新妻エルシェさん   作:ニンカタ

1 / 2
何でエルシェさんと付き合えないんですか…?


新妻エルシェさん

 

 

 「起きて…」

 「…んー」

 「…起きて、ルーフ」

 

 眠気から微睡んでいると女性の声が聞こえる。その声はとても馴染みのある声で聴いているだけで安心感と心地良さを感じる。

 その声を聞いたルーフはまた夢の世界には旅立とうとする。すると…

 

 「…えい」

 「!?」

 

 可愛い気な声を上げたかと思うとベッドから軋んだ音がする。顔に柔らかく、そしていい匂いのする感覚を感じたルーフは驚き、目を覚ます。

 

 「…おはよう。エルシェ」

 「ん。おはようルーフ」

 

 起き上がり、朝の挨拶を済ませるルーフ。彼女はエルシェ。レストラン『気の向くままに』を経営する経営者兼料理長だ。…そしてルーフの妻でもある。

 

 「…エルシェ」

 「?」

 「いや、前が見えないんだけど……」

 

 エルシェはルーフの顔に胸を押し当てたままだ。それはルーフとしても幸せではあるのだが身動きが取れず困る。その言葉にエルシェが暫し悩んだ後…

 

 「…もう少し」

 

 どうやらルーフの頭を抱き締めるのが癖になったのか、最近はこのような状態になる事が多い。ルーフも妻の可愛いらしい声と頼みにそのまま幸せの抱擁を享受した。

 

 「今日の朝食は?」

 「…サンドウィッチとホットミルク」

 

 エルシェに抱き締めらめたままルーフは今日の朝食について尋ねる。エルシェは少し思い出すような仕草を取ると朝食についてルーフに伝えた。

 

 「…満足した?」

 「……してないけど、我慢する…」

 

 ルーフが抱き締められて少し経った。なのでエルシェにそろそろ離れてくれないか聞くと、エルシェはまだ名残惜しいのか不満気な雰囲気を醸し出す。

 しかし、これ以上は駄目だと心の何処かで思ったのかエルシェは渋々抱擁を解く。

 

 「おはよう。エルシェ」

 「…おはよう。ルーフ」

 

 顔にあった幸せな抱擁が無くなるとエルシェの姿が目に入る。彼女もまだ起きてから余り経っていないのか可愛らしいパジャマを着ている。

 惚気かも知れないがその瞳は見ているだけで惹き込まれそうになる魅力がある。そして改めてエルシェの顔を見て朝の挨拶をするとエルシェもその挨拶にまた返事を返してくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………」

 (相変わらず、料理を作る時は真剣だな…)

 

 エルシェが朝食を作る作業を椅子に座り眺めているルーフ。何時もはのんびりとした雰囲気を漂わせているが料理を作る時は真剣な眼差しと雰囲気になる。

 

 (まあ…それもエルシェの良い所だけど)

 

 ルーフは再び内心で惚気るとエルシェの後ろ姿を眺める。ルーフにとって、エルシェが自分に料理を作っている姿を見るだけで幸せなので、何時も他に何もせずにエルシェの姿を見ている。

 エルシェも最初は恥ずかしがったが、結婚してからの生活である程度慣れてきたのか、偶に視線を送る事はあれどもそれ以上は何もしない。

 

 「…出来たよ」

 

 すると朝食を作り終えたのか此方を向くと声を掛け、食べる準備を始めるように促すエルシェ。

 とはいっても手や顔は洗い、口も濯いだ。これ以上やる事は無いのでルーフはただテーブルに料理が運ばれてくるのを待つのみだ。

 

 「…はい」

 「おお…!」

 

 エルシェはサンドウィッチを綺麗にお皿に盛り付けるとルーフの目の前に置く。

 その盛り付けの美しさには何時も驚かされる。流石はレストランの料理長だ。そのルーフの様子にエルシェも笑みを浮かべ嬉しそうだ。

 

 「じゃあ、食べようか」

 「うん…」

 

 ルーフがそう言うと2人は手を合わせる。そしてそれぞれがサンドウィッチを手に取り、口に運んでいく。

 

 「美味しい…!」

 「……有難う」

 

 ルーフの素直な賛辞に照れながらもエルシェは返事を返す。結婚してから暫く経つがルーフの素直な反応にはまだ慣れないようだ。

 

 「…今日も見回り?」

 「そうだね。少し遠出するかも」

 

 ルーフはリグバースに有る警備組織Seedに務めている。危ない事も有るので心配なのか、エルシェが今日は何をするのか尋ねる。

 その問いかけに見回りだが外に出ると告げるとエルシェは少し不安そうだ。

 

 「…できるだけ早く、帰ってくるから」

 「…うん。気を付けてね…」

 

 エルシェの様子にルーフはそう声を掛けると片手でエルシェの手を握る。その手を握り返すと、少し安心したのかエルシェはルーフに向かって微笑む。

 

 「…あっ!そろそろ行かなきゃ!」

 

 家の時計を見るとあと少しで点呼の時間だ。ルーフの家からSeedまでの距離は近いが早くに着くに越した事はない。そう思い慌てて荷物をを持ち外に出ようとする。すると…

 

 「…まだ、してない…」

 「あー…」

 

 ルーフの袖を掴むとエルシェはそう告げる。エルシェの言いたい事に心当たりが有るのか、ルーフは立ち止まり、エルシェを抱き締める。そして…

 

 『…ンッ…』

 

 どちらからともなく顔を寄せると口付けを交わす。そして少しその時間を堪能すると離れようとするがエルシェはまだしたりないようだ。

 

 (…エルシェは抱きつくのが好きだな)

 

 目を開けてエルシェの顔を見るルーフ。その瞳は蕩け、大人の色香を漂わせる。そんなエルシェの口付けと抱き着きに暫し付き合うと…

 

 「…エルシェ」

 「……うん」

 

 まだ物足りなそうだがこれ以上やると遅刻してしまうと思ったのかエルシェは絡ませた腕を解く。

 そしてルーフの服装を一通り見てチェックする。抱き着いたせいで少し乱れたルーフの服をエルシェは糺すとルーフの近くから少し離れた。

 

 「行って来るよ!」

 「……行ってらっしゃい」

 

 荷物を持つとルーフは家のドアを開き外に出る。その姿にエルシェも手を振りながら小さく声を掛ける。

 

 「…頑張ろう」

 

 ルーフが去った後に自分の口を指でなぞるとエルシェはレストランに向かう準備を始めた。




エリザさん
ガジさん居るから仕方ないか…

リンファさん
人妻はアカンでしょ

エルシェさん
独身、思い人無し←??????????????

なので書きました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。