切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

39 / 100
昆虫デッキvs凌辱デッキ

 インセクト遊羽 LP4000

 

    VS

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP3000

 

 《スキルドレイン》によって効果を使用できなくなった《白魔導士ピケル》に《ドーピング》を装備してアタッカーとして利用するマジックコンボ。

 だが、あえてデメリットのある《ドーピング》を使用したのは、美少女モンスターを薬漬けにして愛でるという意図もあったようだ。

 脂ぎった醜い禿デブのおっさんは《白魔導士ピケル》に頬ずりをしながらバトルフェイズへと移行した。

 

「ゴブリン突撃部隊でアーマード・ビーを攻撃」

 

 下級モンスターでありながら上級モンスター水準の攻撃力を持つ《ゴブリン突撃部隊》によって《アーマード・ビー》が戦闘破壊される。

 リアルソリッドビジョンによって遊羽の体は衝撃を受けた。

 奴隷杯終了直後だったので、デュエルディスクのセイフティモードはオフのままだったが、どうせ脂ぎった醜い禿デブのおっさんもセイフティモードをオフにしてるだろうから同じことだ。

 

 インセクト遊羽 LP3300

 

「ふひひ、続けてピケルたんでセットされたモンスターを攻撃」

 

 《ドーピング》によって強化された《白魔導士ピケル》の攻撃が裏側守備表示の《共鳴虫》を襲う。

 

 《共鳴虫》

 星3 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1300

 

「共鳴虫が戦闘破壊された時、デッキから二体目の共鳴虫を守備表示で特殊召喚」

 

 《スキルドレイン》の効果で無効化できるのは、あくまでフィールド場で発動する効果のみ。

 墓地で効果を発動するリクルーターの能力を封じることはできない。

 

「ジャイアント・オークで共鳴虫を攻撃」

「共鳴虫の効果発動」

 

 ここで《アルティメット・インセクトLV3》を特殊召喚して、次のターンで《アルティメット・インセクトLV5》を出したいところだが、《スキルドレイン》によって《アルティメット・インセクトLV3》の効果は発動できない。

 

「代打バッターを特殊召喚」

 

 《代打バッター》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1000 守備力1200

 

 遊羽のデッキには墓地で発動する効果を持つモンスターが多いので動けないわけではないが、普段よりやりにくいのは事実だった。

 

「ふひひ、ジャイアント・オークとゴブリン突撃部隊には攻撃後に守備表示になる効果があるけど《スキルドレイン》によって無効になっているよ」

 

 この脂ぎった醜い禿デブのおっさん、少なくともブルジョア流やセレブ流のデュエリストよりは厄介な相手と言える。

 

「僕はターンを終了する」

「私のターン、ドロー。モンスターをセット」

 

 《髑髏顔 天道虫(ドクロがん レディバグ)

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力500 守備力1500

 

「魔法カード《孵化》を発動。髑髏顔 天道虫(ドクロがん レディバグ)をリリースしてヴァリュアブル・アーマーを特殊召喚」

 

 《ヴァリュアブル・アーマー》

 星5 地属性 昆虫族

 攻撃力2350 守備力1000

 

「更に髑髏顔 天道虫(ドクロがん レディバグ)の効果でライフを1000回復する」

 

 インセクト遊羽 LP4300

 

「バトル、ヴァリュアブル・アーマーでゴブリン突撃部隊を攻撃」

 

 ヴァリュアブル・アーマーがゴブリン突撃部隊を八つ裂きにする。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP2950

 

「私はターン終了」

「ふひ、僕のターンだね」

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさんはドローしたカードを手札に加える。

 

「ドーピングの効果でピケルたんの攻撃力が200ポイントダウン」

 

 《白魔導士ピケル》

 攻撃力1900→1700

 

「ああ、辛そうだねぇ、ピケルたん。大丈夫、僕がついてるよ。ほらスリスリしてあげよう」

 

 《ドーピング》の効果で痙攣する《白魔導士ピケル》に脂ぎった醜い禿デブのおっさんはまたもや頬ずりする。

 

「よし、それならピケルたんが元気になれるお薬をあげよう。《ドーピング》発動!」

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさんが二枚目の《ドーピング》を《白魔導士ピケル》に装備する。

 

 《白魔導士ピケル》

 攻撃力1700→2400

 

「更に僕は《オレイカルコスの結界》を発動」

 

 《オレイカルコスの結界》は自分フィールド場、全てのモンスターの攻撃力を500ポイントアップさせるフィールド魔法。

 

 《白魔導士ピケル》

 攻撃力2400→2900

 

 《ジャイアント・オーク》

 攻撃力2200→2700

 

 これで脂ぎった醜い禿デブのおっさんの場のモンスターは最上級モンスター水準まで攻撃力が上昇した。

 

 《オレイカルコスの結界》は《ガリトラップ-ピクシーの輪-》と同様に自分フィールド場の一番攻撃力が低いモンスターが攻撃対象に選択されなくなる効果がある。

 また1ターンに1度だけ破壊されないという耐性効果も付いていた。

 これだけ見ると強力なフィールド魔法なのだが、発動時に自分の場の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果とエクストラデッキからモンスターを出せなくなるという重めのデメリットがあるカードだ。

 

「ふひひ、僕の場に特殊召喚されたモンスターはいない」

 

 だが《ジャイアント・オーク》と《白魔導士ピケル》は通常召喚されたカードであるため破壊されることはない。

 それに加えて脂ぎった醜い禿デブのおっさんはエクストラデッキのカードを使用せずに《強欲で金満な壺》のコストとして使い捨てている。

 

「バトル、ピケルたんでヴァリュアブル・アーマーを攻撃!」

 

 《ドーピング》によって呼吸を荒げながら繰り出された《白魔導士ピケル》の攻撃で《ヴァリュアブル・アーマー》は戦闘破壊された。

 

 インセクト遊羽 LP3750

 

「ジャイアント・オークで代打バッターを攻撃」

「代打バッターの効果発動。手札から昆虫族モンスター1体を特殊召喚する。《ブレイン・クラッシャー》を攻撃表示」

 

 《ブレイン・クラッシャー》

 星7 闇属性 昆虫族

 攻撃力2400 守備力1500

 

「最上級モンスターか。だけど強化された僕のモンスターの攻撃力には及ばないね。これでターンエンド」

「私のターン、ドロー。《サイクロン》発動。《スキルドレイン》を破壊」

 

 《サイクロン》は場の魔法、罠を一枚破壊することができる速攻魔法。

 これでフィールドのモンスターは効果を使用できるようになった。

 

「装備魔法《火器付機甲鎧》をブレイン・クラッシャーに装着。攻撃力を700ポイントアップする」

 

《ブレイン・クラッシャー》

 攻撃力2400→3100

 

「攻撃力3100だと。ま、まずい!」

 

 狼狽する脂ぎった醜い禿デブのおっさん。

 現在、彼の場には《ジャイアント・オーク》と《白魔導士ピケル》がいるが、攻撃力が高いのは二枚の《ドーピング》によって強化された《白魔導士ピケル》だ。

 遊羽としても《オレイカルコスの結界》や《ガリトラップ-ピクシーの輪-》の効果によって、攻撃力の高い方に攻撃せざるを得ない。

 

「ブレイン・クラッシャーで白魔導士ピケルに攻撃」

「逃げろ! ピケルたん!」

 

 《ブレイン・クラッシャー》の攻撃によって《白魔導士ピケル》が戦闘破壊された。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP2750

 

「ああっ、そんな! ピケルたん」

「私はカードを一枚セット。そんなにピケルが大事ならフィールドに戻してあげようか」

「な、何?」

 

 《ブレイン・クラッシャー》にはエンドフェイズに発動できる特殊能力がある。

 

「ブレイン・クラッシャーは破壊したモンスターを私のフィールド場に蘇生する。白魔導士ピケルを特殊召喚」

 

 《白魔導士ピケル》

 星2 光属性 魔法使い族

 攻撃力1200 守備力0

 

「NTRだと!? ピ、ピケルたんが寝取られた! くっ、脳が破壊される!!」

 

 頭を押さえながら身悶えする、脂ぎった醜い禿デブのおっさん。

 

「ターンエンド。さあ、あんたのターンだ」

「ピケルたん! すぐに助け出してあげるからね」

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさんはドローしたカードをそのまま発動する。

 

「《愚鈍の斧》をジャイアント・オークに装備」

 

 《ジャイアント・オーク》

 攻撃力2700→3700

 

 《愚鈍の斧》は装備したモンスターの効果を無効化して攻撃力を1000アップさせる装備魔法。

 脂ぎった醜い禿デブのおっさんには《スキルドレイン》以外にもデメリット効果を無効化する戦術があったようだ。

 これで《ジャイアント・オーク》の攻撃力が《ブレイン・クラッシャー》を上回った。

 

「よし、それじゃあピケルたんを寝取った蟲姦モンスター、ブレイン・クラッシャーをジャイアント・オークで攻撃!」

「トラップ発動! 闇の呪縛」

 

 《ジャイアント・オーク》が複数の鎖によって拘束された。

 《闇の呪縛》は相手モンスターの攻撃と表示形式変更を封じて、攻撃力を700ダウンさせる永続罠。

 

 《ジャイアント・オーク》

 攻撃力3700→3000

 

「く、鎖! ふひひ、君は中々アダルトエンタメデュエルに適したカードを使うね。だけど鎖で拘束するなら女の子のモンスターにしないと駄目だよ」

「生憎だけど私はエンタメデュエルをする気はない」

 

 遊羽にとってデュエルは真剣勝負であり、そこにエンタメの入る余地はない。

 

「ブレインクラッシャーで返り討ちだ」

 

 《闇の呪縛》はダメージステップ時に使用すればコンバットトリックも可能だ。

 《ブレイン・クラッシャー》によって《ジャイアント・オーク》が戦闘破壊される。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP2650

 

「カードを一枚伏せて、僕はターン終了」

「ブレイン・クラッシャーの効果でジャイアント・オークを特殊召喚」

 

 《ジャイアント・オーク》

 星4 闇属性 悪魔族

 攻撃力2200 守備力0

 

「私のターン。ドロー。白魔導士ピケルの効果発動。場のモンスター1体につきライフを400ポイント回復」

 

 インセクト遊羽 LP4950

 

 遊羽の場には《ブレイン・クラッシャー》《白魔導士ピケル》《ジャイアント・オーク》がいるので、合計1200ポイントのライフが回復される。

 

「ピ、ピケルたんが悪堕ちした! 寝取られた上、洗脳されて利用されてるのか!」

 

 《白魔導士ピケル》が遊羽のライフポイントを回復させたのを見て、脂ぎった醜い禿デブのおっさんは頭を押さえながら嘆きの声を上げた。

 

「《黒いペンダント(ブラック・ペンダント)》を白魔導士ピケルに装備」

「ああっ! それがピケルたんが悪堕ちした証ってわけか!」

 

 《白魔導士ピケル》

 攻撃力1200→1700

 

「バトルフェイズ。ブレイン・クラッシャーでダイレクトアタック!」

「トラップカード、体力増強剤スーパーZを発動! 自分が2000以上ダメージを受ける場合、その前にライフを4000回復する」

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP6650

 

 その直後、ブレインクラッシャーの直接攻撃が成立する。

 リアルソリッドビジョンの衝撃で脂ぎった醜い禿デブのおっさんが吹っ飛んだ。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP3550

 

「ジャイアント・オークでプレイヤーにダイレクトアタック」

 

 倒れた脂ぎった醜い禿デブのおっさんを容赦なく追撃する。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP1350

 

 そして遊羽の場には、まだ攻撃可能なモンスターが1体残っている。

 《ブレイン・クラッシャー》によってコントロールを奪取した《白魔導士ピケル》だ。

 《白魔導士ピケル》は《黒いペンダント(ブラック・ペンダント)》によって攻撃力が500アップしている。

 

「ね、寝取られて悪堕ちしたピケルたんにとどめを刺されるなんて……」

「白魔導士ピケルでダイレクトアタック」

「……ふひひ、そんなの滅茶苦茶興奮するじゃないか」

 

 《白魔導士ピケル》の攻撃によるリアルソリッドビジョンの衝撃で、脂ぎった醜い禿デブのおっさん地面を転がった。

 

 脂ぎった醜い禿デブのおっさん LP0

 

 

 

 ◇

 

 

 

 その後の事後処理はスムーズに進行した。

 この世界はデュエルで全てが決まる。

 取り決めをしてデュエルを行った以上、敗者はデュエル終了後にそれを履行しなくてはならない。

 ただその際、脂ぎった醜い禿デブのおっさんは特に悔しがる素振りも見せずに、遊羽のブラックドミノ銀行口座に11億を振り込むと、そのまま去っていった。

 

 その様子を見て、ふと思う。

 もしかしたら、脂ぎった醜い禿デブのおっさんは本当に三条望羽(みう)を保護するつもりだったのではないかと。

 ライアーペニスマンの存在で先入観があったが、よく考えたら脂ぎった醜い禿デブのおっさんがデュエルで子供の笑顔と人権を守る会の副会長と同類とあるという証拠は何処にもない。

 ボランティアでやっているデュエル児童養護施設とやらも、本当に子供を保護する施設だったのかもしれない。

 

 デュエルにおいて脂ぎった醜い禿デブのおっさんは《白魔導士ピケル》に頬ずりをしていたが、その最中に勃起してはいなかった。

 あえて攻撃力が低下する《ドーピング》を使用したのも、《オレイカルコスの結界》や《ガリトラップ-ピクシーの輪-》によって《白魔導士ピケル》を守り易くするためだったのではないか。

 

 オークやゴブリン系モンスターが強姦を行うというのは、デュエルアカデミアで友人に勧められて見た薄い本の知識だが、脂ぎった醜い禿デブのおっさんにとっては《ジャイアント・オーク》や《ゴブリン突撃部隊》は《白魔導士ピケル》を護るナイトだったのかもしれない。

 言動的にマニアックな性癖があったようだが、あくまでもデュエルの中だけに留めていたのではないだろうか。

 

 何より奴隷杯の優勝者相手に簡単に11億賭けることを承諾したこと。

 あれは仮に自分が負けても、遊羽が三条望羽(みう)を不自由なく育てられるようにしたのではないかと。

 

 無論、これら全ては憶測であり、脂ぎった醜い禿デブのおっさんがデュエルで子供の笑顔と人権を守る会の幹部連中と同類である可能性も十分にあり得た。

 だから三条望羽(みう)を渡さなかったという選択が間違っていたとは思わない。

 それでも、脂ぎった醜い禿デブのおっさんのデュエル児童養護施設がまともなら、三条望羽(みう)にとっては、そちらの方が良い環境だったのではないかという考えが頭を過る。

 

「あなたのデュエル、見ててドキドキした! 私の周りでこんなに昆虫族を使いこなせるデュエリストはいなかったから」

 

 笑顔で駆け寄ってくる三条望羽(みう)を見て、遊羽は自分の行動が間違いではなかったと思うことができた。

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