色々と間違ってる異世界サムライ   作:モッチー7

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第11話:ギンコ、異世界で城を建てる

ノノ・メイタperspective

 

僕は、ツキツバさんが引き受けたデスアント退治に同行する事になり、ジョナサン社長に案内されて王都からそれほど離れていない森に到着しました。

「私は表向き運送会社の社長だが、実は陛下直属の諜報員なんだ。この事を知っているのは一部の人間だけでね、ロアーヌ伯爵もその1人なんだよ」

……ジョナサン社長が何か凄い事を言っておられますが、話が大き過ぎるので無視する事にしました。

「なるほど、忍びの者でしたか。ただの商人にしては良い動きをしておりました故」

……ツキツバさんレベルともなると、そう言う事まで解っちゃうのねぇ……

はぁ……早く僕もレベル100以上になりたい。

実際、僕がツキツバさんの役に立っているのは、

 

経験値倍加・全体【Lv50】

スキル経験値倍加・全体【Lv50】

レベル上限40倍・他者【Lv50】

 

の3つが有るからだけで、戦闘面はてんで駄目……

もしもの時は、ツキツバさんが蓄積した経験値を経験値倍加・全体【Lv50】で解き放ってツキツバさんのレベルを激増させるって最終手段もありますがね……はは……

「して、そのですあんととはどの様な連中なのですか?」

「何だと!?」

今の発言にはびっくりだ。

この世の中でデスアントを知らない人間がいたなんて。デスアントの危険性は子供でも理解しているはずなのだが。

ツキツバさんって、やはり別の世界から来た人って事?

これが終わったらきちんと話をするべきだろう。

「止まれ。ここから先はアントのテリトリーだ」

「てりとりい?つまり、この先がですあんとが支配する敵地……で、よろしいのですかな?」

「……そうだ。悪く思うな。私は君と違ってまともにやり合えるほど強くはない」

「そう言ってくれると寧ろ助かる」

……じゃあ……僕は何なんですかねぇ……

それより、ロワーヌ様は手紙に一体なんて書いたんだよ。もしツキツバさん達が期待に応えられなかったらこの国は終わりだったんだぞ。

「む?」

ツキツバさんが何かに気付いて茂みの方を視た。

「そこにいるのは誰だ!?」

前方の茂みで黒色の生き物が動いている。

大きさは1mほど、蟻をそのまま大きくしたようなアレこそデスアントである。

ツキツバさんが聖剣を抜こうとするが、デスアントは直ぐに逃げ出した。

そうでした……ツキツバさんのレベルは300でしたね。

で、セツナさんがそれを観て提案する。

先程のデスアントを尾行しよう……と。

「つまり、先程の者はですあんと側の偵察でしたか?」

……なるほどね。そうすれば、茂った森の中でデスアントの巣を探す手間が省けるって事ね。

 

セツナperspective

 

「やっぱり狭いな。人が入るにはギリギリだな」

デスアントの巣穴は直径1メートル強。2匹の蟻がすれ違うのでやっとくらいの大きさだ。

幸い、こちらの武器は小さい物ばかりだから助かるが、容易に挟み撃ちにされる危険性が高い。

出来る事なら広い所で戦いたいが、女王はデスアントの核となる存在。そう簡単に奴らが女王を最深部から出すだろうか……

うーんどうしたものか……

「ちょいちょいちょいちょい!ちょい!」

「如何なされた?ここがですあんとが掘った地下通路ではないのですか?」

いや、そうだけども!

ツキツバさん、まさか本気で無策でデスアントの巣穴に突っ込む気ですか?

下手したら死ぬって!

「まさかと思うが……立つ塞がるデスアントを全部殺す気か?」

「そうですが。これは合戦ですぞ!」

いやそうだけどさ!本当にたった2人で全てのデスアントと戦う気か!?

あーーーーー!もっと簡単に女王と戦える方法は無いものかぁーーーーー!?

困ったな。直接対決できれば全て解決なんだが―――

「これがもっと広々としたダンジョンだったら良かったのにね?」

……ノノ……ナイスアイデア!

そうだよ!ルンタッタ迷宮でダンジョンを貰ったんだった!

巣穴に手を向けて念じる。

 

《報告:デスアントの巣を取り込みダンジョンにする事が可能です》

 

マジかよ。本当にできた。なんでも試してみるものだ。

さっそく巣穴をダンジョン化させるぅ……

……ここで1つの大問題が発生した。

 

月鍔ギンコperspective

 

ノノ殿とセツナ殿がですあんとの地下通路をだんじょんに変えてやろうと試みた様ですが……

「……ダメだ……ルンタッタのダンジョンしか経験してないから……」

「……奇遇だな……私もだ……」

どうやら、2人共だんじょんについてあまり詳しくない様です。

で、

「ツキツバさん……お願いできますか?」

は!?

ちょっと待って貰おう!

某はこの世界に来てどのくらいの月日が経った!?

と……言いたいところだったのですが……

「ツキツバ……お前はあっちの世界でそう言うの経験豊富だろ?」

……正直言って……某も全く無い!

ここはやはり、素直に地下通路に入って立ち塞がる者全てを……

……待てよ。こう言うのは城でも良いのか?

と言っても、幼き頃に読んだ兵法書に攻城戦と籠城戦の極意を学び、関ヶ原で西軍に味方した大名の城に先鋒隊として集結し、辻斬りの真似事の合間に江戸城を遠くから観たのみ。

果たして……出来るか……

すると、大地震が起き、その地震の揺れに呼応するかの様にこれまたご立派な天守を備えた平城が某達の目の前に出現した。

「これは……これがツキツバがいた世界の建物なのか?」

「そうです。これこそが戦の要である城です」

「城!?それにしては……(一部を除き)平たくない?」

「いや、こちらの世界の建物が高くて色鮮やかなだけでは?」

ま、敵方の狭い地下通路を突き進むよりはマシと言う事で、枡形虎口を通って出来たばかりの平城に入りましたが、

「デスアント共が大混乱してるぜ……」

それはそうだろう……自分達がせっかく掘り進んだ地下通路が一瞬で五重六階の天守を備えた平城になったのだ。驚かん方が異常と言えましょう。

「とは言え……これ全部倒すの?」

確かに。ノノ殿の言う通り、たった3人でこの数を捌かなくてはならないのです。

これなら、やはり素直にですあんとの地下通路に突っ込む方が得策では?

「そうですなぁ……このだんじょんと言うモノは、作った者に何か恩恵をもたらさぬものなのでしょうか?」

すると……先鋒隊の様な粗末な具足を着た複数の骸骨が出現し、彼らは進んでですあんとに果敢に立ち向かいました。

それはまるで、誇りの為に命を擲つ一兵卒の様でした。

「すごーい!」

「この様子ならしばらく放置していれば駆逐されそうだな!?」

ならば!某がするべきはただ1つ!

「いきまする!この合戦、某達も加わりますぞ!」

「行くって!?解るのか!?女王の居場所が!」

「目指すは本丸御殿!其処こそが敵大将の居住する館でございまする!」

「ほんまるごてん?あの変わった形をした塔の事!?」

「いえ!天守は絢爛豪華な物見櫓の様な物で、もしもの時はその天守に御大将が籠城するのです!」

「じゃあ!そのホンマルゴテンってどこなんだよ!?」

「天守の隣にある大きな館!それが本丸御殿でござりまするぅー!」

 

セツナperspective

 

ツキツバの案内の下、私達は立つ塞がるデスアント達を変わった鎧を着たスケルトン達の力を借りて倒しながらホンマルゴテンなる館を目指していたんだけど……

「あそこです!あれこそがこの城の本丸御殿です!」

そのホンマルゴテンと呼ばれる平たい館から複数のスケルトンが飛んで来た。

……どうやら……少し遅れてやって来た女王に戦いを挑んで、力及ばず吹き飛ばされた様だ。

「貴様等かぁー……我らの巣を滅茶苦茶にした連中はぁーーーーー!?」

ツキツバのダンジョンは巣穴を取り込んだ。

この状況でも逃げるのではなく怒りを露わにしている。女王らしくプライドが高いのか、牙を鳴らし威嚇する。

「ノノ、どいてろ」

私がノノを後ろにどかすと、複数のスケルトンがノノの目の前に躍り出る。まるで私達を護る様に。

だが、女王が吐いた液体を浴びたスケルトンがジュワーっと言いながら白煙を上げて少しずつ溶けた。

「毒……!?蟻酸か!」

「鋼をも溶かす溶解液だ!触れば骨まで溶けるぞ!?」

が、ツキツバが凄いのか聖剣が凄いのか……ツキツバは剣をクルクル回しながら襲い掛かる蟻酸を全部斬り飛ばしてしまった。

「何ぃぃー!?回転で全てはじき飛ばされた!」

で、ツキツバは冷徹に宣言する。

「そなたが本当にですあんとの総大将であるなら……その首、貰う!」

「クソがアァーーーーー!」

怒り狂う女王とツキツバがすれ違った途端、女王の頭部が床をバウンドして巨体は倒れてしまった。

直接戦えばこうなるのは明白。

デスアントの女王だろうがレベル300のツキツバには敵ではない。

直後に目の前に複数の窓が開く。そこにはダンジョン内の光景が映し出されていた。

女王を失ったデスアントの統制は御粗末の一言。群れが分断されて抵抗出来ない様だった。

この様子ならしばらく放置していれば駆逐されそうだな。

「帰るか」

「そうだね」

私達はツキツバが作ったダンジョンから去った。

 

テーブルに女王の頭部を置いた。

ジョナサンはニヤリとする。

「やってくれた様だな。さすがはロアーヌが推薦した者達、見事我らの期待に応えてくれた」

「そりゃあどうも。ところで1つ聞いていいか」

「答えられる事なら答えてやる」

「どうして蟻の数がやけに少なかったんだ」

私の言葉に彼は表情を引き締めた。

「軍が多大な犠牲を出して減らしたからだ。だが、後一押し足りなかった。どうするべきか思案をしている時に君達が来たんだ」

「伯爵はその事を?」

「知っていた。私が相談していたからな。誇りたまえ、君達はこの王都、いや、この国を救ったんだ。与えられる褒美は素晴らしい物となるだろう」

もしかしてこれが伯爵からの謝礼だったのか。

一手間かかったが、結果的に私達は豪商と知り合い、この国の王とも顔を合わせた。さらに多額の報奨金を手にする予定だ。

金はあくまでおまけであって、真に与えられたのは貴重な縁。

「じきに迎えが来る。きっちり準備をしておけ」

「迎え?」

「貴殿らには宮殿まで同行してもらう」

お?おおお?

おおおおおおおお???

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