転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第33話 未来に向けての2択

「お風呂に入れてくださり、ありがとうございました」

「さっぱりしたっぽい〜」

「そいつは良かった」

 

 日課の事務処理をしていると、修理と休養を兼ねた入浴に向かわせた吹雪達が帰ってきて満足そうに言ってきたので、ホッと一安心しながら笑みを浮かべながらそう返した。

 一応、叢雲や武蔵の意見を反映させながら仮設の入浴施設を深海棲艦の力で建設したので、実際に使ってみて問題がないかなどの心配はあったのだが彼女達の反応から問題はなさそうである。

 その事から、共同基地が完成するまで仮設置する事が決まったのでその報告書も作成しないとな、と思いながら吹雪達のメンタルチェックを始めたのだが1つ、疑問に思わないだろうか?

 

 ゲームやアニメにおいて、艦娘とセットで見られがちな妖精さんについて叢雲や武蔵が来てからも言及を一切してこなかったのだが、それには理由があって俺自身の才能に妖精さんが見れる能力がないらしい。

 離島棲姫達のお陰で、磨鎖鬼提督がいる基地に行ける様になったものの妖精さん云々に関しては一切、ノータッチだったのだが叢雲達が来る前はそれで困った事はなかったし、来てからも必要になったら叢雲達を介して伝えれば問題なかろうとの事で特に気にしていない。

 そもそも、兵器に必要なのは安定した生産体制と効率的な運用体制なので訳分からん言い分で生産をボイコットされても困るので、基本的には人類側の技術で生産するに限るし、妖精さんが見えるかどうかて提督の適性を測る事自体がナンセンスだと個人的には思う。

 

 何しろ、軍隊における士官は上に行けば行く程、10年以上の長期間に亘って教育する必要がある為、平和な時代であれば母数が少ないので代わりになる人材をそう簡単に見つかる訳がないし、戦争時でも補充がし易くはならない。

 何しろ、少尉以上大将以下の士官と言われる人材を普通の会社で例えるなら係長以上代表取締役以下の存在になるので、士官学校を卒業して少尉で入隊したとなれば係長クラスからのスタートになるからだ。

 徴兵をすれば、すぐに代えが利く兵や下士官と違ってそう簡単に見つかる訳がないし、仮に見つかったとしても他の士官と比べて教育を受けていない分がマイナスとなって低い能力しか発揮できないのは明白だろう。

 

 とは言え、現代の兵器は陸海空全ての軍で高度(ハイテク)化しているのでしっかりとした教育をしないと、高度化した兵器を扱う事ができないので徴兵しても余り意味がないらしい。

 それは兎も角、人数が少ない士官を有効活用する為には妖精さん云々は関係なしに艦娘の運用に割り当てる必要があるので、妖精さんが見えないから採用や割り当てはしないと言う論調には疑問があった。人的資源が余りまくっているなら兎も角ね。

 その為、俺自身が妖精さんが見えなくとも運用できる様なシステムを今から構築しておく方が、有事の際に役立つだろうからいずれは吹雪達にも慣れてもらおうと思いながら個別で簡単なメンタルチェックをしたのだがまー、中々に酷い状態だった。

 

 ブラ鎮で働いていた経験から、吹雪達は生きる気力はあれど廃人一歩手前と言った感じなので、今のうちに一般生活を送れる程度にメンタルケアをしないといけなくなった。

 俺ぁ、心療内科医や精神科医じゃないんやでーと思いながらメンタルチェックを終えて執務室に4人を集めてから、当面の面倒を叢雲に任せようと思っていると夕立から質問が来た。

 

「そう言えば、番頭さんってなんで深海棲艦と一緒にいるっぽい?」

「あー……それ聞いちゃう?」

「何か問題があるんでしょうか?」

「夕立ちゃん、流石に失礼だよ」

「いや、大した理由はねぇんだ。ただ単に腹が減ってたから拾って飯を食わせたら居付いたってだけで」

 

 どうやら、俺が深海棲艦を囲っている事に疑問を感じた様なので改めて思い返すと、浜辺で離島棲姫が腹が減って倒れてたから拾って飯を食わせたら大勢、来る様になって共同基地の開発まで漕ぎ着ける様になった。

 正直、磨鎖鬼提督の存在がかなりデカいもののここまでの政府に影響力を及ぼせる様になるとは、この世界に来た当初は1ミリも思っていなかったのである意味、自分が1番驚いている。

 まぁ、叢雲を含めた艦娘も来ているので大量に来た深海棲艦の事を考えれば前もって準備するのに越した事はないので、共同基地ができるまでは艦娘の数に応じて仮設住宅を増やして凌ぐしかなさそうではある。

 

 そんな訳で、吹雪達がいた世界について聞いてみた。

 

「つまり、パラレルワールドから来た感じだな。君らの話からすると」

「私達も何十年も前に深海棲艦が登場したなんて信じられません」

「確かに信じられないっぽい〜」

 

 すると、吹雪達の世界では21世紀に入って十数年が経過してから深海棲艦が登場した様子なので、この世界とは別の世界から来たのが判明した。

 つまり、この場にいるメンバーの過去をまとめると以下の様になる。

 

 俺:艦これがゲームだった世界から転生

 叢雲・武蔵:船魂が艦娘として具現化した船魂型艦娘

 吹雪達:別の艦これ世界から転移

 

 流石に、転生云々は魂の干渉で知った離島棲姫達以外に話していないので叢雲達は知らないのだが、それでも前世の記憶がない状態でこの世界に生まれた適性型艦娘がいない事には変わりない。

 必要なら採用するが、世界各地で紛争はあれど日本にとっては平和な時代なので採用する理由がないのが辛い所だな、と思いながら話を進めて叢雲に投げかけた質問を彼女達にも投げかけた。

 

「艦娘で居続けるか、人間になるか?」

「あぁ。君らはブラックな職場だったとは言っても充分に戦ったと思う。だから俺が用意できるのは君らに選択肢を与える事ぐらいだ」

 

 

 俺の質問に、吹雪達は戸惑った様子だったが少ししてから4人で軽く相談し合ってから俺に聞いてきた。

 

「もし、私達が人間に戻る選択を取ったとして番頭さんはどうするつもりですか?」

「君らに関しては何もしない。俺自身、人間と深海棲艦の架け橋となって調整する仕事があるから人間となった君らに構っている余裕はないしね」

「そうですか」

 

 離島棲姫や叢雲と出会う前であれば、吹雪達を引き留めていただろうが離島棲姫達のお陰で相対的に彼女達への関心は薄れている為、人間に戻りたければ無理に引き留めはしない。

 俺自身、政府との交渉や貿易港や共同基地の建設で仕事があるから人間に戻る決断をした彼女達に対して精々、人間社会で頑張ってねと言う応援しか言えないからだ。

 その為、よく話し合ってから決める様にと言い付けて話し合いは終わったのだが、その様子を見ていた叢雲が聞いてきた。

 

「にしても、あんな質問を投げかけるなんて良い性格をしているわね」

「そうかい?」

「漸く助かって一安心した所に究極の2択を迫るなんて洗脳している様なものじゃない」

「否定はしないさ。ただ、下手に居付かれても困るから選択肢を用意してやっただけさ」

「それを洗脳って言うの」

 

 単なる無駄飯食いなら、4人だから余裕があるがこれが10人や20人ともなれば文句の1つでも言いたくなるし、戦時下になればその余裕がなくなる訳だから引き締める所は引き締めないといざって時に動けなくなる。

 その為の2択なのだが、疲弊した吹雪達には休息を取りながら今後の生き方と言う物を考えてほしいなぁと祈りながら仕事に就いた。

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