切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

49 / 100
A・O・J

 癲狂院(てんきょういん)遊羽 /  LP2850

 

     VS

 

 赤田正人(まさと) / LP4000

 

 

「僕はカードを一枚伏せてターンエンド」

「私のターン。ドロー」

 

 引いたカードを遊羽はそのまま召喚する。

 

「ドラゴンフライを攻撃表示」

 

 《ドラゴンフライ》

 星4 風属性 昆虫族

 攻撃力1400 守備力900

 

「更にフィールド魔法《森》発動。昆虫族の攻撃力と守備力を200アップ」

 

 《ドラゴンフライ》

 攻撃力1400→1600 守備力900→1100

 

「バトル。ドラゴンフライでA・O・Jリサーチャーを攻撃」

 

《ドラゴンフライ》と《A・O・Jリサーチャー》はどちらも攻撃力1600で互角。

 よって両方のモンスターが破壊される。

 

「ドラゴンフライの効果発動、破壊された時、攻撃力1500以下の風属性モンスターを1体特殊召喚する。私は二体目のドラゴンフライを特殊召喚」

 

 《ドラゴンフライ》

 星4 風属性 昆虫族

 攻撃力1400→1600 守備力900→1100

 

「ちっ、だったら《マシン・デベロッパー》の効果。フィールド場の機械族モンスターが破壊された時、このカードにジャンクカウンターを二つ置く」

「ドラゴンフライでプレイヤーにダイレクトアタック」

 

 《ドラゴンフライ》の直接攻撃を受けて、赤田正人の体が大きく仰け反った。

 

 赤田正人 LP2400

 

「下層区の小娘の分際で舐めた真似を!」

「私はこれでターンエンド」

「ふん! アカデミアの教師を怒らせたことを後悔させてやる」

 

 赤田正人がドローしたカードを手札に加える。

 

「A・O・J コアデストロイを攻撃表示!」

 

 《A・O・J コアデストロイ》

 星3 闇属性 機械族

 攻撃力1200→1400 守備力200

 

「そして伏せていた《DNA移植手術》を発動。このカードによってフィールド場のモンスターは僕が宣言した属性になる。宣言するのは光属性」

 

 《ドラゴンフライ》

 星4 風属性→光属性 昆虫族

 

《A・O・J コアデストロイ》

 星3 闇属性→光属性 機械族

 

「バトルフェイズ。A・O・J コアデストロイでドラゴンフライに攻撃」

 

 《マシン・デベロッパー》によって《A・O・J コアデストロイ》の攻撃力は1400にアップしているが、《ドラゴンフライ》の攻撃力は《森》によって200上昇して1600になっている。

 バトルが行われれば《ドラゴンフライ》によって《A・O・J コアデストロイ》は返り討ちになる。

 

「A・O・J コアデストロイの効果、光属性と戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する」

 

 《A・O・J コアデストロイ》によって《ドラゴンフライ》が破壊される。

 戦闘破壊ではないので《ドラゴンフライ》の効果は発動しない。

 

「ははは! だから言っただろ。下層区の学生の戦略などアカデミアの教師には通用しないと」

 

 赤田正人が高笑いする。

 

「戦闘ダメージが発生なくて良かったな! もっともお前は親なし。デュエルで体罰を与えても、保護者からクレームをつけられることはないがね。僕はターンエンド」

「私のターン、ドロー」

 

 実際、《A・O・J コアデストロイ》と《DNA移植手術》のコンボは厄介だ。

 《A・O・J コアデストロイ》はどれだけ攻撃力が高いモンスター相手でも戦闘を行えば無条件で破壊できるし、こちらの戦闘破壊トリガーのリクルーターも無力化される。

 

「私はゴキポールを召喚」

 

 《ゴキポール》

 星3 地属性→光属性 昆虫族

 攻撃力1000→1200 守備力1200→1400

 

「ゴキポールでA・O・J コアデストロイを攻撃」

 

 ならば戦闘破壊トリガー以外の効果を持つ昆虫族で対処すればいい。

 

「無駄だ。何をする気か知らんが、A・O・J コアデストロイは光属性を無条件で破壊できる」

 

 《A・O・J コアデストロイ》の効果によって《ゴキポール》が木端微塵に砕け散った。

 

「ゴキポールの効果発動。墓地に送られた時、レベル4の昆虫族モンスター1体を手札に加えて、通常モンスターなら場に出すことができる。ゴキボールを手札に加えて、そのまま特殊召喚」

 

 《ゴキボール》

 星4 地属性→光属性 昆虫族

 攻撃力1200→1400 守備力1400→1600

 

「そしてゴキボールの攻撃力以上のモンスターを破壊する。A・O・J コアデストロイを破壊」

 

 《ゴキポ―ル》の効果によって《A・O・J コアデストロイ》が破壊された。

 

「下層区の小娘が僕の鉄壁コンボを破っただと。だが《マシン・デベロッパー》にジャンクカウンターを更に二つ追加だ」

「ゴキボールでダイレクトアタック!」

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃により、赤田正人の体が大きく後退した。

 

 赤田正人 LP1000

 

「私はこれでターンエンド」

「調子に乗るなよ! 僕のターン、ドロー」

 

 引いたカードを見た赤田正人が笑みを浮かべる。

 

「はは、この親なしに体罰を与える準備は整った!」

 

 ドローしたカードをそのまま場に出す。

 

「僕はチューナーモンスター、A・O・Jサイクルリーダーを召喚」

 

 《A・O・Jサイクルリーダー》

 星3 闇属性→光属性 機械族

 攻撃力1000→1200 守備力1000

 

 あれはチューナーモンスターというレアカードだ。

 一見攻撃力の低いモンスターであるが、あのカードには隠された使い道がある。

 

「更に《アイアンコール》を発動。自分フィールド場に機械族がいる場合、墓地からレベル4以下の機械族を蘇生できる。A・O・Jリサーチャーを特殊召喚」

 

 《A・O・Jリサーチャー》

 星3 闇属性→光属性 機械族

 攻撃力1400→1600 守備力100

 

「《マシン・デベロッパー》の効果発動。ジャンクカウンターが乗っているこのカードを墓地に送ることで、そのカウンター以下のレベルを持つ機械族を墓地から特殊召喚する」

 

 《マシン・デベロッパー》に乗っていたジャンクカウンターの数は4。

 よってレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる。

 

「墓地からA・O・Jガラドホルグを特殊召喚」

 

 《A・O・Jガラドホルグ》

 星4 闇属性→光属性 機械族

 攻撃力1600 守備力400

 

 墓地へ送ったタイミングは《A・O・Jリサーチャー》の効果を発動するために手札を捨てた時か。

 これで赤田正人の場には三体の『A・O・J』が並んだ。

 

「下層区の小娘と違って僕はB区の市民。高級品のエクストラデッキのカードを持っている。それを今、見せてやるよ」

 

 デュエルディスクを通して赤田正人のエクストラデッキに三枚カードがあるのは確認している。

 

「レベル4の《A・O・Jガラドホルグ》とレベル3の《A・O・Jリサーチャー》に、レベル3の《A・O・Jサイクルリーダー》をチューニング!」

 

 それはエクストラデッキを用いたレベルを足し合わせる召喚法。

 

「シンクロ召喚! 現れろ、A・O・Jディサイシブ・アームズ!!」

 

 《A・O・Jディサイシブ・アームズ》

 星10 闇属性→光属性 機械族

 攻撃力3300 守備力3300

 

「……新しいシンクロモンスターを手に入れたのですね、赤田先生」

「ええ、古牧先生。臨時収入があったのでね。そして僕は《二重召喚》を発動」

 

 《二重召喚》は通常召喚を二回行えるようになる魔法カード。

 ブルジョア流デュエリストの銭山も使っていたレアカードだ。

 

「気づいたようだな。この《二重召喚》は富岡たちから貰ったレアカードの一枚でね。《A・O・Jディサイシブ・アームズ》は他の賄賂カードを売却して得た金で購入したのだよ」

 

 最早、隠す気もないのかいけしゃあしゃあと赤田正人が囀る。

 

「レッド寮の落ちこぼれなど守るよりも、トップスの市民を優遇すれば、優れたデュエリストになれる。僕はA・O・Jアンリミッターを召喚」

 

 《A・O・Jアンリミッター》

 星2 闇属性→光属性 機械族

 攻撃力600 守備力200

 

「A・O・Jアンリミッターをリリースして効果発動。A・O・Jディサイシブ・アームズの攻撃力をエンドフェイズまで倍にする」

 

 《A・O・Jディサイシブ・アームズ》

 攻撃力3300→6600

 

「はは、こいつは凄い。どうやら僕は真のデュエリストになったようだ。これなら古牧先生、いや古牧にも勝てる」

 

 攻撃力6600になった《A・O・Jディサイシブ・アームズ》を見た赤田正人が増長する。

 

「おい、古牧。癲狂院を倒したら次はお前とデュエルしてやる。元々、女の分際で偉そうにしてるから気に食わなかったんだ。上級教師であるお前を倒せばアカデミアも僕を再評価するだろう。減給どころか上級教師に昇格できるかもしれない」

 

 どうやら赤田正人は既にこのデュエルに勝った気でいるらしい。

 

「それじゃあデュエルを終わらせよう。バトルフェイズに入る前にA・O・Jディサイシブ・アームズの効果発動。この効果は相手フィールド場に光属性モンスターがいる場合発動できる」

 

 遊羽の場には《DNA移植手術》で光属性になった《ゴキボール》がいる。

 

「相手フィールド場にセットされたカード1枚を破壊する。何度も言うが、下層区の学生の戦略など教師である僕には通用しない」

「それはどうかな。私はこのタイミングで伏せカードを発動する」

「何!?」

「トラップカード《ダメージ・ダイエット》。私がこのターン受ける全てのダメージは半分になる」

 

 驚きの表情を見せた赤田正人だったが、リバースカードが《ダメージ・ダイエット》だと知ると薄笑いに変わる。

 

「はは、何だ。単にダメージを減らすだけのカードか。下層区の市民らしいクソカードだな。いや、下層区ではこの程度のカードも手に入らないのかな」

 

 実際、《ダメージ・ダイエット》はアカデミアでDPを用いて購入したパックで入手したカードだ。

 

「何にせよ僕のA・O・Jディサイシブ・アームズは無傷。なら何の問題もない。バトル! A・O・Jディサイシブ・アームズの体罰攻撃を受けろ!」

 

 《A・O・Jディサイシブ・アームズ》の攻撃によって、《ゴキボール》が木端微塵に砕け散る。

 リアルソリッドビジョンの衝撃によって、遊羽は後方に吹っ飛び床に転倒した。

 

 癲狂院遊羽LP250

 

 だが《ダメージ・ダイエット》によって軽減されたのでライフポイントは残っている。

 

「僕はこれでターンエンド。A・O・Jディサイシブ・アームズの攻撃力は元に戻るが、それでも3300。下層区の小娘ではどうすることもできないだろう」

 

 《A・O・Jディサイシブ・アームズ》

 攻撃力6600→3300

 

「私のターン、ドロー」

 

 引いたカード《月鏡の盾》を見て遊羽は薄く笑った。

 必殺コンボに必要なカードが手札に揃ったからだ。

 

「私は《思い出のブランコ》を発動。墓地から通常モンスターを特殊召喚する。ゴキボールを攻撃表示で特殊召喚」

 

 《ゴキボール》

 星4 地属性→光属性 昆虫族

 攻撃力1200→1400 守備力1400→1600

 

「そんな雑魚モンスター蘇らせて何になる」

「装備魔法《月鏡の盾》をゴキボールに装備」

「《月鏡の盾》? どんな効果だったか、どうせ下らないクソカードだろ」

 

 赤田正人はアカデミアの教師だが《月鏡の盾》の効果を把握していないらしい。

 

「バトル! ゴキボールでA・O・Jディサイシブ・アームズを攻撃!」

「勝てないと思って自棄になったか。A・O・Jディサイシブ・アームズ、返り討ちにしろ! 体罰カウンター攻撃だ」

「《月鏡の盾》の効果。このカードが装備されたモンスターは戦闘を行うダメージ計算時、相手モンスターの攻撃力か守備力の高い方に100を加算した攻撃力になる」

「な、何だと!?」

 

 ゴロゴロと転がる《ゴキボール》の体当たりによって、《A・O・Jディサイシブ・アームズ》が木端微塵に砕け散った。

 

 赤田正人 LP900

 

「だ、だが僕のライフはまだ残っている」

「手札から速攻魔法《超進化の繭》を発動。《月鏡の盾》が装備されたゴキボールをリリースして、アルティメット・インセクトLV7を特殊召喚」

 

 《アルティメット・インセクトLV7》

 星7 風属性→光属性 昆虫族

 攻撃力2600→2800 守備力1200→1400

 

「馬鹿な。アカデミアの教師である僕が学生、それも下層区の親なしに」

「アルティメット・インセクトLV7でプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃によって、赤田正人が宙を舞った。

 

 赤田正人 LP0

 

「勝負あり! 癲狂院さんには10000DPが支払われます。そして赤田先生、いえ、最早教師ではない以上、赤田正人と呼ぶべきですか」

 

 極めて厳しい視線を向けながら古牧美玲が言い放つ。

 

「あなたを懲戒解雇します」

 

 この日、デュエルアカデミアから教師が一人いなくなった。

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