転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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第56話 説明と改造

「………イカれてるわね、この基地は」

「否定はしないが、事実は事実だ」

「まぁいいわ。それより、ヨーロッパ艦は他に居ないのかしら?」

「あぁ居ない。君が初めてだよ」

 

 ビスマルクに紅茶を出し、落ち着かせてから事情を説明すると信じられない表情をしながらも受け入れてくれた。

 これで、猛烈な拒否反応を示されたら政府に事情を説明して他の基地に移転する手続きが必要になる為、拒否反応を示さないだけでまその手続きをすぐにやる必要がなくなるだけでもありがたい。

 

「そう。それで貴方のやり取りで分かったけどここは日本ね? 本国はどうなっているのかしら?」

「あー………ヨーロッパはなぁ」

「どうかしたのかしら?」

「ゔぅー………ん」

 

 すると欧州艦らしく、本国の事について尋ねられたので言葉を詰まらせるとビスマルクは首を傾げながら聞いてきたので、ため息を吐いてから意を決して現状を話した。

 

「良いですか、落ち着いて聞いてください。(ビールとウインナーの)国はUK国や(トリコロールの)国も含めて消滅しました」

「………は?」

「大西洋から深海棲艦の壮絶な侵攻があり、現時点では東欧にてR国を中心となって遅滞戦術を展開している段階です」

「………はぁ?」

「信じられないでしょうが事実です」

 

 説明すると、ビスマルクは頭がおかしい奴を見る目で俺を見てきたが真剣な様子で話す俺に押された様子で、机の上に置いてあったリモコンを掴んでテレビの電源を入れると丁度良く、欧州の状況を伝えるニュースがやっていて食い入る様に見た。

 そして、俺とニュース番組を交互に見てから暫くの間、呆然としていたが俺の隣に座っていた離島棲姫を見て怒髪天と言う言葉の様に怒り狂った。

 彼女の故郷の言葉で、罵声と思われる言葉が羅列されて物を投げてきたので流石の俺でも危険を察知して艦娘を呼ぶと、部屋の前で待機していたであろう武蔵を始めとする戦艦4人にビスマルクは取り押さえられて退室した。

 

「ふぅーっ、大丈夫だったかい? 離島棲姫」

「えぇ。流石に呼んでくれなきゃ、私が取り押さえていたわ」

「まー、建造された直後に故郷が滅んでましたって聞かされたら暴れるのは当然と言えば当然だな」

「まぁ、だからと言って説明するの早過ぎたのは否めないわよ?」

「だが、いずれはバレる。だったら早い方がいいと判断したまでさ」

「そう」

 

 ビスマルクが退室した後、安堵のため息と共に離島棲姫と話をしたのだが本来、ビスマルクを始めとする欧州艦は地理的な要因によって妖精さんの往来がなかった為、建造はできない筈だった。

 だが、大西洋から欧州大陸を横断し、地中海に進出できる様になった深海棲艦の一部が紅海を経由してインド洋に進出した結果、先遣艦隊と接触して数回の海戦へと繋がった。

 その結果、欧州大陸から避難してきた妖精さんが先遣艦隊の装備に紛れ込む事に成功したらしく、艦娘が帰国した事で欧州艦の建造に繋がる可能性があるとの報告が政府から回ってきた。

 

 その報告とは別に、共同基地から他の基地に転属する艦娘の補充する為に建造していたのでまさか、こうも早く建造できるとは思ってもいなかった為、只々、事実を伝えるしかなかった。

 その為、離島棲姫と共に散らかった物を片付けていると扶桑が申し訳なさそうにやってきた。

 

「すみません、提督。彼女が暴れた様で」

「なぁに、こっちもこっちで配慮が足りんかった。気にするこたぁねぇよ」

「ですが、予め彼女に説明しておけばご迷惑をかける事にはならなかったかと」

「んー………じゃあ、詫びの1つとして片付けを手伝ってくれ。それで手打ちとしよう」

 

 一応、こちらの判断でビスマルクに欧州の状況を話したので建造に携わっていた扶桑に責任はないのだが、気まずそうにした状態で放置するのも気が引けるので掃除の手伝いをしてもらった。

 ビスマルクが暴れた事で、物が散乱した事に加えて接待用に購入したそこそこ値が張るティーセット一式が欠けたり、割れたりしてダメになってしまったが市販品なので買い直せば良いかと思いながら片付けていると、扶桑がある話題を切り出した。

 

「そう言えば時雨、改造を受けるそうですね」

「そうだよ。彼女からの要望でね。最初の改造予定だが希望者がいれば順次、行うつもりでいる」

「でしたら、私もその改造を受けてもいいかしら?」

「何か、思うところでもあったかい?」

「はい、実は先遣艦隊に参加した後で船体に思う所がありまして」

「あぁ」

 

 扶桑型は、独特な主砲の配置によって実物の方は金剛型や長門型と比べて近代化改装による恩恵は限定的であり、伊勢型と比べてもかなり扱いに困る状態になってしまった。

 勿論、当時の技術力や運用思想の影響で船体の中央に主砲を置く配置になったのだろうが、それによって実際の運用に強い制限が加えられた事は留意する必要があるだろう。

 そして、その船魂の一部を人型に出力された彼女は先遣艦隊の一件でその事を意識する様になったのは、自分の意思で変化しようとする良い兆しだと思いながら話を促した。

 

「ですので、改造が受けれるのであれば受けたいと思います」

「そうか。確か、結果的に計画だけで終わったが航空戦艦にするプランがあったから改造した結果はそっちになるが………大丈夫か?」

「はい。できる事ならなんでもしたいので」

「分かった。予定が空き次第、改造を受けれる様に手配しよう」

「よろしくお願いします」

 

 専用の設計図や開発資材を必要とする所謂、改造とは小手先の改装による限定的な能力向上ではなく、根本から改装する大幅な能力向上であり、身近な物に例えるなら乗用車のエンジンをスポーツカーのエンジンに変える様な物だ。

 そして、大幅に向上したエンジン出力を正しく走る力へ変える為に車全体をチューンアップする様な物であり、改造前と比べて遥かな戦力向上が見込める。

 勿論、改造する為に必要な大量の資材も揃える必要があるので何人もいっぺんに来られても困るのだが、それに関しては改造する日程を調整すればいいので磨鎖鬼提督が人類を裏切って攻めてくる、なんてイレギュラーでも発生しない限りは問題ないだろう。

 

「まー、改造の件はまだ公に発表していないからあんまり喋らない様にな」

「分かりました」

「それはそうと、そっちの片付けは終わったかい?」

「あっはい。勿論です」

「それじゃあ、こっちをやってもらおう」

 

 一応、艦娘の間では改造の件は半ば公然の事実になっているらしいのだが、改造するのに必要な設備の準備が整っていないので下手に発表して、不要な混乱を引き起こすのだけは避けたいので発表は差し控えているのが現状だ。

 その為、準備が整って本格的に稼働すれば発表する事を暗に伝えると扶桑は意図を理解してくれた様なので、片付けを進めて普段通りの業務を進める様にした。

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