転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
「では、貴官は領土拡大の意思はないと」
「既に話していますが、私の目標は人類側との共存共栄です。下手に拡張政策を打ち出せば貴国を始めとする人類側から反発されるのは必至。ならば共同開発が可能な特別地区を制定し、共同管理にした方が反発されずに済むと判断しました」
「分かりました。共同開発ができる様に調整致します」
「よろしくお願いします」
担当の人に、共同基地の話をしてから暫くしての会合で共同基地の話になったのだが予め、資料を作成して政府側に渡してあったので役人達に驚きはなく、懸念事項としての疑問が磨鎖鬼提督に投げかけられた。
何しろ、日本国としては少子高齢化による人口減が目立つ様になっている現状で深海棲艦と事を構える状況に陥れば、負けなくても大損害は必至なので可能なら穏便に事を済ませたいのが本音だ。
そして、磨鎖鬼提督も目標に対して不用意な損害と言う余計な出費は避けたいのが本音なので、両者の利害が一致した結果として九十九里浜の共同開発に艦娘と深海棲艦の共同基地を建設すると言う計画が盛り込まれる事になった。
(にしても、普通のヒキニートだった俺が政府の方針に関わる会合に出席するなんて、離島棲姫達と会う前の俺に言っても信じられねぇだろうな)
今だって、悪い夢でも見てるんじゃねぇのかと疑いたくなるレベルで緊張しながら出席しているのだが、こう言った会合での主役は磨鎖鬼提督なので彼のフォローするのが精一杯だ。
とは言え、磨鎖鬼提督が今回の会合の様な場所に連れてくると言う事はいつか、俺が政府の首脳陣達とやり取りする羽目になるんじゃないかと予想してしまう為、ストレスで胃が痛くなってしまう。
(俺には現場指揮官が合ってますよ、提督〜)
そんな事を思いながら、会合が終わるまで出席して交渉成立を見届けて磨鎖鬼提督と共に退席して部屋から出ると話しかけられた。
「今回の会合、どう思った?」
「会合自体は上手く行きましたが内容に問題がある、と言う事ですね?」
「あぁ。私が知る範囲では人類側、特に日本は大和型に執着しているとの話があった筈なのに今回の会合では“や”の字も出てこなかった」
「今回の会合とは無関係だから出さなかったのでは?」
内容は、武蔵が現れた事に対する政府の反応であり、俺が集めた範囲の情報では可能なら政府が引き取りたいとの打診はあったものの、本人が断ったので立ち消えた話となっている。
「それなら、他のやり方でアクションがあってもおかしくはない筈だ。それがない、と言う事は………」
「政府の方針と現場の方針が食い違っている?」
「少なくとも、政府としてはあまり興味がないのかもな」
「となると、問題は武蔵を引き取りたがっている団体と言う事になりますね」
「あぁ」
政府としては、1人の艦娘に執着はないのだが武蔵は日本の艦娘なのだから日本が保有すべき、と言う意見を持つ団体からの強い提案で仕方なしに交渉を持ち掛けたものの断られた以上はやる理由がないので、それ以降はダンマリだ。
となれば、我慢の限界からその団体からの過激なアクションがあってもおかしくないので、警戒するに越した事はないとの判断を磨鎖鬼提督は下した様だ。
まぁ、俺としても離島棲姫達以外にも多数の人型深海棲艦が滞在しているし、人型じゃない深海棲艦もマスコット的な立ち位置や工事現場で働く作業員達の手伝いをしているので、その気になればそこら辺の暴徒なら簡単に返り討ちにできるだけの戦力はある。
問題なのは、混乱を発生させてこちらを加害者に仕立て上げようなどの搦手による攻撃を受けた際の対処だが、その時は深海棲艦の大部隊を率いて都内を闊歩させるなどの
その為、そう言った面倒な輩に絡まれた際のマニュアルを作る事になったのだが、こういった業務を引き受ける度にやる事が多くなったものだとシミジミと思う様になった。
「えぇい! 誰か食いもん持って来い!! はーい、何もありませーん! ミャー知ってまーす!! 判っとるわボケェ!! あぁ〜〜〜あ! あの頃の様にグータラしてぇえ!!」
とまぁ、こんなセルフノリツッコミを大声でしたくなるレベルで離島棲姫と会う前の生活から激変したので、あの頃の生活を懐かしく思う時はあっても何もない日々をグータラ過ごすのと、忙しいが心身共に充実した日々を送る現在。
一概にどちらが良いか、なんて選べないが少なくとも空っぽな人生を無意味に過ごすよりか、離島棲姫や叢雲と言った親しい関係になった今の生活の方が遥かにマシだな。
それに、今回の共同基地を含めた共同開発地区の運用が軌道に載れば分業や引き継ぎなんかで、俺個人の負担が減るだろうから離島棲姫を拾った選択は間違いじゃないと思いたい。順調だしね。
そんな訳で、会合後の打ち合わせが終わったので俺は共同基地を設置する為に必要な業務を引き受ける一方、磨鎖鬼提督は設置に必要な人材の供給を行なう為にそれぞれの仕事場へと戻っていった。
「遂に連載する事が決まりましたよ、××××さん!」
「そいつは良かったが、だよな?」
「はい。単純に艦娘の情報が少なすぎます」
「深海棲艦は沢山来るから良いとして、艦娘は接する機会が少ないからなぁ」
「どうにかなりませんか?」
漫画家志望のJKだった相田 薫は遂に、漫画家になったのでそこそこ嬉しいのだが問題なのは連載が決まった内容と言うのが、艦娘と深海棲艦が戦う架空戦記物なのでどうしても艦娘側の情報も欲しくなるのが創作活動を行う人達の性と言う物である。
特に、架空戦記などの物になると敵味方の情報がないと正確性を欠いた作品になってしまうので、どうしても艦娘側の情報が必要なのだが個人情報の保護の観点から公開されている情報が少ない。
その為、連載が決まったのは良いのだが艦娘側の情報が武蔵、叢雲、鳳翔の3名しかいないので、どうしても深海棲艦側の情報に偏ってしまうのを危惧している訳だ。
それを解決するには直接、取材するしかないので彼女にある提案をしてみた。
「だったら取材、してみない?」
「取材ですか?」
「そそ。どうせ、取材するなら艦娘が多数、滞在している横須賀基地に取材してみないか?」
「良いんですか!?」
「一応、ツテはあるからね。聞くだけ聞いてみるよ」
「よろしくお願いします!」
俺の言葉に、薫は嬉しそうに答えてくれたので松浦中将に連絡を取ってみる事にした。
何しろ、監視の人員は当初と比べてかなり減ったがある程度は残っている艦娘が在籍しているのは横須賀基地であり、彼女達の指揮を取っているのは松浦中将なのて仕事用の連絡先は貰っていた。
その為、そこに連絡して取材のアポを取る事にした。