転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
先遣艦隊 side
「ふーむ、まさか共同基地をほぼ空にして派遣するとは本土で何かあったな」
「そうなの? 連絡事項には何もなかったけれど」
「私らはあくまで軍属さ。××××も含めてな。だから軍隊に関係のない情報は公開できない、或いは今はしない情報をそう簡単に乗せる訳がないのさ」
「そう言うものなのね」
「あぁ」
インド洋にて、暫定的に先遣艦隊の旗艦となった共同基地所属の武蔵が姉の大和と共に受け取った第二次先遣艦隊と情報について話し合っていた。
深海棲艦の波状攻撃により、先遣艦隊は半壊に近い損害を受けた中で最も被害が少なかったのが彼女をトップに動いた共同基地艦隊であり、共に戦った他の艦娘からは尊敬の対象になった事に少し憂慮してしまう。
何しろ、何かしらのきっかけで共同基地のあり方が崩壊して離島棲姫を始めとする太平洋の深海棲艦と戦う事になれば、今はまだ支援と言う形で遠い出来事として認識している日本も当事者として戦う羽目になる。
その結果、各々の基地を中心に戦ってもらう事になるのでそう簡単に頼られても困るのが本音である。
一方、本土からの情報にたいした変化がないのに増援が来る、と言う事に関して勘の範疇ではあるが内心で首を傾げながら表には出さず、姉に言いながら帰国してから彼に聞こうと決めたのだった。
番頭 side
「核兵器を使う兆候がある、ですか」
「あぁ。軍を派遣しているだけで済んでいるC国や
「核を使った後、他の国から侵攻を受けるリスクを無視してまで使うと言う判断ですか」
「そう言う事だ」
今世の技術ツリーは、前世の技術ツリーと大差ないので普通に核兵器や弾道ミサイルはあるし、無人機の技術だって急速に向上し続けている。
それでも、WW2の赤軍も真っ青な物量作戦を展開しているのが深海棲艦なので西欧諸国は数の暴力で道路にされたし、東欧の盟主的立場であるR国だってかなりの苦戦を強いられている。
幸い、在庫として眠っていた予備役兵器が大量に残っていたので順次、使える様に修繕してから戦地に送れるもののそれだって無限にある訳じゃない。
一応、C国やI国からの軍隊の派遣や兵器の支援はあるものの限界があるし、北極圏を挟んで対岸に存在するA国は支援云々の前に内戦に近い状態で混乱している為、R国の大統領の脳裏には今も核兵器の発射ボタンがチラついているのは間違いないだろう。
もしも、戦線が維持できなくったら核兵器を使用して遅滞戦術を行うベルカ式国防術をするかもしれない、と言う恐怖を知っておいてもおかしくはないだろう。個人的には使ってほしくはないが。
「そう言った可能性が視野に入っている以上、今後の方針について意見を聞かせてほしい」
「うーん、そう言った話は完全に素人なので話半分で聞いてほしいのですが 」
首相補佐官との話で、意見を求められたので素人の考えと言う事を前置きとして話してから即興で考えた範囲の意見を4つに分けて言ってみた。
1つ目はR国に対して積極的な支援を行う方針、2つ目は陸戦の事は大陸国家に任せて静観する方針、3つ目は大陸国家が疲弊し切った所で敵対する方針、そして最後は
正直、4つ目の方針は短期的な利益は出るだろうが長期的には大陸国家との関係に深刻な亀裂が発生するリスクが出るので論外として、個人的には最初の方針を強く推奨したい。
3つ目に関しては、人口比的にも今の日本には大陸に進出できる余力がない上、切り札である核兵器も保有している国が多い事から費用対効果が極端に低いので愚策中の愚策だし、2つ目の方針だって侵攻中の深海棲艦を撃退した後で支援しなかった事を咎められる可能性が高い。
それに、ユーラシア大陸を失うと言う事はC国やI国を始めとする人口が多い国が消失する事と同意義であり、数十億人分の穴埋めは戦力的にも生産拠点的にもかなり大変になる事が明らかだ。
その為、国家間での主義主張や兵器の種類は違えど医療品や防弾ベストなどの支援を行って、当面は陸戦での壁になってもらわないといけないと考えて1つ目の方針を押す事を言うと首相補佐官も同じ考えだったらしい。
まぁ、高い倍率を潜り抜けて政府の役人になって高い地位に着く為なら嫌いな上司に頭を下げる事ができる優秀な人だ、と個人的な印象の首相補佐官みたいな人であれば素人でも考え付くような内容はすぐに思い浮かんでも当然か、と思いながら話を聞くと次の様な内容だった。
「深海棲艦に関するアドバイザー、ですか」
「そうだ。現段階で深海棲艦への偏見はかなり強いものになっているからな。ここで多少なりとも相互理解を深めておいた方が良いのでは?」
「勿論です。ただ、引き受ける場合の見返りがあれば予め聞いておきたいのですが」
「こちらが今すぐに用意できるものは、成果に応じて資源配分の優先順位を付ける事だ。正式に引き受ける場合はより詳細を詰めるつもりでいる」
つまり、深海棲艦に関する戦術だったりの情報を多く持っているのが共同基地だからある程度、こっちにも分けろやと言う事を暗に言っているので断った後が怖い。
現状、日本は政府の統制下にあって大衆は深海棲艦の欧州侵攻を意識せざるを得ない事から、政府に共同基地で管理している深海棲艦を率いて反逆するかもしれないと言う懸念で国内から締め出しを食らったら俺個人の行き場所がない。
生まれも育ちも日本で、日本国籍を持つ俺にとって可能であれば深海棲艦だけではなく、艦娘との交流も続けたい身柄なので締め出されたら離島棲姫達にお世話になるしかないし、艦娘との交流は難しくなる。
その為、アドバイザーの仕事を引き受けるしかないのだがこちらからの条件としてアドバイザーとしての仕事内容を明記してその範囲内でしか、仕事をしないと言う事を伝えるとすんなりと通った為、絶対に過度な仕事量を押し付けられるパターンやと軽く後悔してしまった。
とは言え、吐いた唾は飲めないので何回かの交渉の後で正式な書面にて契約を交わす事を決めた後で、政府が管理する千葉県某所にあるセーフハウスでの会議が終わった。
まぁ、この仕事を引き受ける事で変に睨まれる要素が減れば文句はねぇなと思いながら共同基地への帰路に着いた。