切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

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強姦悪魔

 ついに始まった奴隷杯二回戦、第一試合。

 強姦悪魔の異名を持つレジェンド級決闘強姦魔とのデュエルにおいて遊羽は先攻をとった。

 

「私のターン。まずはモンスターをセット。更に永続魔法《大樹海》発動」

 

 《大樹海》がフィールド場に存在する限り、昆虫族モンスターが破壊された際、同じレベルの昆虫族モンスターを手札に加えることができる。

 

「カードを一枚伏せて、ターン終了」

 

 伏せたカードは《ダメージ・ダイエット》。

 フリーチェーンで発動できるダメージ軽減の罠カード。

 

「俺のターン。ぐへへ、さっそく引いたぜ」

 

 ドローしたカードを豚島が遊羽に見えるようにかざす。

 それは魔法カード《融合》だった。

 

「《融合》、ヘルカイザーも使ったカードか」

 

 遊羽の呟きに豚島は露骨に顔を顰める。

 

「あんな女を強姦する度胸もないタマ無し野郎と一緒にするんじゃねえ! 《融合》は決闘強姦魔のみが真価を発揮できる魔法カードだ」

 

 ヘルカイザー亮は《融合》を使いこなしていたと思うが、豚島の言い分は違うらしい。

 

「やはり女には分からねえか。融合召喚はエクストラデッキを用いた召喚法の中で唯一、モンスター同士に性行為をさせる召喚だ。だが並のデュエリストでは合意の上のでセックスしかできねえ。俺のような優れた決闘強姦魔だけが、モンスターをレイプして融合召喚することができる」

 

 決闘強姦魔ではない遊羽からすると意味不明の発言だった。

 

「いくぜ、俺の強姦魔法カード《融合》を発動!」

 

 豚島が引いた融合を即座に使用。

 

「手札にあるデーモンの召喚で凌辱用雌モンスター、トリック・デーモンを強姦。二体のモンスターを融合させるぜ。これが俺の強姦融合モンスターだ。現れろ、デーモンの顕現!」

 

 《デーモンの顕現》

 星6 闇属性 悪魔族

 攻撃力2500 守備力1200

 

 エクストラデッキから特殊召喚されたのは《デーモンの召喚》を素材とする融合モンスター。

 一見すればそのステータスは《デーモンの召喚》と変わらないように見える。

 

「デーモンの顕現の特殊能力、このカードはフィールド場に存在する限りデーモンの召喚として扱う。そしてこの逞しき強姦融合モンスターがいる限り、俺の場のデーモンの召喚の攻撃力は500アップする。さあ勃起しろ、デーモンの召喚! 犯すべき女は目の前だ」

 

 《デーモンの顕現》→《デーモンの召喚》

 攻撃力2500→3000

 

「一回戦じゃ、ブルーアイズが多少は注目されてたが所詮は女が使うカード。特殊能力もねえ値段だけ高い雌竜でしかねえ。攻撃力3000程度、俺レベルのデュエリストがその気になれば簡単に出せる」

 

 おそらく女である龍堂院麗華が観客から少なからず注目されていたのが気に入らなかったのだろう。

 遊羽が使用者でもないのに《青眼の白龍》を唐突にディスってきた。

 

「更に強姦素材として墓地に送られたトリック・デーモンの効果発動。デーモンカードを一枚手札に加える。これが女の使い道だぜ。犯されることによって男の役に立つ。俺はダークビショップデーモンを手札に加えてそのまま召喚」

 

 《ダークビショップデーモン》

 星3 水属性 悪魔族

 攻撃力300 守備力1400

 

 決闘強姦魔らしい卑猥かつ女性を威圧するような言動。

 これがセックスデーモン豚島のデュエルタクティクスか。

 

「場にレベル3のモンスターがいる時、このカードは守備表示で特殊召喚できる」

 

 《サイコウィールダー》

 星3 地属性 サイキック族 チューナー

 攻撃力600 守備力0

 

 場に出されたのは悪魔族ではなくサイキック族のモンスター。

 あれはチューナーというレアカードだ。

 

「レベル3ダークビショップデーモンにレベル3サイコウィールダーをチューニング。デーモンの招来をシンクロ召喚!」

 

 《デーモンの招来》

 星6 闇属性 悪魔族

 攻撃力2500 守備力1200

 

 シンクロ召喚とはチューナーモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを足し合わせて、その合計のレベルを持つシンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する召喚法である。

 流石にブラックドミノシティ二大決闘強姦魔というだけあって、後攻1ターン目から融合召喚とシンクロ召喚、エクストラデッキのカードを用いた二種類の召喚法を見せつけてきた。

 

「デーモンの招来もフィールド場に存在する限りデーモンの召喚として扱うモンスター。低劣種である女でもこの意味は理解できるな。デーモンの招来も勃起して攻撃力が500上昇するってことだ」

 

 《デーモンの招来》→《デーモンの召喚》

 攻撃力2500→3000

 

「そしてこのカードが場にいる限り、お前はデーモンの召喚を効果の対象にできねえ。これが俺の強姦戦術だ。レイプ中に女が男に歯向かえねえように、てめえの反撃なんざ受けねえってことだ」

 

 実際、攻撃力3000のモンスター二体が、どちらも対象を指定するタイプの魔法、罠、モンスター効果を受けないのは、かなり厄介な耐性だ。

 

「ヘルカイザー。ドラゴンプリンセス。ゴミだな! 奴隷杯の王はこの俺、セックスデーモン豚島だ! ましてやお前みたいな虫けら女ごとき、初めから眼中にはねえ! バトルだ!!」

 

 遊羽や他の選手を貶しながら、豚島がバトルフェイズに移行する。

 

「一体目のデーモンの召喚で裏守備モンスターに攻撃!」

 

 元々のカード名が《デーモンの顕現》である《デーモンの召喚》の攻撃が遊羽のセットしたモンスターを襲う。

 

 《共鳴虫》

 星3 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1300

 

 《共鳴虫》が戦闘破壊されるが、これは遊羽の狙い通りだ。

 

「この瞬間、《大樹海》効果発動。私はレベル3の昆虫族モンスター、アーマード・フライを手札に加える。更に共鳴虫の効果でドラゴンフライを守備表示で特殊召喚」

 

 《ドラゴンフライ》

 星4 風属性 昆虫族

 攻撃力1400 守備力900

 

「小賢しい女だ。ならその虫けらを二体目のデーモンの召喚で攻撃!」

 

 容赦のない豚島の追撃によって、《ドラゴンフライ》が戦闘破壊される。

 

「《大樹海》の効果を再度発動。アーマード・ビーを手札へ。そしてドラゴンフライの効果でアルティメット・インセクトLV3を特殊召喚」

 

 《アルティメット・インセクトLV3》

 星3 風属性 昆虫族

 攻撃力1400 守備力900

 

「クソが! 潰しても潰してわいてきやがって。汚らしい虫けら共が! 俺はこれでターンエンド」

「なら私のターンだ。ドロー」

 

 引いたカードを遊羽は手札に加える。

 

「この瞬間、アルティメット・インセクトLV3の効果発動。このカードを墓地に送ることでアルティメット・インセクトLV5を特殊召喚」

 

 《アルティメット・インセクトLV5》

 星5 風属性 昆虫族

 攻撃力2300 守備力900

 

「この効果で特殊召喚されたアルティメット・インセクトLV5が場にいる限り、相手フィールド場の全てのモンスターの攻撃力は500ダウンする」

 

 《デーモンの召喚(デーモンの顕現)》

 攻撃力3000→2500

 

 《デーモンの召喚(デーモンの招来)》

 攻撃力3000→2500

 

「何!? 女の分際で俺の逞しい強姦モンスターを短小にするつもりか。だが残念だったな、所詮は女のモンスター。攻撃力はまだ俺のデーモンの召喚が上だ」

「それはどうかな。私は装備魔法《火器付機甲鎧》をアルティメット・インセクトLV5に装着。攻撃力を700ポイントアップする」

 

 《アルティメット・インセクトLV5》

 攻撃力2300→3000

 

「攻撃力3000だと! クソ! 女のごときがどこまでも生意気な」

「さっき《大樹海》で手札に加えたアーマード・フライを召喚」

 

 《アーマード・フライ》

 星3 地属性 昆虫族

 攻撃力2000 守備力2000

 

 自分の場に他の昆虫族がいない場合、攻撃力と守備力が1000になるデメリットを持つインセクトカード。

 現在は《アルティメット・インセクトLV5》が場にいるのでステータスはそのままだ。

 

「バトル! アルティメット・インセクトLV5で元のカード名がデーモンの顕現のデーモンの召喚に攻撃!」

 

 《デーモンの召喚(デーモンの顕現)》が戦闘破壊され、豚島がリアルソリッドビジョンの衝撃を受ける。

 

 セックスデーモン豚島 LP3500

 

「ちぃ! 男より頭が悪い女が、俺の強姦モンスターの特性を見切ってやがるのか」

 

 《デーモンの召喚》

 攻撃力2500→2000

 

 最初に《デーモンの顕現》を潰しておけば攻撃力アップの効果は解消される。

 

「ならばデーモンの顕現の効果発動。融合召喚されたこのカードが相手によって破壊された時、デッキからデーモンの召喚を特殊召喚する」

 

 《デーモンの召喚》

 星6 闇属性 悪魔族

 攻撃力2500→2000 守備力1200

 

 これによって豚島の場に新たな《デーモンの召喚》が呼び出されるが、《アルティメット・インセクトLV5》で即座に攻撃力が2000になる。

 

「アーマード・フライで元カード名がデーモンの招来のデーモンの召喚に攻撃!」

「ふん、迎え撃てデーモンの召喚! 魔降雷!!」

 

 《アーマード・フライ》と攻撃力が下がった《デーモンの召喚(デーモンの招来)》の攻撃力は互角。

 よって相打ちになって両方のモンスターが戦闘破壊された。

 

「《大樹海》効果発動。レベル3の昆虫族モンスター、イナゴの軍勢を手札に加える」

 

 《大樹海》が場にある限り、遊羽は常に昆虫族を手札に補充し続けることができる。

 

「だったらデーモンの招来の効果発動。今度は墓地からデーモンの召喚を特殊召喚」

 

 《デーモンの召喚》

 星6 闇属性 悪魔族

 攻撃力2500→2000 守備力1200

 

 これによって改めて豚島の場の《デーモンの召喚》が二体になった。

 とはいえ今度はどちらも普通の《デーモンの召喚》であり、攻撃力アップも効果耐性もない。

 加えて《アルティメット・インセクトLV5》の効果でどちらも攻撃力が2000になっている。

 

「私はこれでターンエンド」

「いい気になるなよ! レイプされるために存在している女ごときが。俺のターン」

 

 引いたカードを豚島が手札に加える。

 

「俺はデーモンの召喚とデーモンの召喚でオーバーレイ! 二体のレベル6モンスターによってオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

 ここにきて豚島はエクストラデッキのカードを用いた第三の召喚法を披露した。

 

「エクシーズ召喚! 現れろ、ランク6デーモンの超越!!」

 

 《デーモンの超越》

 ランク6 闇属性 悪魔族

 攻撃力2500 守備力1200

 

 レベルではなくランクを持つエクシーズモンスター。

 条件を満たした同じレベルのモンスターを素材にすることによって、エクストラデッキから特殊召喚できるモンスターだ。

 

「デーモンの超越の効果。このカードはデーモンの召喚として扱う」

「だけどアルティメット・インセクトLV5の効果で攻撃力は500ダウンだ」

 

 《デーモンの超越》→《デーモンの召喚》

 攻撃力2500→2000

 

「だからいい気になるなってんだよ! 俺は手札から魔法カード《魔霧雨》を発動!デーモンの召喚の攻撃力以下の守備力を持つ、相手の場のモンスターを全て破壊する」

 

 守備力は900の《アルティメット・インセクトLV5》は、降り注いだ《魔霧雨》によって破壊され墓地へ送られた。

 

「《大樹海》の効果発動。プリミティブ・バタフライを手札へ」

 

 《大樹海》のサーチ効果は戦闘だけなく効果破壊にも対応している。

 

「その忌々しい虫けらがいなくなったことでデーモンの召喚の攻撃力は元に戻る。ぐへへ、再勃起ってわけだ。さあ、これでレイプの準備は整ったぜ」

 

 《デーモンの召喚(デーモンの超越)》

 攻撃力2000→2500

 

「《魔霧雨》を使ったターン、あんたはバトルフェイズを行えない」

「ちぃ、男より低能の女風情が、無駄に知識だけはありやがる。いいんだよ、それで。俺は早漏れじゃないんでな。女はじっくりと徹底的に犯してやるのさ」

 

 ともかくこのターン、セックスデーモン豚島のモンスターから攻撃を受けることはない。

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンド。何度破壊しようが俺のデーモンの召喚は不滅だ。俺の股間のモノのように何度でも勃起して復活する」

 

 豚島のエンド宣言で遊羽にターンが回る。

 

「私のターン。ドロー」

「おい、女。いい加減お前も理解しただろ」

「何を?」

「女が種として男より劣っているってことをだよ」

 

 またデュエルに関係ない男尊ツイッターかと思われたが、豚島の言葉は続く。

 

「俺はエクストラデッキを用いた三種類の召喚法を使いこなす。だが、てめえは何だ。デュエルを始めた瞬間からわかってたことだが、お前のエクストラデッキにカードは0だ」

 

 デュエルディスクによってお互いのエクストラデッキのカード枚数は確認できる。

 豚島のエクストラデッキのカードは4枚。三種のデーモンに加えて、まだ一体隠し玉があるのに対して、遊羽のエクストラデッキには初めから1枚のカードもない。

 リクルーターを主軸とした昆虫デッキは、積極的にエクストラデッキから特殊召喚をするタイプのデッキではないが、それでもエクストラデッキのカードを0にするメリットはない。

 デュエルにおける戦略上の理由ではなく、予算的な都合によるエクストラデッキの不使用。

 

「お前に限った話じゃねえさ。女の分際で身の程知らずにもブラックドミノシティ最優のデュエリストを名乗る決闘女王(デュエルクイーン)ですら、エクストラデッキを用いた召喚法は二種類しか使えねえ。俺は三種類の召喚法を使いこなす。わかるか。女どもの代表ですら、男である俺の足元にも及ばねえのさ」

 

 正直なところ、男尊思想は個人の自由だし、デュエルに関係ないなら聞き流そうと思っていた。

 だけど、これは駄目だ。

 

「悪いけどさ、あんたの発言には3つ訂正する箇所がある」

「何だと?」

 

 遊羽は三本指を前に出して『3つ』と数字を強調する。

 

「1つ。決闘女王(デュエルクイーン)は召喚法を二種類しか使えないんじゃなくて使わないだけ。彼女のデッキならエクシーズ召喚とリンク召喚に絞るのが最適解」

 

 決闘女王(デュエルクイーン)の使用するカテゴリは『蟲惑魔』であり、融合モンスターやシンクロモンスターを採用する理由はない。

 

「2つ。召喚法の種類が多い方がデュエリストとして優れているわけではない」

 

 召喚法の種類が少ないデッキだからといって、そのデッキとデュエリストが劣っているとは限らない。

 予算の都合でエクストラデッキが0の遊羽はともかく、決闘女王(デュエルクイーン)は自分のデッキに最適なエクストラモンスターを15枚揃えている。

 

「3つ。お前ごときが決闘女王(デュエルクイーン)に勝てると思うな」

 

 それは癲狂院(てんきょういん)遊羽(ゆうは)らしからぬ言葉であった。

 遊羽は決闘強姦魔であろうが、デュエル中に相手のデュエリストを軽視しない。

 勝つ前提でデュエルはしても、自分とセックスデーモン豚島のどちらが上のデュエリストか決まるのはデュエルが決着してからと考えている。

 

 その上ではっきりと断言できる。

 強姦悪魔(セックスデーモン)の異名を持つこの男では、最優女王(パーフェクトクイーン)の異名を持つ『彼女』の足元にも及ばないということを。

 

「て、てめええええええええええええええ!! 俺が女に勝てないだと! 女より下だとぉぉぉぉ! ふざけたことを抜かしてんじゃねええええええええええ!!!」

 

 セックスデーモン豚島が雄叫びを上げるように怒鳴りながら激高した。

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