切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

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真なる使い手

 女王杯三回戦第一試合が決着を迎えている頃、ブラックドミノシティB区、デュエル幼稚園の裏口に十人の中年男性たちが集まっていた。

 彼らは園児たちの親、保護者というわけではない。

 むしろその逆、子供たちに危害を加えようとしている者たちだった。

 端的に言ってしまえば、男たちはデュエル幼稚園を襲撃する目的で集結したのだ。

 そして十名の共通点は全員がBランクプロデュエリストであるということ。

 

「やるぞ! 俺たちはこれから、このデュエル幼稚園に突入。幼女を強制デュエルで無力化! 拉致してレイプする!」

 

 もう一つの共通点としてロリコンであるという点があげられる。

 

「未成熟な体を以前から犯してみたかったんだ」

「プロデュエリストに孕ませてもらえれば女児共も幸せなはず」

「ああ、興奮して勃起してきた」

 

 このBランクプロデュエリストたちはロリコンではあるが、これまでは子供をデュエルで襲うような真似をしたことはなかった。

 あくまでデュエル児童ポルノで自慰行為をするだけに留めており、デュエル性犯罪にまで及んだことはない。

 

「俺たちにはもう失うものは何もないんだ」

 

 だが度重なる減給によって下層区落ちが確定したことによって状況は変わった。

 

「だったら子供ぐらい犯していいだろ!」

 

 彼らは無敵の人になったのだ。

 

「これは俺たちを蔑ろにした社会への復讐だ!!」

 

 本来B区のデュエル幼稚園には腕利きのデュエリストが多く勤務しているため、並みのデュエル犯罪者では太刀打ちできない。

 ましてやBランクプロデュエリストでは、例え十人がかりでも一人のデュエル幼稚園教諭に歯が立たないだろう。

 加えてB区はセキュリティ本部のお膝元であり、デュエル幼稚園からの通報ならセキュリティもすぐに駆けつけてくる。

 

「今日は女王杯のおかげで職員の数も少ない。こんなチャンスは二度と来ないぞ!」

 

 きっかけはBランクプロデュエリストの一人が、このデュエル幼稚園の裏口の鍵と職員のシフト表を入手したことだった。

 シフト表によれば女王杯本選三日目、女王戦のある本日は男性の職員と警備員が全員有給を使って休んでいることが分かった。

 今、デュエル幼稚園にいる大人はギリギリの人数の女性職員だけ。

 

「やるなら今しかない! 女児に強制デュエルを挑んで速攻で勝負をつける。無力化した女児を何人か人質にできれば職員やセキュリティ共も簡単には手が出せないはずだ」

 

 初めからデュエル幼稚園教諭やセキュリティとデュエルすることは考えていない。

 

「いくぞ! 子供に大人の実力をBランクプロデュエリストの恐ろしさをわからせてやれ!」

 

 意を決して十人のBランクプロデュエリストたちは裏口からデュエル幼稚園に突入した。

 いくら職員の人数が少ないとはいえ、早々にデュエル幼稚園教諭に見つかれば、子供を襲うのは難しくなる。

 一人なら強制デュエルで足止めできるが、複数人いればセキュリティに通報された上で、子供に避難指示を出されるだろう。

 

「頼む! 俺たちはこれまでカードパックを買ってもろくなレアカードも当たらなかったんだ! こんな時ぐらいは運が向いてもいいだろ!」

 

 リーダー格のBランクプロデュエリストの祈りが通じたのか、職員に遭遇することなく園児たちを発見する。

 

「見つけた! 子供! 幼女だ! 奴らをデュエルで拘束するぞ!」

 

 欲望を滾らせながらデュエルディスクを構えるBランクプロデュエリストたち。

 

「だ、誰よ! あなた達!」

「何、何なの」

「おじさんがいっぱいだよ!」

 

 幼女たちがこちらに気づいたようだがもう遅い。

 

「さぁ、お嬢ちゃん。Bランクプロデュエリストのおじさんがデュエルをしてあげるよ」

 

 猫なで声で顔をニヤつかせながらリーダー格のBランクプロデュエリストが強制デュエルをしかける。

 

「お嬢ちゃんが負けたら、おじさんの赤ちゃんを産んでもらうからね」

 

 両者のデュエルディスクが展開され、カードプレートがソリッドビジョンによって生成される。

 オートシャッフルシステムが起動して、互いのデッキが自動でシャッフルされた。

 デュエルディスクによって先攻、後攻が決定される。

 

 

 Bランクプロデュエリスト /  LP4000

 

     VS

 

 デュエル幼稚園児(幼女) / LP4000

 

 

「「「「「決闘!!」」」」」

 

 十人のBランクプロデュエリストと十人の幼女のデュエルが始まった。

 この場から逃げ出した子供たちがデュエル幼稚園教諭を呼んでくるまでに最低でも一人は幼女をデュエルで無力化して人質にする。

 

「俺の先攻! 速攻で勝負を決めるぞ! バーサーカーを攻撃表示!」

 

 《バーサーカー》

 星4 闇属性 悪魔族

 攻撃力1500 守備力1000

 

「更にマジックコンボ! 《闇・エネルギー》を装備して攻撃力、守備力を300アップ!」

 

 《バーサーカー》

 攻撃力1500→1800 守備力1000→1300

 

「どうだ! これがBランクプロデュエリストの力だ! 俺はCランクやDランクの下位のプロデュエリスト共とは違う!」

 

 リーダー格のBランクプロデュエリストに限らず、この場に集まったプロデュエリストたちは装備魔法をモンスターに装備する程度のデュエルタクティクスは有している。

 

「ターンエンド! さっさとサレンダーするなら優しく犯してやってもいいぞ!」

 

 幼女の未発達な体を凝視して舌なめずりをするBランクプロデュエリスト。

 

「……ざぁこ」

「な、何!?」

 

 だが、ここで幼女の態度が一変した。

 

「やっぱりプロデュエリストってざぁこなんだね」

 

 嘲るような表情をBランクプロデュエリストに向ける。

 幼女はメスガキだった。

 

「私のターン、久遠の魔術師ミラを召喚するよ」

 

 《久遠の魔術師ミラ》

 星4 光属性 魔法使い族

 攻撃力1800 守備力1000

 

「は……?」

 

 この場にいるBランクプロデュエリストたちの最大のミスはB区にあるデュエル幼稚園を狙ってしまったこと。

 B区にいるのはトップスほどではないにせよ裕福な子供たちであり、親から貰ったお小遣いで不自由なくパックを購入できる。

 仮にパックからレアカードを引く実力がない子供でも、シングルでレアカードを親に買ってもらえるのだ。

 

「だ、だがまだ攻撃力は互角」

「装備魔法《ワンショット・ワンド》を装備。攻撃力を800ポイントアップだよ」

 

 《久遠の魔術師ミラ》

 攻撃力1800→2600

 

「こ、子供の分際でマジックコンボだと!」

 

 仮に下層区のデュエル孤児院やC区のデュエル保育園の子供を標的にすれば、Bランクプロデュエリストでも勝ち目があったかもしれない。

 だがB区のデュエル幼稚園は一定以上のデュエルの実力がない子供は入園することができない施設だ。

 

「久遠の魔術師ミラでバーサーカーを攻撃するよ!」

「ば、馬鹿な。俺の主力モンスターが」

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃を受けてBランクプロデュエリストが後退する。

 

 Bランクプロデュエリスト LP3200

 

「更に《ワンショット・ワンド》の効果発動。戦闘を行ったダメージ計算後にこのカードを破壊して一枚ドロー。カードを二枚セットしてターンエンド」

「く、くそ! 俺のターン、ドロー!」

 

 Bランクプロデュエリストが引いたのは《島亀》。

 攻撃力は1100だが守備力は2000ある通常モンスターだ。

 彼がパックを買って当てることができた数少ないレアカード。

 《島亀》を裏側守備表示で場に出して《久遠の魔術師ミラ》の攻撃を凌げば、次のターン手札にある攻撃力2000の上級モンスター《巨大な怪鳥》をアドバンス召喚できるチャンスはある。

 

「俺はBランクプロデュエリストだぞ! アマチュアのそれも子供相手に臆病者の表示形式である守備表示なんかしてたまるか! 島亀を攻撃表示!!」

 

 《島亀》

 星4 水属性 水族

 攻撃力1100 守備力2000

 

「わからせてやるぞ! このメスガキが!! ターンエンドだ!」

「私のターン、ドロー。マハー・ヴァイロを召喚するよ」

 

 《マハー・ヴァイロ》

 星4 光属性 魔法使い族

 攻撃力1550 守備力1400

 

「装備魔法《ワンダー・ワンド》を装備。攻撃力を500ポイントアップ」

 

 《マハー・ヴァイロ》

 攻撃力1550→2050

 

「そしてマハー・ヴァイロの効果。装備カード一枚につき更に攻撃力を500ポイントアップ!」

 

 《マハー・ヴァイロ》

 攻撃力2050→2550

 

「む、無理だ。こんなコンボを使う相手にプロデュエリストが勝てるはずがない」

 

 幼女(メスガキ)に圧倒されて完全に戦意喪失するBランクプロデュエリスト。

 

「マハー・ヴァイロで島亀を攻撃!」

 

 Bランクプロデュエリスト LP1750

 

「久遠の魔術師ミラでプレイヤーにダイレクトアタックするよ!!」

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃によってBランクプロデュエリストが宙を舞う。

 

 Bランクプロデュエリスト LP0

 

 他の九人のBランクプロデュエリストたちは既に敗北して自らが挑んだ強制デュエルによって無力化状態となっている。

 職員が来る前にデュエルを速攻で終わらせるという目的は達成された。

 Bランクプロデュエリストたちの敗北という形ではあるが。

 

 彼らは無敵の人になったが、デュエルにおいては無敵には程遠かった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ブラックドミノシティA区、ネオユグドラシルコーポレーション地下室。

 白衣を着て眼鏡をかけた女性がウェーブのかかった黒髪を指で巻き取っていじりながら片手でタブレット端末を操作していた。

 机の上に立てかけられたタブレットに女王戦三回戦第一試合のデータを入力しているのだ。

 

「勝ったのは失敗作か。予想通りの結果ではあるね」

 

 例え三分の一が原作においてジークフリード・フォン・シュレイダーに敗北したデュエリストの遺伝子であっても、初代原作主人公の遺伝子があれば、その程度の相性不利は覆せるということ。

 

 タブレット端末の右上に着信マークが表示された。

 タップするとビデオ通話が繋がって相手の顔が画面に映る。

 二十代前半の女性であり髪型はツーサイドアップ。右側は茶髪であり左半分を白く染めているツートンカラーの髪色が特徴的だ。

 

「やあ、何の用かな、ユウミ」

 

 彼女は白衣の女の子供であり最高傑作でもあるデュエリスト、その名はユウミ。

 

「そろそろ君の試合が始まるだろう」

 

 ユウミに女王杯への出場を指示したのは白衣の女だ。

 

「まぁ、次の三回戦第二試合は特に目新しいデータはとれそうにもないけどね。この世界のデュエリストで君に勝てる者など存在しない」

 

 それは白衣の女にとって必然的なこと。

 

『母さん、何故この大会なのですか』

「ん?」

『彼女と、遊羽とのデュエルのデータが欲しいなら他の機会はいくらでもあるでしょう』

 

 確かに超小型ドローンによって街の様子は隅々まで監視しているため、あの失敗作の動きも常に把握している。

 単にデュエルをするだけなら、人通りの少ない道を歩いている時に強制デュエルを挑ませることもできた。

 

『遊羽のこれまでのデュエルを見てわかりました。あの子はこの大会に並々ならない思いを抱いて参加している』

「それはそうだろうね。失敗作にとっては五億円程度でも大金だろ」

 

 白衣の女はネオユグドラシルコーポレーションの実質的な運営者であり、■■した際に与えられた二つの■■■能力の一つである『超科学力』を活用して多額の利益を得て会社を発展させた。

 故に五億円などはした金でしかないのだが、あの失敗作にとっては違うだろう。

 

『お金の問題だけではありません。彼女は決闘女王とのデュエルを強く望んでいる。けれども準決勝で私と当たればそれは叶わない』

「だったら次の試合でサレンダーでもするかい」

『サレンダーはデュエリストとして恥ずべき行為です』

「恥ずべき行為? はは、初手にうららやG、二ビルみたいな手札誘発を握れてない状態で環境トップに先攻制圧されたら即サレするでしょ」

 

 画面の向こうで最高傑作、ユウミが顔を顰めた。

 

「怖い顔をするなよ。知ってるだろ。私はこの世界で唯一デュエリストではないんだ」

 

 この世界におけるデュエリストの定義はデュエルディスクと使用可能なデッキ40枚を所持していること。

 だがそれらを所持していない決闘奴隷等でも、デッキとデュエルディスクを入手すればデュエリストになれる。

 白衣の女は根本的に違うのだ。

 どれだけ強力なデッキを所持していてもデュエリストになることができない。

 

「まあいいさ。それより女王杯をデータ収集の場に選んだ理由だったね。さっき君が言った通りだよ。女王杯はあの娘にとって何が何でも勝たなくてはならない大会。だからこそ現時点における最大限の実力をあれは発揮して、私はそのデータを収集することができる」

 

 ユウミに渡しているデッキにはこの世界に存在しないカードも多数含まれている。

 情報流出を許容してでも女王杯でデータ収集することにしたのは、それが理由だった。

 

「仮に君が次の試合を棄権すれば、あの娘は優勝するだろう。あれは失敗作だが初代原作主人公、武藤遊戯の遺伝子が三分の一は入っているからね」

 

 もう片方の■■■能力である『子供ガチャ』によって白衣の女は確実に武藤遊戯の遺伝子を持つ子供を妊娠することができる。

 

「武藤遊戯の遺伝子によって、あの失敗作はジークフリード・フォン・シュレイダーに勝つことができた。実質的には武藤遊戯の勝利だよ」

『……勝ったのはあの子自身の力ではなく遺伝子おかげだと』

「当たり前だろう。武藤遊戯は原点にして頂点。遊戯王における頂に立つ存在」

 

 白衣の女は頬を赤らめて恋する乙女のような顔立ちで言った。

 

「そんな偉大なるデュエリストの遺伝子を持っているからこそ、あんな失敗作でも原作キャラに勝つことができる」

 

 それが三回戦第一試合におけるデュエルのデータを収集した上での白衣の女の結論。

 

「だからこそ準決勝であの失敗作は負ける。最高傑作である君も武藤遊戯の遺伝子を持っているからね。この時点で条件はイーブン。私の遺伝子はデュエルでは役に立たないから重要になってくるのは残り三分の一の遺伝子」

 

 その遺伝子が最高傑作と失敗作とでは天と地ほどの差がある。

 

「君は子供ガチャSSRの大当たり。武藤遊戯とその宿命のライバルである■■■■の遺伝子を併せ持つ最強のハイブリッドだ」

 

 『子供ガチャ』は強力な■■■能力ではあるが、産んだ子供が必ず白衣の女に従うわけではない。

 実際、これまで産んだ中で武藤遊戯と歴代主人公の遺伝子の組み合わせで生まれた子供は全員がこの世界を滅ぼすという目的を拒絶した。

 主人公の遺伝子が二種類混ざると世界の崩壊に賛同することはないということ。

 どんな醜い世界であっても、そこに住んでいる人々の命を奪うのは駄目という主人公らしい理屈なのだろう。

 

 せっかくの子供ガチャURだったが、計画に賛同した他の子供を使って全員デュエルで殺処分した。

 主人公同士の遺伝子を持つ子供には念のため型落ちのデッキ、原作で言うところの王国編ぐらいの紙束しか渡さないようにしているため制圧は容易だ。

 それでも白衣の女が直接デュエルすると手札事故で負けかねないので、念のため汚れ仕事を辞さない子供に頼んで処理している。

 

「君は今残っている子供の中で最も優れた遺伝子を持つ最高傑作。そして私の計画の賛同者でもある」

 

 小型モニターの一つにデュエル幼稚園で泣いている者たちが映っている。

 幼稚園で泣き声が上がるのは一見普通に思えるが、泣いているのは子供ではなく中年男性、Bランクプロデュエリストたちだ。

 彼らは女児を強姦しようと強制デュエルを挑むも、女児のライフに一切ダメージを与えられず敗北、セキュリティに連行されながら子供のように泣きじゃくっていた。

 

「この醜い世界の滅びを君は肯定した。そうだろう」

『……はい、母さん』

 

 この最高傑作が世界の滅びに賛同したのは白衣の女にとって幸運だった。

 主人公同士の組み合わせに限らず、善人や正義感の強い原作キャラとの組み合わせで生まれた子供は世界の滅びを否定する傾向にある。

 ■■■■は善人というには過激な男だが、弟思いの人物であり悪人ではない。

 

「そういえば君のデッキには相変わらず《青眼の白龍》が一枚しか入っていないんだね。ちょっと見せておくれよ」

 

 画面の向こうのユウミが自らのデッキから《青眼の白龍》を取り出して表面をこちらにかざす。

 

「ああ、やはりブルーアイズはいいね。遊戯王を象徴するモンスターだ」

 

 白衣の女は■■した際、二つの■■■能力とは別に■■者特典として黄金のアタッシュケースを貰った。

 その中には■■する前から所持していた殆どのカードが入っていたが《青眼の白龍》だけはなかった。

 初期イラストや絵違いを何枚も持っていたはずなのに、この世界には一枚も持ち込むことができなかったのだ。

 

 おそらく遊戯王世界の法則として《青眼の白龍》は世界に四枚までしか存在できないと決まっている。

 例え■■者特典であっても、その法則を捻じ曲げることはできないのだろう。

 仕方ないので市場に出回っていた一枚を購入して、それを最高傑作であるユウミに与えた。

 

「だからこそ私は不快だよ。この世界で青眼の白龍を三枚所持している女はブルーアイズの使い手として相応しくない。あんな女がブルーアイズを使っている時点でこの世界は滅んだ方がいい」

 

 超小型ドローンによって《青眼の白龍》を使うに値しない女が現在はC区のデュエル刑務所にいることは把握している。

 

「相応の金を払えば刑務所内に入るのも容易だ。私としてはすぐにでも青眼の白龍を強制デュエルで奪ってきてほしいんだけどね。君だってそれを望んでいるだろう」

『はい……ですが』

「まだ躊躇があるのかい。ブルーアイズを奪うことに対してではなくその後の行為に」

 

 以前、ユウミに対して白衣の女は一つの指示を与えている。

 

「そう。君は全ての青眼の白龍を手に入れた時、最後の一枚を破り捨てなくてはならない」

 

 ユウミが悲痛に顔を歪めた。

 

四枚目は敵になるかもしれない。武藤遊戯の宿命のライバル、■■■■の偉大なる言葉だ。彼と同じ行為を実行することによって君はよりオリジナルに近づくことができる」

 

 画面の向こうでユウミが涙を流し始めた。

 

「おや、泣いているのかい。君は青眼の白龍を愛しているからねぇ。だけど勘違いしないことだ。そのブルーアイズに対する愛は■■■■の遺伝子によるものであって、君自身の感情じゃない」

『……わかっています』

「それに■■■■は弟思いの男だ。君はかつて妹である失敗作の殺処分をやめるように懇願したが、それすら君ではなく■■■■の感情なんだよ」

『わかってる。わかっているんです、母さん』

 

 それでもユウミは涙を流し続ける。

 ■■■■の遺伝子を持つが故に《青眼の白龍》と妹である失敗作を愛してしまうのだろう。

 

「まったく仕方のない娘だ。青眼の白龍を揃えるのは計画が最終段階に入ってからでもいい」

 

 武藤遊戯と■■■■の遺伝子を持つ最高傑作には愛着がある。

 故に彼女の決心がつくまでは待ってあげてもいい。

 

「さて、そろそろ試合が始まるだろう。まずはこの醜い世界の住人、雑魚を蹴散らして準決勝進出を決めてくれ」

 

 女王杯におけるこれまでの試合でユウミは《青眼の白龍》を一度も使うことなく勝利を重ねている。

 この三回戦においても《青眼の白龍》を使うまでもなくデュエルが決着するだろう。

 おそらく《青眼の白龍》が使用されるのは武藤遊戯の遺伝子を持つ者同士のデュエルの場においてだ。

 

「準決勝で見せつけてあげるといい。青眼の白龍の真なる使い手の実力を」

 

 既に最高傑作の瞳に涙はなく、その顔つきは武藤遊戯と■■■■の遺伝子の併せ持つに相応しいデュエリストであった。

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