転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
「えっ、ここまで動くの!?」
「うわっ、妖精さんがめっちゃ動いてる!」
「なぁにこれぇ」
兵器の換装、と一言で言っても全員が素直に受け入れられるとは思ってもいないのでまずは約半数の艦娘に対して兵器の換装を行なった。
具体的には、駆逐艦以上はA国
何しろ、それまでのCICはかなり限定的だった為に艦娘側でやる事が多かったのだが、新型CICはイージス艦などに搭載されているものに比べて人力の割合が多いものの、搭載している兵器を一元的に管理・運用する事が容易になった。
とは言え、新しい兵器に対して懐疑的な見方をする艦娘も一定数いるので試験的に導入してデータの蓄積を行い、不具合等が発生したらその都度修正して正式採用する方法を取った。
こうする事でそれまでの物と比較がし易いし、CICなどを元の物に戻すにしても懐疑的な艦娘からの反発も少ないと踏んで大規模な換装を行なった。
これで、後は彼女達が運用して蓄積したデータを統計に落とし込んで広く普及させれば、欧州大陸に於ける戦争も少しは楽に戦える様になると考えている。どこまで戦えるかは未知数だが。
ただ、問題があるとするなら今のR国を筆頭にC国や
同じ核保有国だったUK国や
一応、屋内栽培で米や野菜を育てているけどまだまだ限定的なので核の冬が発生したら餓死者や食料不足によって発生したら暴動に起因する死者が出そうで困る。
R国やC国の様に、大規模な農地や現代の経済に必要な資源がある国は技術的な部分は別にしても、有事の際は自前で必要な物を揃える事ができる国家的な強度が強いのでそこまで気にする事はないのだが、日本の場合はそうも言ってられない。
一応、経済活動に必要な電力を生み出すのに使われる石炭火力に使われる石炭自体は日本で採掘できるが、海外産の安い石炭に押されて採掘技術の継承の為に細々と続けられているだけだし、国家の血液である石油に至っては秋田とかで取れるけれど需要量全体で見れば1%も満たせていない。
つまり、国内の備蓄量を考えれば海上交通路が遮断されたら2年目以降に干上がるのは必然だし、核の冬になれば世界中で食料不足になるので日本の食料の自給率的に暴動に繋がるのは当然とも言えるので、大真面目に核の冬にはなってほしくない。
ただ、R国はR国で難民を含めた人的資源の消耗を始めとする疲弊が起こり始めている、との話を契約しているホワイトハッカー経由で聞いているので良くない兆候だなぁと思いながら艦娘の練度向上に勤めた。
「R国を始め、戦争に直接関与している国から軍事支援の要請が再三に渡って来ている。なのでそちらで生産した武器弾薬を送りたい」
「分かりました。仕様書を始めとした生産に必要な物さえ、こちらに回していただければ出来る範囲でやろうと思います」
「では、そう言う事でよろしく」
共同基地の基地長に就任後、基本的には基地に滞在して艦娘と深海棲艦の運用を円滑に進める他、政府とのやり取りはWEB会議やメールなどで行なっているのだが、今回の様な重要案件がある場合などに関しては秘書艦と共に直接顔を出してやり取りをしている。
こうでもしないと、政府の役人がごねて納得しないので顔を出しているのだが、同席していた首相補佐官がこんな話をしてきた。
「そう言えば近々、R国の艦娘が我が国に派遣されるらしい」
「派遣と言う名の避難、と言う事でしょうな」
「その認識で構わない。そこで受け入れ先はそちらの基地にしようと思っているからよろしく頼む」
「口ぶりからして確定事項って事ですか。分かりました。受け入れますが収容人数に限りがありますのでご留意を」
「分かっている。ではまた次回」
「はっ」
海外のニュースを漁り、個人的にまとめていたのだがどうも陸戦の状況が芳しくない様だったのだが、首相補佐官からの発言でほぼ確実によろしくないとの話になった。
その上で、R国の艦娘を受け入れるとの話が来ている以上はインド洋よりも更に先、大西洋まで遠征する日が近いかもしれない。
勿論、内戦状態のA国が安定して向こうの軍港を使える様にならない限り、そう言う話は来ない上に内戦からの復興に力を入れる様であればそう簡単に行けないだろうがな。
その為、首相補佐官を始めとした政府の役人が先に退室するのをお辞儀しながら見送った後、俺達も共同基地への帰路に着いたのだが車に乗るまでの間に秘書艦として来た大和が話し掛けてきた。
「本当にあり得るんですか? 核を使うなんて」
「あの国はやりかねんよ。現大統領の場合、国に余力がある内は押さないだろうがそれがなくなったら、ね」
「そうしたら世界に多大な影響が出ると思いますが………」
「不確実な未来よりも目の前の脅威に対処しないと話になんねぇ。当事者としてよく分かってるんだろうな」
核兵器の使用に関しては、前々から大和を始めとする艦隊旗艦になり得る艦娘と度々、話していたのだが大抵の場合は受け止められずにいるので俺からすればやや肩透かしな感じはある。
だが、今となっては第一次大戦となってしまった80年前の深海棲艦との戦争が終結してから始まる冷戦とも言える状況が終了し、国家が再編される中で酷い有様を当事者として経験した現R国大統領からすれば核兵器使用もやむなしと判断するだろう。
少なくとも、大抵の人であれば大量に押し寄せる深海棲艦相手に使ってもおかしくないと判断している為、日頃から彼女達には最悪のケースを考えておく様に伝えている。
その最悪のケースには、共同基地として政府から離反した際に俺が暗殺された場合も含まれているので、彼女達からすれば気分の良い物ではないが政府が抱え込んでいる軍隊と渡り合える戦力を有する民間軍事会社のトップにいる以上は可能性として充分にある。
とは言え、組織として基本的には政府の方針に従った方が良いと言い含めているので、希望的観測が十二分に含まれているものの向こうがその様に仕向けなければ大丈夫だと思う。
そんな事を考えながら、大和と雑談しながら共同基地に帰った。