色々と間違ってる異世界サムライ   作:モッチー7

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第20話:決まらぬ行き先……

めぐみんperspective

 

私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード!爆裂魔法を使う為にアークウィザードになった紅魔族!我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし最強の攻撃魔法・爆裂魔法を操る者!

と言う訳で、成り行きでサムライと言う冒険家グループの一員になってしまい、私の爆裂魔法は彼女達の為に使われる事になりました!

……の……筈でした……

 

肝心のサムライの次の目的地がアレ(対デルベンブロ戦)から3日が経ってもまだ決まりません……

その原因が……

「今直ぐ勇者セイン様が率いる白ノ牙(ホワイトファング)と合流して共同戦線を―――」

「もしもお前(ノノ)やツキツバの力があの馬鹿セインの手に渡ったらどうなるか?ちゃんとそこまで考えて―――」

「考えてるからこそ急いで白ノ牙(ホワイトファング)との合流を急がなきゃいけないんじゃないか!」

「だから!それこそが最悪のシナリオなの!お前(ノノ)やツキツバの力があの馬鹿セインの手に渡ると言う最悪な事態を―――」

「それのどこが最悪なんだよ!寧ろ、ツキツバさんが勇者セイン様が率いる白ノ牙(ホワイトファング)の仲間入りをすれば、魔王討伐達成が物凄く早まるだろ!」

「はやまるな!焦って変な判断をして墓穴を掘ったら、お前はどう責任をとる心算だ!」

……どうやら、デルベンブロ来襲を切っ掛けに魔王討伐を急ぐべきだと言う方向性でサムライは動く筈だったのですが、ノノが魔王討伐を早める為の一環として勇者セイン様が率いる白ノ牙(ホワイトファング)との合流を急かしたら、氷狼族のセツナが先程の口論通りの猛反対を行ってしまい……お陰でノーザスタルから1歩も出ていません……

この私を含め、サムライの他のメンバーはセインが何者なのかなどは全く気にしておりません。

ただ、ノノとセツナの2人がセインに下す評価について意見が真っ二つなだけなのです。

しかも、この口論の厄介な所が……

「ツキツバさん!もう往きましょう!こんな世間知らず相手にこれ以上時間を無駄には出来ません!」

そう言ってノノがツキツバを連れて往こうとすると、

「馬鹿野郎!そのままセインの奴に遭いに逝く心算か!?」

と、こんな感じでセツナがノノを通せんぼするのです……

で……結局ノノとセツナの口喧嘩は振り出しに戻って平行線をたどり、ノーザスタルから1歩も出ていません……

……本当に勘弁して欲しいです……

 

取り合えず、ツキツバと共にノーザスタルを散策する事にしました。

街では彼女達は魔族を倒した英雄扱いだ。

いや、一応ではあるが本物の英雄でしたね。

おかげで宿も無料で借りられるし、身の回りに必要な物もいえば直ぐに用意してもらえる。

街が完全に復興した暁には石像が建てられるそうだ。

ツキツバは自分のしたい事をしただけと断ったんだが、住人の熱意がすごくて受け入れるしかなかった。

「本当はこんな事をしにこの町に来たわけではござらぬが……」

「私もです。魔王軍の幹部であるデルベンブロを倒した事で、モンスター達がこの町を敬遠する様になったそうです。モンスターがいないから採取クエストなんて人に頼む必要もない」

「つまり、この町に戦は無いと?」

「少なくとも、貴女方がこの町にいる内は……いや、それは違いますね」

「と言うと?」

「貴女方サムライがデルベンブロを倒した噂が流れれば、貴女方を倒して空席となった魔王軍幹部の座に座ると言う考えも―――」

「つまり成り代わり」

「!?」

「魔王に成りたい者にとって邪魔な現魔王を排除出来、同時に己の強さを周囲に証明出来る。いっとう単純で明快な手です」

魔王軍幹部に空席が出来たと言った途端のその返し……このツキツバ・ギンコとやら、意外と侮れないかもしれません。

「……他の者が魔王を斃して魔王に成り代わる……ツキツバはその前例を見たとでも?」

「……別に」

ツキツバ……貴女今、凄い汗ですよ?

ま、爆裂魔法が好きなだけ使えるのであれば、私は構いませんが。

 

月鍔ギンコperspective

 

めぐみん殿と共に街を散策しながらこの先の事を考えておりましたが、

「問題はセツナ殿がセイン殿を極端に嫌う事ですな」

「で、ツキツバはセインの事をどう思ってるんだ?」

そんな事を言われましても、某はノノ殿やセツナ殿の話を聞いただけなので……どう答えたら良いものか……

「つまり、何も解らないと?」

「……すまぬ。某はセイン殿の顔すら見た事が無い」

「私もです。せめて何か噂が有れば……」

その時、めぐみん殿が何か閃いた様です。

「我が名はめぐみん!サムライの一員にして爆裂魔法を極めしアークウィザード!そして!勇者セインと白ノ牙(ホワイトファング)を求めし者!」

……前言撤回です……

めぐみん殿は大変目立ちたがり屋さんの様です。

しかも、

「セインが勇者?貴女様方じゃなくて?」

「そう言えば、他の冒険者ギルドで乱闘騒ぎした冒険者グループがいたなぁ……名前は忘れちまったけど」

「うーん……思い出そうとすれば思い出そうとする程、アンタらサムライの活躍しか思い浮かばないんだけど」

「この街の近くに聖武具の神殿が在るから、そこで待ち伏せしてたら?」

「その神殿は他にも在るから、ここに的を絞るとは限らないだろ」

「あ、そうか」

どうやら、めぐみん殿の目立ちたがり屋な性格は、セイン殿の事を知る事になんの役にも立たなかった様です……

「戻りましょうめぐみん殿。どうやら、この街の者達はセイン殿や白ノ牙(ホワイトファング)の事を知らない様ですし」

某がそう言うと、街の皆さんが申し訳なさそうに謝罪しました。

「申し訳ありません。お役に立てなくて」

「こちらこそ、無理強いしてしまって」

このまま気まずい雰囲気の中でこの会話は終了してしまうかと思われましたが、1人だけセイン殿に関する重大な情報を持っていた様です。

「それってもしかして……」

「ん?何か知ってんか?」

「大分前に聞いた噂なんですがね、たしかぁ……ばるせいゆに勇者が現れたって」

めぐみん殿が反応しました。

「バルセイユ!?」

「知っているのですか!?」

だが、めぐみん殿の答えは違いました。

「いいえ、知りません」

「では……何でそんなに驚いたのですか?」

「それは当然、私達の次の目的地が決まったからです!バルセイユ王国に勇者がやって来たのであれば、そこで何かをやらかした筈です!」

……あ。なるほどね。

 

めぐみんperspective

 

私達の新たなる目的地がバルセイユと決まったので、宿に戻ってその話をしようとしたのですが、

「フラウ殿……ノノ殿達の喧嘩はまだ……」

「駄目よあの2人……セインが勇者だの悪人だので……」

「で、実際に視に往ったらと言ったら?」

「やっぱり駄目……セツナの馬鹿が許さない」

「……なら、いっその事セイン殿を諦めるのは?」

「それも駄目……ノノの馬鹿が許さない」

……八方塞がりと言う訳ですか……

現に、あの2人の喧嘩が聞こえてきます……もう限界です!

「ちょっと待って!こういう時こそノックしないと―――」

フラウと言うフェアリーの制止はあえて無視しました!彼かのせいで私は爆裂魔法を撃てなかったのですから!

「ノノ!セツナ!次の目的地が決まりましたぞ!」

「どわ!?」

私が勢いよく扉を開けたせいでセツナが倒れましたが、無視する事にしました。

 

「バルセイユ?」

「そうです。そこが私達の新たなる目的地。そして、私の活躍の場なのです」

フラウとノノは半信半疑ですが、構わず話を続けます。

「そこに何があるの?」

「勇者セインがバルセイユに言った事があるそうです」

それを聞いたノノが凄い顔で驚いていました。

「なにぃーーーーー!?」

対して、セツナはあまり乗り気じゃない様です。

「ノノとツキツバは、絶対にバルセイユには行かねぇぞ」

「何でそうなるんだよ!」

「その馬鹿セインがバルセイユに引き返したらどうなると思う?」

このままだと、また足止めの原因である口論が始まってしまうので、本来なら有り得ない事をまことしやかに言う事にしました。

「だからと言って、この街に留まれば、そのセインと言う怪人物と遭遇する可能性も有りますよ」

「何でだよ!」

「この街の近くに聖武具を飾る神殿が在るそうで」

それを聞いたセツナが凄い顔で驚いていました。

「ぬお!?……で、私がそこに有った聖剣を抜いた事が噂になっている可能性は?」

「恐らく……無いですね。その神殿で待ち伏せしたらセインに逢えるかもとアドバイスされた事ですし」

そこで漸くツキツバが言葉を挟みました。

「それと、何度も申し上げておりますが、某は実際にセイン殿に会った事が無い。故にセイン殿の人柄を知らぬ」

「だから?」

「だからこそのバルセイユなのです。セインが本当に勇者なら、バルセイユで何かを行った筈ですそれを調べて往けば」

セツナも漸く合点がいった様です。

「セインに会わずともセインがどんだけ腐っているかが解ると」

「おい!」

ノノが怖い顔をしながらセツナを睨んでおりますが……ま、無視してバルセイユに行ってみましょうか……

そこで、爆裂魔法を沢山撃てれば良いのですが。

 

セインperspective

 

結局……僕は何の成果も無く祖国であるバルセイユに帰る羽目になった……

ルンタッタとアイナークに在ったダンジョンには挑戦どころか入る事すらままならず、リビアにある筈の聖剣はツキツバ・ギンコとか言う凶悪大量殺人鬼に奪われ、そのツキツバが造ったと思われるダンジョンは未だに中盤にすら辿り着けず、グリジットの聖剣は……思い出すのもおぞましい……

なんて忌々しい凶悪大量殺人鬼。

行く先々で僕の邪魔ばかりしやがって。

許せない。許せない。許せない。

ただ殺すだけでは僕の怒りが収まらない。

ふざけやがって。

お陰で……手ぶらでバルセイユに帰って下げたくない頭を下げなきゃいけないんだぞ……

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