転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第3話 増えた

 深海棲艦が目撃された場所に向かう途中、重要参考人と言う事で下手に暴れない様に手錠を付けられた。なんでも離島棲姫と同居するなんぞ、正気の沙汰じゃないとの事らしいので。

 失敬な。流れ着いた女の子をひろっただけじゃないか、とボヤいたら艦娘に睨まれたので大人しく護送車に乗せられて現地に向かうと、警察車両やら何やらが沢山居て物々しいなぁと思っていると、別の護送車から離島棲姫も降りてきた。

 

「おう。そっちは無事だったか」

「特ニ問題ハナカッタワ。ソッチハ………只事ジャナサソウネ」

「何でも重要参考人だそうで。逃げ出さない様にする為じゃない?」

「アラ? 私ナラ好キ勝手ニ脱走ノ手伝イグライハ出来ルワヨ?」

「やめてくれ。指名手配を受けるだけの心の準備が出来てない」

「ジャア、準備ガ出来タラ言ッテ頂戴」

 

 オメーホントに亡霊(深海棲艦)か?と、ツッコミを入れたくなった一方で変な気を起こすんじゃねぇと周りに居た艦娘達の視線が厳しくなったので、居心地悪りぃなと思いながら話を変えた。

 

「そーいや、そっちはどうだった? こっちは尋問が厳しくてさー」

「身体検査ト事情聴取ガメインダッタワ。色々ト知リタイラシイワヨ?」

「まー、数十年も経てば当然か」

 

 実際、80年以上も経てば当時は現役だった軍人は全員が辞めて亡くなっている人が大多数だろうし、普通の生き物である艦娘だって生産ラインの更新と維持はされていても普通の人として死にたいとかで、亡くなっている人もいるだろうから当時を知る人はかなり減ってるんじゃないかな。そこら辺は軍隊の機密に関わるだろうから詳しい事はわからんが。

 その為、ダラダラと駄弁っていると周囲の人達に変化があって数人の軍人さんが俺達に向かっているので、彼らの進路場にいた人達は避けて敬礼していたので待ち構えていると話しかけてきた。

 

「君が××××*1君だね?」

「はい、そうですが貴方は?」

「日本海軍の松浦だ。階級は中将で横須賀鎮守府に所属している」

「お疲れ様です」

 

 海軍の幹部、しかも中将ともなれば上から2番目に偉い軍人さんなので頭を下げてから話を促すと、姿を現した深海棲艦についてだった。

 

   なるほど。姫級で港湾棲姫と北方棲姫、ですか」

「彼女達ナラ知ッテルワ。私ガ出テ行ッタ後、中々帰ッテコナイカラ気ニナッテ来タンジャナイカシラ?」

「すぐに帰ってもらえないかね?」

「無理ダト思ウワヨ? 彼女達ト仲ガ良イモノ」

 

 松浦中将の態度から、あからさまに面倒事には関わりたくない感じを受けたので黙って聞き流していると、他人事の態度に見られたようで彼に付き添っている艦娘が突っかかってきた。

 

「ちょっと! 何か言ったらどうなの!?」

「何かって………何を言えば良いの?」

「こンのッ」

「やめろ、瑞鶴。彼は一般市民だ。銃の訓練すら受けた事のない市民に無理強いするのは良くないぞ」

 

 その艦娘、瑞鶴と呼ばれた女性を松浦中将が諫めたもののこの世界に転生してから、艦娘との思い出が負の方向で溜まっていくのでヤレヤレだぜと思いながらやってきた深海棲艦に対する話をする事にした。

 

「それで………ここに呼ばれた訳を聞きたいです」

「何、簡単な事だ。こちらの方針が決まるまで、そこの離島棲姫と共に彼女達を養ってもらいたい」

「………本気ですか?」

「本気だ。何しろ数十年振りの深海棲艦で上層部は勿論、政府も対応を協議中なのだからな」

「まー、対応が難しいのはわかりますが………」

 

 正直、こちらとしてら今すぐにでも引き取ってもらいたいのが本音であり、ここで下手に了承するとなし崩し的に他の深海棲艦も養え、なんて事を言われそうだから困る。

 いやまぁ、投資なんかをやっていて金額にすると軽く10桁を超える資産を持っているので養えると言えば養えるのだが、無尽蔵にある訳じゃないのでそう簡単に了承する事ができない。

 了承すると、やってきた全員を養えって言われかねないので断る俺と了承させたい松浦中将とのやり取りが平行線を辿っていると、瑞鶴が持ってきたであろう拳銃を取り出して脅してきた。

 

「何よ、アンタ。こっちの命令、聞けないって訳?」

「ちょちょい、中将さん。お宅んトコの艦娘、過激すぎやしないかい? それとも何か? 国家ぐるみの場合は何をやっても犯罪にならないとかってそう言うノリかい?」

「瑞鶴! マジでやめろ! 次、突っかかったら反省文じゃ済まないからな!」

「だって!」

「だってもクソもない! その拳銃、仕舞え!」

 

 松浦中将から、厳し目の指示を出されたので瑞鶴は渋々ながら拳銃をしまったので話を続けたのだが、俺としては彼女に対する印象はかなり悪くなった。

 こちらとしては偶々、深海棲艦を拾っただけなのにここまでの扱いを受けるんなら本気で深海棲艦側に付くぞ、テメーと思いながら彼とのやり取りで結局は押し切られる形で当面の間、深海棲艦達を養う事になった。

 その代わり、条件としてこっちで預かるのは最大で10人までとしてそれ以上が来たら国の方で管理してもらう形で了承してもらい、後日、書面での正式な合意をする事になった。

 

「大変ネ」

「笑えんよ、今の場合はな」

 

 そして、今も待っていると言われている浜辺へ離島棲姫と一緒に周りを艦娘に取り囲まれながら歩いていると、クスクスと笑いながら離島棲姫がそう言ってきたのでため息を吐きながらボヤついた。

 何しろ、ここまで艦娘から犯罪者扱いを受けると前世でやっていたゲームの艦これにおいて、登場した艦娘のイメージが粉々になる気分なので文句の1つでも言いたくなる。

 

(仕方ないとは言え、雑な扱いをして下手に暴れ出したりした結果として民間に被害が出るなんて考えないんだろうか?)

 

 今の世界に来ても、ボンクラな上に引き篭もりだと自認している俺ですら過疎化が進んだ街が近くにある以上、戦闘が発生すれば流れ弾が街に行って被害が出てもおかしくないんだがなぁ、と思うんだが彼女達にはそれを認識してないんだろうか?

 しかも、ゲーム上では艦娘と言えば海上での戦闘が大半で陸戦仕様の装備は空爆とかの範疇になる筈なんだがなぁ、と思いながら浜辺を一望できる防波堤の上まで行くと、すぐに件の深海棲艦がいる場所が特定できたのでそこに向かう事にした。

*1
主人公の名前は皆さんの想像にお任せします

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