転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第23話 港が発展する中で

 貿易港の着工するにあたり、地上は人間が担当して様々な施設を建造していくが、海底の整備は深海棲艦の方が熟知しているとの事で担当する事になった。

 その結果、寂れた過疎地に片側2車線の道路が舗装され、前からあった建物は旅館も含めて取り壊される一方で貿易港に必要な施設の建造が執り行われている為、離島棲姫達が来てから半年も経てば旅館を買い取って住み始めた頃とかなり様変わりする様になった。

 まず、各種貿易を行う為に必要なだだっ広い土地を政府が購入してそれをコンテナ船が停泊してコンテナの出し入れをする場所と、各種資源を集積する為の場所とそれらを運搬する船舶の場所、そして銚子港が近いと言う事で漁港としての3つの役割がこの貿易港に求められている。

 

 漁港とコンテナの集積地はまだ分かる。漁港の方は、近くに新しい港を作る事で航路と漁業の兼ね合いがあるから仕方ないし、コンテナの集積地も貿易港を担うと言う事で必要なものだと思う。

 だけど、資源の方は理由が分からなかったので聞いてみると各種資源を使って深海棲艦との関係性について、研究したいとの事で燃料以外の資源の集積地から程近い場所に研究施設が建てられる事になった。

 そんな訳で、工事現場で働く人達に振る舞う為の食堂を開設して食事を振る舞っているのだが、当然ながら従来の離島棲姫達を見るとビビられるのでコスプレ風味もある制服を着せて食堂で働かせている。

 

 今世では、資産運用で高校卒業と同時にヒキニートをしていたのだが、前世は事故死するまで普通に日本の会社で働いていたので色物過ぎる服装は逆に距離を取られる、と言う事ぐらいは雰囲気で分かっていた。

 勿論、春を売る様な仕事であればある程度は許容されるだろうが、俺個人としては磨鎖鬼提督から離島棲姫達を預かっている身だと思っているので、深海棲艦全体のイメージダウンに繋がる様な事は避ける意味でやらせていない。

 それに、独占欲はそこそこあるので離島棲姫達が他の人と寝る想像はしたくないし、NTRの趣味もないので如何わしい仕事はさせたくないってのが本音ではある。

 

 その結果、食堂で働くのにふさわしい制服を着させたのだが色白な肌によってコスプレ感が出てしまったのだが、離島棲姫達から暇だから働きたいとの強い要望だったので働かせたのだが、中々に好評で繁盛している。

 事情を知らなければ、変わった奴らが食堂で働いているって噂になるし、安全保障条約で有名になった深海棲艦について受け入れ体制が整ってきた頃から、段階的に情報を公開してきたので彼女達の知名度もかなり上がっている。

 そもそも、深海棲艦に対する恐怖感や忌避感と言うのは国際的な情報の隠蔽による部分が大きいと考えている為、可能な範囲で情報を開示して大衆の理解を求めていくつもりだ。

 

 それに、願望だった艦娘ハーレムはほぼ霧散して深海棲艦によるハーレムの方が落ち着くし、恐怖心なんかを抱かないのはおかしいのも魂やらを弄られて魅了された哀れな異端児だと自覚しているので特に問題はない。

 それより、問題なのは   

 

「コンクールで受賞しました!」

「やったじゃねぇか」

「これで離島棲姫さん達の漫画を描けます!」

「おう」

 

    漫画家志望のJKである相田 薫が、リュックやスーツケースを持ってこっちにやってきた点だった。

 理由を聞くと元々、集英社が開催するコンクールに応募したら構成力やらなんやらが評価されて入賞を果たしたものの、担当者から『ウチでは手に余るから講談社に行ってみない?』との提案があったので、そっちで連載する事になったらしい。

 それで、なんでこっちに来たかと言うとバトル物を作る際に彼女達に聞いて描写したいとの事だったのだが、そこは月一とかでよくない?って聞くと次のような答えが返ってきた。

 

「だってここには艦娘の方々も居るじゃないですか」

「そうだな」

「だったら彼女達からも聞いた方がいいですし、今の時代、ネットに繋がれるんだったらメールやらなんやらでやり取りした方が便利ですよ」

「それもそうか」

 

 20〜30年前なら、Windows95とかの時代だったのでネットインフラは今と比べてかなり貧弱な上、PCを使う人も少なかった為に週刊誌の漫画を描くには複数人が1ヶ所に集まる必要があったものの、今の時代は小型のパソコンであるスマホが1人1台の時代だ。

 人によっては、ゲーミングパソコンと称して市販品よりも高性能なPCを組む人すらいる時代なので、ネットに繋がったPCにペンタブとWEB会議ができる環境さえあれば、地球の裏側に居ても週刊誌の漫画が描ける環境が整っている。

 その為、彼女が連載する期間は入賞するきっかけになった俺が市販品の範囲で必要な機材を買い揃える事が決まったので後日、署名にて契約するとしてある事を聞いてみた。

 

「実はこっちで働いてる艦娘がいるんだけど、見たい?」

「えっ、本当ですか!?」

「元々は横須賀の方で働くって話だったんだが、彼女の中で合わなくてこっちに来てるんだよね。深海棲艦も居るし」

「そうですか。一回、会ってみたいです」

「休憩時間に入った時間だからそろそろ来ると思う」

 

 今の時間は午後1時過ぎなので、工事現場で働く人達は仕事に戻っていっただろうからそろそろ来る筈だと思っていると、鳳翔が離島棲姫達と帰ってきた。

 

「ただいま、戻りました」

「おう、お疲れさん」

「あら、そちらの方は?」

「新人の漫画家さん。新しい漫画を描きたいから取材したいってさ」

「そうですか。私が分かる範囲であればお答えできますが」

「そこまで難しい話ではないです。実はこんな感じの漫画を描こうと思っていまして   

 

 とまぁ、漫画談議が始まったのでお茶や鳳翔達の昼食を出したりと裏方に徹する事にして話を聞いていると、離島棲姫が聞いてきた。

 

「本当に良いの?」

「何が?」

「漫画にすれば政府の方からも何か言われるんじゃない?」

「まぁ、その時はその時で、こちらから機密に触れない範囲で情報共有している事を伝えれば引き下がるだろうよ。相手も下手に騒ぐよりも穏便に済ませた方が良いと考えているだろうからね」

「そう思って何回、煮湯を飲まされた事やら」

 

 俺の言葉に、離島棲姫は軽い口調で悪態を吐いたが安全保障条約を結ぶまで有名になった以上、俺個人を処して事を済ませようとする段階は通り越してしまっている。

 実際に処そうとした時には、実害を伴った返り討ちをしているので下手に暗殺を実行すればよりデカい被害を出す事は想像できるだろうし、親善大使兼外交官的立場である俺を暗殺すると言う事は戦争の意思あり、と言う事を暗に示す行為なので今の日本には無謀な行動さ。

 確かに、深海棲艦に目を奪われて俺を軽んじた行動を取ったのは許しちゃいけないが、今の俺はそれに囚われると話が拗れて面倒臭くなる程の立場に居るので目を瞑っているのさ。

 

(後は順調に事が運べば良いんだけどね)

 

 国との折衝は中々に骨が折れる。

 交渉する度にストレスを感じ、疲れ果てるので鏡を見ると三十路になっていないのに何本か白髪が生え始めているのが見えるので早く、交渉が得意な人を探さねぇとなぁと思いながら薫と鳳翔の談義を眺めていた。

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