病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて旅に出ましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです。私が育ったのが魔界!? またまたご冗談を~   作:魔界育ちの一般人

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フィアナ、冒険者ギルドで絡まれる

 冒険者ギルドは、王都の商業地区の一角にありました。

 冒険者の権利保護、及び、その能力を平等に評価する――そんな信念で作られた冒険者ギルドは、今では王都中に支部を持つ大きな機関に成長しているそうです。

 

(騎士に、魔女っ子に、盗賊さんまで!)

(すごいです。これがリアルなファンタジー!)

 

 いかにもな服装は、冒険者にとっての正装といったところでしょうか。

 数多の冒険者が、冒険者ギルドに入っていくのを見て、

 

「たのもー!」

 

 私もワクワクと、その扉をくぐるのでした。

 

 

「わぁ!」

 

 どうやら王都の冒険者ギルドには、居酒屋が併設されているようです。

 依頼を終えた冒険者たちが、エールを飲みながら上機嫌で談笑しています。

 それは見ているだけで楽しい気持ちになる日常風景でした。

 

 

「ッ!」

 

 しかし私が中に入ると、一斉にギョッとしたような視線が向けられます。

 

(む、おかしいですね。エリシュアンの生徒なら誰でも冒険者になれると聞いたのですが……)

(ま、まさか! もう例の噂(魔王呼び)がここまで広がっているんでしょうか!?)

 

 恐ろしい想像をしつつも、平常心を失うまいと深呼吸。

 まずは冒険者として、登録をしたいところです。

 

 

 そう考えた私が、受付嬢が待つカウンターの方に歩いていくと、

 

「嬢ちゃん、ズルは良くねえなあ。ズルは!」

 

 顔を真っ赤にした酔っ払いが、そう私に絡んできました。

 

 モヒカンヘッドの喧嘩っ早そうな男で、こちらを威圧するように拳をゴキゴキと鳴らしています。

 お酒が入り、すっかり出来上がった様子で、

 

(うっわぁ……、グレンおじさんよりも面倒くさい臭いがします!)

 

 私が、故郷で散々絡んできたドワーフのおじさんを思い出していると、

 

 

「なんだ、その顔は! 今、『うっわ、面倒くさい酔っぱらいに絡まれた。面倒くせえ、死ねばいいのに』とか思ったな!?」

「そこまでは考えてませんよ! あっ…………」

「カァァァァ。エリュシアンのお貴族さまは、これだから――――」

 

 大げさにため息をつくモヒカンさん。

 いきなり向けられた敵意に、私がポカーンとしていると、

 

 

「まさかエリュシアンの制服で、まだ、ここを訪れる命知らずがまだ居るなんてな――(ヒソヒソ)」

「その意味を知らないやつが、まさか居るわけあるまいし(ヒソヒソ)」

 

 傍で談笑していた冒険者たちも、そんなことを囁きあっており……、

 

("その意味"ってなんですか!?)

(王都で着る洋服が、これしかなかったってだけなんですが!!)

 

 

「ここエリュシアン支部に、その制服を着てくる意味――あなたたちのような愚民は、黙って私たちエリートに従いなさい。知らねえとは言わせねえぞ!!」

「え? いえ、私はそんなつもりは――」

「今さら怖気づいてもおせぇ! 俺たちは、権力だけの弱っちい奴が大っ嫌いなんだ。そのプライド、叩き折ってやんよ!!」

 

(わわわ、なんだか大事(おおごと)になってしまいました!)

 

 無茶苦茶なことを言っているように見えるモヒカンさんですが、止めようとする冒険者は誰もいません。

 

「ヒャッハー! オレっちも助太刀するぜぇ!」

「ヒュー、生意気なお貴族さまに痛い目見せようってんですね! あっちも助太刀しますよ!」

「よせ、ジロー、サブロウ。こいつぁ、オレの獲物だ!」

 

 それどころか、モヒカンさんが3人に増殖しました。

 

 

「いや……。ですから私は、冒険者の皆さまにケンカを売るつもりなんて無くてですね――」

「言い訳無用!!」

「ヒャッハー! 冒険者の厳しさを叩き込んでやんよ!!」

「…………」

 

(ここはどこの世紀末ですか!?)

(駄目です……、誰も話を聞いてくれません!)

 

 私はただ、冒険者ギルドに友達を作りに来ただけなのに。

 

 思い思いにガンを付けてくるモヒカン3人衆。

 しかしその迫力は、アル爺が模擬戦で飛ばしてきた研ぎ澄まされた殺気(仮にも娘に、あんな殺気を飛ばさないで頂きたい!)に比べれば、まだまだそよ風のようなもので……、

 

 

「決闘、決闘だ!!」

「ああ、ここでは腕っぷしが正義。俺たちを従えようってんなら、その腕前を見せてもらわないとな――」

「いいでしょう! やりましょう、決闘!」

 

 だんだん面倒臭くなってきて、私はさくりと承諾します。

 

 

 決闘、模擬戦、腕試し、遊び――私はルナミリアで、そう言葉を変えて何度も真剣勝負を繰り返してきました。

 一度の模擬戦は、百の会話に勝るもの。一度、全力で戦った相手とは、不思議と仲良くなれるものなのです。

 一方的な誤解で嫌われている今、互いを知るために模擬戦というのは悪くない選択肢のように思えました。

 

 

 私は、そのまま意識を模擬戦に向けて切り替えます。

 

(むぅ……、隙だらけに見えますね――)

 

 とはいえ相手は、腕っぷしに自信があるベテラン冒険者。

 3人の構えは素人同然に見えますが、そもそも真の強者は普段は実力を隠しているものです。

 念には念を入れて、盤外戦術でも有利を取っていきたいところです。

 

 

「う~ん、3回もやるのは面倒ですね。ちゃちゃっと済ませましょう……、1対3でいいですか?」

 

「なんだとぉ! 俺たち3人に同時に相手取るつもりか!?」

「ヒャッハー、墓穴を掘りやがったな!」

「舐めたこと言い出しがやって! ムッキー、絶対に許さねえぇ!」

 

(大成功です! まさか、こんな挑発に乗ってくるなんて――)

 

 怒り狂うモヒカン3人衆。

 作戦成功! ……いや、ちょっぴり怒らせすぎたかも?

 

「あの……、決闘は受けますが、終わったらちゃんと話を聞いて下さいね?」

 

 申し訳程度に、そう言い添えて。

 私は決闘を行うべく、闘技場(冒険者ギルドと併設されていました。素敵です!)に向かうのでした。

 

 

 

***

 

 そうして瞬く間に、決闘が始まりました。

 ギルドに居合わせた冒険者が数名、観客席で戦いの行方を見守っています。

 

「あら、また三馬鹿モヒカン? お相手は?」

「支配者の証――エリュシアンの制服を着てきた命知らずだよ。そんな馬鹿やる奴が、まだいるなんてなあ……」

「なにっ!? もしこっちに何か命令してくるようなら、俺たちも戦いを――」

「まあまあ、よほど腕に自信があるんだろう。お手並み拝見と行こうじゃないか」

 

(ひぃぃぃぃ!? 知らなかったんですって!)

 

 面白がるような視線。

 物騒な話し声まで聞こえてきて、私は内心では涙目になります。

 

 

「ヒャッハー、覚悟はいいかぁ!!」

 

 賑やかなモヒカン3人衆は、もはや癒やし。

 

「遠慮は要りません。かかってきて下さい!」

「「「ぶっ殺すっ!」」」

 

 血管を浮き上がらせ、モヒカン3人衆は怒りに任せて、私に突っ込んでくるのでした。

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