転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第12話 JKの後、深海に住まう提督

 夕食の準備ができたので、離島棲姫達を呼びに行くと漫画家志望の女子高生、相田 薫とすっかり意気投合して和気藹々な空間になっていたのでそこに入っていくのに少し躊躇した。

 何しろ、彼女に割り当てた部屋で喋り合っていたのだが彼女の膝に北方棲姫が座り、離島棲姫達とバトルに関しての談議で盛り上がっていたので中断させるのもどうかなと思ったからだ。

 まぁ、そんな気遣いも俺が来た事に気が付いた離島棲姫によって霧散したので、全員で食堂に向かって役割分担で配膳してから一斉に食べ始めた。

 

「そう言えば番頭さんって、深海棲艦と暮らして変わった事とかってあります?」

「変わった事………色々あり過ぎて何から言えばいい事やら」

 

 薫の問いに、少しフリーズしたが思い返せば色々とあったなぁとしみじみと思う。

 何しろ、それまで艦娘との出会いがない事に絶望して灰色だった世界は離島棲姫を拾う事でかなりの色合いが戻ってきたからだ。

 その分、面倒事に対処しないといけない事も増えたので嬉しさ半分面倒臭さ半分なのだが、彼女達と出会わなかったら今も1人寂しく世界の隅で暮らしていたのは容易に想像が付くので悪い気はしない。

 

「まー、最初に言うとするなら生活環境が大幅に変わった事かな。ありきたりではあるが」

「でしょうね。掲示板では政府と取引しているんでしたっけ?」

「担当者を通じて、だがな。おかげで下手に公表すれば大騒ぎになる様な話も幾つか進んでいるから喋れん事もあるけど」

「まぁ、そこは追々詰めていくとして他に変わった事あります?」

「後はな   

 

 その為、食事の最中から薫と離島棲姫達が風呂に入るまでの間は話せる範囲で彼女の問いに答える時間を取った結果、かなり満足した様でこれだけあればバトル漫画が描けると大喜びだった。

 後は、彼女が卒業を意識しながら漫画を描いて入賞以上の賞を取れば、個人的には問題なしと判断して漫画を描いて欲しいと思いながら眠りについた。

 

 

 

 

 

   ???」

 

 夢を見る際、その前兆として多少の浮遊感を感じるのでいつもの様に深海へと沈んでいったのだが、いつもよりも沈む時間がかなり短くてあっという間に海底と思われる地面に着地した感触を受けた。

 その為、起き上がろうと体を動かすと普段の様に体を動かせた為、起き上がると目の前にはレンガで作られた建物があったので頭の中は(クエスション)マークでいっぱいになった。

 いつもなら、体は碌に動かない上に只々沈んでいくだけの時間だったのに、ここに来て予想の範疇を超えてきたのでかなり戸惑ってしまった。

 

 とは言え、いつまで待っても夢から醒めないので恐る恐るではあるが建物に近づくと、建物の玄関と思われる扉から離島棲姫達の仲間と思われる女性が出てきた。

 

「オ待チシテオリマシタ、××××。我ラガ提督ガ待ッテオリマス」

「その様子から察するに、離島棲姫達から聞いているのかい?」

「エェ、何デモ動ケナイ所ヲ拾ッテクレタ様デ」

「ほっとけなかったもので」

 

 そして、彼女の言葉から離島棲姫達が中枢棲姫(仮)であろう女性に話したんだろうなと察して彼女の案内で建物に入っていった。

 ここで下手に逃げ出せば、意識が地上に戻れなくなりそうだなと直感として感じ取ったのも大きいのだが、初対面でありながら中枢棲姫(仮)から敵意や悪意を感じ取れなかった。素人判断ではあるが。

 それに、取って食おうとするなら夢を通して海底に引き寄せるのではなく、直に攫ってくればいい話なので下手に逆らう理由がないってのも彼女に付いていく判断に繋がった。

 

 その為、中枢棲姫(仮)の後を歩きながら視界に入った建物の内装を見るに前世におけるアーケード版の鎮守府内に似ている気がする。前世の記憶がかなり薄れているので確証はないのだが。

 

「提督、彼ヲ連レテキタワ」

「入ってくれ」

「失礼スルワ」

 

 建物内を少し歩いた後、執務室と書かれた看板が扉の脇に立て掛けてある所まできてから中枢棲姫がその扉をノックして、中にいる人と話してから中に案内された。

 

「初めまして。私は深海磨鎖鬼、君らが深海棲艦と呼ぶ彼女達を率いる提督だ」

「初めまして、深海磨鎖鬼さん。話は聞いていると思いますが、貴方が率いている離島棲姫達を預かっている××××です」

「あぁ、離島棲姫達から聞いている。何でも地上で生活するのに困らない様に色々と手を尽くしているとか」

「地上に限らず、人間が活動する如何なる空間では不要な争いを避ける為に色々と規則やルールを設けていますからね。それを学ばせる為の必要経費です」

 

 艦これの二次創作において、深海棲艦側の提督が描かれる事もあった上に離島棲姫達からも聞いていたのだが、実際に居るかどうかは確かめようがなかったので半信半疑だった。

 とは言え、こうして会って冷静に受け答えをしてくれると言う事は単純に俺が無害や非力な存在だと認識しているのか、或いは離島棲姫達を養っている事を評価してくれるのかは判断しかねる。

 

(そう言った話を抜きにしても深海磨鎖鬼と名乗ったこの青年、イケメン過ぎるだろ!)

 

 離島棲姫達を見れば、病的にまで肌が白い事を除けば美人なちゃんねーって分かるのだが、だからと言って提督までイケメンともなれば平々凡々な見た目の俺からすれば羨まし過ぎる為、軽く嫉妬しながらも話を続けた。

 

「それで、どうしてここに呼ばれたのかの理由を聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「それは単純に貴方に興味があったからだね」

「自分に?」

「えぇ、そうです。曲がりなりにも貴方も人間として話を聞いた事があるでしょう。我々と人間との争いを」

「はい。人間サイドとしてですが」

 

 俺に興味がある、と言うと一昔前に流行った青いツナギの良い男だったり、某野獣な先輩を連想するが話の雰囲気から察するに真面目な話なのでそう言った連想を排除して話を聞いた。

 

「実は近々、我々も進出する予定です」

「地上に進出、ですか。かなり困難な道のりになると思いますが?」

「えぇ、一筋縄で行かないと言うのは分かっている。しかし、我々には我慢する理由がない」

「と言うと?」

「あの時、受けた損害以上に艦隊を整備したのでいつでも武力行使が可能だと言う事だ」

 

 あの時、と言うのは先の大戦の事で深海棲艦は大打撃を受けたと聞いていたが80年以上、と言う年月は艦隊を立て直す事には充分すぎる時間と言って良いレベルだ。

 それに対して、人間側は組織や国家間の相克や利害関係によって人間同士での争いは今も世界のどこかで続いているし、それに伴って80年前は大国と言われた各国はそれぞれの国で様々な問題を抱える老人国家になりつつある。

 つまり、あの規模の戦争がまた起きた場合は勝つどころか、どこまで持ち堪えられるのかに疑問が残るので俺の任務はそれを回避するのが目的なのかなと思いながら聞いてみた。

 

「もしも、貴方の発言が正しいとして俺、いや私に何を望むのです? 養うだけでもひーこらしていますけど」

「最終的な目標の為に貴方を通して、特定の国との友好条約を結びたい。それだけだ」

「………」

 

 その言葉に、喉まで出かけた即答を押し込めた自分を褒めてやりたい。

 何しろ、友好条約ってのは特定の組織同士で結ぶ条約なので最終的な目的とやらは分からないが、彼がどの組織とも結んだ時点で大きな足掛かりになるのは目に見えていたからだ。

 その為、何かしらの条約を結ぶとしても今の俺には力不足なので彼に手伝ってもらう事にした。

 

「目的は分かりました。ただ、貴方の存在を政府要人には確実に認知してもらう必要があります。その為の協力をお願いしたいです」

「そうか。そこからか」

「はい。現在、人間側は深海棲艦を認知しても貴方の様な提督を全く知りません。そんな状態で、私が願い出た所で頭がおかしくなったと判断して精神病院に突っ込まれるのが関の山です」

「では、君の所に行こうではないか!」

 

 協力を申し出た結果、予想外すぎる言葉に俺は宇宙猫並に目を見開いて「?」マークを浮かべる羽目になった。

 そして、危険性などを訴えて必死に説得した結果として1年と言う準備期間を設けてもらう事で落ち着いた。




深海磨鎖鬼を知らない人は各自で調べてほしいと思う訳。
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