最近、また仕事が忙しくなってしまい、小説を書く時間が取れなくなってしまいました。それでも何とか仕事の休憩時間や休日を利用して書けました!待たせてしまった皆様の期待に応えられてたなら嬉しいです!
そしてまさかの戦姫絶唱シンフォギアXDが来年サ終と言うニュースと、劇場化というニュースで感情が一度ぐちゃぐちゃにもなりました(笑)。映画化されたら必ず見に行くため、再び空いた時間内に戦姫絶唱シンフォギアを借りて全話見て復習しようと思っております!
前書きを長々としてしまい申し訳ございません!では本編をどうぞお楽しみ下さい!
前回、死んでしまった『佐伯裕太』様は、新たに『狐塚永洙』として異世界転生をしました。ですがある日、私『ツムリ』が『デザイアドライバー』を持ってきてしまったことで、物語は動き出してしまいました···。
「どうしたのエースくん、さっきからぼーっとして···大丈夫?」
突然声をかけられてハッとなり、顔を上げるとそこには心配している響の顔があった。
「えっ?あっ、ああ···大丈夫だ、最近暑いなーって思ってさ···。」
響の言葉に永洙はそう返す。だがそれは嘘だった、永洙は先程の出来事の整理がまだできていないのだ。
「そう?それなら良いんだけど···。」
響はそう言ってそれ以上言及することはなかった。
「そうだ2人とも、明日お父さんがかき氷を作ってくれるの。良かったら2人も誘ってみたら良いって言われたんだけど···響とエースさんも来る?」
すると未来がふと思い出したかのようにそう言い、2人を誘った。
「本当!?行く行く!!」
未来の提案に響は喜んで了承した。
「おっ、良いな!俺も···あっ···。」
未来の提案に永洙も了承しようとしたが、デザイアグランプリのことを思い出してしまった。
「···ごめん2人共、俺は行けない。」
「ええ〜っ!?何で!?一緒にかき氷食べようよー!」
響は永洙が未来の提案に乗らなかったことに驚いた。毎年この季節になると、決まって3人でかき氷を食べることが当たり前になっていたのだ。
「本っ当にごめん!明日、どうしても外せない用事が出来たんだ。また今度埋め合わせはするから!」
永洙は響達に頭を下げながらそう言った。
「···それなら仕方ないね。響、明日は2人で食べよっか。」
「···うん。エースくんの分まで食べちゃうから。」
永洙の姿を見た未来は響を落ち着かせ、響は渋々納得した。
「ははは···お腹を壊さないようにしろよ。」
3人が会話をしていると、突然、町に音楽が流れ出した。
「あっ、もう5時か。じゃあ2人共、そろそろ帰ろう。」
先程音楽が流れたが、この町では午後5時になると、音楽が流れるのだ。それを目安に、公園にいた他の子供達や、親子連れは次々と帰っていく。その中に3人の姿も入っていた。
「それじゃあ2人共、また明日。」
「うん、またね!」「···また明日。」
永洙の家の前に着くと3人は別れ、永洙は家の中に入り、響と未来は並んで帰路に着く。
「···はあ。」
すると突然未来がため息をついた。
「どうしたの未来、突然ため息なんかついて···?」
「···うん、ちょっとね···。」
響が様子のおかしい未来を心配すると、未来は悩んだ顔でそう返す。
「···響。私、今日のエースくんの様子を見てると···、
いつかエースくんが、私たちの手が届かない場所に行っちゃうんじゃないかって、思っちゃったの···。私の勘違いなら良いんだけど···。」
「未来···。」
未来の言葉で、永洙がいなくなる想像をしてしまった響も顔を曇らせ、沈黙する。
「···大丈夫、きっと大丈夫だよ!」
「響···?」
だが少しして響がその沈黙を破るかのように大きな声を出す。
「エースくんが急にどこかに行っちゃうなんてありえないよ!それに、さっきエースくんだってまた今度埋め合わせをするって言ってたから、その時にどうして忙しいのか理由をちゃんと聞いて見ようよ!」
大きく手を動かしながら響はそう言った。
「···うん、そうだね。また今度、エースくんに2人で聞こうね。」
響の言葉に元気づけられたのか、未来は笑顔でそう返す。
「よーし!そうと決まったら、エースくんの分まで、明日のかき氷はいっぱいたべるぞー!!」
響は大声でそう宣言し、家に向けて走り出す。響の様子を見て未来は笑いながら、響を追いかけて行った。
その日の夜、今日は綺麗な三日月が輝いていた。その三日月をとあるビルの屋上で女性···ツムリは見上げていた。
「この世界に来てから···もう2年も経つのですね···。」
ツムリはそう言って、目をゆっくりと瞑る。
「英寿様、何故急に呼び出したりしたのですか?」
ある日、突如ツムリは英寿に呼ばれ、英寿の元へと向かった。そこには、神妙な顔をした英寿が居た。
「ああ···姉さん、まずこれを見てくれないか?」
そう言って英寿はツムリにタブレットを渡す。
「少し前に、パンクジャックと纏めた情報だ。」
ツムリが情報を見ているそばで、英寿は情報を共に纏めてくれた人物の名前を出す。
「····このリストは?」
しばらく情報を見ていたツムリから、そう言葉が出てきた。
「そのリストは···、
『スエル』と共に消滅した、デザイアグランプリの運営のネームリストだ。」
『スエル』、その名前をツムリは忘れるはずがなかった。そのスエルとは、数年前に敵対し、戦い、英寿とその仲間達ともに打ち破った敵なのだから。
「ですが、何故今更その情報を?」
だがここで疑問がひとつでてきた。何故今になってこの情報を伝えてきたのか。スエルを倒した後、これまでのデザイアグランプリのデータを全て解析したはずだったのだ。
「···俺も最初は気づかなかった。でも、この前パンクジャックとこの情報を見直していた時に、ふと違和感を感じたんだ。姉さん、リストの最新更新日を見てくれ。」
英寿からそう言われて、ツムリはリストに目を向ける。
「この日付は···、
英寿様が創世の神になり、世界を作り替えた日と、同じ日付···?」
「ああ、だが可笑しくないか?あの日の戦いで、運営は全て消滅したはずだ。だが、あの日にこのリストは更新されている。あの時の運営にこのリストを更新する余裕なんてなかったはずだ。じゃあ何故更新されたか···俺の推測だが、
運営とはまた別の第三者が、このリストを書き換えたということになる。」
英寿の言葉に、ツムリは驚く。
「一体誰が、何のために···?」
「それは分からない、だから、一か八かで未来のことを知っている、ジーンとキューンにこの情報を渡して聞いてみた···だが、2人からは情報は聞き出せなかった。それが約2ヶ月前の出来事だ。
だが、1週間前に一度調べに未来に帰ると言って、未来に帰ったジーンが帰ってきた。
あのリストを書き換えたと言った未来人を連れてな。」
「そ、それは本当ですか!?」
「ああ。それでその未来人が言うには···『ボクは頼まれたからやった。その後のことはしらない。』···とのことだ。そしてその未来人から書き換える前のリストを入手することが出来た。それがコレだ。」
英寿はそう言ってもう1つのタブレットをツムリに渡す。受け取ったツムリは先程のリストと見比べる。···そして気づいた。己が知っている名前の欄に、『回収成功·生存』と書かれていたのだから。
「あの未来人、上手く隠したみたいだな。俺も、もっと早く気づいてたらと思ったよ。
まさか···『サマス』が生きているとはな。」
『サマス』、その名前もツムリは知っている。ツムリもあの時の世界を創り変えた時に、運営と共に消滅したと思っていたのだ。
「では一体、彼女は何処へ···?」
「それは俺にも分からない。ただ、ジーンがあの未来人から話を聞いていると、その書き換えを依頼した奴が言ったらしき言葉を聞いていたそうだ。
『俺は創り上げてみせる、俺の世界を!俺が望む世界を!!そして俺を嘲笑い、切り捨てた運営に見せてやる!俺のゲームを!俺の望む···最っ高のゲームを!!!だがその為には、あの戦士共がいない世界を見つけなくてはならない···だから行くぞ、この世界を捨て、新たな世界へと!!』···とな。」
英寿から聞いた未来人の依頼主の言葉の意味を考える。
「···もしや戦士共とは、仮面ライダーのことでしょうか?」
「間違いないだろうな。そして、この世界を捨て新たな世界へと、と言う言葉の意味は恐らく、そのままの意味だ。
奴らは俺たち、『仮面ライダー』という存在がない世界に侵攻しようとしている。もしこのまま手を打たなければ、その世界は奴らの物になるかもな。」
英寿の言葉に、ツムリは焦りの表情をみせる。
「ならば、急いで探さなければ···でも、どうやって···?」
「フッ、心配するな。この一週間、俺が何もしなかった訳ないだろ。」
ツムリの様子を見た英寿はフッと笑いながら立ち上がり、右手で指を鳴らす。
すると突然、英寿の横に白い光で出来た渦が出現した。
「英寿様、これは一体···!?」
「俺は今日までの数年間で、創世の力を自在に使うことができるようになった。だからこの力を応用し、異世界への扉を創った。だが、異世界も無数にあって、姉さんを呼び出す一時間前にようやく見つけたんだ。お陰で寝不足だ。」
英寿はそう言って欠伸をする。
「なら、その渦を通れば、彼女たちがいる世界へと行けると···。ならば、直ぐに景和様達をお呼びし、皆さんで『駄目だ。』···なにか理由があるんですか?」
ツムリの提案を、英寿は言葉を遮るような形で止め、もう一度指を鳴らして、光の渦を消す。
「···先程、俺とジーンでこの渦に入って向こうの世界へ一度行って来た。そして、少しの間実験をしてから帰ってきたら、たまたまタイクーンが来ていてな。パンクジャックと共に通れるか試してみた。
だが···2人共通ろうとしたら渦に弾かれてしまった。その後に変身した状態で通れるか確認したが、それでも入ることは出来なかった。このことから考えるに···先程の渦は、この世界の人間は通ることが出来ないんだ。つまり、向こうの世界に行けるのは···俺を除けばツムリやジーンを含む未来人だけだろう。」
「そんな·····ですが、英寿様が行けるならば···創世の神の力で、世界を創り変えられるのでは···?」
「····ああ。確かに俺は創世の神だ····、
だが俺は、神であっても向こうの世界の神じゃない。
確かに向こうの世界に俺は行ける···だが、向こうの世界で俺は···創世の力を使うことが出来なかった。」
英寿の言葉にツムリは驚きを隠せなかった。頼みの綱であった英寿の創世の力を、向こうの世界では使えないのだから。
「では、一体どうしたら···?」
「···姉さん、俺は考えたんだ。俺は向こうの世界の神ではないから、創世の力を使うことが出来ない···、
だがもし、向こうの世界で俺と同じ創世の力を持った人間が生まれたら···ってな。」
「英寿様、それはどういう···まさか!?」
英寿の考えていることに気づいてしまったツムリは、激しく同様する。
「···流石姉さんだ。何年も一緒に居たなら、俺の考えてることもお見通しか。
そうだ。俺の創世の力を持った人間を、向こうの世界で産まれるようにする。俺の創世の力を使ってな。」
「ですが、それは!『分かっているよ、姉さん。』···っ。」
ツムリはその先の言葉を言おうとしたが、英寿の目を見て言葉が詰まってしまった。
「···俺がこれからやろうとしているのは、その人の人権を無視し、重い宿命を背負わせてしまう最低な行為だってことも分かっている。だが···これしか···今の俺には、この方法でしかあの世界を救う方法が思い付かなかった···。」
そういう英寿は、血が滲む程両手を握りしめ、悔しさを一切隠さず顔に出す程であった。
そんな英寿の様子を見ていたツムリは、英寿の側へ向かいゆっくりとしゃがみ、英寿の両手を優しく自身の両手で包む。
「貴方の覚悟はよく分かりました···、
ならば私もその罪を受けましょう、英寿。」
ツムリは英寿の両手を握り、英寿の目をしっかり見てそう言った。
「ツムリ···。」「おいおい、まさか2人だけでやろうってわけじゃ無いよな?ギーツ、ツムちゃん。」
すると突然扉が開き、そこから一人の男性が歩いてくる。
「パンクジャック。」「晴家ウィン様。」
英寿とツムリは入ってきた男性···『
「水臭いぜ2人とも、これまで一緒に戦ってきた仲だろ?俺も手伝うぜ。」
ウィンは笑いながらそう言って、英寿の肩に手を置く。
「お前···『おっと、手伝いたいって言っているのは俺だけじゃないぜ。』」
英寿がウィンに向けて言葉を発しようとすると、ウィンはそれを遮り、更に協力したいという人物がいることを言う。するとすぐに扉が開き、また一人の男性が入ってきた。
「パンクジャックから面白そうなことをしようとしていることを聞いてね、僕も駆けつけさせてもらったよ。」
「お前は···ナッジスパロウ。」「五十鈴大智様!」
入ってきたの男性···『
「ギーツ、君には僕の夢を手伝って貰っている借りがある。だから今回の件を手伝うということで、借りを返させてもらおう。」
大智は微笑みながらそう言った。
「パンクジャック、ナッジスパロウ···分かった、お前らの力も借りるとするよ。」
その言葉にほかの二人はフッと微笑み、ツムリは優しく微笑む。
「だがはっきり言ってこの人数じゃ足りないな···、
だが、俺にジーン以外で後2人だけ、協力してくれそうな人物を知っている。」
英寿の言葉にツムリは首を傾げる。
「一体、何方のことなのですか?」
「それは内緒だ。まあ、一人はしっかりと交渉しなければいけないがな。」
英寿は微笑みながらそう言った。
それから数ヶ月程かけて四人で情報を集めたり、英寿が呼んだ二人の協力者にツムリがとても驚いていた事など、様々なことがあった。そして最後に、英寿がとある一人の男の魂を転生させることによって、向こうの世界へ行く準備が整い、ツムリ達は向こうの世界へと転移した。
転移に成功したツムリ達は、2年近くかけて転移した世界のことを調べ上げ、そして明日、デザイアグランプリの開催までいくことが出来た。
ツムリは今日までのことを思い出しながら、ゆっくりと目を開く。
「英寿様···今回のデザイアグランプリは、必ず成功させてみせます···!」
ツムリは誓うように、月を見上げながらそう言った。
「ハンカチはある···ポケットティッシュも···うん、これでよしっと···。」
そう言いながら一人の子供、永洙はデザイアグランプリの準備をしていた。そして準備が終わった永洙は身だしなみを整え、時計の方を見る。
「12時27分···あと3分で始まるのか···。」
時計を見てそう言った永洙は自分の机の方へと向かい、机の引き出しを引き、そこからとある物を取り出す。
それは、少々錆びている一枚の金貨だった。その金貨は四年前、永洙が8歳になった時、響と未来と一緒に遊んでいた時に偶然拾った物だった。その時の永洙は綺麗な物だったから喜んで持って帰り、家族に見せた後に永洙の宝物になった物であった。
そして永洙はその金貨を見ながら自身の父親と母親、そして親友の響と未来のことを考えていた。
すると突然、目覚まし時計が鳴り出した。それを見た永洙は金貨を引き出しに戻しゆっくりと目覚まし時計を止め、机の上に置いていたデザイアドライバーとIDコアを手に取る。
そしてIDコアをデザイアドライバーの真ん中にある窪みにはめる···。
『ENTRY』
IDコアをはめた瞬間、デザイアドライバーから音声が流れて永洙はビクッとする。そしてゆっくりとデザイアドライバーを腰の方へと近づけ、腰に当たる寸前の所で止め、一度深呼吸をする。
「行ってくるね、父さん、母さん。」
永洙はそう言ってデザイアドライバーを腰へと当てる。
するとデザイアドライバーからベルトが出現し、自動で永洙の腰に巻かれる。そして永洙は光に包まれ···永洙は部屋から消えた。
「···ん?うおっ!?」
転移した永洙が初めて見たのは、どこまでも広がる青空だった。永洙は自分が一瞬で外に転移したのかと思っていたが、地面を見るとそこには赤色で『DGP』と描かれたロゴがある床だった。
「一体ここは何処なんだ···?それに、他の人は何処にいるんだ···?『お待ちしておりました、狐塚永洙様。』ん?あっ、ツムリさん!」
永洙がキョロキョロと周りを見ていると、後ろから永洙を呼ぶ声がして、後ろを振り返ると、そこにはツムリが居た。
「時間通りに来て下さり、誠にありがとうございます。」
そう言ってツムリは永洙に頭を下げる。
「あのーツムリさん?他の参加する人達は何処にいらっしゃるのでしょうか?」
永洙は恐る恐るツムリにそう聞く。その様子を見たツムリはクスリと笑う。
「そこまでかしこまらなくても構いません。好きなように話しかけ下さい。それで質問の答えですが、他の参加者はまだこちらに来てはおりません。」
「えっ?でもツムリさんが30分前に来て欲しいって···。」
「他の参加者の方々は、始まる10分前に来てもらうように言っているので、必然的に永洙様だけがここに来るようになっていたのです。」
「はあ···でも一体何故俺だけ···?」
「その事で永洙様···少しだけ、私と話しませんか?」
ツムリは優しく笑いながらそう言った。
「こちらへどうぞ。」
永洙がツムリに案内され、入るように言われた部屋に入る。
「うおおお!?こ、此処は···!?」
永洙が案内された部屋は、とても広く、永洙にとっては豪華な部屋だった。
「此処は本来、予選を突破した仮面ライダーが待機する部屋となっています。ですが今回は特別に永洙様と話せるように開けて頂きました。」
そう言ってツムリは部屋に入る。
「どうぞこちらにおかけください。」
「あっ、はい···。」
永洙はツムリに案内されたソファに座り、ツムリはその対面にあるソファに座る。
「それで、話したいという事は···?」
「そうですね。では、単刀直入に聞かせてもらいます。
何故デザイアグランプリに参加なされたのですか?」
「えっ?何故ってそれは···。」
「もしも、仮面ライダーとなり世界を救うことが使命と考えるならば、今すぐこのデザイアグランプリから辞退することをオススメします。貴方は分かっているはずです。仮面ライダーになるということが、どれ程危険だということに···。」
ツムリの言葉に永洙は顔を下げ、黙り込む。
(···やはり、佐伯裕太様には荷が重いことだったのではないのでしょうか···。それに精神は大人でも、体は子供の状態···出来ることが限られてしまいます。)
そしてしばらく黙っていた後、ゆっくりと永洙が顔を上げる。
「···確かに、ツムリさんの言う通りです。俺は仮面ライダーになって、この世界を救うことが使命だと考えています。
それでも、俺は仮面ライダーとして戦いたいです。」
そう言う永洙の目には、確かな覚悟が宿っていた。
「···分かっていられるのならば、何故戦おうとするのですか?」
「···俺は、明日を守りたいんです。父さんや母さん、響や未来がいるそんな明日を。確かに、今の俺の体じゃできることも限られてしまうでしょう。でも、俺はそのことを戦えない言い訳にしたくない···それに、俺の知っている仮面ライダーが言っていたんです。
···『手が届くのに、手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それがいやだから手を伸ばすんだ。』って···だから、俺は仮面ライダーとして戦いたいんです·····まあ、憧れの仮面ライダーになったからって理由もちょっとはありますけど···。」
永洙は覚悟を決めたように言っていたが、最後の方で苦笑いをしながらそう言った。
「···そうですか、それがあなたの戦おうとする理由なのですね。」
「はい。」
「···ならば、私から言えることはもうありませんね。」
ツムリは微笑んでそう言った。そしてほぼ同じタイミングでスパイダーフォンからアラームが鳴り出す。
「···どうやら、話が出来るのはここまでのようですね。永洙様、お手持ちのスパイダーフォンの左から二番目の列の上から二番目のアプリをタップするとロビーへと転移することができます。それを使ってお戻りください。」
「色々とありがとうございます、ツムリさん。あっ、あとそれと···
···俺が戦えるというのを証明してみせます、だからしっかりと見ていて下さい、それでは。」
永洙はそう言ってツムリに一礼をしてアプリをタップし、部屋から永洙は消えた。
「···はい、貴方様の戦いを、しっかりと見届けます。」
ツムリは永洙が消えた場所を見ながらそう言った。
「見ていて下さいか···。」
とある薄暗い一室で、一人の人物がそう呟いた。この人物は先程の永洙とツムリの会話を、永洙が座っていたソファの下に隠していたスパイダーフォンを通じて聞いていたのだ。
「ああ、是非君の活躍を見させてもらうよ···!それにしてもボクの知らない仮面ライダーの言葉か···あああ!!知りたい!!狐塚永洙!!彼の知っている仮面ライダーのことを全て知りたい!知り尽くしたい!!!」
部屋にその人物の大きな声が響く。だが、その言葉が外に漏れることは無く、その人物の思惑を知るものは、誰もいない···。
「···おお。」
永洙が最初に着いたロビーに戻ると、そこには既に人が居た。永洙が周りを見渡すと数人と目が合うが、すぐに目を逸らされてしまった。そして永洙は今いる人数を数えると、そこには自分を含めて八人いることが分かった。
少しお腹が出ている男性、眼鏡を掛けた大学生位の男性、スパイダーフォンをいじり続けている金髪の女子高生、体型が細く不健康そうな雰囲気の男性、スキンヘッドで体ががっちりとしている男性、天然パーマのイケメンな男性、そして永洙とあまり変わらない身長の髪を伸ばした男性が、現在ロビーに集まっている。
永洙は7人をぐるりと見た後、髪を伸ばした男性と大学生位の男性の丁度間の空間へと向かい、開始まで待つことにした。
しばらく待っていると、ロビー中央に誰かが転移して来た。その人物は先程二人きりで話したツムリであった。
「今回のデザイアグランプリに参加される皆様、説明を致しますので私の周りにどうぞお集まり下さい。」
ツムリの言葉に永洙含めて8人はツムリを囲むように集まる。
「皆様、改めて今日はようこそ、デザイアグランプリへ!私はデザイアグランプリのナビゲーター、ツムリと申します。以後、お見知り置きを。」
「なあ、さっきから言っているがデザイアグランプリって何だよ?」
ツムリの言葉にスキンヘッドの男性がそう言う。
「お、俺たちに何をさせようって言うんですか···?せ、世界を守るためのゲームと言っていましたけど···お、俺は信じてませんからね···!」
「てゆーか良い男が2人くらいしか居ないんだけど···帰ってもいい?」
スキンヘッドの男性に続くように身体が細い男性と金髪の女子高生がそう言う。
「まあ三人とも、一回落ち着いた方がいい。帰る帰らないを決めるのは、彼女の話を聞いてからにしてもいいと僕は思うんだ。」
そんな3人に向かって大学生位の男性がそう言う。
大学生位の男性の言葉にスキンヘッドの男性は舌打ちをしてツムリの方へ向く。残りの2人も無言でツムリの方へと向いた。
ツムリは一度周りを見渡したあと、喋り出す。
「では、デザイアグランプリについて説明をさせて頂きます。今、私たちの世界は、未知の敵によって危機にさらされています。何処から来るのか、何が目的か全く分からない、そんな存在から世界を守る為に作り上げられたのが、デザイアグランプリなのです!」
ツムリからの説明を真剣に聞いていた永洙は、ふと周りを見て見ると、ポカーンとしている人が4人、余裕の雰囲気を出し微笑みながら聞いている人が1人、ツムリの話を聞いて何かを考えている人が1人、ただ黙ってツムリの話を聞いているのが自分と髪を伸ばした男性の2人と、周りの状態はそういう雰囲気だった。
「···皆様、『何だそれは?』とお思いになられるのは無理もありませんね。私たち、デザイアグランプリ運営が作られたのは今から約2年前···、それにデザイアグランプリは今日、初めて開催されたのですから。そして···皆様は選ばれたのです!初めてのデザイアグランプリの参加者に···仮面ライダーに!」
ツムリは笑顔でそう言った。
「ちょっと待ってくれよ!俺たちが仮面ライダーと言ったけどよ···一体俺たちに何をさせる気だよ!」
ツムリの言葉に、少し太った男性がそう大声で言う。
「皆様はこれから仮面ライダーとなり、先程私が説明した未知の敵と戦って頂きます。そして、デザイアグランプリの予選を含めた全4ステージを最後まで残り、最後に勝ち残った1人だけが、我々運営が用意した、豪華な景品を受け取ることが出来ます!」
ツムリは片手を上げてそう説明する。
「豪華な景品···世界を守るためのゲームなんだ!もしかしたら、一生遊んで暮らせるくらいの金か!?」
「そ、それとも···世界中の美味い食い物とか!?」
ツムリの言葉にスキンヘッドの男性と太った男性が食いつく。
「お2人共の予想は、半分当たっています。ですが、我々が用意している景品はそんな物ではございません。」
ツムリがそう言うと全員が口を閉じる。
「私たち運営が用意した景品は、通称『デザ神』の称号と···、
『何でも願いが1つ叶えられる理想の世界』となっています!」
『『『っ!!??』』』
ツムリから言われた景品の内容に、8人全員に衝撃が走る。
「な、何でも願いが叶えられるというのは···ま、まさか···!?」
ツムリの言葉に身体が細い男性が動揺しながらそう聞いた。
「はい、そのまさかです!先程仰られたお金も食べ物も、一生働かなくて良くなったり、理想の相手がいる世界も、そして···死んだ人が生き返った世界も、デザ神の思い通りです!」
ツムリの言葉に周りの人は自然と笑顔になり、盛り上がっていく。
だが、その中で永洙は笑っていなかった。何でも願いが叶う···それはつまりこの世界を滅ぼすための願いも叶えられるという事を、永洙は気づいていた。永洙は再び周りを見渡すと、永洙の他に3人···大学生位の男性、イケメンの男性、そして髪を伸ばした男性が何かを考えているようだった。
「それでは皆様、これから点呼をさせて貰います。運営が決めた仮面ライダー名を言った後、皆様の名前を呼ばせて頂きます。もし、返事をしなかった場合、その時点で参加を辞退するとみなし、即退場とさせて頂きます。」
ツムリの言葉に周りは一瞬で静かになる。
「ではお呼びしていきます!
『仮面ライダーブートン』、『
返事をしたのは太った男性だった。
「続きまして『仮面ライダーマンダ』、『
続いて返事をしたのは身体が細い男性だった。
「『仮面ライダーバッファ』、『
少し遅れて返事をしたのは髪を伸ばした男性だった。
「『仮面ライダーダイル』、『
次に返事をしたのはスキンヘッドの男性だった。
「『仮面ライダーラドール』、『
元気よく返事をしたのは金髪の女子高生だった。
「『仮面ライダートータル』、『
返事をしたのは大学生位の男性だった。
「『仮面ライダークック』、『
少しカッコつけて返事をしたのはイケメンの男性だった。
「そして最後に···、
『仮面ライダーギーツ』、『狐塚 永洙』様。」「はい!」
最後に呼ばれた永洙は、大声で返事を返す。
「皆様の返事を聞けた為、これよりデザイアグランプリを開始します!」
ツムリが笑顔でそう言った瞬間、参加者8人の体が光に包まれ、ロビーから消えた。
「お、おお!?」
永洙が転移され、永洙の目に入ってきたのは辺り一面森の景色だった。永洙は周辺を見ると、他の参加者もおり横一列に並んでいるようだった。
「てゆーかなんで私の服変わってんの!?」
他の参加者と一緒に周りを見渡していると突然、菜々子がそう言った。
その言葉に永洙も自分の服を見ると、転移する前には着ていなかった黒色と紺色のハーフデザインのジャケットと黒色のパンツを着ていた。そしてジャケットの左腕には『DGP』とデザイアグランプリのロゴが入っていた。
永洙がジャケットのファスナーを下ろすと、永洙が着ていた服が見えた。どうやら永洙達が転移する時に永洙達の服の上から着せたようだった。
「すっげぇぇぇ····!!」
永洙はそのことに気づくと目を輝かせてそう言った。謎の技術に驚いたのもあるが、一番の理由は服にあり、永洙は前世から今着ているジャケットやパンツみたいな服が好きだったのだ。だから永洙は今年相応に喜んでいる。
「皆様、これよりデザイアグランプリの予選を開始致します!」
永洙が喜んでいると、森にツムリの声が響く。参加者全員が周辺を再び見渡す。すると突然、周辺の背の高い草むらが揺れ動き出す。永洙達が草むらに注目していると、そこから音を立てて何者かが出てきた。
『『『ジャ、ジャ〜、ジャ···。』』』
それは今までに見たことも無い異形の怪物であった。まるでチェスのポーンのような印象を持つ植物が人型になったような怪物が永洙達の周辺に現れたのだ。
「うわあああぁ!!な、なんなんだよ此奴ら!」
「何だ、こいつらは···?」
晴生が悲鳴を上げ、道長が怪物を見ながらそう言った。
「今皆様の目の前に存在するのは、私たち運営が事前に準備をした仮想敵···『ジャマト』です。予選ではまず、彼らと戦ってもらいます。」
ジャマトと呼ばれた怪物を永洙達は見つめる。ジャマト達は武器を持っていたり、持っていない奴が存在していた。
「それでは、予選のルールを説明させて頂きます。その為にまずは参ります!」
先程まで永洙達がいたロビーにいるツムリはそう言うと、右手を左に突き出し、左手を握りしめ腰に当てる。そしてゆっくりと右手をゆっくりと時計回りに動かし、素早く左手を右に突き出すと同時に右手を握りしめ腰に当てる。そしてツムリは息を吸い····、
「『変身』!!」
そう大声で言った。
すると永洙達の腰の周りにIDコアのようなエフェクトが現れ、上下に別れて行く、そして永洙は全身に何かを纏ったような感覚がした後、頭に何かが装着された。
「な、何が起こったんだ!?」
永洙は自分の顔をぺたぺた触りながらそう言った。そして再び周りを見ると、他の参加者も同じようになっていた。
薄いピンクに小さなキバが付いている豚のマスクの『仮面ライダーブートン』。
茶色と黒色の鱗のようなもので覆われた蛇のようなマスクの『仮面ライダーマンダ』。
大きな角が特徴の紫色の牛のようなマスクの『仮面ライダーバッファ』。
濃い緑色の鱗でワニを象っているマスクの『仮面ライダーダイル』。
薄黄色の犬のマスクに、頭には耳のような物が付いている『仮面ライダーラドール』。
頭頂部以外が水色の鱗が周りに付いている亀のようなマスクの『仮面ライダートータル』。
青をメインとしたカラフルなトサカを持つクジャクを象ったマスクの『仮面ライダークック』。
そして他の参加者を見た後、永洙は持っていたスパイダーフォンの電源を入れ、カメラアプリを起動し内カメラにする。
するとそこには白色が基本で赤色のラインが耳と口の周りに引かれたキツネを象ったマスクを付けた存在·····『仮面ライダーギーツ』がそこにいた。
「これが···俺···。」
永洙がスパイダーフォン越しに自身が変身した仮面ライダーギーツを見ていると、再びツムリの声が響く。
「参加者の皆様が『エントリーフォーム』に変身するのを確認致しました。それでは改めて、予選の説明をさせて頂きます!」
ツムリがそう言うと、森の奥から何かを持っているジャマトが出てきた。
それはピンク黒で出来た永洙に届いたデザイアドライバー等が入っていた箱とそっくりな物であった。
「今皆様の目の前に現れたジャマトが持っている『ミッションボックス』をジャマトから取り返し、制限時間30分以内に再びこの場所へと戻ってくればミッションクリアとなり、予選通過となります!」
ツムリがそう言うと、ボックスを持ったジャマトはボックスを抱えてそのまま森の奥へと走っていった。
「ただし、ミッションボックスを持っているジャマトは全部で『7体』となっております。その為、最低でも1人は予選敗退となります。もし制限時間内にこの場所へ戻ってこなかった場合、またはジャマトにやられてしまった場合、更に取り返したミッションボックスをその場で開けてしまった場合でも、その時点で予選敗退となってしまいますのでご了承ください。更に制限時間が5分過ぎる事に、ミッションボックスを持っていないジャマトを10体ずつ増やしていきます。そして残り5分前になった時は、普通のジャマトよりも強力なジャマトが出現するようになっていますので、どうぞお気をつけ下さい。」
ツムリがそう言い終わると、空に各ライダーのクレスト、そして『30:00』と制限時間が表示された。
「それでは皆様···!」
その言葉と同時に各ライダーは構える。
「只今より···!」
多くの欲望が渦巻く、世界を守る為のゲームが···、
「デザイアグランプリ·····スタートです!」
「「「うおぉぉぉぉーー!!!!」」」
今、幕を上げた···!
最後まで勝ち残った者は
理想の世界を叶えられる
ただし
何事にも例外はある
次回、戦姫絶唱シンフォギーツ
「人を簡単に信じてしまうと、痛い目を見るのさ。」
波乱の予選···!
「まだだ···絶対に諦めてたまるか!」
永洙は勝ち残れるのか···!?
「アレが、私達が戦うもう1つの敵···、」
そして始まる本戦の敵は···!?
第3話 誕生Ⅲ 「奪え、ミッションボックス」