転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
「 以上が、貴方が死にかけていた間に起こった出来事よ」
「マジかよ」
磨鎖鬼提督が暮らす基地内の部屋で、目を覚ました俺は離島棲姫から聞かされた内容を受け止め切れずにそう呟いた。
何しろ、イベントを開催したら深海棲艦の事をよく思っていない派閥から差し向けられた実行犯によって、旧ソ連製の拳銃で暗殺されて死に掛けたのを知った彼女達はすぐさま、実行犯の取り押さえとイベントの中止を発表。
応急処置をしつつも、磨鎖鬼提督に状況を報告して実行犯は警察に引き渡した後は負傷した俺を特殊なカプセルに入れて、全員で海へと引き上げたらしい。
理由は長期間、深海棲艦と共に居たので人間側に預けると何かしらの実験をされる可能性を考慮した結果との事だったので、仕方がないと判断できる物のだからと言って日本を海上封鎖した挙句、都市と言う都市を徹底的に爆撃している事には衝撃を受けたので聞いてみた。
「色々と要求を聞いてきたのに貴方を殺そうとしたのよ? そんな奴らを生かしておく必要がないわ」
「当然だろう?」
「………」
そんな離島棲姫と北方棲姫の返答に、返す言葉が見当たらなかったが彼女達からすれば人間と言うのは、人間から見た深海棲艦と同じ様な物だと考えれば理解はできる、と思う。
人間にとって、深海棲艦とは姿形は違えど有象無象の怪物みたいな印象を受けると思うが、彼女達にも他者との関わりで好き嫌いはあるし、派閥もあるらしいからその点は良くも悪くも人間っぽく感じる。
「んまー、事情は分かった。とすると今の俺は君らに近くなってしまったのかい?」
「えぇ、私達に人間の医療は分からないもの。だったら、私達のやり方で治すのが鉄板じゃない?」
「だよなぁ」
その為、今の体について聞いてみると人間としての体から外れた状態らしく、今はまだ撃たれた箇所のみだがいずれは体全体が深海棲艦化するとの事だった。
その事に関して、複雑な気持ちになった物の前世を思い出した事で今世は俺にとってボーナスステージ的な物だ、と感じていたので元の体にそこまでの愛着はない。
いつか、孤独死しようが痴呆が進んで認知症になろうが身寄りがない以上は好きな様に生きようと決めていたので、離島棲姫達が来てくれた事に感謝してもしきれない程の恩がある。
なので、
「今後の方針としては、日本列島を深海棲艦が住めるように改造していくつもりだ」
「改造、と言うと都市やインフラを再設計するつもりですか?」
「そうだ。君から送られてくる報告書を読んで分かったのは、社会インフラは古くて色々とガタが来ているようだからね。ここで刷新するつもりだ」
「となると、かなりの費用と資材が必要になると思いますが大丈夫ですか?」
「勿論。海底から取れる資源量を甘く見られても困るよ」
彼の言葉に、俺の疑問は解消されたので賛同する事にした。
深海棲艦化している今の体ではどうせ、人間社会では生きていけない上に肝心の日本が消滅し掛かっている状況では俺の居場所はないし、元の生活に戻れないだろう。戻るつもりもないし。
それに、数年前に発生した首相暗殺事件で何も学ばなかった日本政府には失望しかないので、彼らに対しての鬱憤も含めて磨鎖鬼提督や離島棲姫達が満足するまで気長に待つとしよう。
「それで………自分は何をすれば良いんでしょうか?」
「破壊し切った日本を私と君で二分して改造してみないか?」
「良いんですか? 世界各国から何を言われる事やら」
「言われないさ。ただでさえ、腐っても世界有数の経済大国が消滅した事で大混乱しているさ」
「そうですよね………分かりました。期待に添えるかは分かりませんが、できる範囲でやらせてもらいます」
一貿易港に携わった後で、国の運営を行なうのは分不相応である事はヒキニートである俺でも分かるので、運営に必要な人材を提供してもらうのを条件に一枚噛む事にした。
正直に言って、どこまでできるか分からない物の乗り掛かった船なので付いて行ける所まで行くつもりだ。人間に戻れないし。
その為、爆撃による徹底的な破壊を完遂させて深海棲艦による地上侵攻で日本のいる残存戦力を殲滅し切った後で、俺は磨鎖鬼提督の指揮下で新たな統治を行う事になった。
まずは、生き残った住民にある程度の衣食住を与えながら独裁国家が行なっている様な密告制度を構築して、住民に徹底させるのと同時に資材の搬入を行う為に生き残っていた貿易港を拡張させ、鉄道輸送を基本とした輸送インフラを構築。
日本全土に、輸送の拠点を点在させるのと並行して都市計画を策定して東京を中心に京都と福岡、仙台と函館に首都機能を分散させて国家として打たれ強くした。
正直、深海棲艦が支配する場所を国として承認する国家なんてあるとは思っていないが、やるからには徹底的にやろうと思って計画を策定して実行に移した。
「いやまぁ、地上での生活を送りたいって駄々を捏ねたけどあれ、作る必要あった?」
「あったわよ? なんせ、人間と言うのは都合が悪くなったら臭い物に蓋をする傾向があるじゃない。だったら、蓋を閉じても意味がない様にしなくっちゃいけないわ」
「既に実戦で経験済とか、中々に笑えん状況だろ。なんだよ、レーザーによる長距離狙撃で発射済みのICBMを物理的に蒸発させるとか」
空爆によって、焼け野原になった東京だった場所の再建が進む中で闊歩する体高が100メートルに届きそうな程、デカい生物を見てながらそう呟いた。
見た目的には、マブラヴシリーズの1つであるトータルイプリクスの終盤に出てくる超重光線級に似ているのだが、作中よりも光線の射程や威力が半端ではない。
何しろ、9つの照射器官から繰り出される連続照射はそれぞれが0.1秒間隔で発射できる上、収束させて1本の極太レーザーにすれば小山程度の地形を貫通してその後ろに配置された兵器群を文字通り、蒸発させる事ができる程に強力だ。
しかも、射程1,000キロで必中の命中精度を持っている為、国連安保理によって可決された200発に及ぶ核弾頭搭載のICBMやSLBMの全力投射を難なく、迎撃して宇宙空間で蒸発させたらしい。
今はまだ、動力炉のコスト的に1体しか完成していないが量産が可能になれば何体も作り出せるらしいので、このまま行けば人類文明が消滅する事になるのは誰が見ても分かるだろう。
「貴方がその気なら、いつでもぶっ壊しに行けるわよ?」
「今はまだ良い。この国の統治機構は完全ではないし、建設も順調ではあるけど完成していないからね」
「そう。やるんだったらいつでも言って頂戴」
「分かった」
俺にべったりな離島棲姫に、そう返しながら日本だった国を思い返すと生まれ育った国とは言え、ここまであっさりと崩壊したとなれば実感が湧かずに悲しむ気持ちすらない。
元々、ボーナスステージとして生きてきたから今世に於ける日本に対しての愛着は皆無に等しいのだが、ここまであっさりと破壊されたともなれば巻き込まれた人達に申し訳ないと言う気持ちはあっても、引き金を引いたのはそっちだと思えて仕方ないので謝るつもりはない。
その為、やるからには徹底的に巻き込んでやると言う気持ちと共に改造計画を進めていくのだった。
以上、トゥルーエンドの世界線でした。
この世界線に行くには、ポップした艦娘が主人公の元に来ない or 親しい関係にならない状態で深海棲艦に取り込まれるのが条件となります。
その結果、既得権益を持つ人達に狙われて暗殺されるのが既定路線になりますので。