「…………!!」
「…………」
俺は今、鏡の前でにらめっこしていた。
すぐ隣にはアイが座って固唾を呑んで見守ってくれている。
「よし…」
「がんばって!」
覚悟を決めて、ニィ…と口角を上げる。鏡には明らかに作り笑いと分かる引き攣った笑みを浮かべた俺がいた。まただめだった…。
はぁ…、と本日何度目もわからない溜め息を吐いた。
「ダメだ…」
「あ~…」
やっぱりどうやっても作り笑いにしかならねぇ。
アイもそこまで期待してなかったらしく、やっぱりね…と言わんばかりの顔をしている。
そう、俺は今、自然な笑い方の練習をしていたのだ。
俺はアイドルになる予定だからファンや視聴者に対して微笑まなくてはならない。笑わないアイドル、なんて前代未聞だし。
でも死んでるんだよなぁ俺の表情筋…。原作でもトゥエルは〝作中で唯一笑わなかったキャラ〟だし。
やっぱり俺…というかトゥエルには無理なのかなぁ。
「アイと話してるときは普通に笑えてるんだけどなぁ」
「まぁそれは私だけがエルの笑顔を独占できてすごい嬉しいんだけどね?」
「そりゃアイは私の最愛だし?アイの前だと飾らない素の私でいられるし?」
「……エル、好き♡」
「私も♡」
アイといる時は〝俺〟でいられるから物凄く楽。アイしか勝たん。
トゥエルムーブは割と板についてると思うけど、まだまだ完全にモノにできてるとは言い難い。
でもこの体になってから笑いの沸点が消滅したような気がするんだよな。嘲笑や冷笑はできるのに、普通に笑うことができなくなった。身体が柔らかく笑うことを拒否している?でもアイには普通に笑顔向けられるし…。
「いっそ笑わないアイドルで往く?」
「初めからそれでいいと思うよ」
「大衆受けするかな?」
「エルならそこは問題ないし、むしろ笑わないことが個性になると思う」
「ふむ…クールビューティー、ミステリアス系か」
確かにトゥエルと言ったらクール系ミステリアス幼女だよなぁ。見ず知らずの連中に微笑みなんて解釈違いにもほどがある。その点アイってすごいよなあ、最後まで素の俺でいさせてくれるんだもん。
「ていうかエルが笑顔なの私の前だけがいいな。…じゃないと皆エルに惚れちゃうし。ただでさえ世界一可愛くて綺麗なのに、笑顔にまでなったらもう全人類がエルのこと好きになっちゃうよ」
「それは確かに。知らないやつから惚れられても迷惑なだけだしなぁ。でもアイドルとしてはむしろ良いことなのかな?」
「まぁその人たちはどうせエルの外見しか見てないから…。私は中身も含めてエルの全部が大好きだけどね?」
「嬉しい…。私もアイのすべてが大好きだよ」
「……あーもう可愛いなぁっ♡」
「わっ」
途中からぷるぷる震えていたアイに勢いよく抱きつかれる。
元々アイの可愛らしい嫉妬から始まったはずなのに、気づいたらいつものイチャイチャが始まっていた。それと俺に対する期待値高いな。まぁ実際その通りだろうけど。だって俺、トゥエルだもん。顔面超越種だもん。お互いに激重感情を隠さないと決めた日から俺たちは思ったことをそのまま伝えるようになった。
「とりあえずエルはそのままでも最強で無敵ってこと!」
「ん。わかった。その路線で往く」
「えっ、やったあ!ありがとう!」
斯くして俺は三年後、〝アイ以外には絶対に笑わないアイドル〟として『
そしてそれを面白がった俺たちのファンによって、どうせなら二人で揃えようという
◆◇◆◇
小学校には年に一度の催し物として、学芸会、お遊戯会、音楽会なんてものがある。
それら全てをやるか、学年ごとに異なる演目をするのかは学校によって差はあれど、どれか一つは必ずやるだろう。
何故そんな話をしたのか。それは──
「ハイ!先生!お姫様はトゥエルちゃんが良いと思います!」
「私は星野さんが良いと思う!」
今がその時期で、配役を決めているからである。
劇の内容は拐われたお姫様を王子様が助けるというありきたりなもの。
俺もアイも当然そんなものに興味はなく、いつも通り机をくっつけて二人の世界に入っていたのだが……端役と脇役を決め終えて、あとはお姫様と王子様を始めとしたメイン級の役を決めるというところでそれは起こった。
マルチタスクで会話だけは聞いていたので、自分たちの名前が呼ばれたことで顔を上げた。
「却下。私たちは道端の草AとBでいい」
「エルに同じ~」
アイも気だるそうに答えた。そんなめんどくさいのやってられるかよ。台詞も出番も多いし絶対に嫌だわ。あー早く帰ってアイとイチャイチャしたい。
「それこそ却下よ!あなたたちみたいな草が生えてたらお姫様と王子様より目立つでしょうが!」
それは一理ある。でもそれって俺たちのせいじゃなくない?周りのレベルが低いからでしょ。
…なんて言ったらさすがにクズなので心の中だけに留めておく。さすがにそこまで空気読めない訳じゃない。だからこっそり隣のアイにだけ聞こえるように囁く。
「それって私たちのせいじゃないよね」
「うん。草なんかに負ける他の子たちが悪いと思う」
「だよね」
「努力が足りてないよね。私たちに見劣りしないくらいの」
「うん。…先生。そう言ってくれるのはありがたいですが、私もアイも台詞なんて覚えられないし、覚える気もないですよ」
「だから!それが間違ってるの!これはクラス全体の問題なのよ?あなたたち二人のせいで他の皆に迷惑がかかっちゃうのよ?」
「おっしゃる通りだと思います。でも、私もアイも人見知りであがり症なのでそんな大役を演じきることは不可能です」
「でーす」
「息を吐くように嘘を吐くのねあなたたち…。百歩譲ってそうだとしても、他の役はもう決まっちゃってるし、残ってるのは台詞の多い役ばかりよ。皆同じ条件で始めた役決めに、トゥエルさんたちが初めから参加していればこうはならなかったと先生は思うなぁ」
果たしてそうだろうか。
仮に私たちが初手で草や木の役に立候補したところでハイわかりましたとすんなり決まるとは思えないんだがな。そう確信できるほどの恵まれた容姿が俺たちにはある。
そう言おうと思った矢先、つんつんと肩をつつかれた。
アイの方を見ると、彼女は俺に内緒話があるらしく耳元で囁いた。
「ねぇエル…当日休んじゃえば良くない?」
「…さもありなん」
確かにそれが一番楽か…?
「…わかりました。受けましょう」
「は…っ?…え…、そう言って、本番になったら具合悪くなって休むつもりでしょう」
へぇ、よく分かってる。そんなに俺たちは信用ないのかしら。
「心外ですね。せっかく真面目にやろうと思ったのにあんまりだ」
「目の前でひそひそ話されたら察するわよ色々と!」
「なら本当に当日ボイコットしてやりましょうか?」
「なっ──!そ、そんなこと許される訳ないでしょう!」
「なぜ?」
「なぜって…それは…あ、あなたたち以外の子の気持ちを考えなさい!他にもお姫様をやりたい子はいるのに、皆あなたたちに譲ってあげてるのよ?皆の優しい気持ちを棒に振るつもり?」
「やりたい子?優しい気持ち?私には押し付けられた、としか感じないのですが」
この人も諦めが悪い。俺のことなんて放っておけばいいのに。
だんだんイライラしてきたな…。
「なら先生がもう一度訊くわね。お姫様をやりたい子は手を上げて」
しかし、誰も上がらない。誰も一言も発せず、教室を静寂と俺の怒気だけが支配している。
「え、遠慮しなくていいのよ?」
「先生、これが答えです…」
「……分かったわよ。なら私からもお願いするわ。トゥエルさん、星野さん…あなたたちには悪いけど、お姫様と王子様の役をやってくれる?お願い…。年に一度の学芸会なの。ここはどうかクラスの顔を立てて欲しい…です」
ふーん…〝私の〟じゃなくて〝クラスの〟ねぇ…。
「わかりました。私も別に先生を陥れたい訳じゃないので。アイもそれでいい?」
「私はエルが相手ならなんでもいいよ。ていうか初めからあんたが下手に出てればこっちもすんなり決めたっつーの」
アイは私にしか聴こえないトーンで呟いた。おっかねぇこの幼女…。
「ていうか…王子様もですか?」
「だって他に誰もいないんだもん!それにどうせあなたたち他の子が王子様役になったら絶対辞めるでしょ…」
いないんだもん!って…歳を考えろ。それか外見幼女になって出直してこい。
「当然です。私もアイもお互いに愛し合ってるので。役柄とはいえこれは立派な浮気ですからね」
俺が堂々と言うと、先生ははぁ~と長い溜め息をついた。少しいじめすぎたかもな。
「最近の小学生は進んでるわね…」
安心して、それは俺たち…正確にはアイだけだ。
俺?俺は人生二周目だから…。
「それで、どっちがどっちをやるの?」
「どうする?」
アイに訊ねると、少し考える素振りを見せた。
「んー…私が王子でいい?」
「いいよ」
てことは俺が姫か。姫なんて柄じゃないが、アイが王子様なら誠心誠意アイだけのお姫様になってみますか。ちなみに女性キャラを演じることに忌避感はない。こちとらもう性転換済なんでな。
こうして役柄が決まり、俺とアイは珍しく真面目に練習していた。ちなみに台詞は二人とも一日ですべて覚えた。俺はともかくアイも元々のポテンシャルは高い上に、俺が関わること限定でチートスペック化するからな。
「エル姫、あなたの凍てついた心の氷を私の愛で溶かしてあげるから!私と結婚して!」
「アイ姫!いけません!私に触れたらあなたまで凍ってしまう!大切なアイ姫が凍ってしまったら、私はもう生きていけない…!」
「大丈夫。私は絶対に凍らない。だって──私はあなたを愛しているから」
「アイ姫…♡」
そして当日、二人はアドリブを交えつつ見事にお姫様と
小学生ながらに他と隔絶された世界観を持つ二人の美貌と表現力は、彼女らを見慣れているクラスメイトのみならず、彼女らを初めて見た他のクラスや学年の生徒、観覧に来た保護者や先生たちの脳を焼いた。
劇が終わる頃には皆『尊い』と呟いていて、一部は感動のあまり涙していたとか。
その日から二人はちょっとした有名人になった。
「エル姫、私の愛を受け取って!」
「アイ姫──んむぅ!?」
「んーっ♡」
「んんぅ…♡」
まさか本番に王子様役のアイがアドリブ決めてキスされるとは思わなかったけどな!
◆◇◆◇
アイが風邪を引いて熱を出した。
学芸会が終わった次の日の朝から体調が悪かったらしく、学校が終わってから食欲もなく晩御飯を食べずにいた。顔が熱くて汗をかいていたので熱を測ったら38℃。なんという不覚、一緒にいて気づかないとは…。
「うぅ~…ごめんねエルぅ…」
「謝らないで。アイは何も悪くないでしょ。私も気づかなくてごめんね…」
すぐにアイを抱きかかえてベッドに優しく降ろして布団をかけた。とりあえず氷枕を作って頭の下と腋に挟ませて解熱を試みる。少しは楽になるといいけど…。
「エルに迷惑かけちゃう…」
「なに言ってるの。こんなの迷惑のうちに入らないよ。それにこう言ったらあれだけど、こうしてアイを看病できることも嬉しく思ってるし」
どんな形であれ、アイに尽くせるのは相方冥利に尽きる。俺の言葉に照れたアイは、もぉっ…と呟いて布団を持ち上げて口元を隠して上目でこちらを窺っている。仕草はあざといけどアイがやると本当に可愛い。
「どうする?魔法で治せばすぐだけど」
「…正直に言っていい?」
「うん?うん、どうぞ」
「私もエルに看病されて、今すごく幸せなの…。だって…」
エルが大事な練習時間を使ってでも私のことを見てくれるから…と、消え入りそうな声で呟いたのを俺は聞き逃さない。そんなの当たり前だ。アイが体調を崩して熱まで出ているのに、練習なんかしていられるわけがない。そんなことよりも、俺はいつ如何なる時もアイが最優先なのだ。
「当たり前でしょ。私にとってこの世の何よりもアイのことが大切なんだから。この世界にアイに勝るものなんてないんだよ。私だって本当は今すぐ治してあげたいし、それが叶わないなら代わってあげたいけど、魔法を使わないことでアイのことを手厚く看病できるって考えると、それもありだなって思ったしさ」
「うん…ありがとう…エル。…こんなに愛されて幸せだなぁ…」
「…よしよし」
ふにゃあと柔らかい笑みを浮かべるアイの頭を撫でる。頬をさわるとやっぱり熱い。魔法を使わないならしっかり看病しないとな。
「ちょっと待ってて」
アイの眠るベッドの縁に座っていた俺は立ち上がって、すぐに戻るからね、とだけ言い残して自室を出た。向かった先は施設内の台所。確か熱で食欲がない時も食べやすいアイスがあったはず。台所に着くともう晩御飯の時間は終わっているから誰もいないが、好都合だ。業務用の大きな冷蔵庫を開けてお目当てのものを探す。
「あった」
ついでに俺の分も持っていこう。
「ただアイまー」
「おかエル~」
イントネーションが変なのは仕様だ。アイは熱があるわりには元気なようで、俺が戻った時には横になっていた体を起こしていた。
「あったよパピコ!」
「お~、パピコだぁ」
パピコとかクーリッシュとかの吸うタイプのアイスは熱がある時も食べやすいよね。俺もよく世話になった。二つくっついたそれを割って片方をアイに渡した。
「はい、これでも何も食べないよりはましだから」
「うん、ありがとうねエル」
この時間は病院も閉まってるから、薬は俺が調合しよう。トゥエルの知識もあるから魔法薬学なら解るし。明日には完治しているはずだ。長引けばその分看病できるけど、普通にアイが可哀相だし一刻も早く元気になってほしい。やっぱりアイにはいつも元気に明るく俺のとなりで笑っていてほしいからね。
二人でパピコをちゅーちゅー吸っていると、その口元にちらちら視線を感じた。その元を辿ると、アイが俺の咥えている口元をじっと見ていた。
「…私のも飲む?」
「え"っ、いいのッ!?」
「う、うん…いいよ?」
熱があると思えないくらい食い気味に来られてたじろぐ。そんなに俺と間接キスがしたいのか?可愛いやつめ。なら俺も貰おうかな。そう思ってアイのアイスも頂戴と言おうとした時だった。
「ね、エルって風邪とか引く?」
急にどうしたのだろうか。俺が風邪を引くかって?それって風邪を移しちゃうとかそういう話?何にしろまったく問題ない。
「引かないよ?天使だから
「そっかぁ…。ならさ、私のと交換しよ」
ああ、そういうこと。
「いいよ」
「やったぁ♡」
アイが嬉しそうにしているから、核心を突いてみることにする。
「私と間接キスできて嬉しい?」
「…うん♡」
「…かわいい」
「エルは?私と間接キスできて嬉しい?」
「うれしい♡」
「えへへっ♡」
俺が即答すると、自分で聞いたくせに自分で照れ笑いするアイが尊い。
「いただきまぁす♡」
アイはあむっと俺の飲みかけのパピコを咥えてちゅーちゅーと吸い付いた。どれ、俺も…。
「いただきます」
アイの唾液が残るパピコに吸い付く。唾液ごと吸うと、心なしかさっきまでより甘さが増したような気がする。アイとキスするようになってから分かったことだけど、どうやら美少女は唾液まで美味しいらしい。というか好きな人のだから美味しいのかな。
ふとアイを見ると一心不乱に俺のパピコを吸っていた。なんかエロいけどシュールだわ。思わずガン見していると、俺と目が合ったアイがぶふっと噴き出すものだから、つられて俺も噴き出してしまう。
「なにぃ、なんで急に笑うのっ…っっ」
「もぉっ、そんなに見ないでよっ!恥ずかしいじゃん!」
「くくっ…、だってアイ、一心不乱に吸ってるんだもん…もう無我夢中って感じで…っっ」
「そりゃ吸うでしょ!
「なにそれウケる」
ヤフオクって懐かしいなぁ。俺の時はもうメルカリに取って代わってたし、この世界って変なところで時代相応だよなぁ。果たしてヤフオクが前世の90年代にあったのかは今となっては闇の中だけど。てかヤフオクあるなら俺の顔写真載っけてパンツとか売れば儲かるんじゃね?しないけど。そもそも如何わしいものとか売れなさそうだけど。
「アイ熱あるのに元気だね」
「エルが看病してくれたら元気出てきた」
「現金な子だね。そういうところも可愛いけど」
「イイ性格してるでしょ?」
「自分で言うな」
こつん、とアイの頭に優しくデコピンをすると、ぺろっと舌を出してテヘッと誤魔化すように笑った。これは俺の前世でも流行ったテヘペロだ。前世では勘違い自撮りブスや平々凡々な芸能人がやってるのを見たことがあるけど、総じてお前がやっても可愛くねーよレベルで見るに堪えないものだったが、アイがやるとクソ可愛い。人によってこんなに違うとか、やっぱりアイは別格だ。前世でもアイは一生に一度お目にかかれるかどうかってレベルだし、俺に至っては言わずもがな。
「ちゅーちゅー…んん~っ♡」
「私のパピコおいちい?」
「おいちい♡」
「ふふっ…なんか笑うわ」
「もぉ~、こっちは
「はいはい」
そう言ってアイはまたパピコに吸い付いたから、俺も同じように吸ってみる。
うん、普通に美味しい。あくまでこれは間接キスだしなんなら深いキスもしてるから興奮とかはしないけど、アイという〝最上級の美少女の吸ってた〟という冠詞が最高のスパイスになってる。たぶんアイも同じなんじゃないかな。
それからしばらく二人で無心でパピコを吸っていた。
「ごちそうさまでした…♡」
たっぷり時間をかけて俺の〝使用済みパピコ〟を味わったアイはいまだ夢見心地だ。ばかめ…、これから地獄のオクスリの時間とは知らずに…くくっ!
「さーて、アイよ。君は風邪を引いて熱がある。問題です!アイは風邪を引いたときに何を飲むでしょうか?」
「エルの唾液」
「……間違ってないんだよなぁ」
「正解だね、やったぁ!ご褒美はなにかなー!」
くそっ、墓穴掘った…。ん?ご褒美…?ご褒美…そうだ!その手があったか!
俺はニヤケ顔を隠すために後ろを向いて、都合良くアイ用に調合した小さなカプセル型の魔法薬を口に含んだ。
「ごほぉうふぃふぁ…ふぉれっ!」
薬がバレないように口を閉じてるから呂律が回ってなくて支離滅裂だけど、勢いで誤魔化すようにキスをする。
「んむぅっ!?」
「んちゅ…ぴちゃ…んぷ…」
突然のキスに驚くアイだったが、舌を入れると当然のように受け入れてくれたから、飲み込む用の唾液と同時に薬を舌に乗せてアイの口内に送り込む。
「んぅ♡ちゅぴ…♡んぇっ!?んんーっ!んくっ…」
まんまと罠に引っ掛かってくれたアイがごくんっと薬を嚥下したのを確認してから、ゆっくり舌を抜いて唇を離す。既に寝巻きはお互いの唾液が零れて胸元がベトベトだけど気にしない。
「ぷはぁ!はぁ、はぁ…こらっ!エルっ!だましたなー!」
「アッハハハハ!アイったら最初すっかり騙されて気持ちよくなってんの!ウケる!アハハハッ」
「もー!怒るよ!せっかくエルからキスしてくれたと思ったのに…」
「あはは、ごめんて。だってアイって素直に薬飲んでくれないでしょ?だったら私が口移しで飲ませた方が確実かなって」
「…まぁ、役得だったけど」
「でしょ!」
「でもやっぱり腑に落ちないー!」
「あははっ、そうぷりぷりしないの」
「エルのばか」
「ごめんね。でもアイのためなんだ。ただの風邪だけど、魔法で治さないってことだから心配なんだよ」
〝魔法〟薬だから魔法っちゃ魔法なんだけど…。
「んもう!そう言われたら怒れないじゃん…」
「…ごめんね、アイ。ちゃんと飲んでえらい。よしよし」
それでも吐き出そうと思えばできたのに素直に飲んでくれたアイ。そんな愛しい恋人に、ご褒美のキスをする。ちゃんと唇にね。
「んっ…」
「ん…」
「これで許してくれる?」
「…今回だけだからねっ」
「ふふ…ありがと♡」
「エルのばーか」
いじけてそっぽを向いたアイを優しく抱き寄せて、顔をこちらへ向かせてもちぷにの頬を両手で挟む。
「愛してるよ、アイ」
「……うん。私も愛してる、エル」
そのまま俺たちは一緒に寝転んで、おでこをくっつけながら眠りについた。
◆◇◆◇
そして深夜──
俺は寝られずにいた。
あれから薬が効いてきたアイと一緒に寝ていたが、アイがなにやら魘されているようで、もしかしたら薬が強すぎたかもと心配になった俺は身体を起こしてアイの様子を見守ることにしたのだ。
アイの身体をスキャンするが、既に病原菌は死滅していた。身体だけなら健康そのものだった。となると──悪夢を見ている?
「やだよぉ…えるぅ…」
「アイ?」
「いやだっ、いかないでぇ…」
「アイ」
「えるのことわすれたくなぃよぉ…」
「アイ!」
「行かないで…っ…える…私をひとりにしないでぇっ!!」
「アイッ!!」
「──ッ!?」
俺の声に反応するように、ガバッと勢い良く布団を捲り上半身を起こしたアイ。その額には大粒の汗をかいていた。涙を流しながら、はぁはぁと荒い呼吸を整えている。
「アイ…」
「あ……っ、……え、えるぅ……えるぅぅぅぅっっ!!!」
「っ、よしよし。怖かったね。私がいるからもう大丈夫だよ」
勢い良く抱きついてきたアイの背中をさする。寝巻きは俺の胸に顔を埋めるアイの止まらない涙でぐしょ濡れだけど、それも些細なことだ。
アイが落ち着くまで背中をさすってあげた。
◆◇◆◇
「私が消える夢…か」
「うん…」
とても恐ろしい夢を見ていたというから、一体どんな夢だったのか聞くと、上手く言葉では言い表せないけど、俺がアイの手の届かない遠い所へ行ってしまうというものだった。そして自分以外に誰も俺のことを覚えておらず、俺がいた痕跡も消えていたらしい。
それは確かに怖いな。目の前で死ぬとかよりも怖い。
「でも、一番怖いのは…私も少しずつエルのことを忘れていって…、どれだけ忘れたくないって願っても、時間が経つにつれてどんどん忘れていって…それで…っ」
涙を流しながら必死に伝えようとするアイが痛々しくて、見ていられなくて、今度は俺の方から抱きしめる。アイの頭をぽんぽんと叩いて、さらさらの髪を撫でて、手で梳いてあげる。こんな時だからこそ俺をじっくり感じてほしいと祈りながら。
「それ以上は言わなくていいよ。怖かったね、もう大丈夫だよ。私はここにいるよ。絶対にどこにも行かない。アイを置いてどこかへ行くことなんて、絶対にあり得ないから」
「うんっ…うんっ…」
夢の中とはいえ、何やってるんだよ俺は。盛大にやらかしてるじゃねぇか。でも夢でよかった。もし俺がアイと引き剥がされそうになったら、
「約束しよう、アイ」
「やくそく…?」
「『死ぬ時は一緒に死のう』。私たちはずっと一緒。死んでもアイのこと離さないから」
「そう、だね…約束!『どっちかが死んだらもう一人も死ぬ』。私もエルも、もう一人では生きていけないからね…」
「うん、約束。けどまぁ元々簡単に死ぬつもりはないし、アイのことも不老不死にして護るから。死ぬのはこの世界に飽きてからかな。今度は一緒に別の世界に行って楽しく過ごそう」
「あははっ。いいね、それ。約束だよ。死んでからも一緒だからね。死んでも離れないからね!」
「当たり前っ!ずっと一緒」
「エルのこと、ずーっと愛してるから」
「私もアイのことずーっと愛してるよ。だから安心して寝な。大丈夫…、寝て起きてもちゃんと私はアイのとなりにいるから」
「うん…、そう言ってくれてすごく嬉しい…。えへへっ、おやすみ、エル…」
「うん。おやすみ、アイ」
お互いに離さないとばかりに強く抱きしめ合って、俺に体をぴったりと寄せてくるアイの頭を優しく撫でながら、アイが安らかに眠れるように快眠の魔法をかけてあげた。
後日、すっかり元気になったアイに看病してくれたお礼にと唇にキスされた。それも五回ほど。おまけに舌も入ってきた。アイのキスは気持ちよくて、また俺は前の時のように感じそうになったけど、頑張って耐えた。…うそ、ほんとはちょっと感じちゃった…。舌吸われるのはむりぃ…♡
アイのキステクニックに翻弄されながら、なけなしの理性で俺とアイはもうとっくにフラグが立ってるというか、なんならもう恋人同士なんだけど、普通の男女ならこうやって恋愛フラグが立つんだなぁと呑気な考え事をしていた俺だった。それはそうと最近アイからのスキンシップが濃くなってるなぁ。
◆◇◆◇
「アイドル無理かも」
「え?」
どうやら俺は大切なことを忘れていたらしい。
「アイドルになったら『愛してる』って言うんでしょ?嘘でもアイ以外に言える自信がない…」
「あっ…」
アイという最愛がいる以上、俺のそれは真っ赤な嘘になる。
そもそも軽々しくソレを口にしたくない、というのもある。
「うーん…」
いつもは俺がこうして悩んだり相談してもサッパリした回答をくれるアイも、今回ばかりは簡単には答えを出せないようだった。
「確かにエルには私以外に『愛してる』なんて言って欲しくないなぁ」
「私も言いたくない…」
まさかここまで来て最大にして最強の壁が立ち塞がるとは。
それでも先に進まなきゃ。だって本来の目的はアイとの蜜月を過ごすための資金集めなのだから。アイドルはあくまでその手段に過ぎないのだ。アイドルじゃなくて普通に歌手を目指すか?でもグッズとか握手会とかの興行収入も考えるとアイドル一択なんだよなぁ。
ん?
握手会?
「ああぁ~!!」
「急にどうしたの!?」
「握手会もしないといけないじゃん!」
「!!」
忘れてたぁぁぁ!!
出来る気がしねぇ!!
俺にファンサしろって?無理だぞ!こちとら作中唯一笑わないキャラで同じみのトゥエルだぞ!つーかそれ抜きにしても不特定多数と握手とかさぁ…。もしかしたら何か分からない液体でベタベタの奴とかいるかもしれないし普通にイヤなんだけど。
俺がそう言うと、アイもうわぁいそう…と想像したのか引いていた。
それに、アイ以外に触れられたくないんだけど。
「ひ~ヤダ」
「いそうだよねぇ…あと変なもの贈る人とか」
実際のアイドルの握手会って問題起こるらしいしなぁ。ファン側もアイドル側も。トゥエルファンサしてなんて言われてもできる気がしない。全部が無表情でいいならワンチャンって感じ。それに過度なファンサはアイへの裏切りにもなるから嫌なんだよな。
「うんうん、絶対いるよ!ある意味アンチよりタチ悪いよ!」
「私のエルが汚されたらそいつ殺しちゃうかも」
「その時は私も手伝う。アイ一人にさせるものか。それで二人で海外に逃げよう」
アホなことを言いながら、お互い見つめ合う。
「うん…エル♡」
「ん、アイ♡」
どちらからともなく顔を寄せて触れるだけのキスをする。
あの日から俺たちは隙あらばキスしている。スキンシップみたいなものだ。
「愛してるよ」
「私も…」
微笑み合う俺たちの周りには百合の花が咲いていることだろう。
は~何か良い考えはないかなー。
「ねぇ、エル…」
「なに?」
アイは何かを決心したように表情が引き締まっていた。
「私もアイドルになるよ」
ん?
「えっ?」
なんて?
「ずっと思ってたんだ。エルにだけ苦労させたくないって」
「えっ…、ごめんもう一回言って」
「アハハッ。エルびっくりしすぎ!だから──」
私もアイドルになるよ
「まじか」
「うん。一緒にチーム組も」
「ア、ウン、イイヨ」
◆◇◆◇
「アイ、本気?」
「うん」
「別に無理して合わせなくていいんだよ?ちゃんと私が養ってあげるから…」
「無理なんてしてないよ?たださ、約束したじゃん、ずっと一緒にいるって。エルがアイドルになって売れちゃったら、一緒にいる時間も減っちゃうでしょ?だからずっと前から考えてたんだ。どうすればずっと一緒にいられるかなって。それで思い付いたのが」
「自分もアイドルになって私とユニットを組む、と」
「そ。ね?名案でしょ?」
そう言ってアイはにっこりと俺に笑かける。
アイが言っていた内容は俺も懸念していたことだ。売れれば売れるほど仕事が増えてアイとの時間が減ってしまう。仕事は選ぶしアイが本気で嫌だと思った仕事はキャリアとか関係なく断るつもりではいたが、それでも俺個人の力では限界がある。事務所やマネージャーの顔も立てないといけない。思想思念を使って印象操作してもいいが、それは本当の最終手段だ。使わないに越したことはない。俺にもプライドがある。俺は俺だけの力でのし上がり、世界一を目指したいのだ。
だけど、一人だと挫けてしまうことや挫折してしまうかもしれない。俺のメンタルはそこまで強くないから。
けれど、そんな時にアイがいてくれたら?一人ではダメでも、二人でなら?
きっと、これほど心強い存在はない。
でも、アイドルになるという俺のエゴにアイを巻き込んでしまっていいものか。
今までの感じ、アイのこれは別にアイドルに興味があるという感じではなく、純粋に俺を思っての結論付けだった。
だからこそ、心が痛む。
俺は大人だから知っている。大人の社会は愛憎と計略の渦巻く欲にまみれた汚い世界だと。
そんな世界にアイを関わらせたくなかった。だから俺は今まで、アイとユニットを組むという〝
そんな俺の思いが漏れてしまっていたのか、アイは俺をあやすように俺の頬を撫でた。その手つきはとても優しいもので。
「これは私の勘なんだけどね…。このままエルを一人でアイドルにしたら、取り返しのつかないことになりそうで。いつかエルが遠くに行っちゃうんじゃないかって思ったの」
「えぇ?そんなことないよ?」
「女の勘ってやつかな?見えないけど大きな力に屈しちゃうエルの夢を〝視た〟の」
「それってどういう──」
意味?と聞くことは叶わなかった。
「そのままエルは私の知らないところへ行ってしまうの。物理的な距離じゃなくて、心の距離?私の知らない世界に心だけが行ってしまうの」
「なにを──」
言っているの?俺がアイを置いていく?そんなことあり得ない。だってこの前アイが見た夢のことなら、
だとしたら…、俺の他に運命を変えようとしている奴がいる?
──へぇ……。ずいぶんふざけたことをしてくれるなぁ。この俺に対する宣戦布告でもしているつもりか?
この世界に人間の定義でいうところの〝神〟、
俺はそいつらからしたらこの世界にお邪魔している者、つまり部外者である自覚があったからこそ、あえて不干渉を貫いていたのだが…、仮にそいつらが俺とアイに干渉しようとしているなら、灸を据えてやる必要がありそうだ。
情状酌量の余地はくれてやるつもりだが、これ以上俺たちに干渉してきたら、俺も相応の迎撃はさせてもらうぞ。
まぁいい。今は
「そんなの絶対にイヤ。エルは私のだもん。絶対に渡さないから!」
「アイ…」
「だから私もアイドルになる!ファンには嘘でも、
「あ…」
視界が滲む。気づけば俺は泣いていた。どうしようもなく嬉しかった。だって…今のアイの言葉はすべて本当で、陽だまりのような笑顔の下の、純粋に俺を想う暖かい愛情がこれでもかと伝わってきたのだから…。言葉の代わりに涙が溢れてくる。
そんな俺につられてなのか、アイも泣いていた。声もあげずにさめざめと泣く姿は、とても小学生になったばかりの子供の泣き方ではない。クソ…なんて泣き方をするんだ…。大人でもそんな泣き方をするやつなんて滅多にいないのに…。アイの夢の話といい、俺はこの子を不安にさせてしまったみたいだ。ああ、なんて情けないんだろう。
「泣かないで、エル」
ふわりと抱きしめられる。
「な"い"てないぃぃ…!!」
暖かい。
「どこにもいかないで」
俺は──
「──いがな"いぃ!!!」
「エルッッッ!!!」
俺たちはお互いの存在を確かめ合うように強く抱きしめ合った。
絶対に離さない──そんな思いを込めて。
俺の顔は涙でぐしゃぐしゃだろう。
それでも伝えないといけない。
大きな決断をしてくれた、最愛に。
「私も覚悟を決める。──アイ、私と一緒にアイドルになってくれる?」
「もちろんっ!一緒にいこう!二人でならどんなことがあっても乗り越えられる。私は後ろじゃなくて、隣に立ってエルのことを支えたいの」
あぁ、本当にだめになりそう。そんなことを言われたらこの溢れる感情が抑えきれなくなる。
こんなに嬉しいのはいつ以来だろう。ずっとかかっていた心のモヤが晴れて、澄み渡る青空が広がっていくようで。陽だまりのようなアイの優しさに包まれて、湧き水のように幸せな気持ちが溢れてくる。その心地よさに永遠に浸っていたくなる。
どうしよう、それを与えてくれたアイが愛おしくてたまらない。
「うんっ!!ありがとう、アイ!」
「えへへ♡エルのことが心配だし、私もずっと一緒にいたいもん」
「うん、ありがとう♡ずっと一緒にいようね!」
俺は大きな勘違いをしていた。
アイのことをまだまだ子供だと、護るべき存在だと思っていた。
けれど、それは大きな間違いだったことに気づかされた。
いつの間にか、ずっと一緒いた俺ですら気づかない間にアイは人として大きく成長していた。
無数にある選択肢から最適解ばかりを選んで楽な方へ流されてばかりの俺とは対照的に、アイはこの歳で既に自分の考え方の『軸』を持っている。逆風にも負けない強い心の在り方を知っているんだ。
ハハッ──情けねぇなァ俺は…。あの頃から変わったのは〝
変わろう。
アイのとなりに立っても恥ずかしくない自分でいられるように。
アイにふさわしい自分でいられるように。
「愛してる。アイ」
「愛してるよ。エル」
俺はこの日、自分自身と最愛に誓いを立てた。
◆◇◆◇
「そうそう、エルはクール担当ね」
「ん?あー」
「笑顔担当は私がやるよ。その方がお互い個性出るでしょ」
「まじ神」
◆◇◆◇
「はぁ…」
何度目かもわからない溜め息を吐いた。
困ったことになった。まさかあの御方が星野アイにあれほど魅入ってしまうなんて…。
星野アイの魂は十全ではない。もってあと十数年だろう。だからこそ、世界が正しく廻り続けるためには犠牲になってもらう必要があるというのに…。
「もう全部あの御方に丸投げしようかなぁ」
今回それとなく星野アイ経由であの御方に干渉してみようとしたけど、悉く潰された上にこちらを補足されてしまった。こうなったらもう詰みだ。存在の格が違う相手に、私
そもそも本来なら圧倒的な上位存在であるあの御方が降臨されて尚、この世界が崩壊していないのは、ひとえにあの御方が御自身の強大な御力を抑制してくださっているからだ。たとえ御方自身が無意識であったとしても、それがわからないほど驕ってはいない。
あの御方からしたら、私
「今なら謝ったら許してくれるわよね?」
一先ずは星野アイへの干渉を止めよう。そして手遅れになる前に謝りに行こう。
時期的には、あの御方がデビューすると仰っている三年後がマストかしら。
星野アイに関してはもう諦めるしかない。さっさとあの御方に天使にしてもらって、この世界の理を越えてもらう方が良さそうだ。
「難儀なものね…」
すぐ先の未来の事を憂いで、また私は溜め息を吐いた。
【天使】
氷の微笑み。元キャラが常に無表情であったため、表情筋が死んでいる。成主にとってこの世界はアイとそれ以外。アイに対しては『私』ではない『俺』でいられるから普通に感情の起伏も生まれるしなんなら普通よりアップダウンが激しい。
学校行事は基本的にノータッチ。理由はめんどくさいから。さすがに顔面国宝×2が草ABは絵面が酷すぎる。主役より目立つ草に草も生えない。先生との言い合いでは、ほんとは何人かお姫様・王子様役をやりたい子がいたけど、無意識に怒りを周囲に散布させていたので皆あてられてびびってしまい手を上げられる勇者がいなかった状況。つまり自業自得。でも蓋を開けてみたら皆にアイとの仲を見せつけられたし満更でもなかった。それはそうとキスされたのは驚いたしめちゃくちゃ動揺したけど一応これ本番だし…と何とか平静を取り繕った。
アイが風邪を引いて熱が出た時は色々とショックだった。だってずっととなりにいたのに気付けなかったのだから。迷惑とか気にしないで言ってほしかった。俺もまだまだ力不足だな…。
アイドルになったらアイとの時間減るよなぁ、でもアイに芸能界なんて汚い世界見せたくないし、ソロで頑張るか…と思っていたがアイには見透かされていた模様。
アイの言葉に感銘を受けて考え方を改める。今後はデュエット曲や二人でパートを分けても違和感のない曲を作っていきながら、アイに楽譜の読み方や音楽的知識を教える。
アイが見た夢については保留中。BadEndでありそうな結末に身震いするけど、逆にアイが先に教えてくれたおかげで回避できそう。神様だから好きなように改編できるし世界線を手繰り寄せることもできちゃう。それはそうと内なる神ごときがこの私の決定を覆すとはいい度胸だな。
【一番星】
普段からずっとエルといるから逆に無表情のエルの方がめずらしい。エルが自分にだけ素を出してくれることが優越感とか独占欲とか色々ごちゃ混ぜになってるけど総じて嬉しくてたまらない。私以外に笑かけるエルは解釈違いですお引き取り下さい。大丈夫、そういうのは私がやるから。
学校行事はエルがいればやるけど自分だけなら普通にエルとの時間を優先する。仮に参加しても配役とかまじでどうでもいいし台詞覚えるのも苦手だしそもそも覚える気もない。そんな無駄なこと考えるくらいならこの後エルと何しようとか考えている方がよっぽど有意義だから。王子様を選んだのはアドリブでエルにキスできるから。この度、ものの見事に本番で台本になかったキスを決めてご満悦。キスした瞬間驚いたけどされるがままでいてくれたエルが可愛くて舌入れたくなったのを必死で我慢していた。周りの目とか気にしないタイプ。隙あらばグイグイ来る。エルの明日はどっちだ!
熱を出した時は正直つらかったけど、エルに心配されたかったからあえて言わなかったし、エルに看病されたいから魔法による治癒を拒否した。エルの反応を見て心が痛んだけど、改めて愛されてることを実感した。結果的にエルのパピコをちゅーちゅーできたし、流れでキスもたくさんできて満足。実は薬を口移しで飲まされたことはまったく気にしてないし、なんならエルが悪どい顔して後ろ向いた時点で察してた。エル、振り向く前から悪い顔してたけど、きっと気付いてないんだろうなぁ。私にバレてないって思ってるんだろうなぁ。はーかわいい♡
アイドルには興味ないけど、エルの負担を少しでも減らしたい&一緒にいたいという思いでなることを決意。夢でそう遠くない未来にエルが堕落しているのを視てトラウマになりかけた。絶対に一人にはさせない。
エルの心も体も人生もぜんぶ私のもの。だって星野アイは欲張りだもん。
【???】
同じだからこそ、誰よりも力の差を理解している。
実は対御方専用のとっておきの作戦があるが、実行するかは未定。