切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

70 / 100
真紅眼の黒竜

 インセクト遊羽 /  LP1900

 

    VS

 

 レイプデビル叡傲(えいごう) / LP4000

 

 

 女王杯二回戦、第一試合。

 強姦魔王(レイプデビル)の異名を持つデュエリスト、聖園(みその)叡傲(えいごう)とのデュエル。

 現在の遊羽の場には上級シンクロモンスター《地底のアラクネー》が一体。

 

 《地底のアラクネー》

 星6 地属性 昆虫族

 攻撃力2400 守備力1200

 

 一方でレイプデビル叡傲の場には《闇竜族の爪》で強化された《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》と最上級融合モンスター《真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)》がいた。

 

 《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)

 星7 闇属性 ドラゴン族

 攻撃力2400→3000 守備力2000

 

 《真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)

 星7 闇属性 ドラゴン族

 攻撃力2800 守備力2400

 

「くひひ、バトルだ。真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)で地底のアラクネーに攻撃。この瞬間、スラッシュドラゴンの効果発動。墓地の戦士族モンスター《終末の騎士》を装備して攻撃力を200アップする」

 

 《真紅眼の黒刃竜》

 攻撃力2800→3000

 

「地底のアラクネーの効果。このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊することができる」

「だがダメージは受けてもらうぜ」

 

 インセクト遊羽 LP1300

 

「そして装備カードがなくなれば、その効果は使えねえ。真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)の攻撃! 黒炎弾!!」

 

 真紅眼の黒竜から放たれた火炎弾によって地底のアラクネーが炎上した。

 

 インセクト遊羽 LP700

 

「《大樹海》効果発動。デッキからマザー・スパイダーを手札に加える」

「俺はカードを一枚セットしてターンエンド」

 

 レイプデビル叡傲の場は盤石だった。

 二体の最上級モンスターは両方とも攻撃力3000だが、これらは単に攻撃力が高いだけではない。

 

 《真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)》は自分フィールド場のカードを対象とする効果が発動した時、装備カードを墓地に送ることで無効にする効果がある。

 それに加えて自身が破壊された際、装備されていたモンスターを墓地から可能な限り特殊召喚できる。

 

 そして《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》は効果のない通常モンスターだが、装備されている《闇竜族の爪》によって効果破壊耐性を得ている。

 更に装備モンスターが戦闘で破壊されることで《闇竜族の爪》が墓地に送られた場合、そのモンスターを蘇生して再度《闇竜族の爪》を装備することができる。

 

「私のターン、ドロー」

 

 引いたカードを遊羽は即座に発動した。

 

「魔法カード《貪欲な壺》。ジャイアント・メサイア、セイバー・ビートル、甲虫装甲騎士(インセクトナイト)、地底のアラクネー、ゴキポールの五枚をデッキに戻すことで二枚ドロー」

 

 これで遊羽の手札は五枚になった。

 この手札にあるカードを使って相手の強固な盤面を切り崩す。

 

「魔法カード《アースクエイク》。フィールド場に表側表示で存在する全てのモンスターを守備表示にする」

 

 レイプデビル叡傲の場にいる二体の『レッドアイズ』モンスターが守備表示になった。

 

「私の墓地に存在するモンスターが昆虫族の場合のみ、このカードは相手フィールド場に表側守備表示で存在するモンスター二体を墓地に送り特殊召喚することができる」

 

 《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》と《真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)》の腹を食い破って大量の子蜘蛛が生まれる。

 それらの子蜘蛛が一つに集まり巨大な大蜘蛛に姿を変えた。

 

「マザー・スパイダーを特殊召喚!」

 

 《マザー・スパイダー》

 星6 闇属性 昆虫族

 攻撃力2300 守備力1200

 

 破壊されたのでなければ《真紅眼の黒刃竜》と《闇竜族の爪》の効果は発動しない。

 

「更に墓地の昆虫機甲鎧(バイオインセクトアーマー)の効果発動。このカードをマザー・スパイダーに」

「そいつは通せねえな。D.D.クロウを捨てることで、相手の墓地のカードを除外できる。この効果で昆虫機甲鎧を除外するぜ」

「だったらジャイアント・メサイアを召喚」

 

 《ジャイアント・メサイア》

 星3 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1500

 

「ジャイアント・メサイアの効果。墓地からゴキポールを攻撃力と守備力を500アップする装備カードとして装備する」

 

 《ジャイアント・メサイア》

 攻撃力1200→1700 守備力1500→2000

 

「装備カードを装備した守備力2000の昆虫族モンスターをリリースすることによって、完全態・グレート・インセクトを特殊召喚!」

 

 《完全態・グレート・インセクト》

 星9 地属性 昆虫族

 攻撃力3000 守備力2600

 

「更に墓地に送られたゴキポールの効果で、デッキから甲虫装甲騎士を手札に加えて、攻撃表示で特殊召喚」

 

 《甲虫装甲騎士(インセクトナイト)

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1900 守備力1500

 

「バトル! 甲虫装甲騎士でダイレクトアタック!」

「トラップカード《死魂融合(ネクロ・フュージョン)》発動」

 

 《死魂融合》は自分の墓地から融合素材を裏側表示で除外して融合召喚を行う罠カード。

 

「俺は墓地から《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》と《真紅眼の凶雷皇(レッドアイズ・ライトニング・ロード)-エビル・デーモン》を除外する」

 

 《真紅眼の凶雷皇(レッドアイズ・ライトニング・ロード)-エビル・デーモン》を墓地に送ったタイミングは二度目の《命削りの宝札》を使用したエンドフェイズ時か《天罰》のコストだろう。

 

「くひひ、悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンを融合召喚!」

 

 《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》

 星9 闇属性 ドラゴン族

 攻撃力3200 守備力2500

 

 現れたのは見覚えのある『レッドアイズ』融合モンスターだった。

 当然、甲虫装甲騎士の攻撃を続行することはできず取りやめる。

 

「この悪魔竜は最近ブラックマーケットで購入したウルトラレアカードでね。手抜きのために、こいつと三枚目の真紅眼の黒竜はあえて入手しないようにしてたんだが、雇い主がデッキに入れろとうるせえから仕方なく買ったんだよ」

「……まさか」

 

 レイプデビル叡傲の手元を凝視すると見覚えのある装飾指輪がはめられている。

 

「その真紅眼の黒竜の値段は2億円、悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンは2億5000万円。販売者はMUSIKERAだったりする?」

「何で知ってるんだ」

「それを売ったのは私」

 

 『MUSIKERA』はブラックマーケットにおける遊羽のアカウント名である。

 《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》と《真紅眼の黒竜》を売却した際、購入者の手元だけ見えたが、その指にはレイプデビル叡傲がしているのと同じ装飾指輪があった。

 それに購入者のアカウント名が『DEVIL』だったのを思い出す。

 

「マジかよ。変な偶然もあるもんだな。この二枚、どうやって手に入れた」

「セックスデーモン豚島からアンティで勝ち取った」

 

 せっかく決闘強姦魔の手を離れてブラックマーケット経由で新たな所有者の手に渡った《真紅眼の黒竜》と《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》だが、またしても決闘強姦魔に使われるようになってしまったようだ。

 

「セックスデーモン豚島。懐かしいねぇ。俺も奴とはデュエルしたよ。レイパーとしての意識が低いだの、女を犯す者としての誇りが足りてねえだの、訳のわからねえことをごちゃごちゃ言う奴だった。決闘強姦魔なんざ、所詮ただのデュエル性犯罪者だろうに」

 

 吐き捨てるようにレイプデビル叡傲が言う。

 

「ワンキルもできたがそれじゃあ暇潰しできねえから、レジェンド・デビルで手を抜きながら適当に完全決闘(パーフェクトデュエル)を決めてやった。結局、あのレベルのデュエリストじゃ暇潰し相手にならんかったがね」

「レッドアイズデッキにレジェンド・デビルを入れてるのも、その手抜きのためなわけ?」

「そうだぜ。俺はデュエルアカデミアに入学して以来負けなしだったんだが、中等部にいた頃に同級生から言われてね。お前が勝てるのはレッドアイズという強いテーマのデッキを使ってるからだと」

 

 そんな言い分は遊羽からすれば完全な戯言だった。

 そもそも強いカードを集めてデッキを作れるかどうかもデュエリストとしての実力の内であるし、『DD』のような高級テーマを渡されても、まともに使いこなせないプロデュエリストもいる。

 

「下らねえ負け惜しみではあるが、検証してみようと思ってね。俺ではなくレッドアイズが強いのかを。とはいえ全く違うデッキを一から作る気にはなれなかったよ。真紅眼の黒竜はガキの頃からの相棒だからな」

 

 もう一人の二大決闘強姦魔の方と違い、レイプデビル叡傲は《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》に対する愛着があるようだ。

 

「そんな時、購買のゴミ箱に捨ててあったレジェンド・デビルを見つけて思いついたのさ。レッドアイズと何のシナジーもなく、カードパワーが低いレジェンド・デビルとそれをサポートするカードをデッキに加えようと」

 

 そんなことをすれば間違いなくレッドアイズ純構築だった時よりもデッキの完成度は大幅に低下する。

 

「新しいデッキを作ってから、さっそくその言いがかりをつけた奴とデュエルしたんだが、レジェンド・デビルだけで勝っちまったよ」

 

 デュエルに勝利したと語りながらも、レイプデビル叡傲の口調はつまらなそうなものだった。

 

「それから高等部に進級して主席で卒業するまでの間、俺にレッドアイズを使わせるデュエリストが現れることはなかった。最終卒業試験はレジェンド・デビルだけで完全決闘(パーフェクトデュエル)してやった」

 

 それが聖園叡傲という男がアカデミアを主席で卒業するまでの経緯。

 この男には、遊羽にとっての色音のようなライバルになる存在がいなかったのだ。

 

「聞いてるぜ。お前は次席でアカデミアを卒業したんだってな。だが生憎と俺からすればデュエルアカデミアなんざ手抜きしながら主席で卒業できる」

 

 あまりにも傲慢な言葉だが、この男はそれを有言実行している。

 

「何で決闘王(デュエルキング)に挑戦するチャンスをドブに捨てたの?」

「ああ、それを聞きたかったわけか。言っとくが、俺も一応決闘王になっておく気はあったんだぜ」

 

 軽く頭を掻きながらレイプデビル叡傲が話を続ける。

 

「当時の決闘王の実力はテレビで見たことがあるから大体分かってた。レジェンド・デビルで完全決闘(パーフェクトデュエル)が決まる程度の暇潰し相手にもならねえ男だと。ただまぁトップスの市民になっておいても損はねえから、手抜きしながら決闘王になっとこうと思ってはいたわけよ」

 

 別に目の前の決闘強姦魔に嫌悪感があるわけではないが、あまりにもふざけた発言だとは思った。

 

「だが決闘王とのデュエルの当日に街である女を見かけてね。そいつはサイコレズ百合浜というデュエリストだ」

 

 その名前なら遊羽も知っている。

 レイプデビル叡傲に強姦された被害者であり、三十人以上の男性デュエリストを強制デュエルで殺害したとされる加害者。

 

「裏にいたなら聞いたことがあるかもしれねえが、その女は捕まれば即死刑になるレベルのデュエル犯罪者でね」

 

 犯罪に寛容なブラックドミノシティで賞金首にされていたSランクの凶悪デュエル犯。

 何でもレズの千年王国を作ると喧伝して、男性デュエリストを無差別に殺害、デュエルで拘束を試みた男性セキュリティまで返り討ちにして殺したらしい。

 

「俺も当時は一応善良な一般ブラックドミノ市民だったからな。セキュリティに通報しようとしたんだが、ふと思ったんだよ。決闘王なんかより、この女とデュエルした方が暇潰しになるんじゃねえかと」

 

 おそらくそれが聖園(みその)叡傲(えいごう)という男の人生の分岐点。

 

「ただ、それだけでトップスの市民になるのを捨てるのも惜しかったんでね。もう一押し何か欲しかったわけよ。そこでレイプだ。決闘強姦なんざ、本来は暇潰しにもならねえが、相手が凶悪デュエル犯なら話は変わってくる」

 

 仮にその日、サイコレズ百合浜を見つけなければ、この男は決闘強姦魔(デュエルレイパー)ではなく決闘王(デュエルキング)になっていたかもしれない。

 

「デュエルに勝てば凶悪デュエル犯の女を強姦して、デュエルに負ければ自分が殺される。こいつは間違いなく、これまでにない暇潰しになるという確信があったぜ」

「つまりあんたは命がかかったデュエルでしか本気を出さないってこと」

「馬鹿! 命がけでも手を抜くに決まってんだろ。何度も同じことを言わせるな。俺が本気を出したら一瞬でデュエルに勝っちまう。それじゃあ暇潰しができねえだろ」

 

 何事も常に全力で取り組む遊羽とは、どこまでも相容れない主張。

 

「じゃあ、あんたはサイコレズ百合浜とのデュエルでも、レジェンド・デビルの入ったデッキを使ったわけ」

「そうだぜ。今回と同じ二つの制約を課してデュエルした。結果、サイコレズ百合浜はレジェンド・デビルを破壊して俺にレッドアイズを出させた。デュエルアカデミアではできなかった暇潰しがようやくできたってわけだ」

 

 それこそが聖園叡傲が決闘王になる機会を捨てた理由。

 

「サイコレズ百合浜、ジャスティスアサシン切子、チャイルドクラッシュ春香、バッドポリティカル日南田、シャドウミスト四音、レズインフェルノ桃花、ブラックハート三月、ダークレズビアン美野里、アシッドレイン香住、プアーキラー西園寺」

 

 どれもブラックドミノシティの裏社会では有名な名前だ。

 全員が元賞金首であり死刑にされた凶悪デュエル犯。

 

 ジャスティスアサシン切子。正義の殺し屋を自称していたというデュエリスト。

 有名な話だとデュエル成金から依頼を受けて結婚初夜の夫婦の内、夫を強制デュエルで殺害。

 その後、妻の方はデュエル成金に手籠めにされたというが、金持ちの愛人になれたのだから新婦にとってもその方が幸せ、自分は正義のデュエル殺人をしたと酒場で喧伝していたそうだ。

 

 チャイルドクラッシュ春香。『デュエルで子供の笑顔と人権を守る会』の元上級会員。

 『デュエルで子供の笑顔と人権を守る会』は基本的に人権のない決闘奴隷の子供を凌辱する集団だが、この女はその一線を越えて市民権のある子供にまで手を出したことで退会させられたそうだ。

 その異名の通り、子供を強制デュエルで無力化した後、プレス機でクラッシュするデュエリストだったらしい。

 

 プアーキラー西園寺。こいつは遊羽が裏のデュエル社会に来た当初はまだ生きていた。

 下層区で装甲車を乗り回して、貧民デュエリストに強制デュエルをしかけて無力化した後、チェーンガンでミンチにして、その動画をDチューブにアップしていた殺人系Dチューバーだ。

 トップスの市民であったためセキュリティも逮捕に消極的だったが、物見遊山で下層区見物に来ていた同じトップス市民の青年を誤って強制デュエルで殺害。

 被害者の青年が西園寺より格上の家柄だっため、セキュリティは即座に賞金首にした。

 

「この十人は俺にレッドアイズを使わせることができた暇潰し相手だ」

 

 そしてこれらの女性はレイプデビル叡傲の強姦被害者でもある。

 

「悪人をレイプする正義のレイパーでも気取ってるわけ」

「生憎だが正義に興味はねえな。俺はただ暇潰しがしたいだけなんだよ。言っとくが犯した女をセキュリティに引き渡すような真似はしてないぜ」

「何故?」

 

 相手が凶悪デュエル犯ならレイプしてからセキュリティに引き渡しても懸賞金は貰えそうなものだ。

 遊羽としては死刑にする必要はないと思うが、見逃せば被害が広がるので、同じ状況ならセキュリティに引き渡すと思う。

 

「一度は抱いた女たちだ。死に追いやるのは本意じゃねえ」

 

 何か良いことを言ってるようにも聞こえるが、ここは一般的な女性としての言葉を返す。

 

「抱いたじゃなくて犯したの間違いでしょ、強姦魔(レイパー)

「くひひ、違いねえな」

 

 まぁレイプデビル叡傲が引き渡さずとも、この10人はセキュリティによってデュエルで拘束されたそうだ。

 おそらく一度負けて決闘強姦されたことで、彼女たちはデュエリストとしてのプライドをへし折られたのだろう。

 それによってデュエルが乱れた結果、あっさりとセキュリティに捕縛され、そのまま死刑になった。

 故にレイプデビル叡傲に強姦された女たちは全員死んでいる。

 

「一応、決闘強姦をした後は毎回セキュリティに自首してるんだぜ。相手が凶悪犯だろうが強姦した以上は、デュエル刑務所で数か月程度の刑期ぐらいは全うするさ」

 

 セキュリティに逮捕されても賄賂を払って数日、早ければ即日出所する輩の多い決闘強姦魔界隈では珍しく、真面目にデュエル刑務所勤めをしているようだ。

 

「デュエル刑務作業も適当に手を抜いてやればいいしな。それでも他の受刑者よりは余程速くてクオリティも高いんだぜ」

「刑務作業の速さを自慢したいの?」

「いや刑務作業に限った話じゃねえさ。勉強も運動も仕事も、そしてデュエルもレイプも、俺はあらゆることを何でも適当に手を抜いてやるだけで人より上手くできちまうんだよ。お前からウルトラレアカードを買った金も手を抜いて金策して数日で集めたぜ」

 

 《真紅眼の黒竜》と《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》の合計販売価格は4億5000万円。

 決闘女王から金を出してもらったのではなく自力で金策したらしい。

 

「分かるか。デュエルは手を抜いてこそ暇潰しになる」

「私はどんな相手とのデュエルでも全力を尽くす。あんたとはどうあっても相容れない」

「くひひ、そうみたいだな」

 

 最早、この決闘強姦魔と話すことは何もない。

 

「デュエルを続けるよ。私は《闇の増産工場》で甲虫装甲騎士(インセクトナイト)を墓地に送って一枚ドロー」

 

 引いたカードを遊羽はそのまま発動した。

 

「速攻魔法《収縮》。悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力を半減させる」

 

 《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》

 攻撃力3200→1600

 

「グレート・インセクトで悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンに攻撃!」

 

 巨大な蛾の竜巻攻撃によって悪魔竜が木端微塵に砕け散った。

 

 レイプデビル叡傲 LP2600

 

「マザー・スパイダーでプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

 レイプデビル叡傲 LP300

 

 二体目の最上級融合モンスターを失い、完全決闘(パーフェクトデュエル)を破られ、ライフポイントも風前の灯火。

 だがレイプデビル叡傲は相変わらず半笑いのままだ。

 

「レジェンド・デビルを倒して、完全決闘(パーフェクトデュエル)を破る。ここまでなら俺が強姦した女たちでもできたんだよ」

 

 賞金がかけられるデュエル犯罪者は基本的に一流以上のデュエリストだ。

 プロデュエリストはもちろんのこと、セックスデーモン豚島や奴隷杯常連出場者たちのような裏でも闇の浅い大会にいるデュエリストよりも格上の存在。

 

「だが俺に勝てた奴は一人もいねえ」

 

 この決闘強姦魔が五体満足で生きている以上、それは紛れもない事実。

 

「私はカードを一枚セットしてターンエンド」

「俺のターン、ドロー」

 

 引いたカードをレイプデビル叡傲が手札に加える。

 

「墓地にある伝説の黒石の効果発動。墓地の真紅眼の黒竜をデッキに戻すことで、このカードを手札に加える」

 

 《伝説の黒石(ブラック・オブ・レジェンド)》は墓地のレベル7以下の『レッドアイズ』モンスターをデッキに戻して、墓地から《伝説の黒石》を回収する効果がある。

 

「更に魔法カード《手札抹殺》。互いに全て手札を捨てて、その枚数だけ新たにドローするぜ」

 

 現在の遊羽の手札は一枚であり、レイプデビル叡傲の手札は三枚。

 

「そして墓地の《置換融合》を除外して効果発動。真紅眼の黒刃竜(レッドアイズ・スラッシュドラゴン)をエクストラデッキに戻して一枚ドロー」

 

 引いたカードをレイプデビル叡傲が即座に発動する。

 

「魔法カード《真紅眼融合(レッドアイズ・フュージョン)》発動! デッキから《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》と《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》を融合する」

 

 《真紅眼融合(レッドアイズ・フュージョン)》は手札、フィールドだけでなく、デッキ内のカードを使用して『レッドアイズ』モンスターを素材とした融合モンスターを融合召喚することができる魔法カード。

 

「デュエルもレイプも人生も、全て手抜きで暇潰し! イキりと言われてもあえて言おう。もしかして俺また何かやっちゃいました?」

 

 一見すれば、あらゆるものを舐め腐った傲慢なる召喚口上。

 だがそれは並び立つ者がいない孤独な男の叫びにも聞こえた。

 

「融合召喚! 流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン!!」

 

 《流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン》

 星8 闇属性 ドラゴン族

 攻撃力3500 守備力2000

 

「流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンが融合召喚に成功した時、デッキからレッドアイズモンスターを墓地に送り、その攻撃力の半分のダメージを与える。俺が墓地に送るのは《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》」

 

 《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》の攻撃力は2800。

 よってその半分である1400のダメージを遊羽は受けることになる。

 そして現在の遊羽のライフポイントは700。

 

「名残惜しいが暇潰し終了だな」

 

 深紅の流星が頭上から遊羽に降り注いだ。

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