転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

69 / 79
第2章はここまでです。


第65話 遠征に向けて

『たった今、分離独立派が勝利したとの報告が入りました』

「となると決着に向けて一気に動き出しますね」

『はい。それに伴って貴方にはいつでもA国に行ける様に手配してほしいとの事です』

「では、遠征と称して準備させます。目標は大西洋、参加艦娘は自分が率いているメンバー全員。期間は未定、と言う認識でよろしいでしょうか」

『はい。首相補佐官から“それでよろしく”との事です』

 

 夜中、俺への直通電話が執務室を経由して寝室の固定電話で鳴ったので出てみると政府から情報を提供してくれる人が出たので、聞いてみると前々から想定されていたA国の分離独立派が勝利したとの内容だったのでこちらの想定通りだった。

 戦況が政府側に不利な状況だった為、そこから一気に巻き返すには自国民に対する核兵器の使用も含めて分離独立派に致命的なダメージを与える必要があった。

 まぁ、よっぽどの事情がない限りは自国民に対して核兵器を使った時点で、あらゆる大義名分なんて塵紙(ちりがみ)以下の価値になって反乱が頻発する事態になっていただろうから、使わなかったのは賢明な判断であるがそれで負けたので政府側は複雑だろうな。

 

 兎も角、分離独立派が勝った以上は復興支援と銘打った資金援助などをする必要があるだろうし、深海棲艦の問題は未だに解決していない状況だ。

 復興支援に関しては、政府間でのやり取りで決まるので外野である俺がとやかく言えないものの、深海棲艦に関してはこちらに一日の長があるのでできる範囲でやろうと思っている。

 しかも、ここ最近は磨鎖鬼提督や箆羅雄提督と言った穏健派の提督達も大規模侵攻を行なった過激派提督達の説得に奔走しているので、基地長である俺も行動するしかないだろう。

 

 その為、夜中ではあるがスーツ姿に着替えて執務室に行って政府や軍とのやり取りで取り決めた作戦内容の確認を行なっていると、ドアの隙間から光が漏れていたのであろう。

 控えめのノックがした。

 

「どうぞー」

「失礼する」

「ガンクートか」

 

 その為、入っていい事を伝えると共同基地では新参者に入る銀髪の美女であるガングートが入ってきた。

 

「こんな時間に光が灯っていたからな。仕事の時間は終わってるのだろう?」

「あぁ。だが、A国の内戦が終わったからな。その準備だな」

「そうか。世界が一気に動き出すな」

 

 どうやら、深夜の時間帯に入る今の時間に執務室の明かりが付いている事に対して疑問に思ってノックしたようなのだが、この時間帯に俺がいる理由を聞いた途端に理解した様子だった。

 何しろ、工業力が落ちて内戦が発生するまで落ちぶれたとは言っても北半球側の大西洋に進出できるだけの拠点になる国はA国の他に、A国の北に位置する(メープルシロップの)国ぐらいな物だからだ。

 しかも、A国が内戦になった事で地続きで国境を接しているK国は外国の陸海空軍の全てを置く事を拒否した状態になっていた為、深海棲艦が跋扈する地中海と通行不能になったパナマ運河も相待ってオホーツク海と北極海を経由するか、南極に接する希望峰ルートやマゼラン海峡を越えなければ大西洋にアクセスできなくなってしまった。

 

 その為、A国内戦が終結した事でA国国内の海軍基地だけではなく、K国の海軍基地も徐々に使用する事も可能になるだろうからこれだけで移動距離の大幅な短縮に繋がる。

 エンジンを搭載する全ての乗り物に共通する事だが、乗り物の積載能力に限りがある以上は燃料タンクにも限界があるので移動する距離を伸ばす為には、他の要素を犠牲にして燃料タンクを大きくするしかない。

 宇宙に飛び出すロケットの場合、地球の重力を振り切る速度も出す必要があるので一概には比較できないが、総重量の8〜9割が燃料タンクに入った燃料だと言われていることからも分かるように、燃料タンクの割合が増えればその分の皺寄せが他の搭載機器や装備に響く。

 

 船舶の場合、海面に浮かんでいるので移動する為の速度は数十km/hで済むが戦闘艦の場合になると急加速や急停止を行う事が前提になる上、戦う為の武装の他に敵からの攻撃などによってダメージを受ける事になるので、船内容積を燃料タンクばかりにするとすぐに火災が発生して炎上に繋がってしまう。

 その為、船体規模にもよるが通常動力型の場合だと大和型戦艦で1.3万キロ超の航続距離になる為、駆逐艦などの船体規模が小さいものであれば燃料効率が良くてもそれ以下の航続距離になるのは当然とも言える。

 その結果、南北アメリカ大陸を迂回して長期間の深海棲艦との戦闘を行うには大量の輸送船を同行させないといけない為、大規模な船団になる事から彼女達から狙われ易くなるのでやろうとも思わなかった。

 

 そんな中、A国の内戦が終結した事によって彼の国の海軍基地や港を安全に使う事ができるようになった事から、航続距離や補給の問題が一気に解決する事になる。

 だから、日本の海軍関係者が実際の戦闘艦や艦娘と共に駐屯する前に、試験的な意味合いで民間軍事会社である俺らが先行して彼の国に派兵する事が政府や軍とのやり取りで決まっていた。

 幸い、政府の方は俺が出向する事で話は済むが軍隊、特に海軍の方は民間人に好き勝手されていると言う認識が強い事から俺では交渉が遅々として進まないと踏んだ為、OBとなった元海軍大佐の杉山さんに出向いてもらって説得してもらった。

 

「それにしても大丈夫なのか?」

「核兵器の事かい?」

「あぁ。その気になれば我が国は平気で使うぞ?」

「それを言ったらA国もだねぇ。通常兵器だと戦線の維持で精一杯だし」

 

 その為、何とか先に出発する事への合意を取り付けたものの問題なのは国家間のやり取りであり、核兵器の使用する可能性が高いとしか言いようがない。

 幸い、俺からすれば離島棲姫を始めとする深海棲艦は仲間や家族と言った親しい間柄ではあるものの、無関係な人は兎も角としても深海棲艦の被害を被った人達からすれば憎しみの対象でしかない。

 そして、深海棲艦との戦闘が始まってから1年以上も経過して戦線の維持が精一杯なR国を始め、人や物を送っているC国では国内の派閥がきな臭くなっているし、(ナンとカレーの)国も兵器の備蓄がかなり減っている事から支援の遅延が出始めている。

 

 そう言った背景から、核兵器を有する国家間で核兵器使用に関する取り決めが決まって、今すぐにでも使ってもおかしくはない状況になりつつある。

 

「ネルソン達もその事に関して注視している。自分達の故郷が住めなくなるって心配と共にな」

「まぁ実際、俺が国のトップに立つ存在で同じ状況に立たされた場合、最後には核のスイッチを押すだろうから何とも言えないね」

「だからこそ、そうなったら暴走しないように制御してほしいのだ」

「分かった。どこまでできるかは分からんが、できる範囲でやろう」

 

 実際、自分達の故郷が敵対する組織に踏み荒らされた挙句、核による攻撃で放射能汚染をされたらかなりの恨み辛みが噴出する事は目に見えている。

 しかし、そうでもしないと戦況を変えられないのであれば冷酷ながらやるだろうよ。今回の場合はそうしないと国として崩壊するだろうしね。

 その為、非情な決断をする当事者に同情しながらも可能であれば使わないでほしいと思いながら、ガングートと話しながら大西洋遠征に関する予定の確認を行なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、世界は禁断の炎を欧州大陸で使う事になる。




はい。本作では核兵器を使用しました。
これが、先進国にWW2(第二次世界大戦)時並の工業力と人的資源があれば使わずに攻略したと思いますのでそう言った描写にしましたが、本作は現実世界と近い状態の設定なので生き残った核兵器保有国は使わずにはいられませんでした。
現実でも、国際情勢に色々と変革が起きていて核兵器の使用リスクが上がりつつありますが、個人的には可能であれば使ってほしくないと言う願いがありますので使う描写を差し込みます。

そこで、次の章を最終章にしていますのでどう言った終わり方になってほしいのかのアンケートを取ります。
アンケートの回答数次第ではありますが、概ね1〜2ヶ月程の期間を設けて最終章に入ろうと思います。話の構成を練りたいので。
それぞれの終わり方は以下の通りです。
①.幸せな暮らしを送るルート(ハッピーエンド)
 大規模侵攻が人類側の勝利で終結した結果として本作主人公と離島棲姫達、深海棲艦に加えて共同基地所属の艦娘が御役目御免として隠居するルート。
 大規模侵攻に参加した深海棲艦が全滅した事で、空白となった欧州大陸は世界各国が協力して復興する事になるが主人公達は一切、関わらずに共同基地でゆったりとした毎日を送る事になる。

②.欧州大陸で新しい国を立ち上げるルート(トゥルーエンド)
 こちらも人類側が勝利したものの、本作主人公達が海上輸送及び海戦で敵対する深海棲艦を殲滅した功績が讃えられてどこかしらの地域を褒美としてもらえたルート。
 深海棲艦や艦娘と共に海洋に面した地域でタックスヘイブンの他、海運業などに勤しむ日々を送る事になる。

③.勝ったけれど深海棲艦に取り込まれるルート(ノーマルエンド)
 上記2つのルートと同じように、人類側が勝利したものの深海棲艦なんて信じられるか!と言う人間の憎しみや悪意により、主人公を徹底的に排斥。追い出されたルート。
 一部の艦娘は味方になってくれたものの、排斥運動に抵抗敵わず、深海棲艦の提督として再出発する事になる。

④.負けた責任を一身に背負わされたルート(バッドエンド)
 核攻撃による深海棲艦の大規模侵攻を阻止できず、主人公達の努力が実らずにユーラシア大陸を失陥したルート。
 全ては深海棲艦を受け入れたお前が悪い、との責任を取らされる形で市中引き回しの上で公開処刑で極刑に処される事になる。

⑤.無責任のツケを払わされたルート(デットエンド)
 人類側が勝利し、主人公達が隠居するハッピーエンドに近いルートではあるものの、途中から無責任に色んな艦娘に手を出した結果として彼女達の嫉妬によって刺殺されたルート。
 実質、School Daysの伊藤誠ルートではあるが無責任に種をばら撒いたの結果なので残念だが当然の結果ではある(作者個人としてはこのルートは選びたくないでござる)。

⑥.All ending(どこで分岐するかを見せるエンド)
 ①のハッピーエンドのルートを辿る事になるが、どのタイミングで分岐してどう言った結果に辿り着くのかの差異をハッピーエンド後に見せるルート。
 エンドに辿り着くまでの大筋は変わらない為、分岐する際の変化と終わり方だけを描写する事になる。

どのルートが見たいかのアンケート

  • ①.幸せな暮らしを送るルート
  • ②.新しい国を立ち上げるルート
  • ③.深海棲艦に取り込まれるルート
  • ④.負けた責任を背負わされたルート
  • ⑤.無責任のツケを払わされたルート
  • ⑥.All ending
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。