転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。)   作:八雲ネム

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アンケートの結果、大分時間を飛ばしました。


第71話 出発前

 何をもって国家が安定するのか、と言う疑問に対する普遍的な答えはないと言っても過言ではない。

 第二次世界大戦において、ドイツや日本と言った枢軸国が負けた世界ではアメリカによって急速に自由化や民主化が推し進められる事になり、ソ連を始めとする共産主義陣営の脅威も相まって両国は比較的スムーズに受け入れられた。

 両国は共に、その下地があったが故に大きな混乱が発生せずに進んだものの、これが閉鎖的な文化圏であるイスラム教を国教とする国々や社会的な基盤が未成熟な国々に導入しようとしても大きな混乱が発生し、多大な流血を強いる事になってしまう。

 

 20世紀後半のアフリカ大陸の国々や21世紀に入り、テロとの戦いによって国が滅茶苦茶にされた国々と言った感じだ。

 勿論、これは大まかに歴史を学んで個人的に解釈した範囲なので事実は違うかもしれないものの、内戦が終結したばかりのA国新政府が発行する法律やらの効力が国家の隅々に届いていない事から、旧政府の残党などが行うテロやら何やらが発生し易いと考えている。

 その為、A国に入国する事自体が様々な手続き*1等で時間が掛かった上、西海岸から東海岸に行く為の経路の選定にも時間が掛かったので結局、大西洋で深海棲艦と戦う準備が終わったのは内戦が終結してから3年が経過した頃だった。

 

 その間に色々あったものの日常生活で1番、影響が大きかったのは核兵器使用による寒冷化だろうな。

 お陰で、夏は40度超えの日が多々あったのに今となっては同じ時期に30度超えの日を数えるぐらいにまで寒くなった為、農産物の収穫量が減った事による食料品の価格高騰でそれまでコスト高で日の目を見なかった屋内農園に脚光が浴びる様になり、共同基地で管理している屋内農園にも出荷の要請が来るようになった。

 その結果、前々から高齢化で農業に従事する人が減っていたのも相まって従来の農業に従事していた人が激減し、屋内農園の需要が高まった事で建設業が俄かに活性化した。

 

 とは言え、建設業も含めたブルーワーカーが人手不足なのは相変わらずなので社会構造の根本的な改革が必要なのだが、ここで政府は大きな手を打った。

 それは軍事面の部分動員であり、産業は軍事に重心を置く生産を行い、徴兵もホワイトカラーを中心に行う事が決定された。

 部分動員自体、深海棲艦の大規模侵攻が行われた時から始まっていたもののそれを1段階上げて徴兵にまで拡大した為、当然ながら野党からの猛烈は反発を受けた。

 

 しかし、時の内閣が総辞職するのと引き換えに深海棲艦の大規模侵攻が終結した事が確認されるまで、部分動員を行う事を強行採決したので日本が法治国家である以上は野党も渋々ながら従うしかなかった。

 その代わり、部分動員の範囲には共同基地に在籍する艦娘と深海棲艦も戦力として動員し、派遣する事が決まったので漸く表立って行動する事ができる様になった。

 まぁ、それはそれとして前々から交流があった総理の補佐官から小言を言われる羽目になったのだが。

 

 

 

 

   それにしても良くもまぁ民間出身の私も派遣する事を認めさせましたね。大分、苦労されたのでしょう?」

「あぁ、色々とツテを頼って押し通したんだ。こちらの期待通りの成果を出さないと困る」

「深海棲艦による大規模侵攻を早めに終わらせる為の行動に移れとの事ですね。こちらができる範囲でやらせて頂きます」

「まぁ、それはそうと深海棲艦と交流できる事に関して懐疑的だから現地に行ったらその釈明もやってくれ」

「あー、はい。畏まりました」

 

 政府から正式に出撃要請が出され、出撃前の最終的な打ち合わせにて首相補佐官から戦争を終わらせるための行動の他に事情の説明など、やる事は単一ではない。

 幸い、今の職業は半官半民の基地における長なので政治的な駆け引きをしないで済むのはデカい。百戦錬磨の魔境で日々、駆け引きを行う住人とまともにやり合える気がしないし。

 そんな訳で、待ちに待った出撃なのだがインド洋に派遣した時は移動も含めて1年と言う長期間だった為、今回のはどれだけの期間になるのかと言う見当が付かないので長期間、使える物を中心に荷造りは済ませてある。

 

 後は、向こうで離島棲姫達と落ち合うだけだなと思いながら政府側との認識の擦り合わせをして会議が終わった。

 

 

 

「………」

「落ち着かないか?」

「あぁ。彼女たちと出会って4年以上は経過してるんだ。いつも一緒にいたから妙に落ち着かん」

「仕方ないだろう? 陸上のルートで入ろうとしたら途中で絶対に足止めを喰らうんだからな」

「そうなんだけどねぇ。どーもしっくりこねぇ」

 

 会議が終了後、帰路に着く際に普段から行動を共にする事が多かった離島棲姫がいない事で、普段なら気にしない事が気になってしまうのだがそれが表に出ていた様で武蔵に指摘されてしまった。

 それも仕方のない事であり、ここ1週間は彼女達とは別行動を取っていたのだ。

 理由は単純で、北米大陸を陸路で渡ろうとすると彼女達の容姿が人間離れしている事が原因で無駄な足止めを喰らう可能性があるからだ。その間にテロ攻撃を受けるかもしれないしね。

 

 その為、そう言ったリスクを回避する為に彼女達を海路で先行させて合流場所の近くで待機してもらう事が大西洋への出撃ができる様になった時に決まっていた。

 そして、海路で行くには東京からサンディエゴの間で10時間程の時間で到着する空路と違って3週間程の日数が掛かるので、東海岸にあるバージニア州ノーフォーク海軍基地周辺まで海路で行くとなるとそれ以上の日数が掛かる。

 となれば、サンディエゴから陸路で行ける俺らよりも早めに行くのが妥当なのだが、日常生活においてここまで違和感を抱く事になるとは思ってもいなかった。

 

「仕方ねぇ、帰ったら時雨と叢雲に相手してもらうか」

「私は除け者かい?」

「勿論、武蔵にも相手してもらうが今夜は彼女達に頼もうと思う。その後だったら空いているが」

「では明日にでも頼もうとしよう。どうせ、向こうに行ったらその余裕はなくなるんだろうしな」

「オーケイ、予定空けておくよ」

 

 武蔵とそんな事を喋りながら帰路に着いた。

*1
入国する為の理由から艦娘用の装備の審査までと広範囲に及んだ




はい。出発するまでに色々ありましたが、本筋とはあまり関係ないので必要になった際にその事について書こうと思います。

一気にA国に行った方が良いのかどうかのアンケート

  • 行った方が良い。ダレるし。
  • 行かなくて良い。ダレでも良いから。
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