色々と間違ってる異世界サムライ   作:モッチー7

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連載が遅れた事への謝罪

先日、愛用していたパソコンが故障してしまい、修理が終わってから執筆となってしまいましたので、第33話の掲載がここまで遅れてしまいました。
申し訳ございません。



第33話:真実との遭遇

セツナperspective

 

さて……

これからウンコセインと戦いに往くのだが……

 

所詮は本当の戦場を知らない冒険者紛いと言う事か……

私は……無数の魔族と無数のヒューマンとの激突に……正直ビビっていた。

「これは……ウンコセインを殺しに往くのか?それとも、魔王軍に殺されに逝くのか?」

冒険者は所詮アマチュアだ。

兵士や傭兵のように常に対人戦用に鍛えているわけではない。

私だけじゃない……

ノノはもちろんの事、フラウもユーミルも内心怖気づいているだろう……

 

ただ……

「懐かしいですな。合戦の空気」

「ツキツバ!アレに爆裂魔法を撃っても良いんだな!?」

ツキツバとめぐみんだけは目を輝かせていた。

そうだった、この2人は、「山は高いから登りがいが有る」と言う考えの持ち主だったわ……

「って!?おい!」

2人は迷う事無く飛び出して行き、ツキツバは次々と魔物を切り刻んでいき、めぐみんは、

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が深紅の金光を望み給う。覚醒の時来たれり、無謬の境界に落ちし理。無業の歪みとなりて、現出せよ!踊れ、踊れ、踊れ!我が力の奔流に臨むは崩壊なり!並ぶものなき崩壊なり!万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段!これこそが究極の攻撃魔法!爆裂魔法(エクスプロージョン)!」

敵味方問わず、私達から入り口までの障害物が綺麗に消えた。

おかげで……迷いは消えた!

「フラウ、行くぞ!あの門をこじ開ける!」

「わかったわ!ばっちり粉砕してくるから見てなさい!」

真上に飛翔したフラウは、そこから流星のごとく門へと突撃した。

轟音が響き城塞の門が吹き飛んだ。

そこから兵士達が、門の前にいる勇者達を避けるようにして城塞の中へとなだれ込む。

 

月鍔ギンコperspective

 

「どうした勇者、早く立ち上がれ。まだやれるだろう」

「うぐっ……なんなんだこいつ……」

どうやら、あそこで片膝をついておる金色の髪の者がノノ殿が慕い、セツナ殿が忌み嫌った……

「セイン殿おぉーーーーー!」

某の声にセイン殿と思われる男性を見下ろしている男が反応しました。

「この強者の気配、並々ならぬ実力に血肉沸き立つ。もういい。お前達には興味が失せた。自分はあの女と刃を交えさせてもらう」

「おい! 戦っているのは僕だぞ!」

どうやら、セイン殿は眼中に無い模様です。

「雑魚に用はない。どうせやるならきちんと殺せる相手だ」

「何を言って!?」

セイン殿が振り返り、某と目を合わせた。

「誰だお前!?」

だが、既に奴はセイン殿を見ていない様です。

「名は?」

「月鍔ギンコ、侍です」

「自分はデナス」

次の瞬間、刃と刃が合わさった。

剣を合わせる度に火花が散り、衝撃波が地面をなめる。

「勇者でもない者が単身でここまでやるとは。面白い」

「本気でやったらどうだ」

大きく振り抜きデナスを下がらせる。

まどろっこしいのは嫌いだ。

さっさと本気で来い。

「その台詞、吐いた事を後悔させてやろう」

ニヤリとしたでなすが大曲刀の力を引き出す。

剣から根っこのようなものが腕に潜り込み、肩から腕に掛けて甲殻や棘が出現する。

更に胸の辺りまで根は伸び、右の胸に大きな口が出現した。

気配がぐんと大きくなり、空気がよどんだ気がした。

「これで自分のレベルは240となった。もう少し戦いを楽しみたかったのだがな」

「いや、それくらいでちょうど良いです」

「……なんだと?」

次の瞬間、刃と刃が合わさった。

剣を合わせる度に火花が散り、衝撃波が地面をなめる。

「信じられん、これほどのヒューマンがいたとは」

それに引き換え、セツナ殿は既にでなすを見ておりません。

見ているのは……

 

めぐみんperspective

 

この様な大規模な戦場で爆裂魔法を好きなだけ放てるとは……アークウィザード冥利に尽きます!

ただ、セツナのセインを見る目は恐ろし気でした。

「セツナ……」

だが、セインがやってきた事を考えれば、セツナが怒りを抱いて現れるのは至極当然じゃないだろうか。

「あのデナスが……勇者である僕ですらまともに一撃も入れられなかったのに。何度も何度も戦い、さっきようやく傷をつけられたんだ。なのに……」

セインがふらりと立ち上がる。

剣は未だ右手に握られたままだ。

左手で口の端から垂れていた血を拭う。

その目は味方に向ける生暖かいものではない……殺気が籠もっていた。

「そうか、判ったぞ!」

「何が?」

「とぼけるなサムライ!何度も何度も何度も、僕の邪魔をしやがって!」

瞬きもしない大きく見開いた目に、狂気の様なものを感じた。興奮した様子で声を荒げる姿に、ノノに慕われた頃のセインは見えない。

いや、これがこいつの本性だったのだ。

優しく頼れるリーダーを演じていただけ。どんな時も仮面の下には醜い顔があったんだ。

仲間らしき2人の女性は沈黙している。

「ネイとソアラから事情は聞いている。お前が誘惑の魔眼所持者だって事もな」

「あの2人と、会ったのか!?」

その先の説明は気が引けますが……

「ネイなら……ツキツバが殺しました。あのまま……無気力な状態のまま自殺するより、誉高い戦死を与えた―――」

その時、セインの目が鋭く光りました。

「殺しただと?殺しただとぉー♪」

……つくづく馬鹿な男です。

「その先は……言わない方が得策です」

「無駄だ!そんな事を言っても―――」

本当に馬鹿な様です……今日までセインを信じたノノの気持ちも知らないで……

「そしたら、誘惑の魔眼の事も公僕に言いますよ」

「くっ」

セインの顔が怒りに歪む。

まるで『どうしてお前の元にいるんだ』とでも言いたそうだ。

「なぜだ?その様な危険な力を―――」

「お前が言うな」

ユーミルの突っ込みは……セインの余計な一言のせいで、無視する事になってしまった!

「どうして?聞くまでもないだろう?欲しかったんだよ全てを!金、女、地位、名声、全てを僕は手に入れたかったんだ!そうだな、それと他人が大切なものを奪われて、泣き叫ぶ姿も見たかったかな!はははっ!」

その瞬間、どさり、と後方でノノが倒れた。

「ノノ!?」

セインの事でノノといがみ合っていたセツナが、倒れたノノを抱えておりました。

その途端、私は爆裂魔法を唱えていた。

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が深紅の金光を望み給う―――」

が、私とセインとの間に素早く入ったツキツバが、拳をおもいっきり奴の顔面にめり込ませる。

奴は吹っ飛び、無様に地面を転がった。

「目を覚ませ!それでも武人か!?」

直後に、セインがツキツバの首めがけて剣を振る。

「もういいよ、死ねよツキツバ!死んで僕の邪魔をした事を詫びろ!」

地面を強く蹴って飛び出したセインは、斜め上から剣を振り下ろそうとした。

が、ツキツバが拳をおもいっきり奴の顔面にめり込ませる。

「ぬるい!なんだその太刀筋は!?もっと真面目にやれ!」

「と言うか……この様だとお前では私は殺せない」

「馬鹿にしやがってっ!!」

その後、わめくセインを無視したツキツバは、セインが連れていた女性達の方を向き、

「それと……いつまで化けの皮を被っている?」

……は?

 

ノノ・メイタperspective

 

「ぐおぉーーーーー!?」

物凄い寒気で目を覚ましました。

それを見たセツナが悲し気に僕を見ていました。

「目を覚ますのが……ちょっとばかり早かったんじゃないのか……」

「どう言うこ……」

ツキツバさんの前にいたのは、黒いドレスに身を包んで禍々しい杖を握っている妖艶な女性だった。

彼女は挑発的な目をして、紫の唇をペロリとなめた。

「これだけの力を持ちながら、この様な武人の誇りを捨てた外道の下とはな……魔王……」

「なんだ、と」

ツキツバさんの言葉に耳を疑った。

立ち上がったセイン様も動揺していた。

「リサ、その姿は?」

「驚いたかしら。そう、私が魔王なの」

彼女はセイン様に歩み寄り、そっと顎先に指を添える。

「私があなたに全てを与えてあげる。世界を統べる王にしてあげるわ。そうなれば魔王を従える偉大なる勇者として歴史に名が刻まれるでしょうね」

「僕が、魔王を従える……」

「歴史的快挙よ。全ての人間が賞賛するわ」

彼女からの答えはもちろん『NO』―――

「くひ、いいね。僕はそういうのを待っていたんだ」

セイン様の顔が喜びで染まる。

だが、それは欲望に飢えた者の醜い笑み。

なぜだ……なぜNOを突き付け、最終決戦の幕を開かない!?

「だ……そうだ……あの様子じゃ、ツキツバとフラウは一目視ただけで直ぐ見抜いた様だがな?」

「NOおぉーーーーー!NOおぉーーーーー!NOおぉーーーーー!」

そうだ!これは夢だ!

そして……僕は自分の顔を殴り、そのまま―――

 

月鍔ギンコperspective

 

「セツナ殿……ノノ殿にセイン……もとい!そこの屑女を見せたくなかったのは、このためか!?」

某の質問に対し、セツナ殿は残念そうに顔を下に向けました。

「いや……私が気づいていたのは、セインがウンコクズなだけだ。まさか、魔王がヒューマンに化けてセインの仲間を騙っていたとは……」

某は……再び気絶したノノ殿を見ました。

「……なら、まだ間に合うな」

「間に合う?」

そして、

「魔王とやら!……これまで戦ってきたあやかし達は皆、自らの誇りを賭けて、全身全霊で戦う者ばかりだったぞ。お前がその場しのぎで送り込んだ屍を弄ぶ暗殺者だけは違ったがな」

「……は?」

「配下の者が必至で戦っている間、貴様はその力を隠し、人の化けて勇者セインに近づき、誘惑の魔眼を与えて堕落させた―――」

「はいストップ。セインに誘惑の魔眼を与えたのは私じゃない」

「この期に及んで何を言っている?」

「知っての通り魔王である私にとって一番の脅威は勇者よ。とてもじゃないけど、魔王戦に特化した勇者のジョブは放置できるものじゃないわ。でも排除してもまた100年後には現れるじゃない。すごく面倒、いちいち相手してられないわ。そこで私は、じゃあ仲間にして近くに置いておけば良いじゃないって考えたの」

「だから、セインに誘惑の魔眼を与えて堕落させたのであろう?」

「逆よ。まず私は占術師のレアジョブを持つ配下に、勇者がどこに現れるか未来予測して貰ったわ。それから、あどけない子供のフリをして村に越したの。でも計算外だったのはセインに誘惑の魔眼が出た事ね。面倒なスキルに目覚めてくれて本当に困ったわ。おかげで排除するのに手間取ったわ。セインには私に信頼を寄せてもらわないといけないのに、どうでもいい2人に意識を割かれると困るのよ。信じられるのは私だけ、そう思ってもらわないと計画は失敗だもの」

その為にネイ殿とソアラ殿に失態を演じさせてセインの失望を買ったというのか?

貴様の配下が、命懸けで某と戦っている間に……

「つまり、『配下の者が必至で戦っている間、貴様はその力を隠し、人の化けて勇者セインに近づき』の部分は、事実なのだな?」

「そうよ。あの子も私が手配した配下だし」

聖職者らしき女性は指輪を外す。

次の瞬間、姿形が変わり痩せ型の引き締まった魔族の男となった。

「うぇ!?」

なぜかセインが狼狽している。

魔族の男はセインに恥ずかしそうな顔を向けた。

それから顔を赤らめて自身のお尻をさする。

……まさかと思うが、あの男と衆道……

やめよう!

今はそれどころではない!

「事情は解ったかしら?最初から貴女には1㎜も興味が無かったし、さらに言えば早く殺したいくらいだったの。見逃したのはせめてもの優しさね」

ようやく真実を捕まえた。

全ては目の前の毒婦から始まっていたのだ。

「ミリム、恐らくこの女のレベルは200近くよ。注意して戦いなさい。それと私は城に帰るから、適当に相手したら戻ってきなさい」

「はっ」

「逃げるか!?それだけの力がありながら!?」

「でないと、貴女、私ごとセインを殺すつもりでしょ?それだと困るのよ」

「だとしら……魔王リサ、既に敗れたり!」

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