とある町、今日も朝日がゆっくり顔を出し、朝日が町全体に降り注ぎ始めた。
そして、その町にある2階建ての一軒家にも等しく、朝日が降り注ぐ。その一軒家の2階の一室にカーテンの隙間から朝日が差し込むが、その部屋の主は全く気にとめず、ベットの上で布団にくるまって眠っている。
するとその部屋の扉が数回ノックされる。そして扉が開き、その部屋に1人の女性が入ってくる。そしてベットの方へ向かい、
「起きなさい、起きなさい永洙。」
そう言って女性は布団にくるまっている人物を揺する。
「···う···うぅぅぅん···?」
揺すられた人物···永洙と呼ばれた少年は、目をうっすらと開けながら起き上がる。
「んんん···おはよぅ···母さん···。」
少年は目を擦りながら自分を起こした女性···母親に挨拶をする。
「おはよう永洙。早く顔を洗って公園に行く準備をしなさい。響ちゃんと未来ちゃんもそろそろ来るはずだから。」
「···うん。」
母親から要件を伝えられた少年はこくりと頷く。その様子を見た母親は歩いて部屋を出た。そして母親が出ていく姿を見届けたあと、ゆっくりベットからおり、昨日のうちに準備していた服に着替え、部屋から出る。
「ふぁぁ〜····。」
永洙は欠伸をしながらゆっくりと階段をおりていき、リビングの前を通る。
「おはよう、永洙。」
リビングの前を通った時、永洙に声がかけられる。永洙が声の方を見ると、椅子に座って新聞を読んでいる男性がいた。
「おはよう、父さん。」
声を掛けた男性···永洙の父親に挨拶を返し、洗面所へと向かう。
永洙は洗面所で顔を洗った後、リビングに入り、リビングの先にあるキッチンの方へと向かう。
「永洙、公園に行く前になにか飲む?」「うん」「何がいい?」「今日は牛乳がいい。」
そう永洙と母親が会話をして、母親はコップに牛乳を注ぎ、コップを永洙に渡す。
「ありがとう、母さん。」
永洙は一言お礼を言って、牛乳を飲みだす。
「ごめんくださーい!」
永洙が牛乳を飲んでいると、外から声が聞こえた。
「あら、この声は未来ちゃんね。永洙、行ってらっしゃい。」
「···ぷはっ。うん、行ってきます。」
永洙は牛乳を飲み干してコップを母親に渡し、玄関の方へと向かった。
そして扉を開けると、その先には一人の少女が立っていた。
「おはよう、未来。」
「おはよう、エースくん。」
永洙と少女···『
「あれ?未来、響は?」
永洙は未来にもう1人待っているはずの少女···『
「横?って、うおぉ!?」
永洙が指を刺された方を見ると、そこには家の壁に寄り添って、今にも眠りそうな響がそこにはいた。
「ひ、響···大丈夫か?」
「うぅん···へーき···へっちゃら〜···。」
永洙が響に声をかけると、寝ぼけて笑いながらそう言った。
「もう、響ったら···ほら、行こう。」
未来は響の手を掴んで立ち上がらせると、3人で家から歩き出す。3人が向かう先は、永洙の家から徒歩5分ほどで着く公園で、響と未来の家は、公園への道の途中に永洙の家があることから、何時も公園に向かう時は3人で集合してから向かうようにしている。
「うぅぅん···今日もいい天気だ〜!」
「うん···でも、どうして小学校の夏休みの宿題のひとつに、夏休みが終わるまで毎日ラジオ体操をすることが入ってるんだろう···。」
永洙が体を伸ばしながらそう言っている横で、響は目を擦りながらそう言った。そう、彼らが公園に向かう理由は、小学校から出されている夏休みの宿題のうちのひとつである、毎朝雨が降った時以外は公園に向かい、ラジオ体操をすることが宿題として入っていたのだ。響は毎年夏休みになるとこのようなことを言い出すのだ。
「仕方ないだろ。俺たちの小学校は1年生から6年生は毎年、必ずラジオ体操が夏休みの宿題になるんだから。」
響の言葉に永洙はそう返す。
「エースくんは良いよね···来年は中学生になるから···。この地獄のラジオ体操から解放されるんだもん···。」
響は肩を落としながらそう言った。
そう、永洙は来年小学校を卒業し、中学生になるのだ。ちなみに響と未来とは幼なじみだが同い年ではなく、二人は小学4年生と永洙より2つ年が下なのだ。
3人がそのような会話をしている間に公園に到着した。公園には既に何人か集まっておりしばらく待っていると、声が掛かり、ラジオ体操が始まった。
数分間ラジオ体操をした後、スタンプを持っている大人の人の方へと向かい、紙にスタンプを押してもらった後、3人は並んで帰路に着く。
「ねえねえ!今日お昼ご飯食べたらみんなで遊ばない?公園で鬼ごっことかしようよ!」
ラジオ体操ですっかり目が覚めたのか、響は元気よくそう言った。
「もう、昨日もそう言って夏休みの宿題から逃げようとしたじゃない。」
響の言葉に未来は小さくため息をもらしながらそう言った。
「ギクッ、そ、そんなことがあったけなーあはははは···。」
図星だったのか、響は目を四方八方に向けながらそう言う。
「全く、毎日毎日遊んでばかりだと、また前の年みたいにギリギリまで宿題をやってなくて、泣きながら宿題を全部やったのを忘れたのか?」
響の様子を見た永洙は響に向かってそう言う。永洙の言葉に響はしゅんとする。
「···でも、朝のうちに宿題を少しでも終わらせて、昼から遊んで気分転換するって言うのならいいんじゃないか『本当!?』お、おう。」
響の様子を見た永洙が妥協案を響に言うと、響は永洙の方へぐっと近づく。
「分かった!よーし、昼までに宿題を少しでもやるぞー!」
響は永洙の言葉にやる気が出たのか、右手を突き上げてそう言った。
「響ったら、調子がいいんだから···。」
「まあまあ、あの明るいところが響のいい所なんだからさ。」
響の様子を見て未来と永洙は笑いながらそう言った。
そんなふうに3人が話していると、永洙の家の前に到着した。
「それじゃ、また昼に会おう、響、未来。」
永洙は2人に手を振りながらそう言った。
「うん、また後でねエースくん!」
「また後でね。」
2人も永洙に手を振って別れ、永洙は家の方へと向かう。
「ただいまー。」
永洙は扉を開けながらそう言って家に入った。
「おかえりなさい永洙。」
家に入ると、永洙の母親がリビングから顔を出して出迎える。
「朝ごはん出来てるから、手を洗ってから食べに来なさい。」
「はーい。」
母親の言葉に永洙は返事を返し、洗面所へと向かい、手を洗ってうがいをしてからリビングへと向かう。
永洙がリビングに入ると、既に父親が座って朝ごはんを食べていた。永洙はリビングに入り、父親の隣の席に座り、手を合わせて「いただきます。」と言って朝ごはんを食べ出す。
「さくら、今日は会議や資料作りがないから早く帰れそうだ。」
永洙がご飯を食べていると、父親が永洙の母親···『
「そう···なら今日の夜ご飯は陽翔さんの好きな肉じゃがにしようかしら。」
「おっ、それは嬉しいな。」
さくらの言葉に永洙の父親···『
「それと永洙、今日お母さん仕事が夕方まであるから···お昼ご飯は作ってあるから、温めて食べなさい。後もし出かけるんだったらしっかり戸締りをしてから出かけなさいよ。」
「分かったよ、母さん。」
永洙とさくらが話を終えると、3人は朝ごはんを食べ終え、陽翔は自室に仕事道具を取りに行き、母親は3人分の食器を洗い出した。そして永洙は洗面所へと向かい、歯を磨く。
3人がそれぞれ自分たちがやることを終わらせて、陽翔とさくらは靴を履き、玄関の方へと向かい、永洙は2人をお見送りしようと玄関前にいた。
「「行ってくる(わね)、永洙。」」
「うん。気をつけてね父さん、母さん。」
2人が玄関から見えなくなるまで永洙は見送った後自室へと戻り、机の上に置いてあった夏休みの宿題に手を伸ばし、宿題をし始めた。
永洙が宿題をやりだしてしばらく、眠くなりだした永洙がふと時計を見ると、もう二時間が経過していた。それに気づいた永洙は休憩する為、少し仮眠をとることにした。ゆっくりとベットに近づき、布団にくるまる。そして少しすると、永洙から寝息が聞こえだした。
そしてこの時、永洙は知らなかった。
永洙が眠りから覚めた時、永洙の普段通りの日常が終わることを···。
ピーンポーン
「う···うぅぅん···?」
永洙が仮眠をとっていると、突然呼び鈴が鳴り響いた。永洙はもしかしたら響達との約束の時間まで眠ってしまっていたのかと思い、時計を見たら、眠り出してからまだ30分程しかたっていなかった。永洙がそんなことをしている間にも、呼び鈴は繰り返し鳴らされ続けられているため、永洙はベットから出て、玄関の方へと向かう。そして、玄関近くについているビデオモニターを見て、誰かが来たかを確認する。
永洙がモニターから見えたのは、玄関前に立って待っている女性の姿であった。その女性は、髪型はサイドテールにしており、左から右へと下がるようにカットされているスカートを履いていた。
永洙はその女性の姿を不思議そうに見ていたが、意を決してモニターの通話ボタンを押し、女性に話しかける。
「あ、あのー···なにか御用でしょうか?」
『突然押しかけて申し訳ございません。こちらは狐塚様のお宅でしょうか?』
「はい、そうですけど···、えっと、貴方は···?」
『実は、狐塚永洙様にお荷物がございますので、届けに参りました。』
「あっ、宅配便の方ですか?俺が狐塚永洙です。今開けますので少々お待ちください。」
永洙はそう言って通話を切り、ハンコを持って扉を開ける。
「すいません待たせてしまって···ハンコはここに···『いえ、必要ありません』えっ?」
そう言うと女性は、黄色と黒色で出来た箱を取り出し····、
「おめでとうございます!今日から貴方は·····仮面ライダーです!」
そう言って永洙に箱を差し出した。
「···えっ?急に···えっ?仮面···ライダー···?」
女性から急に言われた知らない言葉に、永洙は動揺が隠せずにいて、箱と女性を交互に見る。
「ひとまず、この箱の中をご確認下さい。横にスライドすれば、この箱は開きます。」
女性は永洙の目を見てそう言った。永洙は女性の様子を見て、恐る恐る箱を受け取り、女性の言う通りにスライドをして箱を開けた。
「これは···何だ···?」
箱の中には少し分厚い黒いスマートフォンと、真ん中に窪みがある機械、そして、まるで狐の様な絵が描かれている白い物が入っていた。
「どうぞ、手に取ってご確認下さい。」
永洙が中身をまじまじと見ていると、女性からそう声がかけられる。
そう言われた永洙は、まずはゆっくりとスマートフォンを手に取り触れてみたりするが、反応が無いため箱に戻す。次に窪みがある機械を手に取り、裏の方を見たりと確認するが、よく分からないため箱に戻す。そして次に、白い物を見てみようと、ゆっくり手を伸ばし·····触れた。
『祐太、無理をしないでね。』『祐太、ゆっくりで良いんだ。お前のやりたいことを、ゆっくりとすれば良い。』『また分からないの!?はぁ···早く見せて、さっさと教えるから。』『祐太、行ってらっしゃい。』
『お前が信じ続ければ···諦めなければ、いつか、お前の願いはきっと叶う。お前が生まれ変わった世界でできた仲間を、お前のことを信頼してくれる仲間のことを信じろ。そうすれば、お前の未来は明るくなるはずだ。』
「っ!!!???」
触れた瞬間、永洙の頭の中に多くの映像が流れ出した。その風景の中には、永洙とは全くの別人が映ったものでしかなかった。だが、永洙はその人達を知っていた。否、忘れていたのだ。その人達のことを、自分がするべきことを。
箱が地面にガシャンと音を立てて落ち、永洙はぺたりと尻もちをすいた。
「はあっ···はあっ···。」
永洙は息を荒くし、落ち着こうと深呼吸を続けている。
「思い出しましたか?狐塚永洙様···いえ、
佐伯祐太様。」
女性は永洙を真っ直ぐに見ながらそう言った。
「···貴方は···一体···誰なんですか?」
永洙···否、記憶を取り戻した祐太は、目の前にいる女性のことをを恐れながらも聞こうとする。
「申し遅れました。
私は、デザイアグランプリのナビゲーターの『ツムリ』と申します。この度、私たち運営による厳正な審査の結果、祐太様が選ばれました。よって、当選の証として、こちらの『デザイアドライバー』と『スパイダーフォン』及び、『IDコア』をお届けに参りました。
世界を守る為のゲーム、『デザイアグランプリ』の参加者として、祐太様は選ばれたのです。
世界を守る戦士の一人···『仮面ライダー』として。」
そう言って女性···ツムリは、祐太が地面に落としたボックスを拾い、再び祐太に差し出す。祐太は、ゆっくりと再び受け取った。
「明日の13:00より、デザイアグランプリの予選及び、本戦第1回戦が始まります。開始30分前になられましたら、デザイアドライバーにそのIDコアをセットし、ドライバーを腰に当てると、会場へ向かうことができます。
明日また、デザイアグランプリの詳しい説明を行いますので是非、お越しください。」
ツムリはそう言って祐太に一礼すると、玄関に向かって歩いていき、扉を開けて出ていった。
祐太は、ツムリが出ていった扉を、しばらく呆然とした様子で受け取っていたが、ゆっくりと顔を動かし、箱の中身へと視線を移す。
「デザイアグランプリ···俺が、仮面ライダー····俺の···使命···。」
祐太は箱の中身を見ながら、そう言った。
ドライバーとIDコアが届いたら、それは仮面ライダーへの片道切符。
もう 後戻りは出来ない。
次回、戦姫絶唱シンフォギーツ
「行ってくるね、父さん、母さん。」
日常との別れ···!
「少しだけ、私と話しませんか?」
ツムリとの会談···!
「それでは、デザイアグランプリ···スタートです!」
そして始まる、世界を守る為のゲーム!
第2話 誕生Ⅱ 「開幕 デザイアグランプリ」