転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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今回は少々短め


第32話 ブラ鎮からの艦娘達

 艦娘 side

 

「止まっちゃダメだよ! 夕立ちゃん!」

「もうダメってぽい〜」

「ど、どこに繋がってるんだろう?」

「分からない。でも進み続けるしかないわ」

 

 4人の駆逐艦達は、無謀な作戦によって多数の深海棲艦に囲まれたものの突如として現れた扉が何の前触れもなしに開いた為、多少の戸惑いはあったものの囲まれた状態では近い内に撃沈される事は確実だったので、一か八かで扉の奥に続く道へと歩みを進めた。

 艦娘の力を発揮するには、充分な補給と休息が必須なのだが彼女達が所属していた基地は所謂ブラック鎮守府の1つであり、ままならない補給や休息は勿論、修理すら満足に受けさせてもらえない劣悪な環境だった。

 その結果、戦艦や正規空母と言った大型艦ですら撃沈は当たり前、小型艦も建造直後に無理な出撃を強要されてその日の内に沈むのが日常茶飯事となっていた為、その基地に所属する艦娘は絶望感から生きる気力をなくしていた。

 

 それでも、4人の駆逐艦が諦めなかったのは何が何でも生き残ってやると言う決死の覚悟を持っていたからで、明かりの無いトンネルの様な場所を進んでいくと前方に光が見えた。

 

「見えたよ! 出口が!」

「やっと出れるっぽい〜」

「出口に奴らが群がってなければいいんだけど」

「今から悲観しても意味ないわ。ただでさえ、弾薬が少ないんだし」

 

 何分経ったか、分からないが漸く外に出られる期待感と現在の装備で深海棲艦と遭遇したらどうしようかと言う不安感が混じり合った複雑な感情を抱きながら、外に出て見るとそこには   

 

   ヲ?」

「アラ?」

「チョット、艦娘ジャナイ。早ク番頭ニ連絡シナキャイケナイジャン」

「ひ、ひぃ………」

 

    空母ヲ級や戦艦タ級と言った深海棲艦の中でも脅威となる連中を中心とする艦隊が移動の最中であり、不意の遭遇によって1人が短い悲鳴を上げるのと同時に深海棲艦はどこかへ通信を行なった。

 

「わ、私達を殺す気?」

「ソウダッタラトックニ攻撃シテルワヨ。私達ハアル人物ニ引キ渡スダケヨ」

「誰に引き渡すつもりよ!」

「私達ダケデハナク、ミンナガ彼ヲ番頭ト呼ブ人物。深海棲艦ト人類トヲ繋グ重要ナ人間ヨ」

 

 1人の艦娘が、一向に攻撃を仕掛けてこない深海棲艦に問い掛けると予想だにしなかった答えが返ってきた為、反応に窮していると通信を続けていた深海棲艦の報告を受けたタ級が話を続けた。

 

「貴女達ヲ受ケ入レテクレルソウダカラ、死ニタクナイ人ハ付イテキテ。死ニタケレバ好キニシテ良イワ」

「どうする?」

「付いていくしかないわ」

「このまま、漂流するには燃料が心許ないっぽい〜」

「仕方ないと思う」

 

 その言葉に、4人の駆逐艦の答えは決まった様なものだった。

 

 

 

 

 

 主人公 side

 

「………どの世界でもあるもんだな、ブラックな職場っつーもんは」

「あの子達ですら、過重労働させる時点で長くないわ。平和な時代の普通の会社なら兎も角ね」

「やっぱ、戦争時でも休む期間は必要だろ?」

「勿論。24時間365日無休で働ける奴がいるなら逆に見てみたいわよ」

 

 平行世界から来たであろう吹雪、夕立、睦月、如月の4人から事情聴取をした結果、ブラ鎮所属で酷い状態だったのを聞いて出た感想に叢雲がそう言ってきたのでヤレヤレだぜと思いながら報告書を作成した。

 何しろ、この世界へ来る前に戦闘をしていた様で全員が中破以上の損傷を負っていた上に残弾も5%前後、燃料もここに来るまで牽引しながら深海棲艦の給油艦を要請、派遣する程に足りていなかったのでどんな待遇だったかはおおよそ予測できる。

 その上、彼女達の話を聞く限りでは所属していた艦娘の大半が生きる気力を無くしていた様なので、可能であれば吹雪達を指揮していた奴の所に深海棲艦の大群と共に行ってぶん殴ってやりたい気分になる。

 

 とは言え、平行世界に行く手段がないので行こうにも行けない訳なのでこっちに来た吹雪達のメンタルケアに努めて、前向きに生きていってもらうしかないのが辛い所だな。

 そんな訳で、ボロボロの吹雪達には仮設だが修理可能な浴槽を兼ねた公衆浴場に入ってもらったのだが、吹雪達からすれば艦娘と深海棲艦が争わずに共存している事自体に驚いていたようで、少し前に来た駆逐棲姫に案内させるとおっかなびっくりに付いていったのは中々に見ものだった。

 

「さて、今回ので分かったと思うが次々に来ると思うから手伝ってくれよ?」

「勿論よ。武蔵にも伝えておくわ」

「よろしく〜」

 

 俺の言葉に、叢雲はそう言って去っていったので俺も離島棲姫達と共に前々から構想していた共同基地の計画を提出する方向で動き出した。

 

 

 

 

 

 共同基地の構想

・艦娘と深海棲艦、合わせて1,000人規模の宿舎を建設

・艦娘と深海棲艦の運用の為に必要な各種施設の建設

・基地内に於ける娯楽施設の整備




そろそろ完結と言うか、章の区切りとして一旦終わらせる為にどうするかを模索中。
終わらせ方自体は前々から決めているもののそこまでの道中で悩んだりしてます。
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