転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
「………テラワロス」
自室にて、茫然自失と言った感じでパソコンで調べた内容を眺めていた。
何しろ、転生物の創作物ではよくあるパターンの事故死によって艦これの世界に来れたのに、深海棲艦との戦争は数十年前に終結して平和な世の中になっていたのだ。
(確かに、艦これの世界で平和に生きたいって願ったよ? だけどさぁ、これはあんまりだろぉ)
確かに、艦これの世界で平和な世の中を求めたのは自分だし、他の人より秀でた才能や能力がない以上は提督になる事も難しいだろう。
だからと言って、全くと言っていい程に艦娘と関係のない日常を送る羽目になるとは転生した当初はこれっぽっちも考えてなかった。
その為、一気にやる気が削がれた俺は寂れたリゾート地にあるやや古びた小さい旅館を赤字経営する一方、寂しく株やら投資やらで黒字を叩き出しているのでひっそりと暮らす事にした。
何しろ、平和な世の中だと命の危機に瀕しているとかの事態なんてそう多くないので精々、旅館の清掃などをする程度でやる事が少ないのだ。
そして、半永久的に怠惰な生活が続くんだろうなぁとダラダラと考えながら、日課である砂浜の散歩をしていると普段はないデカい漂流物が流れ着いていたので近付いてみた。
「っ! コイツはぁ………」
それは、人類の敵にして海の奥底から現れた強力な生き物である深海棲艦、正確にはゲームでも強敵の姫級の深海棲艦である離島棲姫(仮)が浜辺で倒れていたのだ。
(マズイ………提督じゃないからすぐに駆け付けてくれる艦娘なんて存在しないし、先の大戦から半世紀以上は経過しているから通報しても碌に信じちゃくれねぇ! そもそもどこに通報すれば良いんだ!)
あまりの非日常に、混乱しながらもそろりそろりと近付いて近くにあった木の棒で突いてみた。
「………ウッ」
「!」
「………ミ、ミズ」
「ミミ、ズ?」
すると、うつ伏せの状態から寝返りを打つ様に動いて俺を見上げてきたので少し距離を取ると、突拍子のない事を言ったので理解するのに時間が掛かった。
そして、彼女の腹の虫が鳴ったのを聞いたので一先ず、自宅である旅館に運び込む事にして後の事は彼女の話を聞いてからにしようと思い至ったので背負って帰る事にした。
「しっかし、本物の深海棲艦とはねぇ」
「フフフ………世話ニナッタワネ」
「別に構わないさ、暇してたし」
倒れていた彼女を旅館に連れ込み、昼食の残りを食べさせると勢いよく無くなって夕食はどうするかなと思いながら話を聞くと、彼女はモノホンの深海棲艦でマジの離島棲姫だった。
その為、下手に匿ってると隠匿した罪とかに問われるんじゃないかと考えて本気でどうするかな、と悩んでいると俺の考えを見透かした様に話し始めた。
「カナリ、ギコチナクナッテイル様ダケド政府ニ通報シテモ意味ナイワヨ?」
「マジで?」
「エェ。ダッテ私、恨ミ辛ミガ集マッテデキタ亡霊ノ様ナモノダカラ」
「あぁー、それだったら無理、かな? いや、現に飯食ってたからワンチャンある、かも?」
「ダッタラ実際ニ通報シテミレバ良イト思ウワ」
「………」
余りにも、堂々とした態度にチキンな俺は関係しそうな国の組織に通報する気が失せてしまったので一先ず、磯臭い彼女に風呂に入る様に伝えてからスレ立てして意見を募る事にした。