施設のお風呂は入浴時間が決められている。
当たり前だが男女別で、児童の入浴時間はどちらも19時~21時の間に済ませることとなっている。
俺一人なら時間も先客もどうでも良かったのだが、アイとべったりな今はアイの入浴に合わせて俺も入浴をすることにしている。…アイの希望で二人っきりで。俺に拘りはないため、自然とそういうルーティーンになった。
だから俺たちがお風呂に入るときは、人避けの結界を張った上で時間停止している。時間を止めてるのは毎回お互いにじゃれついて時間を使ってしまうからだ。さすがに俺たちの痴情で他の子の入浴時間を削るのは忍びないからなぁ。
一緒に入ることに関しては、そもそも俺は肉体こそトゥエルではあるが俺でもあるので、自分の体に興奮なんてしないし、アイや他の子もまだ幼児と言える年齢だし、小さな子と一緒にお風呂に入ってる、くらいの感覚でしない。だから俺からするとどうでもよかったのだが、何故かアイが異様に二人きりになりたがったため、アイ全肯定botの俺は躊躇いなくゴーサインを出した。
「ふぅっ…ん~っ♡」
(うわぁえっちだなぁエル…♡)
側はトゥエルだけど中身は生粋の日本人の俺、風呂は至福の時間。
浴槽に浸りながらんん~っと伸びていると、チラチラ感じる視線。
アイが大きな目を見開いてこちらを凝視していた。一番星はキラキラ輝いている。最近気づいたけど、あの両目の一番星はアイの感情が大きく揺れ動くときに輝いているね。ということは今アイは何らかの感情に揺さぶられているということだ。はて?心を読んだらすぐ判るんだろうけどそれは無粋だな。
「あぁ~…」
両腕を枕にして、浴槽の縁に突っ伏して目を瞑る。この瞬間に生を感じる、前世からのお気に入りの時間だ。このまま眠っても、トゥエルの肉体なら逆上せたり溺れたりすることもない。
「エル~」
「わひゃあ!」
そのままぼーっとしていると、一緒に浴槽に入って寛いでいたアイが後ろから抱きついてきた。アイは両腕を俺のお腹に回して、後ろから体を密着させている。俺の肩に顎を乗せて「えへへぇ」なんて甘ったるい声を出している。これが母親と子供なら、お風呂ではしゃがない!と注意するところなのだろう。それくらいなら俺が言ってもいいかな。
それにしても…これはどういう心境なんだろうか。最近の小学生の女子はこの距離感が普通なのだろうか?それともアイが特別俺が好きすぎるだけか?俺的には超絶美幼女と合法的に触れ合えるからいいんだけどさ。
こりゃ周りから、あの二人は距離が近すぎる、なんて言われるよな。
「こらこら。お風呂ではしゃいだら危ないよ」
「えー、エルと二人だしいーじゃん」
そう言ってアイは、俺の頬にもちもちの頬っぺたを擦り合わせてくる。このもちもちぷにぷにの触感が気持ちいい。俺の頬っぺたは天使のさらさらすべすべ頬っぺただから、このもちぷには出せない。
「エルのほっぺさらさらしてて気持ち~♡」
「アイのほっぺが柔らかいんだよ」
確か動物の頬ずりって、信頼とか愛情の証なんだっけ?なら俺は今アイに愛情表現されてるってことか?
「そんなことないよ~♡えいっ♡」
ちゅ
「!!?」
すりすりしてくるだけかと思ったらいきなりキスしてきたよこの子。これもスキンシップのうち…なのか?
いちいちやることなすことが可愛い。小動物が愛情表現をするような、そんな仕草で俺の心を虜にするアイ。
「キスした!」
「したー♡」
アイの方に体を向けると、彼女は可愛らしくぺろ、と舌を出していたずらが成功した時のような笑みを浮かべた。
「エルもする?」
「えっ…」
思いもよらぬ問い掛けに一瞬固まる。その間にもアイは「んっ…」と目を瞑って少し横を向いて俺に頬を突き出してくる。
「こっちでもいいよ?」
アイはいたずらに唇に指を当て、俺に見せつけるようにツー…と艶かしくなぞった。さっきまで纏っていた無邪気なそれとは真逆の色気を帯びた仕草。その愛くるしい見た目からは想像もつかない妖艶な仕草のギャップに、思わずたじろいでしまうのも無理はない。だってこの子まだ7歳なんだぜ?
そりゃあ唇にキスしたいけど、ここはクールに決めろ、俺。
「そっちは好きな人が出来たときにとっておきな」
本当は今すぐその桜の花びらのような淡く色付いたまろい唇に吸い付きたいけど、あからさまに〝欲〟を出すのは不味いよな、と変なところでヘタレを発揮してしまう。はいはいどうせ俺は恋愛弱者ですぅっ。
ま、まぁ将来的には毎日キスする関係になるし?別に今から焦る必要もないし?…情けないことに心の声ですらどもってしまった。
「………はーい。そんなのエル以外あり得ないんだけどね?」
「ん?なにか言った?」
「ううん、なにもー」
「そっか」
……バッチリ聴こえてるんだよなぁ。トゥエルの肉体だし。
あ"あ"~幼女の激重感情たまんねぇ。ていうかまだ出逢って半月程度だけど、ここまで激重感情向けられて今さらアイのこと手放せるわけがない。仮に好きな人が出来たらそいつの存在ごと消してやる。アイにはどう見えているか判らないが、俺も大概重いからな。
「エル…してくれる?」
俺は無言でアイの頬に唇を押し当てた。キス自体はもちろんする。断る理由がない。
サービスでちゅ…とリップ音を立ててあげて、唇を離す。
「………………えへぇ♡」
アイはしばらく惚けていたが、やがてゆっくりした動作で片手を俺がキスした方の頬に当てて、にへらっと笑った。
「エルにキスされちゃった♡」
「どうだった?」
「さいこう!次はお互いこっちにしよ?」
唇に人差し指を当てるアイ。
俺はあえて何も言わず、コクンと頷くことで返事をした。
そして次のステップに進むべく、ある提案をした。
「ねぇ、体洗いっこしようか?」
「え"──いいのッ!?」
俺の提案があまりにも想定外だったのだろう。一瞬どこから出したんだその声、と言いたくなるような呻き声を反射的に吐き、数瞬おいて内容を理解したアイが食い気味で迫ってきた。
「アイとなら全然いいよ」
「………嬉しい♡」
合法的にアイと触れ合いたい俺と、俺ともっとえっちなスキンシップをしたいアイ。これはそう、決してやましいことではない。俺たち女の子同士だし?親友ならこれくらい普通だよね?
どこか浮かれながらも幸せそうに満面の笑みを浮かべるアイを見て、俺もつられて微笑んだ。
◆◇◆◇
「ふわぁ~…♡」
お風呂椅子に座るアイの小さな背中を洗っていく。最初はタオル越しで洗おうと思ったのだが、アイの強い希望でお互い素手で洗うことになった。
アイの小さな背中を傷つけないように優しく丁寧に洗っていく。
幼女とはいえ自分に好意を向けている女の子の背中を素手で洗っている…。なんだか頭がおかしくなりそうだ。
「どう?気持ちいい?」
「はーい!」
元気よく返事をしたアイの腕を掴んで、俺の両手で包み込むように肩から手のひらへと向けてスライドさせていく。
いたずら心が芽生えた俺は、指が腋を通るときに少しくすぐってみた。
「ひゃッ♡エルっ!?」
「えへへ~♡」
びくんっと、それはもう可愛い反応を見せてくれたアイに、こっちも調子に乗って何度もくすぐりを繰り出す。
「くすぐり攻撃~♡」
「やぁだぁ♡わきくすぐるのだめぇ♡あははっ、アッ♡だめ♡そこ…♡ンッ♡」
最初は腋全体を満遍なく、途中から窪んでいるところを人差し指で集中的にくすぐると、明らかにアイの反応が変わった。これ…感じてる?さすがに止めないと俺もアイも色々まずいことになりそうだ。
「ごめんごめん、ちょっと遊んでみたくなって。続きするね」
「ハァ…ハァ…♡もーびっくりした!すごいくすぐったかったんだから~!」
「アハハ。アイの反応が可愛くて~」
「エルのえっち♡」
気を取り直してスライドを再開する。
数回往復させた後、恋人繋ぎの要領で手のひら、指と指の間までしっかり洗う。それをもう片方の腕も同様に行う。
「はい、おしまい」
「まえも~」
「ダメ~。前は自分で洗うように」
「えーやだー。エルが洗うの~」
アイは物足りないみたいで、前も洗ってとねだってくる。彼女の中で俺が前を洗うことは決定事項みたいで、上目かつキラキラした目で見つめてくるものだから…とても断りづらい。この子、この歳でもう自分の顔の良さを正しく理解している…!
「だ~め。前はアイがイイコにしてたら今度洗ってあげるから、ね?」
「うぅ~…エルのそういうところずるい…」
「ちゃんとイイコにしてたらご褒美♡ってことで」
「……はぁい」
「ん。イイコイイコ。よしよししてあげる」
一度泡だらけの手をシャワーで流して、後ろからアイの頭を撫でる。
後ろからだからアイの表情は見えない──訳でなく、俺たちの目の前にある鏡を見るとアイは気持ち良さように目を細めて俺のよしよしを受け入れていた。
が、突然なにかを思いついたように立ち上がるアイ。
「あっ!次は私が洗う!」
「まだ流してないよ?」
「いいの!エルは早く座って私に任せなさい!」
アイの背中や腕は泡だらけだったが、あとでエルと一緒に流すからいいと言って聞かないので、任せることにした。
「んじゃよろしく~」
「はーい!」
返事だけは元気だなぁ。
俺は目を瞑ってアイにもたれ掛かるように身を委ねた。
◆◇◆◇
「んっ…ぁ…これっ、こすれて…っ…♡」
うーん。どうやら俺は星野アイという少女をまだまだ子供だと甘く見ていたらしい。
アイに体を洗ってもらっている俺はそんなことを考えていた。
俺はアイに体を洗ってもらっている。自らの体にボディソープを塗りたくり、泡立て、スポンジ代わりに体を擦り付けてくるアイに。
これなんてソープ…。星野アイ7歳、恐るべし。
初めは普通に手で洗ってくれているようだった。俺の予想に反してアイの背中を擦る力加減は絶妙だったし、なにより見た目麗しい美幼女が献身的に尽くしてくれている様子に愛おしさを感じた俺は、自分が思ってるよりも心地よかったのだ。
それは元々好きだった風呂に、アイとの洗いっこという肉体も精神もどちらも満たせるプラスな要因が加わったこともあっただろう。
だが、まさかこんなことになるとは誰が想像しようか。
不意にアイの小さな手のひらの感触が失くなったと思えば、次の瞬間にはお腹に回されるアイの両腕。そして背中にはほんの僅かに膨らんでいる胸の感触と、こりっとした突起、ぷにぷにした幼女特有のお腹。
「はぇ…?」
俺が目を開くと、目の前の鏡には、後ろから俺に抱きつき器用に全身を動かして俺の背中に体を擦り付ける泡まみれのアイの姿があった。
「エ…、ええぇぇっっ!!?」
鏡に写し出されている光景は俺の理解の範疇を越えていて、目を見開き驚愕していると、密着していることで顔が近くなったアイが、俺の耳元で囁くように言った。
「どうしたの?好きな人にはこうやって洗うんでしょ?」
「い、や…、それは…っ…ていうか誰に聞いたのそんなこと!」
「聞いたっていうか、ここに来るまで一緒に住んでた女の人がやってたよ?ていうか、そんなことどうでもよくない?私、エルのこと好きだもん。だからいいよね?」
「あ、ん、うん、ありがとう。私も好きだよ。ちょっとびっくりしちゃっただけだから、続きお願いできる?」
「うむ」
流されるがままの俺は、もういいや、と身を委ねることにした。嫌じゃないし、気持ちいいし。
さっきの、あっ!はコレのことだったのか…。アイの同居人の女め、余計なことをしてくれたな。グッジョブ──いやちがう!ていうか子供が見られるような状況でそんなことしてんじゃねー!あーもう!これはアイの情操教育を早急に正す必要があるなぁと、この時の俺は思ったのだった。
でも、激重感情持ちとはいえあのアイがここまでしてくれるなんて…嬉しいな。だからこそ──
「……私以外とはこんなことしないでね。嫉妬するから」
「するわけないでしょ。エル以外どうでもいいもん。エルも私以外とお風呂入っちゃダメだよ?」
「もちろん。私はいつだってアイしか見てないから」
俺がそう言うと、えへへと照れ笑いで返してくれるアイ。鏡越しに見えるその顔はとても嬉しそうで。
アイが体を動かす度に「はぁ…はぁ…」と荒くなる吐息や、「ぁ…」とか「んっ」とか漏れるくぐもった声、確かにある柔らかい膨らみと、先端の徐々に硬く尖っていく二つの突起の感触なんて、気にならなくなる……わけないだろ!!
ていうかこの子、段々俺を洗うというより、俺の背中に自分の体を擦り付けることに主軸を置いた動きになってない!?それに、なんだろう…俺の腰やもっと下の方に、お湯や泡とは違うぬるぬるした液体のようなナニカが…。
もしかしてこの子、無意識に俺の体でオ○ニーしてる!?この謎のぬるぬるってまさか愛──!?
「はぁ…♡んんっ…♡える…♡える…♡えるぅ♡」
「アイ!ちょっ、タンマ!いったんストップ!」
「ふぇ…♡にゃんでぇ♡」
アイは心ここに非ずといった様子で、トロンとした目を俺に向けてきた。頬は明らかにお風呂の熱気ではなく、別の要因で上気していて、さっきから息も荒い。この幼女、発情してやがる…!
情操教育も受けてない7歳の美幼女が俺を使って自慰をする──めちゃくちゃ感動もんだが、さすがにこの歳からそんなことしたら将来オ○ニー狂いになりそうなので、名残惜しいが──非常に名残惜しいが──アイをトリップ状態から戻さなくては。
そう思った俺はお風呂椅子から立ち上がると、急いでシャワーのお湯を水流最強にして、蕩けた顔でもう一度俺に抱きついてこようとしたアイにかけて、身体に付いてるいろいろな液体ごと洗い流した。
「ひゃあっ!」
急な水流最強のシャワーをかけられて驚いたアイは目を閉じて両腋をキュッと締めた。そのままアイを洗った後、ついでに俺自身も泡とアイ液まみれだったので洗い流した。
シャワーを止めると、アイがおそるおそるといった様子で目を開いた。その瞳に映るのは、羞恥と──
「あ…エル…私、私…エルに…っ」
正気に戻ったアイは不安に怯えた瞳を揺らし、俺から一歩…また一歩と距離を置くと、茹で蛸のように真っ赤になって俯いてしまった。この反応は自分が何をしていたか覚えているのだろう。
ここはしっかりケアするところだ。俺はそんなアイを優しく抱き寄せて、背を撫でつつ慰めた。
「気持ち良かったよ」
「エル…?」
「アイと洗いっこできて嬉しかった。またしてくれる?」
「えっ、でも、私…エルにあんなこと…」
「あんなことって?」
自分自身わかってるけど、アイの口から聞きたいと思った俺は変態だ。それは認めよう。
「…お」
「お?」
「エルに、おっぱい…擦りつけたり…、あそこも、擦ったり…」
恥ずかしそうに呟くアイに興奮する。アイの口からおっぱいとかあそことか、背徳感やばい。
「私に擦り付けてるとき、アイはどんな状態だった?」
「えっ…と、えーっと…、体が熱くて…頭の中、ふわふわして…キモチよかった…♡」
アイはそのときの感覚を思い出したのか、またもや彼女の大きな瞳はとろんと熱に浮かされていた。このエロ幼女め!でもその顔はそそる。俺以外にその顔見せるなよ?
「ふふ。なら良かった」
「えっ?エルは…、気持ち悪くなかったの?」
「どうして?」
「だって、あんな…私、自分でもヘンな感じだったし…」
「ぜんぜん。鏡越しで見てたけど、アイ、すごく気持ち良さそうだった。アイが私の体で気持ち良くなってて、心がぽかぽかしたよ」
無意識なあたり、そっち方面の才能もありそうだし、俺的にはむしろ嬉しいことなんだよなぁ。ある意味親の教育が行き届いていると言える。
「エル…。ほんとに…?」
「うん。アイに嘘は吐かないよ」
「私のこと、嫌いにならない?」
「ならない。むしろもっと好きになった」
「気持ち悪いって思わない?」
「思わない。今度は私のこと気持ち良くして欲しいな?」
「えっ!?私が、エルのこと?」
「うん、さっきアイが私にしたようなことを、今度は私と一緒にやろう。…ダメ?」
「あ…、ううん!ダメじゃない!やろ!今度二人で一緒にきもちいいことしよ!」
やったー!次回以降も確定演出だー!
アイには時間をかけて、俺自身を使って(意味深)性に関する教育を施していこう。
「しよ!約束!」
「うん!約束!」
ゆびきりげんまん~
嘘吐いたらもう一緒にねーない!
「え」
ゆびきった!
「やだー!エルと一緒に寝るんだもん~!」
「私だってずっとアイと寝たい!だから、約束」
「うん…!絶対今度するからね!」
「うん。アイ大好き♡」
「私もエル大好き…♡」
「『この先の人生で何があろうと、私はずっとアイと一緒にいるから』」
「はい!『同じくこれから何があってもエルと一緒にいる!』」
その後しばらく俺たちはお互いにぎゅうっと力強く抱きしめ合っていた。
お互いに相手を離さないように。
この日から俺たちの距離はさらに縮まったことは言うまでもない。
「あと、擦ってる時の顔とか、思い出した時のトロンとした顔は私以外に見せちゃだめだからね!すっごく可愛くて私の理性もやばいから」
「当たり前じゃん!エル以外に興味ないし、これから先の人生で関わるのもエルだけだよ?」
「それならよし」
「エルこそ、これから私以外と遊んだり話したりしちゃだめだからね?」
しれっととんでもない約束させようとしてる。その重たいところ、大好きだよ。
「いいよ。でも将来所属する事務所の人は話すから、それはいい?」
「それは大丈夫。仕事以外はだめだよってこと」
「うん、全然いいよ。むしろアイ以外と関わりたくもないし。言っとくけど私、アイが思ってるより重いからね?」
普通の人からしたら重たくて途中で苦しくなっちゃうくらいには。でも、アイならあるいは…。
「ならいいけど、ちゃんとこれも約束しよ!」
「うん、約束!」
こうしてまた一つ約束事が増えた。やっぱり美少女の激重感情って最高だわ。これだけ求められてるの、普通に嬉しいし愛を感じる。だから俺も少しずつ自分自身を解放していこう。メンヘラと呼ばれた俺の厄介さ、アイなら受け入れてくれるって信じてるから。
◆◇◆◇
「エルの髪ってほんと柔らかくて綺麗だよね。こっちの指が洗われてるみたいだもん。いいなぁ」
その後、頭を洗ってないことに気づいて、体同様に洗いっこすることになった。体のついでに、ということで先に俺がアイに洗ってもらうことになった。今の俺は目を瞑ってアイにもたれかかるように体を預けている状態だ。アイの小さくて柔らかい指先が丁寧に俺の頭や髪の毛を洗ってくれている。それにしてもさっきから洗うの上手だよなぁ…。そういうセンスも受け継がれるのかなぁ…。あぁ~ほんと気持ちいい♡なんだかウトウトしてきた…。
「アイの髪もさらさらで綺麗で、私は好きだよ…」
「…ほんとう?」
「うん。アイには嘘吐かないから」
トゥエルを構成するすべてが好きなのは間違いない。だってこの身は前世における最推しの
その後にも何か呟いていたけど、この時の俺は、地肌を洗ってくれるアイの力加減が絶妙で気持ち良くて、目を瞑ってぼんやりしていたから聞き逃してしまったわけだが。
一方アイは言葉では言い表せないほど感極まっていた。今のエルの返事はおそらく無意識に発したもの。先程の件でもそうだが、自分を受け入れてくれた上に、愛を向けたら同等以上の愛で返してくれるエルに対する想いが胸の内から止めどなく溢れてきて、暴走しないように自分を抑えることに必死だった。アイへの信頼を表すように、身体を預けてくれていることもまた、アイの中の幸福度を満たす一つの要因となっていた。
エル…♡
自然と手が下腹部へ伸びてしまう。
いけない…私ったらまた…
すぐにハッとなり何事もなかったようにエルの髪を洗っていく。
焦る必要はない。だって約束したから。二人は未来永劫ずっと一緒にいるから。
その過程で、何度もそういうことをするし、今から焦らなくてもよいのだ。
「私も…エルには絶対に嘘吐かないからね…」
◆◇◆◇
「んっ…しょ…どう?痒いところある?」
「んん…ないぃ…♡」
その後は特に事件もなく、俺の頭を洗い終わったアイがシャワーをかけて泡を流し終わると、今度は俺がアイの頭と髪を洗っていく。アイの髪はとても柔らかくて、手触りも梳いたときの指の通りも抜群だ。アイの地肌や髪を傷つけないようにと、マッサージをするように優しい手つきで、じっくり丁寧に洗っていく。
「しあわせぇ…♡」
「ふふ…」
そんな俺の愛情と思いやりがたっぷりつまったマッサージに、込められた想いが伝わったのか、アイは酷く安心した様子で脱力し、後ろに立つ俺にもたれかかるようにして身を預けてきた。
アイの心は幸せいっぱいで満たされていた。今この時だけは、エルが身体を寄せる度に当たる僅かに膨らんだ二つの小山とその先端の突起の感触も、微かに漏れる吐息混じりの甘い声も気にならなくなるほどに。
(エルのおっぱいやわらかい…♡声もえっちだなぁ♡)
──訂正。やっぱりそれとこれとは別らしい。まぁアイがエルに対してそうであるように、エルもまたアイを心から信頼しているから、思想思念を使っておらず欲望駄々漏れの心の声は聞こえないのだけど。
そしてエルがアイの頭を洗い終わってシャワーで流して、もう一度二人で浴槽に浸かって体の芯まで暖まってから予定よりも長くなってしまったお風呂を出た。
この時のエルは、時間止めて正解だったな…とか思っていたとか。
濡れた体は早めに拭かないと風を引くから、とエルの進言によりお互いに自分で拭いたが、髪はそれぞれ乾かし合った。
◆◇◆◇
お風呂を出て脱衣所に戻ると、アイが俺のバスタオルを持ってとても魅力的な提案をしてきた。
「お互いに体も拭き合いっこしよ~」
「あ、待ってアイ。濡れた体は早めに拭かないと風邪を引くから、体は自分で拭こう」
アイの提案という名の誘惑に、またしても思考停止で頷きたくなったが、俺はともかくアイは普通の人間の幼女だから、体に負担になるようなことは少なくとも今はまだ避けるべきだろう。そう思った俺は断腸の思いでアイの誘いを断った。でも転んでもただでは起きないのが俺だ。
「髪乾かすのはお互いにやろ」
「うん!」
お互いに自分で体を拭いた後、先に拭いた俺はドライヤーを準備する。その間にアイも体を拭いたので、そのままアイを脱衣所の椅子に座らせる。
「先にヘアオイルつけるね」
「はーい」
ここは施設の職員も利用するため、オイルやトリートメントといった美容液も用意されている。施設の職員が置いたものを勝手に使用しているが、別にそれくらいは問題ないだろう。俺とアイの髪のキューティクルのためだ。
ドライヤー前にヘアオイルを塗っておくことで、髪の保湿や熱による痛みを抑える働きがある。こういうケアは継続して行うことが大事なのだ。今のうちからやっておくことでお互いに習慣付けていきたいな。
「アイの髪は長いからね。しっかりケアしないと」
「えへへぇ♡エルの手つき気持ちいい~♡」
その言葉になんとなく顔を上げると、鏡には気持ち良さそうに目を瞑っているアイの姿。俺を受け入れて万全の信頼を寄せてくれるその無防備な様子に、ふふっと笑みが溢れる。
本当にアイの髪は艶があってさらさらで綺麗だなあ。何で女の子の髪ってこんなに柔らかいんだろう。俺も最初から女の子になりたかったな…。
「乾かしていくね~」
「うん~」
アイの後ろに立って背中まで伸びた髪を乾かしていく。アイみたいな長い髪の乾かし方もあるだろうし勉強しないとなぁ。だけど今は分からないから傷つけないように丁寧に櫛で
ドライヤーは先に温風である程度乾かしてから冷風で微調整するのが良いらしい。ダメージが軽減されて寝癖もなくなるんだとか。確か昔見たネットの記事にそんなことが書いてあった。かつての俺が女子だったらおそらくもっと美容に関する知識があったのだろうが、昔は最低限のセットが出来ればそれで良いって思ってたからなぁ。今生はせっかく世界一の美少女になったのだから、俺やアイのためにもしっかり美容に関する勉強もしよう。
「終わったぁ」
「ん…ふぁい…」
アイは既に眠たそうだ。
「眠くなっちゃった?」
「うん…。エルにドライヤーしてもらうの気持ちよくて~」
分かるよ、アイ。ドライヤーって人にかけてもらうとめちゃくちゃ眠くなるよね。俺も美容室でシャンプー後の濡れた髪を美容師さんに乾かして貰ってた時は毎回寝落ちしそうになってたもん。あれってさ、当たり前だけど上手なんだよね、ドライヤーのかけ方とか髪の梳き方とか。座る椅子の形状もあるんだろうけど、人にやってもらうのって何であんなに気持ちいいんだろうね?
「ふふ。先に部屋に戻っててもいいよ?」
「ん…大丈夫。私もエルの髪乾かす…」
「了解。じゃあよろしくね。オイルはもう塗ったから、ドライヤーだけお願い」
「おー」
場所を交代して、今度はアイに乾かしてもらう。俺の髪はそこまで長くないから、すぐに終わるかな?それにしてもドライヤーの温風とアイの優しい手つきが気持ち良くて、癖になりそう…。
「力加減はどうですか~」
「大丈夫でーす」
アイの声に返事をしつつ、そのまま俺は瞼を閉じてぼーっとしていた。
……………
…………
………
……
…
──エル、エル、起きて。
声が聞こえる。
「んぅ…?」
ゆっくり瞼を開けると、俺は脱衣所の椅子に座っていて、俺の後ろに立っているアイに寄りかかっていた。どうやらアイに髪を乾かしてもらっている途中で軽く眠ってしまったらしい。
「ん…ごめん。眠ってた」
「うん、途中から話しかけても返ってこなくなったから寝てるんだろうなって思ってた」
「ごめんね~、気持ち良くてつい…」
「あはは。私も寝落ちしそうになったから。人にやってもらうのって眠くなるよね」
「うん、特にアイの場合すごく上手だし、愛情も伝わってくるから余計に」
「…それはエルも同じだよ」
「それは私がアイのこと大好きだからね…」
「嬉しい…。私も大好き…」
何だかお互いに眠いからか会話がいつもよりふわふわしてる気がする。今日はもう寝ようかな。
「もう寝よぉ?めっちゃオネム…」
「うん。エルすごい眠そう。私もオネムになってる」
この時俺は半分寝ていたからよく覚えていないが、部屋に戻ってすぐにベッドに寝転んで、後からアイが入ってきて少しだけ喋ってから寝た。寝落ちする直前に、アイが何か言っていて、唇に何か触れたような気がしたけどまぁいいや、おやすみ。
その日の睡眠は俺もそうだし、アイも今までで一番快眠だったらしい。
そしてもう一つ、間違いなく言えることは──
エルとアイ。
そう遠くない未来で『天使』『一番星』と呼ばれる俺たちは、この日をもって、物理的な距離も、心の距離も一気に近くなったということだ。
【天使】
いつの間にかお風呂はアイと入ることが当たり前になっていた。さすがに欲情とかはしないけど、アイの元同居人はやってくれたな(良い仕事をしたな)と思っていたり。
だけどアイの将来を考えると大人として止めないと(主に自分が)将来大変なことになりそうだから、苦渋の決断で待ったをかけた。でもそうなった元凶の洗いっこはエルからふっかけた。本人的には情操教育の一環のつもりで、幼女同士のスキンシップが主目的で他意はなかったし、際どいところは自分で洗おうね、というつもりだった。
てかさ、アイ初めての割に洗うの上手だね。やっぱりそっちの才能もあるのかなぁ。
無意識の時こそ本心が出るよね。
【一番星】
いつの間にかお風呂は二人で入る、という暗黙の了解を取り付けた。そろそろ先に進みたいなぁ、今日辺り例の洗い方を実践するか!問題はどうやってエルを説得するかだよなぁ…わっ!キスされた!嬉しい♡えっ!?洗いっこ!?いいの!?この時点でやや暴走気味だった。
いざ洗いっこしたら序盤からエルにくすぐられて気持ちよくなっちゃってちょっと濡れちゃったし、次回以降の約束も取り付けて満足だった。ここまで予想以上に都合の良い展開が続いて当初の目的を忘れていた。あっ!は思い出した時の「あっ!」。
洗いっこを終えて──
もう何もかもが最高でした♡
「おやすみ。私のエル」