病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて旅に出ましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです。私が育ったのが魔界!? またまたご冗談を~   作:魔界育ちの一般人

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フィアナ、野に放たれる

 それから2週間が経ちました。

 結局、私――フィアナは、無事、王都へと旅立つ事になりました。

 どうやらあの後、エルシャおばさんは、きちんとアル爺を説得してくれたようです。

 

 

(えっと……、私が通うことになる王立エリシュアン学園は、王都にあるんだっけ)

(王都は、こことは別の大陸にある大きな街で――人間がたくさん住んでる場所。うん、覚えた!)

 

 学園に通うことを決めた私は、村人総出で王都について教わる事になりました。

 

 学園に通う上で、気をつけること。

 一人暮らしをするための方法。

 その他、王都で生きていくための常識まで。

 

「え? 王都じゃ、勝手に野生のモンスターを狩って食べたら駄目なんですか!?」

「フィアナちゃん!?」

「えーっと? 狩りには許可を取る必要があるんですね?」

「「「(違う、そうじゃない!)」」」

 

 なんてことが初日にあり、常識教育が必要と判断されてしまったのです。

 

(むむむ……。ようやく異世界に馴染んだと思ったのに、王都はまた別の世界が広がってるなんて――さすがは異世界!)

 

 もちろん、それぐらいで挫ける私ではありません。

 学園で友達を作るため、私はむしろ燃え上がって学園に通う準備を進めます。

 

 そうして、たっぷり2週間ほどの時を経て。

 まだまだ教え足りないことがあるとルナミリアの面々は不安そうにしていたけど、これ以上待ってたら私が学生じゃなくなってしまいます!

 そんなこんなで、私は王都への旅立ちを強行。

 

「エリュシアン学園に着いたら編入試験を受ける。筆記は捨てて、実技試験だけでどうにかする――うん、完璧な作戦です!」

 

 エルシャおばさんから、編入試験をどうにかするための秘策も授かり。

 私は友だちを作るため、王都に出発するのでした。

 

 

 

***

 

 ルナミリアを出た私は、王都に向かって順調に歩みを進めていました。

 最近まで知らなかったのですが、どうやらルナミリアがあるこの大陸は、なかなか寂れた場所のようです。

 

 まず驚く事に、まったく人と出会いません。

 もちろん便利な交通機関なんてものもなく、基本的に移動は徒歩か泳ぐことになります。

 

(王都には、魔法で動く電車や、空を飛ぶ騎空艇があるらしいんだけどね!)

 

 悲しいかな田舎の宿命。

 最先端の文明は、田舎暮らしには無縁なのです。

 私はめいっぱいに身体強化魔法をかけ、荒廃した地を駆け抜けます。

 

 

「ぁ…………、俺は、ここまで、だ」

「隊長ッ! ぁあ……、駄目だ。こんなことなら最期に一目、お母さんに――」

 

 途中、油断したのかピンチっぽい軍隊を発見し、

 

「(よく分からないけど)ヒール! こんなところで寝てると危ないですよ?」

「ほわっ!? 失われた腕が生えてきた!?」

「エルダー・オークの集団が一瞬で消し炭に!?」

「あなたは――ぁあ、女神さま!」

「…………寝ぼけてるんですかね?」

 

 人生初の辻ヒールをしてみたり(前世でハマったオンラインゲームで、辻ヒールの快感を知ってしまったんです!)

 

「今日の晩ごはんは……、あなたです!」

「キュイ……」

「あっ――、仕方ないですね。食べるのだけは勘弁してあげます」

 

 怯えたワイバーンに命乞いされて、そのまま乗せてもらったり。

 初めての長旅は、とても楽しいものとなりました。

 

 

 ――なにせ前世では病院の景色しか知らず、今世もルナミリアの村しか知らなかった私です。

 外の世界はとても刺激的で、目に映るもの全てがキラキラ輝いて見えました。

 

(っとと、油断は大敵。王都には、何があるか分かりません! もっと気合いを入れないと!)

 

 ちなみに心配性なルナミリアに住人は、心配そうに「王都まで付いていこうか?」なんて言っていました。

 アル爺に至っては、本気で旅の準備を進めていた様子。

 

 だけども学園に通おうとしているのは、私のワガママです。

 これ以上迷惑をかける訳にはいきません。

 

(あと1人旅っていうのも、面白そうですし!)

 

 だから私は、1人で王都に行くことを決意したのです。

 

 

「うーん、世界は大きいなあ。エルシャおばさんの魔法がなかったら迷子になってたよ」

 

 エルシャおばさんに授けられた魔導具を見ながら、私はため息をつきました。

 前世でいうコンパスのようなそれは、王立魔法学園がある方向を常に差してくれています。

 これさえあれば、方向音痴の私でも安心という訳です。

 

 

 そうして出発から一週間。

 ついに私は、マーブルローズ王国の首都――レガリアにたどり着くのでした。

 

 

 

***

 

「ひえ~! 都会、すごい……!」

 

 レガリアに着いた私は、田舎もの丸出しであたりをキョロキョロ見渡していました。

 

 周囲を見れば、人、人、人。

 剣を背負った冒険者らしき人影や、買い出しに来たと思われるメイドさん。

 全てがファンタジーな街並みで、否が応でもテンションが上がります。

 

「焼き立てだよ! お嬢ちゃん、おひとつどう?」

 

 そんな私に、声をかけてくる者がいました。

 カラフルな果物が入ったクレープ屋さんで、スタイルのいいお姉さんです。

 

(おぉ……! ルナミリアでは縁がなかった贅沢品!)

 

 目を輝かせた私は、おずおずと購入することを決意。

 

 値段は、銅貨3枚。前世で言えば300円ぐらいでしょうか。

 銀貨を1枚出せば、お釣りは銅貨7枚。

 エルシャおばさんに教わり、お金の計算もバッチリなのです!(ちょっぴり緊張したけど……)

 

 

 私は、パクリとかぶりつき、

 

「ッ!」

 

 あまりの美味しさに目を見開きます。

 クリームの僅かな甘みが果物の瑞々しさと混ざり合い、まさしく絶品のひと言でした。

 

「あはは、良い食べっぷりだね」

「このクレープ、最高です。世界一の贅沢品です!」

 

 大真面目な顔で言う私に、満更でもない表情で苦笑するクレープ屋さん。

 

「毎度あり! それにしても見慣れない服だね。王都に来たのは最近?」

「はい! ルナミリアって村から来ました!」

「ルナミリア? 初めて聞く場所だね」

「一応、お隣の大陸なんですけどね。まあ、ど田舎なので……」

「ふふっ、お隣の大陸って言ったら魔界じゃない」

 

 私の言葉に、ケラケラ笑うお姉さん。

 

(む……、嘘じゃないんだけどな)

 

 その反応を見て、私は唇を尖らせます。

 

(……っと、そういえばエルシャおばさんには、ルナミリア出身だとは信頼できる人以外には言うなって注意されたっけ)

(まあ……、美味しいクレープを売ってくれたお姉さんは、きっと良い人だし大丈夫だよね!)

 

「っと、こうしてはいられません。エルシャおばさんから授かった完璧な作戦で、どうにかして学園への編入試験に合格しないと! お姉さん、美味しいクレープをありがとうございました!」

「あ、なるほど。エリシュアンへの編入希望なんだ。今後とも、ご贔屓に~!」

 

 ぐっと気合いを入れて走りだす私に、お姉さんもひらひらと手を振り返すのでした。

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