転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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【IF】愚かな判断への代償【バッドエンドルート】

「だ、大丈夫ですか!?」

「これが大丈夫の様に見えるかね?」

 

 息を切らせて担当の人が来た時には、旅館だった建物は火災によって全焼して残ったのは離島棲姫達と持ち出した雑貨類だけだった。

 人間社会で生きている以上、派閥ができて時と場合によっては激しい争いになる事も想定できたがまさか、ここまで馬鹿で愚かな事をやるとは思ってもいなかった。

 何しろ、旅館や周辺の建物に住まう深海棲艦を狙って旅館を全焼させたのが、太平洋を挟んだ超大国Aと大陸に存在するR国とC国が派遣した工作員に導かれた特殊部隊だったのが、離島棲姫と戦闘した後に発覚したからだ。

 

 曲がりなりにも、大国と呼ばれた国々が余りにも愚かな判断を下して実行した事に、怒りを通り越して深い失意とこれから発生する出来事に絶望するしかなかった。

 何しろ、余りの惨状に離島棲姫達がブチ切れ待ったなしで俺の護衛に必要な数を通り越して、物々しい状態ではあったのだが姫級や人型の深海棲艦は軒並み深海へと引き上げている。

 これは俺に呆れたのではなく、俺との思い出が詰まった建物を消失させた事による彼女達の怒りであり、その方向は実行に移した大国やそれを防げなかった日本に向いていた様に感じ取った。

 

 こうなった以上、俺にはどうする事もできない。

 

 失意で動けない、と言うのもあるがブチ切れている彼女達を止めれられる程の口達者でもなければ、怒りを鎮められる程のモノを持ち合わせていないからだ。

 前世での記憶は大分、なくなっているのだが転生直前の世界情勢は21世紀も20年以上が経過したのと同時に暗雲が立ち込めつつあった、と記憶しているのだがこの世界ではそこまで酷くなかったので気が緩んでいたのも大きい。

 これから先、どれだけの人命が生命の灯火を消す事になるのかは分からないが1つだけ、分かる事がある。

 

 それは、いくつかの国が滅びると言う事だ。

 

 20世紀前半の時代であれば、帝国主義などによる国家体制の他に兵器の生産もミサイルなどの誘導装置がない分、低コストなので量産がしやすい傾向がある。

 しかも、先の大戦は深海棲艦との大規模な戦争だっだので大量生産・大量消費が前提でガンガン生産していたのだが、今の時代は前世と同じく地域紛争を前提にしていた為、兵器の生産体制もそれに沿って縮小傾向だったので今から設備投資をしても間に合わない。

 そんな事を理解していない程、人間は愚かだって色々と知っていく中で分かっていた筈なのに、何処かで期待していた自分の愚かさにも呆れながらも担当の人と話した。

 

「これからどうするんですか?」

「分からん。ただ、これだけは言える」

「なんですか?」

「日本は………いいや、世界は核兵器が入った地雷原に入ってスイッチを押したって事だ」

 

 俺の言葉に一瞬、理解が追い付いていなかったが理解した途端に青ざめ始めた。

 

「そ、そんな事………あっ、離島棲姫さん達は!? 離島棲姫さん達は何処にいるんですか!? 今からでも止めないと   

「もう遅いよ」

「なんでですか!? 貴方の言葉なら彼女達は聞きます! 全くの被害はなし、とまでは行かなくとも可能な範囲で減らせる事もでき   

 

 やる気のない俺の言葉に、担当の人は食って掛かってきたがそれを制してある事を聞いた。

 

「なぁ、○○さんよぉ。彼女達にとって、あの旅館はなんだったと思う?」

「それは………」

「思い出の家、だそうだ。地上に降り立ってから初めて、人間社会で生活して色んな事をした思い入れのある家だそうだ」

「………」

「そんな大切な建物を破壊されたらどうなると思うよ? 力のある奴なら真っ先に復讐をしに行くんじゃないか?」

 

 俺の言葉に、担当の人は言葉を失っていたのだが暫くしてから震える声で懇願してきた。

 

「そ、それでもどうにかできる筈です。例え、明日100人殺す事になっても今日の10人を生かす事になると思いますが?」

「だからこそ、俺は何もしない。仮に生かしたとして、恐怖と猜疑心に支配された輩の何人が手を緩めてくれる?」

「それでも!」

「それが分からない以上、彼女達の気が済むまで暴れさせる事にする。それで世界が滅茶苦茶になっても俺は知らねぇ。始めたのが彼らだからね」

 

 深海棲艦に対して、敵対的な組織や個人のサンドバッグになるつもりはない。

 さりとて、政府などから人殺しになるほどの金や対価を貰っていないので攻撃命令を出すつもりもない。

 だから、彼女達がブチ切れて人類に対して攻撃をする行動を取ろうとしても何もしない事を決めたので、その事を伝えると担当の人がこう言ってきた。

 

「………この事は上に報告しますよ?」

「構わない。どうせ、それどころじゃないだろうしな」

「………?」

 

 この時の彼女は、俺の言葉を理解できなかったが帰路に着いて東京に向かう途中で否が応でも理解する事になる。

 何しろ、日本の首都である東京を始めとする南関東は俺との会話をしている間にも深海棲艦の猛攻撃を受けている最中であり、奇しくも上陸地点は前世において計画倒れとなったダウンフォール作戦の後半に計画されたコロネット作戦に酷似していた。

 正確には、神奈川にある相模湾の湘南海岸と千葉にある九十九里浜から大規模な上陸を行なっており、敵の攻撃、しかも深海棲艦による大規模侵攻を想定していなかった日本政府と日本軍は軍民問わず、多大な犠牲を出す事になった。

 

 そして、そんな大惨事が発生してから数日後には大陸側や太平洋を挟んだ大国でも同じ様な事が発生し、その時になって漸く人類は思い出したのだ。

 

 深海棲艦と言う脅威を。




注意してほしいのですが、本作はあくまで創作物の範疇ですので下手に真に受けないでくださいね?
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