色々と間違ってる異世界サムライ   作:モッチー7

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第3話:ノノ・メイタの願望と意地

月鍔ギンコperspective

 

……某の常識が『ここ』ではなにひとつ通用せぬ……

『ここ』は日ノ本ではない?

外つ国?

幼き頃、本で読んだ外国の知識……似ている部分はあるが……

しかし……

いや、『ここ』は外国(そんなもの)ではない。

そんな、海を渡った程度で説明できるものではない!

某が『ここ』で見て来た尋常ならざる光景は……

如何にしては解らぬ。

解らぬが、

どうやら某は、

『異なる世界』に迷い込んでしまった……!?

 

ノノ・メイタperspective

 

ツキツバさん(笑)、何をいきなりそんな(笑)、突拍子もない(笑)!

お腹痛い(笑)!

「あっはっはっはっはっ(笑)!ありえないよそんなハナシ(笑)。この世界とは別の世界があるなんて!」

「ですから!そう考えるしかないのです!某はそこから来たのです!」

お腹痛い(笑)!

そんな(笑)、突拍子もない(笑)、事を(笑)、真剣に(笑)……

「それは確かに某も変だと思います……ですが!それ以外に辻褄を合わせる方法が無いのです!」

「辻褄……永い夢でも観てたんじゃないですか?」

「怖い事を申すなァ!」

 

と、こんなギャグの様なやり取りを経て僕は決意しました。

ツキツバさんを聖武具を保存する神殿に案内しよう!

最初は『勇者セイン様に聖武具を献上するのが筋では』と考えていたけど、ツキツバさんのこの変人ぶりなら、聖武具をツキツバさんに横取りされる心配は無い!

なぜなら!

聖武具を手に入れるには2つの試練があって、1つ目は閉ざされた扉を開ける事、2つ目は武具を台座から引き抜く事だ。

が、ツキツバさんのこの様子なら、扉を開ける事すら出来ないだろう!

間違いない!

 

そして……

聖武具を保存する神殿に到着してしまいました。

「厳か!この様に立派な御殿は、江戸でもそうはありませぬ!」

「神代に建造されたとされている神殿らしいですからね」

純白の巨大な建造物。漂わせる空気は神々しく崇めたくなる。

「今からこの中に!?」

残念だがそれは無理だ。

聖武具を保存する神殿の扉は選ばれた者にしか開けられない。

僕もツキツバさんも勇者セイン様じゃない。つまり、扉は開かない―――

「たのもー!」

「たのもう?」

ツキツバさんが呑気に扉をノックしていた……が!

「おや?開いてしまいましたぞ?」

えーーーーー!?

開いたぁーーーーー!?

だって!ツキツバさんは勇者セイン様とは違って!

「ノノ殿!ノノ殿!」

ツキツバさんに急に声を―――

「さっきから如何なされた?」

え?

僕、ボーっとしてた?

「どうしたの?ツキツバさん?」

「どうしたも何も、開いてしまった門を閉じようとしたのですが、まったく閉じないのです。どうしたら良いのでしょうか?」

閉じない!?聖武具を保存する神殿の扉が!?

「む!?」

「今度は何!?」

視れば、通路に設置されている燭台が勝手に次々と火が灯る。

まるで奥へ導く様に。

「これも何かのからくりか!?」

ツキツバさんが過剰に警戒している様ですが、これってつまり、

「そう警戒しなくても良いよ。聖武具を手に入れる為の第1関門を突破したって事だから」

「第一関門?某は門を叩いただけなのにか?」

……確かに。

なのに扉は開いちゃったんだよねぇー。

これって、ひょっとしたらひょっとするかも?

 

勝手に灯る燭台に導かれる様に通路を進み、剣の突き刺さった台座を発見する。

豪華な装飾がされた剣は心なしか輝いている様に見える。部屋の上部にあるステンドグラスからは光が差し込み、この部屋全体が幻想的で澄んだ空気で満たされている様な気がした。

「これがあのご老人が言っていた刀ですか?でも、視たところ諸刃の様ですぞ?」

「聞いた話によると、聖武具は持ち主に合わせてサイズや形状が変わるんだって」

その途端、ツキツバさんが大笑いする。

「ははーっ!さてはからかっておりますな?某がこの世界の事を何も知らぬと思って。残念ーっ!某はもう何が起こっても驚きませんしーーーーー!」

うん!大丈夫だ!

ツキツバさんがこの剣を―――

「うお!?」

ツキツバさんが台座から剣を抜こうとして、勢い余って台座から転げ落ちて後頭部を強く打ったようなのだが……

……その手には……

「床に深々と刺さっていると思い力を込めたのですが、この諸刃の刃、思ったより軽……く……」

えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

ツキツバさんの右手に何かが握られていた。

と言うか考えるまでもなく剣だ。

と言う事は!?

僕は慌てて台座をほうを向くと、

剣は黄金の光に包まれサイズと形状を変える。

出現したのはツキツバさんが僕達の村を救う際に使用した少し細い剣だった。

数秒遅れて、鞘がどこからともなく現れて剣身を包んだ。

「ナンデーーーーーッ!?だって今、床に刺さった諸刃の刃を!なのになぜ某は片刃の刀を!?」

ツキツバさんが聖武具が姿を変えた事に驚いている様ですが、僕は別の意味で驚いた。

つまり……ツキツバさんはって事!?

だとすると、ツキツバさんが言っていた『別の世界』もあながち夢物語じゃないって……こ……と?

「妖術!妖術ですか!?」

……ツキツバさん、まだ驚いてる。

 

月鍔ギンコperspective

 

いやはや驚いた。

刀身が太い諸刃が急に某がよく知る刀に姿を変えるとは。

これも何かのからくりか?それとも妖術か?

と言うか、この妖刀を使用しても大丈夫なのか?

「大丈夫だよ。寧ろ、聖剣を手に入れた事の方が凄いよ」

「そうなのか?」

まあでも、本差無しで戦うのは少し心細いし、妖刀に呪われて本来の力が出ないは選んだ某の責任。

寧ろ、某に戦いの中で死ねと言っておるって事なのかもしれん。

 

では、用も済んだのであの老人の許に戻ろう。

「ところで、ツキツバさんはこの後、どうするの?」

「残るは宛ての無い旅しかござらん。この世界には鬼もおる様だし、気長に某を送ってくれる強者をさがします」

「そ……そうなんだ……」

「ただ、その前にノノ殿をあの老人にお返しせねばなりません」

「!」

「某は侍故、此処から先は危険を―――」

「待って!」

む?

待って?

「まさか、某について行くと?」

「こんな事を言ったらおこがましいかも知れない。でも、僕は増やしたいんだ!レベルの上限を!」

「……何を増やしたい、と?」

「僕はまだレベル3なのに、既にもう『レベル上限達成者』なんだ!そんなの嫌なんだ!」

「とは言われましても、某はれべると言うモノが何者かを知りませぬ。故に―――」

「他の人達には全て断られてる!もう、レベルが300もあるツキツバさんが、最後の頼みなんだ!」

これは、生半端な返答では追い払えない。

本能で察していた。

「その齢で『里』の為に死ぬ覚悟とは!」

「!?……弱い?」

「子供が戦に出れば、間違いなく死にます。斬られれば血が出ます。打たれれば骨が折れます。はらわたが飛び出ます。死に至るまでの地獄の苦痛は、大の男でものたうち泣き叫ぶ程だそうな……」

ノノ殿は完全に某との間合いを広げている。

だが、ここで下手を打てはノノ殿の命はない。

しかし!

「たっ……確かに僕は頼りないかも知れないけど……でも……でも……」

ノノ殿は声を絞り出して某の拒否に抗おうとする。

何故そこまで?

「僕だって、本当の家族を魔物に殺されてるんだ!魔物の怖さは誰よりも解ってる心算!」

なるほど。親の仇討ちですか?

ならば絞り出た声にも辻褄が合う。

「けど……だからこそ、いつまでも魔物から逃げてなんていられない!だから、僕は自分のレベルの上限を沢山増やして、勇者セイン様の仲間になって、勇者セイン様と一緒に魔王を斃したいんだ!」

「では、親の仇を討つ為の旅を始めようとしてる訳ですな?」

「その為にも……僕は自分のレベルの上限を沢山増やさないといけないんだ!だから、その方法を探すのを手伝って欲しいんだ!」

 

ノノ殿の真剣さに、某は幼少の頃を思い出しておりました。

「父上!太閤殿下が外国を攻める為の兵を募っておりまする!合戦です!」

「はやまるなよ。まだ早い」

「戦場での槍働きこそ武士の本懐!わたしも戦います!」

「ならん。未熟者が戦場に行くなど、敵味方に無礼なだけだ」

「父上!?」

「駄目だ!」

「ゔぇああぁーーーーー!(涙)」

あぁ……朝鮮出兵……逝きたかった……(涙)

 

「某にも無鉄砲な頃があった……ノノ殿のお気持ち、某にはようく解り申す」

「ツキツバさん!?」

どうやら、根負けしたのは某の方ですな。

「ええい!勝手にすればよろしい!」

「ツキツバさん!(喜)」

 

??????perspective

 

遂にこの時が来た……

 

今まで単なるSランク冒険者パーティーに過ぎなかった僕達『白ノ牙(ホワイトファング)』が、遂に歴史の表舞台に上がるのだ。

そして……僕の名は魔王を斃した英雄として史実に永遠に残り続けるだろう。

そうなれば、僕は全てを手に入れる。金、女、地位、名声……世界すら手に入る。

 

先ずは聖武具からだ。

聖武具と言えば英雄や勇者が使う様な特殊な力を秘めた特別な装備だ。

真の勇者となる為に不可欠な物だ。

手に入れればもう誰も僕を止められない。

 

機は熟した……

今こそ白ノ牙(ホワイトファング)の勇者セインの輝かしいデビューの時だ!




前回からの登場である本作オリジナルキャラクターの『ノノ・メイタ』。
彼は自分のレベルの上限が3しかない事を悔やんでおり、レベル上限を激増させる方法を喉から手が出るほど欲しがってますが、彼は自分の本当の利用価値に気付いてないだけです。
強さには種類がある事に気付けは、ノノ君も自分がどれだけの価値があるのかに気付くと思いますが……

それに、月鍔ギンコとノノ・メイタの2人で漸くトール・エイバン1人分になる2人1役なんです。
ギンコちゃんは『経験値倍加・全体』を持ってませんしね。
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