転生一般人は深海棲艦や艦娘と静かに過ごしたい(旧題:何故か、深海棲艦がたむろする様になりました。) 作:八雲ネム
「 と言う訳で、深海棲艦について聞きたいんだがその表情はどんな感情を示してるんだい?」
「文化の違いを実感している最中です」
「ハッハッハッ! 確かにそっちは年功序列で年齢が重視されるがこっちは内戦の影響で既得権益が壊されたからね! 私の様な若造でも大統領になれたのさ」
「は、はぁ」
軍のお偉方に呼び出され、案内された場所はノーフォーク軍港の中でも格式の高い部屋だったので緊張しながら入ると、そこには現職の大統領である男性が待っていたのですっかり萎縮してしまった。
日本では、時の首相だったりに会って対談をしたがあの時は磨鎖鬼提督に随伴する形できっかけを作る事ができたからまだ、準備ができたもののこっちは完全に不意打ちで来たものだから準備すらしていない状態で対談する事になった。
(自国の利益の為なら何でもする。正にこの国の理念を表しているな)
不意打ちで大統領と会った事からびっくりはしたし、萎縮もした。
ただ、それがA国と言う国の本質だとアイオワから聞いた以上、萎縮し続けるのは彼女に失礼なので覚悟を決めて話す事にした。
日本の提督達 side
「基地長の行方は!?」
「依然掴めていません! 同行した提督の話ではA国海軍の仕業である事は間違いないのですが」
「彼の指揮下にあるアイオワ達からは何と言っている?」
「合図があれば動くが、それまでは待機していると!」
基地長が大統領と対談を行なっている最中、A国に遠征しに来た日本の提督達は大騒ぎになっていた。
何しろ、今回の遠征における要は基地長と関係を持つ離島棲姫を始めとする人類側に与する深海棲艦であり、彼女達がいなければ欧州大陸へ進出する事は難しいだろう。
それを悟られない様に、多数の提督と彼らが指揮する艦娘に同行する随伴員と言う体で来てもらったのだが、こうもあからさまに拉致紛いの行動を取られると彼らの面子が丸潰れである。尤も、当の本人は微塵も気に留めないだろうが。
「A国海軍から正式な通知が来ました! 深海棲艦との交流を促進する為の情報共有で召集した、と!」
「恐らく、彼が持つ深海棲艦のノウハウを知ろうとしているのでしょう」
「彼以外が深海棲艦を指揮下に置こうとするかどうかで言えば可能でしょう。しかし、実際に指揮下に置けるかは不明ですね」
「何はともあれ、何事も起こらなければ良いのだが………」
とは言え、彼らが今いる場所はA国東海岸の軍港である以上は基地長が無事に帰ってくる事を祈るぐらいしか、やる事がないので歯痒い時間が続く事になる。
基地長 side
「最早、価値観の違いでしかないですね」
「あぁ。人種としてもそうだが、協力しなければ生き残れない庶民出身と利用し、利用される貴族や金持ち出身とで価値観の違いや認識の差が大きく関わっていると考えるよ」
「それに関してはどうしようもないので、後はそちらで頑張ってもらうしかありませんね」
「あぁ、そうさせてもらう。協力に感謝するよ」
深海棲艦についての情報共有で、1時間以上も話し合っていたのだが深海棲艦と協調するか、利用し合うかで大統領と意見が分かれたので下手に論破するよりも互いにそう言う考えの元でそれぞれの道を歩む方が良い、との共通認識でお開きになった。
俺は俺で離島棲姫達と協調してのんびり生活する道を選ぶ一方、大統領 この場合は彼に援助している政財界の人達かな? は国を発展させる為に深海棲艦を利用する道を選んだ。
但し、その道を行くには深海棲艦に対する精神的な理解が必要との意見を述べた事で、軍港内に留められている欧州棲姫の待遇も多少なりとも改善すると思いたい。より悪化するかもしれないけど。
(後は大西洋での海戦を有利に進めて欧州大陸へ進むだけだな)
そんな事を思っていると、部屋の固定電話が鳴ったので大統領が出て内容を聞いてから俺にこんな事を言ってきた。
「どうやら、我が国の近海で面白い事が起きている様だ。軍の会議室に行ってみると良い」
「分かりました。失礼します」
大統領の言葉に、俺は頭を下げてから部屋を出て建物の出口に向かうと既に車が用意されていた。
「日本の提督達が探していましたよ?」
「イレギュラーな面会がありましてね。少し席を外していました」
「そうですか。では案内します」
「よろしくお願いします」
その為、その車に乗り込んで会議室に案内されると日本の提督達も集まっていた。
「すみません、遅れました」
「随分と重要な情報共有だったらしいな?」
「えぇ、それはもう重要でした」
提督達の末席に座ると、隣に座っていた提督に小言を言われたので事実を伝えるとそれ以上、何も言われなかったのでそのままにしておくとA国側から話が始まった。
「つい30分前、東海岸から約
「我々としても戦う事はやぶさかではありません。しかし、何かしらの写真や映像などの判断材料があれば良いのですが」
「そうだったな。おい、彼らにも見せてやれ」
A国側の高官が、状況説明をしてくれたのだがこちらとしては写真の一つもない状態からイメージしないといけなかった為、提督の1人がその事を指摘すると高官の合図と共に映像が流れた。
(オイオイ、マジかよ)
その映像には、どう見ても共同基地から出発した離島棲姫達が大西洋の深海棲艦と戦っている映像であり、彼女達の動きは何も知らないA国軍人から見ても明らかに艦娘の艦隊運用に酷似していた。
「この様に、アイツらは艦娘の動きと酷似している為、我々はかなりの脅威として認識している。その点、君らはどう感じているかね?」
「今回の場合、我々よりも××××の方が詳しいですね。ですよね? ××××」
「えぇ、明らかに片側は私が知っているメンバーです。こちらに来た際は余計な事をせず、可能な範囲で隠れていろとの命令を下していたのですが見つかった様ですね」
「となれば、合図一つで止まるのかね?」
「正確には私の指揮下に入る動きを取る形になります。現状、艦娘の頭数が少ないのでその穴埋めにはなるかと」
その結果、A国の高官とやり取りをしていた提督が俺に話を振ったので引き継いで話すと、A国軍人側から騒めく声が聞こえたので結論が出るまで待つ事になった。
そして、騒めく声が落ち着いてから高官が結論を言ってきた。
「なら、その合図を送って指揮下に加えたまえ」
「畏まりました」
その言葉と共に、俺は立ち上がって通信室がある場所に向かった。