転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第20話 性的に喰われた

「なぁ、朝から離島棲姫が引っ付いて離れないんだが………どうすりゃ良い?」

「そう言われてもねぇ?」

「離島を不機嫌にさせる事でも思ったんじゃない?」

「不機嫌って………あぁー」

 

 缶詰から解放された翌日、いつもの様に歯を磨こうとしたら離島棲姫が蝉の様に引っ付いて離れなかったので、無理に離そうとしても人力では深海棲艦の力に敵う筈もなく、引きずる様に行動したのだがかなり動きにくい。

 その為、外に出て通りがかった南方棲戦姫達に状況を話してみると彼女達は何か、事情を知っているかの様に言ってきたので思い返すと心当たりがある。

 好みの問題ではあるのだが、離島棲姫の様なぺったんこよりも南方棲戦姫の様なスタイルの良いちゃんねーの方が好きなので、魂に干渉できる彼女達からすれば俺の考えなんてお見通しな上、昨日の好み発言を読み取った離島棲姫なら不機嫌になってもおかしくはない。

 

 これじゃあ、迂闊に他の女性に目移りできねぇなぁと思っていると見慣れぬ艦娘がウロウロとしていたので、首を傾げながら声を掛けると彼女はこっちを見た瞬間に深海棲艦を認識して逃げ出したので南方棲戦姫達に頼んで確保してもらった。

 一応ではあるが、この街に監視目的で住んでいる艦娘全員は頭に入れていたので本来、いない筈の艦娘を見分ける事ぐらいは簡単にできるので捕まえてもらい、担当の人に連絡を入れた後で軽く尋問する事にした。

 

「さて、一応分かったとは思うがここら辺は深海棲艦の生活拠点だ。それを分かって立ち入ったのなら、中々の肝の座り様だがどうして来た?」

「人が生活している雰囲気がしたからで………」

「聞き方を変えよう。君が所属する部隊名とここに来た理由を知りたい」

「えっと」

 

 尋問を進めるが、その艦娘は碌に答えないので南方棲戦姫達は苛ついてきたし、離島棲姫も不機嫌度が上昇して今にも俺を鯖折りにするぐらいに力が入っているので中々に痛い。

 それに、離島棲姫達が苛つかなくても今のこの街は世界中が秘密裏に注目しているので、何かあればすぐに連鎖反応して経済やら何やらに悪影響を与える事になりかねないから冷静で迅速に事を済ませたい。

 その為、彼女が答えるまで粘り強く待っていると意外な事実が判明した。

 

「所属部隊がない?」

「はい。気が付いたら海の上に居て、太陽の方向から西の方向を割り出したのでそっちに向かっていたらここに辿り着きました」

「マジかよ」

「どうする? ここで処す?」

「担当の人に連絡を取ったからそれはマズイ。一通りの聴取が終わったら海軍に引き渡すのがベターな選択さ」

 

 他の世界線で、艦娘がポップするのかは分からないがゲームではたまに発生していたので、リアルで発生する事に少しは驚いたものの特にこれと言って何かをするつもりはない。

 理由は単純で、今の俺は外交官の肩書を有しているものの軍属、特に日本政府直下の軍隊に所属していないので深海棲艦なら兎も角、艦娘について一切の責任は取れないからだ。

 これで、海軍所属の提督とかであればポップ艦を拾った事による各種報告書を作成する必要があるんだろうなぁ、と思いながら雑談をしていると担当の人が来た。

 

「彼女が無所属の艦娘ですか」

「えぇ。名前は鳳翔、ここから東の方の海でポップしたと供述しています」

「ポップした艦娘、ですか」

「その反応からしてやっぱり、ポップ艦は珍しいんですか?」

「私も記録でしか知らないんですが、そう多くなかったそうです。大戦を通して10隻にも満たないとか」

「なるほどなぁ」

 

 まぁ、分かっていた事ではある。

 適性のある女性が艦娘になる、と言うのがこの世界に於ける艦娘の定義である以上は自然発生する様な艦娘はそう簡単に現れないか、現れたとしてもその大半を揉み消したのどっちかだろうな。

 その為、艦娘である彼女の処遇に関しては担当の人を介して海軍に任せるとして、当面は貿易港の建設計画を推し進める傍らで深海棲艦の理解を促進する事業を進める事になると思う。

 

 何しろ、深海棲艦と言えば異形の存在だと言う教育がまかり通っているのが現状なのでそれを変革させる必要があるし、深海棲艦から陸揚げした荷物や海外から来た荷物の受け入れなどを政府から求められているからな。

 両方とも最低でも数年、長ければ半世紀以上の年月を必要とする巨大な国家プロジェクトに違いない為、ここに来て漸くと言って良いほどに艦これの世界で活躍できていると言う実感が持てた。今までは社会のはみ出し者と言う感覚だったし。

 

「なぁ離島、そろそろ離してくれ。肋骨が折れそうだ」

(つがい)になってくれたら離してあげる」

「………マジかよ」

 

 その実感と共に、未だに引っ付いている離島棲姫に声を掛けたらそんな事を言われたので中々に笑えない。

 番って言ったら、雄雌が夫婦的な関係になるって情報だから素人童貞な俺からすれば中々にハードルが高く感じるので、軽く躊躇していると他の深海棲艦達も乗ってきた。

 

「良いんじゃない? 未だに手ぇ出してないとか、男として枯れてると思ってるし」

「私達が言うのもなんだけどそこそこ美人だと思うのよねぇ」

「寧ろ、全員で襲っても文句が言えないと思う」

「襲って良い?」

(アカン、野獣の眼光になってやがる)

 

 徐々に、怪しい雰囲気になってきたので冷や汗をかきながら来てくれた担当の人に目線を送るとこう言ってきた。

 

「頑張ってくださいね!」

「うおぉい、待ってくれぇ!」

「行かせないわよ!」

 

 その言葉と共に、立ち去ろうとしたので呼び止めようとしたら離島棲姫達に阻止された挙句、仮設住宅へ丸太を肩に担ぐ要領で持ち上げられて運ばれる事になった。

 そして、その日は蛇の交尾の様に濃密な時間を過ごす事になった。

 

 

 

 

 

『旧九十九里浜に於ける貿易港の建設計画』

 かつて、日本有数の浜辺だった九十九里浜は深海棲艦の攻撃により、その大半を消失した事から長らく、放置されてきた経緯があります。

 その為、今回の安全保障条約が締結された事に伴って再開発の計画が立てられたのに伴い、3つの点で今回の計画案が推奨されています。

・世界最大規模のコンテナ船及び各種運搬船を常時、24時間体制で入出港させる事のできる規模の大きさ

・取り扱うコンテナ数は1,000万TEUを誇る巨大な貿易港を目指す

・貿易港の建設に伴う他の貿易港との役割分担

 本来なら、東北地方のいずれかに建設するのが望ましいものの深海棲艦との関係から、首都圏に近い方が何かと連携が取りやすいとの意見が出た為、今回の計画案を提出させていただきました。

 

 20XX年 初夏 対深海棲艦担当官

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