遊羽が観客席に戻ると、ミカが手のひらを広げたまま腕を上げる仕草をした。
その意図を察して、同じように腕を上げてから手を広げる。
そしてそれをミカの手と打ち合わせた。
ハイタッチである。
「認めるしかないのう。お前は自らの言葉を実行することができるデュエリストじゃ」
奴隷杯で優勝するという目的において、セックスデーモン豚島の打倒は必須だった。
女はセックスデーモン豚島には勝てないという奴隷杯の常識を
「不満があるとすれば、あの決闘強姦魔は半殺しにしてよかったじゃろ。奴の言葉は全てが不快じゃった」
不快というのは、おそらく豚島の男尊女卑や卑猥な発言を指している。
「ルール上、指の切断はできなくても、不具者にならない範囲でリンチにするべきじゃったな」
物騒ではあるが、ミカの感覚の方が普通であると頭ではわかっている。
セックスデーモン豚島に嫌悪感を抱くのが、一般的な女性なのだろう。
「……別に、豚島殴っても私には何の得もないからね」
過去に親友から異常だと指摘されたのもあって、これでも平時はなるべく一般的な言動をしようとは思っている。
「ぬふふ、癲狂院遊羽、19歳のおかげでペンギンランドの水槽を拡張して、新たなペンギンを迎え入れることができそうです」
嬉しそうに語るのは大瀧。
確か一枚100万円の金貨30枚を遊羽に賭けていたはずなので、それが十倍になったということは3億円が払い戻されたことになる。
それだけの金があれば施設の拡張もペンギンの購入も容易にできるだろう。
「そういえば、幸は何処行ったの?」
豚島との試合を終えて観客席に来た時から、幸の姿が見当たらなかった。
「幸ちゃんは私用で席を外しています。決勝戦までには必ず戻ると伝えるように頼まれました」
その疑問に答えたのは明美。
「決勝戦って、次は準決勝があるけど」
「幸ちゃんはあなたの勝利を信じています。それに、あなたも負ける気はないのでしょう」
明美の言葉に遊羽は頷いた。
次に行われる二回戦、第二試合。
ドラゴンプリンセス麗華とデーモンスレイブ莉子のデュエル。
その勝者が準決勝において、遊羽の対戦相手になるデュエリストだった。
◇
二回戦、第二試合。
デーモンスレイブ莉子はパニクっていた。
自らの主であるセックスデーモン豚島の敗北。
それは彼女にとって完全に予想外の展開だった。
莉子はあらかじめセックスデーモン豚島から二回戦第二試合で負けるように指示を受けていた。
サレンダーはせず、奴隷杯をある程度盛り上げてから龍堂院麗華に敗北する。
所謂、接待デュエルのような形でトーナメントから脱落する予定だった。
しかし、それはあくまで二回戦第一試合でセックスデーモン豚島が勝つことを前提とした上での指示だ。
莉子がわざと負けて龍堂院麗華を準決勝に進ませた上で、セックスデーモン豚島と対戦させる。
そして準決勝でセックスデーモン豚島が勝利して龍堂院麗華を強姦する。
そういう筋書きの元に出された命令。
当然であるが二回戦でセックスデーモン豚島が負けた場合の指示など出ているはずもない。
試合開始前に新たな指示を貰おうと思ったが、セックスデーモン豚島は女に負けたショックで倒れて医務室で寝込んでしまった。
これまで莉子はあらゆる命令に従ってきたが、完全に思考停止しているわけではない。
少なくとも、この状況でわざと負けるという指示が無効であると考える程度の頭はあった。
しかし、そうなると新たな問題が浮上する。
仮に莉子が龍堂院麗華に勝利したとして、次の対戦相手は主であるセックスデーモン豚島を倒したインセクト遊羽だ。
主の仇を打とうなどという考えは莉子には全くない。
莉子にとってセックスデーモン豚島は絶対の存在であり、それを倒した相手に自分が勝てるはずがないと思っている。
それ故に莉子はパニクった。
わざと負けるわけでもなく、かといって勝つことに集中するわけでもない中途半端なデュエル。
そのチグハグなデュエルに龍堂院麗華のセレブ流がクリーンヒットした。
レアカードによる力押しの戦法であったが、半端なデュエルをしている莉子には有効打となり、試合開始から数ターン後、ライフポイントでリードされ、《青眼の白龍》の召喚も許してしまった。
デーモンスレイブ莉子 / LP1600
VS
ドラゴンプリンセス麗華 / LP3800
「他愛なしですわ。所詮裏社会のデュエリストと言ってもこの程度。わたくしのようなVIP。トップスの市民には勝てるはずがありませんわ」
《青眼の白龍》
星8 光属性 ドラゴン族
攻撃力3000 守備力2500
「ブルーアイズの攻撃、滅びのバーストストリーム!!」
莉子の場にいた裏側守備表示の《トリック・デーモン》が戦闘破壊される。
「ト、トリック・デーモンの効果でタルワール・デーモン様を手札に」
何とか主から貸し与えられたエースモンスターを手札に加える。
「何をしようと無駄ですわ。わたくしはこれでターンエンド」
「私のターン。《古のルール》を発動」
ドローしたカードを手札に加えてから莉子は《古のルール》を使用する。
手札からレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚できる魔法カードだ。
「タルワール・デーモン様を攻撃表示で特殊召喚」
《タルワール・デーモン》
星6 闇属性 悪魔族
攻撃力2400 守備力2150
「ほほほ、その程度の攻撃力では、わたくしの青眼の白龍の足元にも及びませんわ」
「ふ、不敬な女。女ごときのモンスターがタルワール・デーモン様に勝てるはずがないでしょう」
主から貸し与えられた逞しき雄モンスターである《タルワール・デーモン》を場に出した以上、このデュエルは勝つしかないと莉子は腹を括る。
「手札から《悪魔のくちづけ》を発動。タルワール・デーモン様の攻撃力を700ポイントアップ」
《タルワール・デーモン》
攻撃力2400→3100
「なっ! 下民のモンスターの攻撃力がわたくしのブルーアイズを上回ったですって」
「バトルフェイズ。タルワール・デーモン様で青眼の白龍を攻撃」
ドラゴンプリンセス麗華 LP3700
「くっ! よくもわたくしのVIPモンスターを」
「青眼の白龍なんて、値段が高いだけのモンスターじゃない。こうやってコンボを使えば簡単に倒せるでしょう」
莉子の言葉に龍堂院麗華は顔を歪めて歯噛みをした。
◇
一か月前。
ブラックドミノシティA区、通称トップスの中でも一等地にある豪邸。
龍堂院家の主の部屋に麗華は呼び出されていた。
「来たか、麗華」
ドアを開けると室内の椅子に一人の男性が腰かけていた。
龍堂院正臣。
麗華の父親であり、龍堂院カンパニーの現社長である。
「お父様、本日はどのようなご用件でしょうか」
内心嫌な予感を募らせながら麗華は問いかけた。
数日前にF区で昆虫族を使う貧民にマグレとはいえデュエルで負けた。
大会でもアカデミアの試験の場でもないのだから、父に伝わるはずがない。
だがあまりにも嫌なタイミングでの呼び出しだった。
「これを見ろ」
父がデスクのパソコンの画面をこちらに向ける。
「なっ! どうして!」
そこに映っていたのは麗華が《究極完全体・グレート・モス》に吹っ飛ばされている動画だった。
「Dチューブに出回っていた動画だ。デュエルの内容は全て見せてもらった」
「くっ!」
麗華がF区でDチューブ動画を撮っていたように、他のDチューバーがあのデュエルを撮影してアップしたのだ。
「これを始めとして拡散されていた動画は運営に申請して全て削除させた」
「か、感謝いたしますわ、お父様」
とはいえ、一度拡散された以上、不特定多数の人にダウンロードされたのは間違いないだろう。
もしかしたらアカデミアの同期に見られているかもしれない。
「あんなデュエル、マグレですわ! わたくしが低学歴の貧民に負けたのは偶然で」
「少し黙れ」
その声には明確な怒りが含まれており、麗華は畏縮して押し黙った。
「奴については軽く調べた。インセクト遊羽、本名は
「や、やっぱり、ゴミ施設の低学歴ですわ」
デュエル孤児院など麗華からすれば、貧民の中でも親なしの最底辺が行く施設だった。
「だが奴は特待生としてデュエルアカデミアに首位で入学している」
「えっ……?」
麗華は最初、父が何を言っているのか分からなかった。
確かにデュエルアカデミアには特待生制度があるが、あれは上位四名のみが利用できる制度。
それをあろうことかF区の底辺が利用して、しかも首位でアカデミアに入学したというのか。
「それも二年目でオベリスクブルーに昇格。それ以降は常に成績上位3名を維持したそうだ」
麗華もオベリスクブルーであるが、成績は50位ぐらいのギリギリのライン。
龍堂院家の娘ということで数人の教師が忖度してくれなければ、ラーイエローに降格してもおかしくない成績だった。
「最終的には次席でアカデミアを卒業。奴がF区出身者でなければ、ぜひとも我が社の社員にするのだが」
龍堂院カンパニーの書類選考に通過できるのは、B区以上の出身者のみである。
F区出身者では面接に行きつくこともできない。
だとしても麗華にとっては面白くない話だった。
低学歴だと思っていた女がアカデミアを次席で卒業しており、父はある程度評価している様子なのだ。
「本当に惜しいな。我々には関係がない話だが、下層区の人間からすれば主席で卒業するのと次席で卒業するのでは天と地ほどの差があるだろうに」
おそらく父はアカデミア主席卒業者にのみ与えられるチャンスの話をしているのだろう。
B区以下の人間がトップスの市民になれるかもしれない機会を得るための、一枠のみのドリームチケット。
「だが仕方ないかもしれんな。何せ奴と同じ第58期の主席卒業者はあの、いや今は関係のない話だった。それよりもこの動画についてだ」
話題が再び自分のことに戻ったことで麗華の体は強張る。
ここで部屋のドアがノックされた。
「入れ」
「ごきげんよう。お父様、お姉様」
入室してきたのは金髪ショートヘアで赤いブランド服を着た少女だった。
龍堂院清香。麗華とは血の繋がった実の妹である。
「ちょうどいいタイミングだ。麗華、これからお前は清香とデュエルしてもらう。そして負けたら次期後継者の座を剥奪する」
「なっ! 何故、そのようなことを!」
「元々、清香はアカデミアでも成績上位10名には入っている。それに比べてお前はかろうじてオベリスクブルーに留まるのが精一杯。それでも長女だからという理由で見逃してきたが、お前はあろうことかF区の人間にデュエルで負けた」
それは龍堂院家の人間として許されることではないと父は言外に含ませていた。
「このデュエルの勝者を龍堂院カンパニーの次期後継者とする」
「承知いたしました、お父様」
即座に返事をしたのは清香だった。
「……わかりましたわ」
こうなってしまっては麗華の退路はなくなる。
だが問題ないと自分に言い聞かせた。
だって麗華のデッキには青眼の白龍が入っている。
こうして龍堂院姉妹による時期後継者の座をかけたデュエルが始まった。
「「決闘!」」
そして数ターンが経過する。
龍堂院麗華 / LP700
VS
龍堂院清香 / LP3600
ライフポイントでは大きく差をつけられるも、麗華は《青眼の白龍》を召喚することに成功した。
《青眼の白龍》
星8 光属性 ドラゴン族
攻撃力3000 守備力2500
「これでわたくしの勝ちは決まりましたわ。姉に勝る妹などいるはずがなくてよ。バトルですわ! ブルーアイズの攻撃、滅びのバーストストリーム!」
清香の場いる裏側守備表示のモンスターが破壊される。
「軍隊竜の効果発動。戦闘破壊された時、デッキから同名カードを一体特殊召喚します」
《
星2 風属性 ドラゴン族
攻撃力700 守備力800
「ほほ、そんな攻撃力の低い雑魚モンスターを呼んで何になりますの。わたくしはこれでターンエンド」
「私のターンです。ドローカード」
清香は引いたカードを手札に加える。
「軍隊竜をリリースして、ホワイト・ホーンズ・ドラゴンをアドバンス召喚」
《ホワイト・ホーンズ・ドラゴン》
星6 闇属性 ドラゴン族
攻撃力2200 守備力1400
「おほほ、攻撃力2200では攻撃力3000の青眼の白龍には勝てませんわ」
「ホワイト・ホーンズ・ドラゴンの効果発動。墓地の魔法カードを5枚除外して、攻撃力を1500アップします」
「ゑ」
阿呆のように大口をあける麗華。
「お姉様、私から言わせれば青眼の白龍なんて、実戦では使えない単なる観賞用のカードですよ」
《ホワイト・ホーンズ・ドラゴン》
攻撃力2200→3700
「バトルフェイズに入ります。ホワイト・ホーンズ・ドラゴンで青眼の白龍を攻撃。ホーン・ドライブバスター」
もし使い手が違えば、このドラゴン対決の勝敗は逆だったかもしれない。
だが龍堂院姉妹のデュエルにおいては、《ホワイト・ホーンズ・ドラゴン》に軍配が上がった。
《ホワイト・ホーンズ・ドラゴン》によって《青眼の白龍》が木端微塵に粉砕される。
龍堂院麗華 LP0
「お疲れ様でした、お姉様。あなたに次期後継者の座は荷が重かった。それがこのデュエルではっきりしたでしょう」
「き、清香! 姉に向かって何て口の利き方を。お、お父様、もう一度、もう一度ですわ。こんな負けはマグレでしてよ。もう一度やればわたくしが」
「何度やっても結果は同じだ。心配せずともお前には将来的に会社でそれなりの役職は用意してやる。これからは清香を支えるための勉強をしないさい」
目に涙を溜めながら麗華は部屋から飛び出していた。
龍堂院カンパニーの時期後継者であることは、麗華にとって自分がトップス市民の中でも更に特別な存在であることの証明だった。
それが、あの身の程知らずの妹によって不当に奪われてしまった。
取り返さなければならない、次期後継者の座を。
そのためにはまず、麗華がこんな目に合うことになった原因である昆虫女、
その次は、あの身の程知らずの妹と、もう一度父の前でデュエルして勝利する。
そうすれば父も麗華が次期後継者に相応しいと考えを改めてくれるはずだった。
「そのためには新しいエースモンスターが必要ですわ。青眼の白龍では、わたくしの才能を発揮するには力不足でしてよ」
妹の言うことを鵜呑みにするわけではないが、《青眼の白龍》ではデュエルにおける必勝のカードにはなり得ないことが分かった。
とはいえ《青眼の白龍》をデッキから抜くという選択肢は麗華にはなかった。
これは世界に四枚しかない、一枚300億円のブルジョアレアカードであり、麗華がデュエリストとしてVIPであることの証明だからだ。
考えた末に出した結論は《青眼の白龍》の枚数を増やすことであった。
《青眼の白龍》は三体で融合させることができるのを麗華は知っている。
そのモンスターであれば、妹の清香にも
だが以前、父にもう二枚《青眼の白龍》をおねだりしたが買ってもらえなかった。
今、頼んでも買ってくれることはないだろう。
麗華は毎月、数億円程度のお小遣いは貰っているが、流石に300億円が二枚、600億円のカードを購入するほどの金はなかった。
それに一枚300億円というのは最低限の値段であり、場合によっては2倍、3倍、或いは10倍の値段になることもある。
世界に四枚しかない《青眼の白龍》はそれ程までに希少価値が高い。
融合体も揃えるとなると全部合わせて最低でも一千億円、市場次第でその何倍もの金が必要になる。
いくらトップス市民であっても、学生がそれ程の大金を入手する手段は『普通』はない。
だが麗華はトップス四大企業である龍堂院家の娘だ。
龍堂院カンパニーの株は全体の51%を正臣、麗華、清香の三人で持っている。
先ほどまで次期後継者だった麗華の持ち株は20%。
「あとでお父様が買い戻せば大丈夫ですわ」
麗華は自分が所持していた龍堂院カンパニーの株を全て売却。
その金を使って《青眼の白龍》を二枚と融合体を買い集めた。
◇
デーモンスレイブ莉子 / LP1600
VS
ドラゴンプリンセス麗華 / LP3700
ライフポイントこそ下回っているが、デーモンスレイブ莉子は自分が優勢であると判断していた。
莉子の場には《悪魔のくちづけ》強化された《タルワール・デーモン》がいる。
「これでターンエンド。さあ、お嬢様のターンよ」
優位に立って多少なりとも莉子に余裕が生まれる。
「わたくしのターン、ドロー! ほほ、引きましたわ。《融合》のカードを!」
龍堂院麗華がドローした《融合》を莉子に見せるようにかざす。
だが莉子に不安はなかった。
《融合》を使いこなせるのは、セックスデーモン豚島のような一流の
決闘強姦魔どころか男ですらない、女の龍堂院麗華に《融合》がまともに使えるはずがないのだから。
「まずは伏せていた罠カード《正統なる血統》を発動。墓地から通常モンスターを一体蘇生しますわ。わたくしが蘇らせるのは当然、青眼の白龍!」
《青眼の白龍》
星8 光属性 ドラゴン族
攻撃力3000 守備力2500
「そして魔法カード《融合》を発動。今蘇生したブルーアイズと手札にある青眼の白龍、二体を融合」
三体の《青眼の白龍》が融合して、龍堂院麗華のエクストラデッキから融合モンスターが特殊召喚される。
「これがわたくしの新たな切り札であり、究極のVIPモンスター! 真青眼の究極竜を融合召喚ですわ!!」
《真青眼の究極竜》
星12 光属性 ドラゴン族
攻撃力4500 守備力3800
「こ、攻撃力4500、あ、あり得ない。女が使っていいモンスターじゃない」
声を震わせながらデーモンスレイブ莉子は後退る。
「バトルですわ! 真青眼の究極竜の攻撃! ハイパー・アルティメット・バースト!!」
《真青眼の究極竜》の攻撃によって、《悪魔のくちづけ》で強化された《タルワール・デーモン》は一瞬で消し飛んだ。
デーモンスレイブ莉子 LP200
リアルソリッドビジョンの衝撃で莉子はその場に倒れた。
だがまだライフは200残っている。
最後の一枚の手札は《死者への手向け》であり、次のターンに引いたカードをコストにすれば、《真青眼の究極竜》を破壊することは可能だ。
その返しのターンでおそらく莉子は負けることになるが、最低でも逞しい強姦モンスターを破壊した不敬な雌竜を倒せば、主に面目は立つはず。
そんなことを莉子が考えている時だった。
「真青眼の究極竜の効果発動。自分フィールド場のカードがこのモンスターのみ場合、エクストラデッキからブルーアイズのモンスターを墓地に送ることで、このターンあと二回まで連続攻撃できますわ」
「えっ……?」
龍堂院麗華の言葉に呆然とする莉子。
《青眼の白龍》の蘇生に使われた《正統なる血統》は融合した際に自壊している。
現在の龍堂院麗華の場にあるカードは《真青眼の究極竜》だけだ。
「わたくしのエクストラデッキには真青眼の究極竜があと二枚と青眼の究極竜が三枚入っていましてよ。エクストラデッキのブルーアイズモンスターは全種類コンプリートしてますわ。当然、上限いっぱいまで攻撃可能でしてよ」
「ひ、ひっ!」
莉子は思わずデッキに手を置いてサレンダーしようとするが寸前で止まった。
それはデュエリストとしてのプライドではなく、主であるセックスデーモン豚島からサレンダーするなという指示を受けていたため。
「真青眼の究極竜でダイレクトアタックですわ! ハイパー・アルティメット・バースト!!」
攻撃力4500の直接攻撃によるリアルソリッドビジョンの衝撃で吹っ飛ばされた莉子は何度も地面を転がる。
全裸に近い恰好をしていたのが災いして、全身の肌がズタズタになった。
『勝者、ドラゴンプリンセス麗華! トップス市民としての格の違いを見せつけた勝利だぁ!』
奴隷杯のスタッフに莉子が担架で運ばれる中、会場は歓声に包まれていた。