切り札はゴキボール   作:白銀蟷螂

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最優女王

 決闘女王のエクストラモンスターゾーンに特殊召喚されたのはリンクモンスターである《セラの蟲惑魔》だった。

 

 《セラの蟲惑魔》

 リンク1 地属性 植物族

 攻撃力800

 

 一見すれば攻撃力の低い植物族モンスター。

 だがこの幼女の形をした食虫植物こそが蟲惑魔展開の起点となる恐るべき存在。

 

「私は伏せていた《ホールティアの蟲惑魔》を発動。このカードは通常モンスターとなってモンスターゾーンに守備表示で特殊召喚されるわ」

 

 《ホールティアの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力400 守備力2400

 

「この瞬間、セラの蟲惑魔の効果発動。通常罠カードが発動した時、蟲惑魔モンスター1体をデッキから場に出す。ティオの蟲惑魔を特殊召喚」

 

 《ティオの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1700 守備力1100

 

「特殊召喚されたティオの蟲惑魔の効果によって、墓地から《粘着落とし穴》をフィールドにセット」

 

 《ティオの蟲惑魔》によってセットされたカードは次の自分のターンのエンドフェイズに除外されるというデメリットがある。

 

「蟲惑魔モンスターの効果が発動したことによって、セラの蟲惑魔の第二の効果を発動。デッキから落とし穴カードをセットすることができる。私がセットするのは《狂惑の落とし穴》」

 

 《狂惑の落とし穴》は相手がモンスターを特殊召喚したターン、相手フィールドの攻撃力2000以上のモンスター1体を破壊する罠カード。

 追加効果として自分の墓地に『ホール』通常罠カードか『落とし穴』通常罠カードがある場合、相手の墓地からモンスター1体を除外できる。

 

「伏せてある《粘着落とし穴》を墓地に送り、ジーナの蟲惑魔を特殊召喚」

 

 《ジーナの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1400 守備力1400

 

「レベル4のティオの蟲惑魔とレベル4のジーナの蟲惑魔をオーバーレイ。二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」

 

 踊るような仕草をしながら決闘女王が召喚口上を歌い上げる。

 

「妖艶なる蟲惑蕩け合い淫靡なる狂宴へと誘い堕とす! エクシーズ召喚! 現れなさい、シトリスの蟲惑魔!!」

 

 《シトリスの蟲惑魔》

 ランク4 地属性 植物族

 攻撃力2500 守備力300

 

 現れたのは薄い布地をまとった赤い瞳の美少女。

 その背後にはスプーンのように包まった粘着液まみれの葉を開いた食虫植物が獲物を捕らえるべく待機している。

 これが決闘女王のエースであるという蟲惑魔エクシーズモンスター。

 

「シトリスの蟲惑魔の効果発動。エクシーズ素材を一つ取り除くことによって、デッキから蟲惑魔モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのはキノの蟲惑魔。このモンスターは自分のフィールド上に蟲惑魔がいる時、特殊召喚できるわ」

 

 《キノの蟲惑魔》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1300 守備力1500

 

「セラの蟲惑魔、キノの蟲惑魔、ホールティアの蟲惑魔をリンクマーカーにセット。リンク召喚! 現れなさい、リンク3、アティプスの蟲惑魔!」

 

 《アティプスの蟲惑魔》

 リンク3 地属性 昆虫族

 攻撃力1800

 

 現れたのは四肢を蜘蛛の糸で縛られた赤髪の美少女だった。

 悲し気な表情で助けを求めるような仕草をしているが、その足元の穴には本体である鋭い牙を持った地蜘蛛がおり、獲物を罠にかけようと待ち構えていた。

 

「アティプスの蟲惑魔の効果。自分の墓地に通常罠カードが存在する限り、私の蟲惑魔モンスター全ての攻撃力は1000アップするわ」

 

 《アティプスの蟲惑魔》

 攻撃力1800→2800

 

 《シトリスの蟲惑魔》

 攻撃力2500→3500

 

「バトルといきましょう。シトリスの蟲惑魔で究極変異態・インセクト女王に攻撃!」

 

 インセクト遊羽 LP3300

 

 《究極変異態・インセクト女王》が《シトリスの蟲惑魔》によって戦闘破壊された瞬間、観客たちが歓声を上げる。

 

 成程、先ほど《セイバー・ビートル》を《奈落の落とし穴》で潰さず《究極変異態・インセクト女王》の二度目の特殊召喚を許したのは、こうして戦闘破壊するためだったということか。

 このデュエルで何体もの蟲惑魔を倒した《究極変異態・インセクト女王》は決闘女王のファンである観客たちからすれば悪役。

 それを攻撃力で上回る蟲惑魔で戦闘破壊することによりカタルシスのある展開を演出することが目的。

 

「アティプスの蟲惑魔でインセクトモンスタートークンを攻撃」

 

 これで遊羽の場の残りの《インセクトモンスタートークン》は二体。

 

「私はこれでターンエンドよ」

「私のターン、ドロー」

 

 引いたカードはレベル7の昆虫族モンスター《地獄大百足(ヘル・センチピード)》。

 

「魔法カード《七星の宝刀》。手札から地獄大百足を除外して二枚ドロー」

 

 最上級モンスターをコストにして手札を交換する。

 

「速攻魔法《ツインツイスター》を発動。手札を一枚捨てることで魔法、罠カードを二枚破壊する。右端と左端の伏せカードを破壊だ」

 

 破壊されたのは《奈落の落とし穴》と《狂惑の落とし穴》。

 これで決闘女王の場の残りの伏せカードは一枚。

 

「手札コストとして墓地に送ったゴキポールの効果発動。デッキからゴキボールを手札に加えて特殊召喚」

 

 《ゴキボール》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1400

 

「そしてゴキボールの攻撃力以上のモンスター1体を破壊する。アティプスの蟲惑魔を破壊」

 

 《シトリスの蟲惑魔》

 攻撃力3500→2500

 

 《アティプスの蟲惑魔》により強化されていた《シトリスの蟲惑魔》のステータスが元に戻る。

 

「魔法カード《馬の骨の対価》。ゴキボールを墓地に送って二枚ドロー」

 

 《馬の骨の対価》は自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地に送り二枚ドローする魔法カード。

 

「インセクトモンスタートークン一体をリリースしてヴァリュアブル・アーマーをアドバンス召喚!」

 

 《ヴァリュアブル・アーマー》

 星5 地属性 昆虫族

 攻撃力2350 守備力1000

 

「装備魔法《火器付機甲鎧》をヴァリュアブル・アーマーに装着。攻撃力を700ポイントアップする」

 

 《ヴァリュアブル・アーマー》

 攻撃力2350→3050

 

「バトル! ヴァリュアブル・アーマーでシトリスの蟲惑魔を攻撃!」

 

 《ヴァリュアブル・アーマー》の火器攻撃によって《シトリスの蟲惑魔》が炎上、爆散する。

 

 決闘女王 LP1250

 

「手札から速攻魔法《超進化の繭》を発動!」

 

 《火器付機甲鎧》を装備した《ヴァリュアブル・アーマー》が黄金の繭に包まれる。

 

「地べた這いずる虫けらも

 ――羽虫となって(ソラ)を舞う」

 

 黄金の繭から新たな巨大な蛾のモンスターが姿を現した。

 

「究極完全態・グレート・モスを特殊召喚!」

 

 《究極完全態・グレート・モス》

 星8 地属性 昆虫族

 攻撃力3500 守備力3000

 

「究極完全態・グレート・モスでプレイヤーにダイレクトアタック! モスパーフェクトハリケーン!!」

 

 必殺の竜巻攻撃を繰り出そうとする巨大な蛾を前にして決闘女王が妖艶に笑った。

 

「虫けらが不相応に(ソラ)を舞おうとするなら、その羽を毟り取って再び地を這わせましょう。トラップカード発動。《串刺しの落とし穴》!」

 

 突如として《究極完全態・グレート・モス》の姿が消失する。

 見れば真下に出現した棘だらけの落とし穴に落下して串刺しにされていた。

 大量の棘に貫かれて青色の羽は見るも無惨にボロボロになっている。

 

「《串刺しの落とし穴》はこのターンに召喚、特殊召喚されたモンスターを破壊して、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える罠カードよ」

 

 インセクト遊羽 LP1550

 

 《ヴァリュアブル・アーマー》に対して《串刺しの落とし穴》が使用されたのであれば《超進化の繭》で回避することもできた。

 装備カードを装備した昆虫族モンスターを《超進化の繭》でリリースして《究極完全態・グレート・モス》を特殊召喚する遊羽の戦術を読み切った上での対処。

 

 これで遊羽の場には守備表示の《インセクトモンスタートークン》が一体のみ。

 伏せカードや手札もないが、手札が0枚なのは決闘女王も同じであり、向こうの場は完全にガラ空きの状態。

 フィールドと手札においては両者に大きな差はない。

 

「墓地の《超進化の繭》を除外して効果発動。究極完全態・グレート・モスをデッキに戻して一枚ドロー」

 

 引いたカードを見て遊羽は僅かに目を見開く。

 

「私はこれでターンエンド」

「私のターン、ドロー。ティオの蟲惑魔を召喚よ」

 

 《ティオの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1700 守備力1100

 

「ティオの蟲惑魔の効果発動。墓地の蟲惑魔モンスター1体を守備表示で特殊召喚するわ」

「ここだ! 手札から増殖するGを墓地に送り効果発動。このターン相手がモンスターを特殊召喚するたびに一枚ドローする」

 

 大量のゴキブリが増殖してフィールドを埋め尽くす。

 

「好きにしなさい。私が墓地から特殊召喚するのは二体目のティオの蟲惑魔」

 

 《ティオの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1700 守備力1100

 

「増殖するGの効果で一枚ドロー」

「特殊召喚されたティオの蟲惑魔の効果発動。墓地から《奈落の落とし穴》を場にセットするわ。そして守備表示のティオの蟲惑魔をリンクマーカーにセット。リンク召喚! 現れなさい、リンク1、セラの蟲惑魔!」

 

 《セラの蟲惑魔》

 リンク1 地属性 植物族

 攻撃力800

 

「増殖するGの効果で一枚ドロー」

 

 これで遊羽の手札は二枚になったが、相手の場には攻撃表示の蟲惑魔が二体。

 《セラの蟲惑魔》で《インセクトモンスタートークン》を戦闘破壊されて《ティオの蟲惑魔》でダイレクトアタックを受ければ遊羽のライフは0になる。

 

「バトルよ。セラの蟲惑魔でトークンを攻撃」

「手札にある《ジャイアント・メサイア》の効果発動。このカードを手札から守備表示で特殊召喚する」

 

 《ジャイアント・メサイア》

 星3 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1500

 

「そして墓地からゴキポールを攻撃力と守備力を500アップする装備カードとして装備する」

 

 《ジャイアント・メサイア》

 攻撃力1200→1700 守備力1500→2000

 

「それなら攻撃を中断してバトルフェイズを終了するわ。そして墓地の《ホールティアの蟲惑魔》を除外して効果発動。墓地からランカの蟲惑魔を特殊召喚」

 

 《ランカの蟲惑魔》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1500 守備力1300

 

「増殖するGの効果で更にドロー!」

「ランカの蟲惑魔の効果によって、私はティオの蟲惑魔の効果でセットした《奈落の落とし穴》を手札に戻すわ」

 

 これによりセットしたカードが除外される《ティオの蟲惑魔》の制約は帳消しになった。

 

「蟲惑魔モンスターの効果が発動したことによりセラの蟲惑魔の効果発動。デッキから《ホールティアの蟲惑魔》をセット」

 

 更には《ランカの蟲惑魔》の効果をトリガーにして《セラの蟲惑魔》の効果を発動してくる。

 

「ティオの蟲惑魔、ランカの蟲惑魔をリンクマーカーにセット。リンク召喚! 現れなさい、リンク2、クラリアの蟲惑魔!」

 

 《クラリアの蟲惑魔》

 リンク2 地属性 植物族

 攻撃力1800

 

「私はこれでターン終了。エンドフェイズにクラリアの蟲惑魔の効果で墓地からキノの蟲惑魔を守備表示で特殊召喚するわ」

 

 《キノの蟲惑魔》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1300 守備力1500

 

 これで遊羽の手札は四枚になった。

 直接攻撃を通すための《セラの蟲惑魔》のリンク召喚、新たな《ホールティアの蟲惑魔》をセットするための《ランカの蟲惑魔》特殊召喚までなら戦略的にも理に適っている。

 だが、その後の《クラリアの蟲惑魔》と《キノの蟲惑魔》の特殊召喚は《増殖するG》の効果が発動している最中に無理に行う必要はなかったはずだ。

 

「女王からの施しよ、遊羽。その手札でモンスターを展開しなさい。それを完封してこそ最高のエンタメになる」

 

 これが決闘女王のアイドルエンタメデュエル。

 

「だったら遠慮なくいかせてもらう。私のターン。まずはジャイアント・メサイアをリリースすることによって完全態・グレート・インセクトを特殊召喚!」

 

 《完全態・グレート・インセクト》

 星9 地属性 昆虫族

 攻撃力3000 守備力2600

 

「更に墓地に送られたゴキポールの効果で、デッキからゴキボールを手札に加えて特殊召喚」

 

 《ゴキボール》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1200 守備力1400

 

「そしてゴキボールの攻撃力以上のモンスター1体を破壊する。対象はクラリアの蟲惑魔」

 

 《クラリアの蟲惑魔》が銀色のゴキブリによって埋め尽くされて破壊される。

 

「ここで伏せていた《ホールティアの蟲惑魔》を発動するわ」

 

 《ホールティアの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力400 守備力2400

 

「通常罠カードが発動したことでセラの蟲惑魔の効果発動。リセの蟲惑魔を守備表示で特殊召喚」

 

 《リセの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1200 守備力1600

 

「インセクトモンスタートークンをリリースしてアルティメット・インセクトLV5をアドバンス召喚!」

 

 《アルティメット・インセクトLV5》

 星5 風属性 昆虫族

 攻撃力2300 守備力900

 

「更に《災いの装備品》をゴキボールに装備。装備モンスターは私のフィールド場のモンスター1体につき攻撃力が600ポイントダウンする」

 

 《ゴキボール》

 攻撃力1200→0

 

「《超進化の繭》を発動。《災いの装備品》が装備されたゴキボールをリリースしてデッキから新たな昆虫族モンスターを呼び出す!」

 

 一度、羽を毟られて地を這わせられたとしても、害虫は何度でも空へと羽ばたく。

 

「地べた這いずる虫けらも

 ――羽虫となって(ソラ)を舞う」

 

 黄金の繭から再び巨大な蛾のモンスターが姿を現した。

 

「究極完全態・グレート・モスを特殊召喚!」

 

 《究極完全態・グレート・モス》

 星8 地属性 昆虫族

 攻撃力3500 守備力3000

 

「墓地に送られた《災いの装備品》の効果発動。相手フィールド場のモンスターにこのカードを装備する。対象はセラの蟲惑魔」

 

 《セラの蟲惑魔》

 攻撃力800→0

 

「ライフを1000払って魔法カード《簡素融合》を発動」

 

 インセクト遊羽 LP550

 

「効果モンスターではないレベル6以下の融合モンスターをエクストラデッキから場に出す。私はクワガー・ヘラクレスを特殊召喚」

 

 《クワガー・ヘラクレス》

 星6 地属性 昆虫族

 攻撃力1900 守備力1700

 

「魔法カード《孵化》発動。クワガー・ヘラクレスをリリースしてレベルが一つ上の昆虫族モンスター、ポセイドン・オオカブトを特殊召喚!」

 

 《ポセイドン・オオカブト》

 星7 地属性 昆虫族

 攻撃力2500 守備力2300

 

 手札は全て使い切ったが、遊羽の場には四体の上級、最上級インセクトモンスターが並んだ。

 決闘女王の場には《セラの蟲惑魔》と守備表示の《キノの蟲惑魔》《ホールティアの蟲惑魔》《リセの蟲惑魔》の四体のモンスターがおり伏せカードはない状態。

 

「墓地の《超進化の繭》を除外して効果発動。ジャイアント・メサイアをデッキに戻して一枚ドロー」

 

 気がかりなのは決闘女王が前のターンに《ランカの蟲惑魔》で手札に戻した《奈落の落とし穴》を再セットせずに手札に握っていること。

 あれを伏せておけばこちらの大型昆虫モンスターの展開を一体は阻止できたはずだ。

 決闘女王の手札は《奈落の落とし穴》一枚であるため、残りの可能性は限られているが、それに対処する手段がない以上、このままバトルフェイズに移行するしかない。

 

「バトル! 究極完全態・グレート・モスでセラの蟲惑魔を」

「墓地の超電磁タートルを除外してバトルフェイズを強制終了するわ」

 

 遊羽は舌打ちを堪える。

 《超電磁タートル》を墓地に送ったタイミングは《命削りの宝札》のデメリットで残っていた手札一枚を捨てた時だろう。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド」

「私のターン、ドロー。上出来よ、遊羽。その最上級モンスター軍団、やられ役としては最適だわ」

 

 引いたカードを決闘女王が即座に使用する。

 

「魔法カード《蟲惑の誘い》を発動。手札から《奈落の落とし穴》を捨てて、新たにカードを二枚ドローする」

 

 《蟲惑の誘い》は昆虫族、植物族のレベル4モンスターまたは通常罠カードを手札から捨てることで二枚ドローする魔法カード。

 

「リセの蟲惑魔をリリースして効果発動。デッキから《墓穴ホール》、墓地から《奈落の落とし穴》をセットするわ」

 

 《墓穴ホール》は手札、墓地、除外状態のモンスターの効果を相手が発動した時、それを無効にし、相手に2000ダメージを与える罠カード。

 

「リセの蟲惑魔の効果が発動したことによって、セラの蟲惑魔の効果を発動。デッキから《狂惑の落とし穴》をセット。更に魔法カード《強欲で貪欲な壺》。デッキの上からカードを十枚裏側表示で除外して二枚ドロー」

 

 これで決闘女王の手札は三枚。

 

「セラの蟲惑魔、ホールティアの蟲惑魔、キノの蟲惑魔をリンクマーカーにセット。リンク召喚! 現れなさい、リンク3、アティプスの蟲惑魔!」

 

 《アティプスの蟲惑魔》

 リンク3 地属性 昆虫族

 攻撃力1800→2800

 

 装備モンスターがリンク素材として墓地に送られた場合、タイミングを逃すため《災いの装備品》の効果は発動できない。

 

「墓地の《ホールティアの蟲惑魔》を除外して効果発動。墓地からフレシアの蟲惑魔を守備表示で特殊召喚」

 

 《フレシアの蟲惑魔》

 ランク4 地属性 植物族

 攻撃力300→1300 守備力2500

 

 墓地からの蘇生ではエクシーズ素材がない状態なので、落とし穴を疑似的に使用する効果は使えない。

 もう一つの効果である《フレシアの蟲惑魔》以外の蟲惑魔に対する戦闘、効果破壊耐性と相手の対象にならなくなる耐性の付与が目的か。

 

「プティカの蟲惑魔を召喚」

 

 《プティカの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力900→1900 守備力1900

 

「このモンスターが召喚に成功した時、デッキからフィールド魔法《蟲惑の園》を手札に加える。そして《蟲惑の園》を発動よ」

 

 フィールドが食虫植物生い茂る森へと塗り替えらえていく。

 《蟲惑の園》は文字通り蟲惑魔専用のフィールド魔法。

 

「蟲惑の園の効果によって私は通常召喚に加えて一度だけ蟲惑魔を召喚できる。ランカの蟲惑魔を召喚」

 

 《ランカの蟲惑魔》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1500→2500 守備力1300

 

「効果でキノの蟲惑魔を手札に加えて、そのまま守備表示で特殊召喚するわ」

 

 《キノの蟲惑魔》

 星4 地属性 昆虫族

 攻撃力1300→2300 守備力1500

 

「レベル4のプティカの蟲惑魔とレベル4のランカの蟲惑魔をオーバーレイ。二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。妖艶なる蟲惑蕩け合い淫靡なる狂宴へと誘い堕とす!」

 

 再び決闘女王のエースモンスターである蟲惑魔が呼び出される。

 

「エクシーズ召喚! 現れなさい、シトリスの蟲惑魔!!」

 

 《シトリスの蟲惑魔》

 ランク4 地属性 植物族

 攻撃力2500→3500 守備力300

 

「シトリスの蟲惑魔の効果発動。エクシーズ素材を一つ取り除くことによって、デッキからジーナの蟲惑魔を手札に加え、セットされた《奈落の落とし穴》を墓地に送り特殊召喚」

 

 《ジーナの蟲惑魔》

 星4 地属性 植物族

 攻撃力1400→2400 守備力1400

 

 《リセの蟲惑魔》によりセットされた《奈落の落とし穴》はフィールドを離れた時、除外される。

 

「レベル4のキノの蟲惑魔とレベル4のジーナの蟲惑魔をオーバーレイ。二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れなさい、アロメルスの蟲惑魔!!」

 

 《アロメルスの蟲惑魔》

 ランク4 地属性 昆虫族

 攻撃力2200→3200 守備力600

 

「アティプスの蟲惑魔の効果を発動。完全態・グレート・インセクトの効果を無効にする。そして墓地から《粘着落とし穴》を除外することで破壊するわ」

 

 《完全態・グレート・インセクト》に対して四方八方から糸が絡みつく。

 動けなくなった巨大な蛾に赤髪の美少女が近寄って抱擁、そのまま本体である地蜘蛛の元へと引きずり込んだ。

 

「更にアロメルスの蟲惑魔の効果発動。エクシーズ素材を一つ取り除き、効果で破壊された完全態・グレート・インセクトを私のフィールドに特殊召喚する。表示形式は守備表示よ」

 

 《完全態・グレート・インセクト》

 星9 地属性 昆虫族

 攻撃力3000 守備力2600

 

「バトルフェイズに入るわ。完全態・グレート・インセクトの効果発動。フィールド魔法が存在する時、相手の場の全てのモンスターを破壊する」

 

 当然、決闘女王も現存する全てのカードの効果を把握している。

 フィールド魔法である《蟲惑の園》が場にあるので《完全態・グレート・インセクト》の効果は発動可能な状態。

 巨大な蛾が空中から繰り出す竜巻によって、遊羽の場の三体のインセクトモンスターが一掃された。

 

「これで最後よ。私の最大限のアイドルファンサービスを受けなさい! シトリスの蟲惑魔でプレイヤーにダイレクトアタック!」

「トラップカード《和睦の使者》。このターン、私に対する戦闘ダメージは0になる」

 

 エクシーズ素材を持つシトリスの蟲惑魔は罠カードの効果を受けないが、戦闘ダメージを0にするのはモンスターが受ける効果ではないので耐性の範囲外。

 攻撃を凌がれたにもかかわらず、余裕のある態度で決闘女王が妖艶に笑った。

 

「これであなたの場のカードは一枚もなくなった。手札も0枚。墓地で効果を発動するカードもない。バトルフェイズを終了して魔法カードを発動しましょう」

 

 決闘女王が最後の手札を表向きにして見せてからデュエルディスクに差し込む。

 

「《死者蘇生》。墓地のアティプスの蟲惑魔を特殊召喚!」

 

 《アティプスの蟲惑魔》

 リンク3 地属性 昆虫族

 攻撃力1800→3800

 

 二体目の《アティプスの蟲惑魔》により決闘女王の場の蟲惑魔の攻撃力が更に1000ポイントアップする。

 

 《シトリスの蟲惑魔》

 攻撃力3500→4500 守備力300

 

 《アロメルスの蟲惑魔》

 攻撃力3200→4200 守備力600

 

 《アティプスの蟲惑魔》

 攻撃力2800→3800

 

 《フレシアの蟲惑魔》

 攻撃力1300→2300 守備力2500

 

 過去に強敵たちと行ったデュエルにおいて、自分の場がガラ空きで手札も0枚という状況なら何度か経験している。

 だが、ここまで盤面を制圧された上で、その状況になったことは未だかつて一度もなかった。

 

 決闘女王の場は六体のモンスターで埋め尽くされており、蟲惑魔モンスターは二体の《アティプスの蟲惑魔》により二重バフを受けている。

 それに加えて《フレシアの蟲惑魔》により戦闘、効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない状態。

 攻撃力が低い《フレシアの蟲惑魔》とバフを受けられない《完全態・グレート・インセクト》は守備表示にされている。

 更には魔法、罠ゾーンに《狂惑の落とし穴》と《墓穴ホール》が伏せられているという状況。

 

「はっきりと言うわ。遊羽、あなたもう終わりよ」

 

 ブラックドミノシティ最優と謳われるデュエリスト、最優女王の異名を持つ女、杠葉色音が笑顔で断言した。

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