言われようだった。

 

 このようにどちらというと否定派の方が多いトゥエルだが、そのとんでも設定のおかげで某全ジャンル最強スレでは一桁台常連のチートキャラとして君臨している。

 ここまで説明すれば理解できる(わかる)だろうが、トゥエルは明らかに現代地球にいて良いようなキャラじゃない。彼女がその気になれば指先一つで地球どころか宇宙すら消し飛ばすことができるなんて、あまりにも危険だ。

 

 でも、最早俺は()()()()()どうでもよくなっていた。実は嘆いたのは最初にトゥエルを見た一瞬だけで、それ以降は脳が別の思考に塗り替えられていた。だから今俺が注目しているのは()()ではないのだ。ぶっちゃけ能力の強さなんて現代地球ではほぼアドバンテージはない。

 確かにこの身は歩く核爆弾どころか歩くブラックホールだが、それは自分が力を抑えればいいだけのこと。核兵器のスイッチを持っていたとしても、押さなければ問題ないのと同じことだ。持っていること自体が危険極まりない、なんて正論には全力で目を逸らし続けてやる。

 それならば一体何だというのか。

 

 それは──

 

「顔面えっっっっっぐ」

 

 トゥエルは公式で美人が多いと言われる中でも〝顔面超越種〟と称されるキャラクターであることだ。

 

 闇夜をも照らす煌びやかに輝く金糸の如き髪は、風に靡くと花の香りが漂ってくる。小さくて形の良い整った筋のある鼻。桜の花びらを結んだような薄桃色の艶のある唇。肌も綺麗で、汚れも毛穴も一つもない上に常に潤いのある純白の柔肌。

 そして彼女を語る上で外せない要素──トゥエルが顔面超越種と呼ばれる最大の所以──は作中で銀河を宿してると比喩され、どんな宝石よりも美しい輝きを放つと言わしめる〝虹色の瞳〟に他ならない。

 他にも美しくしなやかに伸びた四肢や、清らかに澄んだ透明感のある美声、色取り取りの花々が咲き誇る純白の翼といった身体的特徴はあれど、顔について語る今は関係ない。

 

「ハァ~……──かっわ」

 

 いや、顔面が綺麗過ぎる。

 自分だけど。自分の顔面だけど、畏れ多くて。

 なんでトゥエルになってるの?とか、なんで現代地球なの?とか、そんなことどうでもよくなるくらい、鏡に写る自分の顔に酔しれていた。

 

 あの世界(原作)で公式に顔面超越種と呼ばれたキャラは四人いる。そのうちの一人になったのだ。

 主要キャラやすぐ退場する脇役すら顔面偏差値が70を超えるような世界で、顔面超越種と呼ばれる程の整ったご尊顔よ。

 もう俺の陳腐な語彙じゃこの顔の良さなんて到底表せない。

 

 原作の世界じゃ顔が良くても毎日生きるか死ぬかのサバイバルだから、外見的要素でのアドバンテージはほとんど無かったが、ここは現代地球で、日本だ。

 そんな中で、日本人の大好きな天然の金髪美少女──美幼女か?──に生まれ変わったのだ。これはもう勝ち確定だろ。約束された勝利の人生だ。

 ちなみに何故生まれ変わったと断定出来るのかと言うと、普通に母親の胎にいた時から自我があったからだ。俺…というよりトゥエルの。産まれる前から自我が芽生えてるとかさすがトゥエルと言わざるを得ない。

 だから例え母親が水系で、碌でなしの行きずりの男との一夜の間に出来た子で、それが原因で精神を病んで俺が捨てられて施設に入れられたとしても、将来的に何のハンデにもならないと断言できるほどの圧倒的つよつよ顔面を兼ね備えているからな。それに()()()()()()がそこしかなかったのかもしれないし。

 

 唯一欠点…いや懸念があるとすれば、表情筋が死んでいることだろうか。否、否。それはそれで氷の姫とか鉄の王女とか呼ばれたりしてこの顔面国宝たる俺の魅力を引き立てるだろう。別に笑うことが出来ない訳ではない。鏡の自分に向かって微笑むと、同じように微笑む。──トゥエルの微笑み破壊力ヤバ。

 しかし、〝作中で一度も笑わなかった唯一のキャラ〟であるトゥエルがそんな簡単に微笑みを振り撒くのは如何なものか。

 これが解釈違い、というやつか。なら話は早い。

 

 なるべくトゥエルを演じきろう。

 

 とは言えだ。成人してるものの、ただのミーハーオタクだった俺には完璧に成りきるのは端から無理だし、喜怒哀楽だって人並みにある。それに普通に生きていく上で友達とか、親友って呼べるような存在、延いては恋人だって欲しい。自分の身内にはなるべく素の俺でいたい、という思いはある。

 前世は友達もいたし恋人もいたが、どちらに関しても苦い思い出しかないので今生はきっと…!ま、男は無理だけどなハハッ。俺としてはやっぱり可愛い女の子とイチャイチャしたい。ま、まぁこの顔面なら誰だって性別越えて落ちるでしょ。

 

 美少女の友達を作ろう。

 そんで幼馴染ルートからの大正義百合カップル目指そう。百合は世界を救うのだ。

 

 当面の目標はそれだ。

 まずは美少女に遭遇するところからだな。早速能力使っちゃおう(運命操ろう)かなー。

 

 それはそうとオート読心術はちょっと…いや、かなり疲れる。人の心なんて汚いことの方が多いんだもん。町行く人たちの心の声が一斉に聞こえてくる恐怖よ。愚痴や妬み、僻み、恨み辛み…挙げればキリがない。外に出る度にそんなものを強制的に聴かされてしまえば精神病むだろ絶対。

 自分の能力だし、オンオフできないのかなぁ…、範囲指定とかもできそうだけどなぁ…と思った瞬間、心の声が聞こえなくなった。えっ、と思ったけど、すぐに自己解決した。

 そうか、あれらの武器群は使用者の〝願い〟を反映させるみたいな効果もあったな。試しにもう一度、スイッチを点ける感覚で思考してみたらまた周りの声が聞こえるようになった。カチッ、とスイッチを切る。すると訪れる静寂。うん、なんかあっさり出来ちゃった!やったぜ。これでだいぶ生きやすい世の中になった。

 

 さぁ、第二の人生楽しむぞーっ!

 

 ◆◇◆◇

 

 俺がトゥエルになっていると自覚してから一年が過ぎた。

 

 この一年で色々と分かったことがある。

 それはここが俺がいた地球とは異なるということ。まず今は1996年なんだが、既に各種SNSやスマートフォンなどが普通に販売・普及している。俺のいた世界じゃ2000年以降のはずだ。YouTubeやニコニコといった動画サイトも一部微妙に名前が違うけどサービス開始している。さすがにまだ勢いはそれほどでもなかったが。

 しかし、何となく予想はついていたが、そこで活動している俺が知ってる有名な人物を検索してみても全員微妙に別人だった。テレビを観ても同様の現象が起きていて、試しに施設のパソコンで調べてみても俺が知っている人物は誰一人ヒットしなかった。『もしかして:』や『○○で検索しています』やらが出てしまう始末。これは確定だろう。ここは俺がいた世界じゃない、パラレルワールドだ。地名とかは同じなんだけどな…。てことは俺の住んでたマンションや実家はどうなってるのか、気になってストリートビューで見てみたけど、マンションは普通にあったが俺のいた階層が無くなってたし、実家に至ってはそこだけ不自然に空き地になっていた。まるで世界から切り離されてしまったみたいに。

 

 そっかぁ。

 

 何の因果か俺は最強キャラになってパラレルワールドに迷い込んでしまったと。

 

 それならトゥエルで良かった。トゥエルなら問題なく一人で生きていける。お金は無尽蔵に生み出せるし、栄養を摂る必要もない。住むところに関しては適当な空き家を見つけて世界全体に()()()()()()()()()()()()という刷り込みをかければいいし。もうその時点で人生イージーモードじゃん。

 

 俺は元の世界に未練なんてない。あんなところ、生きてたって何にも良いことなんてないから。

 

 それならせっかく訪れた第二の人生、自由に生きてみますかね。

 

 トゥエルとしての記憶は──◼️◼️◼️◼️だった時の記憶も含めて──全部ある。あの世界で観測者としての役割も果たし終えたトゥエルは、当初の目的通り次元を越えてやって来てそこで◼️◼️◼️◼️として過ごしたようだった。トゥエルが何を思ってそれを望んだのかは最後まで明かされていなかったからわからない。全能たる神の力を捨ててまで人になった理由は様々な考察があるが…、俺は純粋な好奇心だったのではないかと思う。かつてシエル(主人公)リィンベル(パートナー)たちと接するうちに人に興味が湧いたかもしれない。ただ、そうして実際に人として過ごした彼女が感じたものは──孤独だった。トゥエルの元となった◼️◼️◼️◼️についての情報はほとんどないから、彼女?がどういう人物でどんな人生を過ごしてあの世界を創りだして潜ったかなんて誰にもわからない。ただ一つだけハッキリわかるのは、トゥエルとしても◼️◼️◼️◼️としても孤独だったということだけ。

 

 もしかして、愛が欲しかったのかな。

 シエル(主人公)たちを見て、自分も誰かを愛して、誰かに愛されてみたかったのかな。

 アルカディア(創作の世界)では全知全能でも、彼女にとっての現実世界では一人の人間なのだから。全知じゃないから、彼女は愛を知らない。知らないからこそ目の前で見せつけられて、自分も経験したいと思ったのかもしれない。

 

 そうだったらいいな、と思ってしまった。

 

 トゥエルが孤独を感じたのなら、それを埋めてくれる相手を見つけてあげよう、と。

 

 自分はそのためにトゥエルになったのだと。

 

 自らが叶えられなかった願いを俺に託してくれたのだと。

 

 それが彼女の望みであると、信じ続けることにした。

 

 

 

 

 

 まずはパートナー探しだな。

 

 ◆◇◆◇

 

「エル?なにぼーっとしてるの?」

「ん。何でもないよ。アイは可愛いなぁって思ってた」

「え、そ、そう?エルに言われるとすっごい嬉しい…♡」

 

 あっさり未来の恋人候補の美幼女が見つかった件。

 

 星野アイ。

 濡羽の如く艶と光沢のある黒髪と、零れ落ちそうなほど大きな瞳の中に星を宿す美少女だ。

 まだ小学生になったばかりだというのに既に完成された美しい顔立ち。

 俺には及ばないものの、顔面偏差値は向こう(原作の世界)を基準に見てもかなり高い。この子もまた、現代日本では顔だけで無双出来ること間違いなしだろう。誰もが目を奪われてく完璧で究極の美少女だ。あ、それは俺もか。

 

 アイは俺が成り代わってると自覚した一年後に施設にやって来た。

 何でも片親で、母親に日常的に暴力を奮われていた上に、その母親が犯罪を起こして逮捕されて宛もないところを保護されたのだとか。施設の人の思考を読んで聞いたことだ。

 

 あ、言い忘れてたけど俺…トゥエルの能力全部使えるっぽい。

 

 初めてアイを見たときは服も身体もぼろぼろの状態だったけど、それでも飛び抜けて可愛い顔だけははっきりとわかった。

 だからまあ、完全に自分のエゴで助けた。

 

 これくらいの年齢の子ならいずれ忘れるだろうと考えて、トゥエルの能力(チカラ)を使って。

 それを抜きにしても、こんな幼い子が理不尽な暴力に遭っていて、自分に助けられる力があるなら迷わず使うくらいの情はある。トゥエルの力は強大で凶悪だが、護るために使えるのならこれ程心強い力はない。

 その後のメンタルケアも含めて、俺にできることは最後までやり通した。

 

 その結果──

 

 ──ああぁぁぁ♡エルかぁいい♡私のこと可愛いって言ってくれるその顔もめっちゃ可愛い♡澄ました顔で実は私のこと見てたとか最高♡早くエルと結婚したいなぁ♡

 

 ものすごぉぉぉぉぉく懐かれた。

 うん、トゥエルってデフォルトで心読めるからさ…。駄々漏れなんだよね…。アイが俺に激重感情抱いてることも。若干メンヘラ?ヤンデレ?気味なことも。

 君まだ7歳だよね?それでこの溢れんばかりの俺に対する想いとか将来どうなっちゃうの?もう片時も俺から離れられなくなっちゃうの?束縛されちゃう?男はおろか他人と話しただけで嫉妬しちゃう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最高じゃん。

 メンヘラ美幼女最高!もっと俺に依存してくれ!

 

 え?思考を誘導して依存させないのかって?

 やだなぁそんな無粋なことはしないよ。それじゃあ何の意味もない。作られた感情に興味はないんだ。こういうのは相手の女の子が自分自身で判断して最終的に俺なしでは生きられないほどべったり依存してくれるからクルものがあるんだ。自分の力で女の子を攻略して依存させることに意義があるってこと。

 それを抜きにしても、元々善良でか弱い小市民である俺には人の心を盗み聴いたり、思考を操るなんてことできない。相手が犯罪者とか反社とかの悪人ならまだしも、真っ当に生活している一般人──それも小学生の女の子に対してそれをするのはさすがに抵抗があるし、こっちもそこまで人間性捨ててない。日常生活においてもなるべくこの力は使わないに越したことはない。ただし身の危険を感じたときは別だ。自衛のためには容赦なく使わせてもらう。要は遊びでとか興味本位で使ったりはしないよってこと。側は神様でも、中身は俺なのだ。だから俺は自力で星野アイという女の子を攻略する。

 

 よし、頑張るぞ!




【トゥエル】
通称は『天使』。実際に天使に酷似した外見だが種族的には分類不明。イメージとしては神様転生で出てくる神そのもの。ただし精神性は虚弱な人間。物理的にも概念的にも無敵だけど全知全能ではない。

【星野アイ】
通称は『一番星』。本作では7歳の時に施設に来たという設定。種族的には人間だが、その精神性は化物寄り。中身成人の主人公が隣にいることも相まって原作よりも賢いし達観している。

***

主人公の設定がとんでもないですが、本作はあくまでも夢小説なので()()()()()()としてお楽しみください。
繰り返しになりますが現時点で無理だと思ったらブラウザバックをお願いします。
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