塵埃の魔法少女【完結】   作:難民180301

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4. ごはん

7月11日

 今日は雨なのでサボった。

 

 暇だ。女子中学生をいじめる日々にすっかり慣れてしまった。奴らをボコす以外に何をして過ごせばいいのか。

 

 でも雨の日にやるほどの熱意はない。暇。

 

 

 

7月12日

 今日は雨が降りそうだったのでサボろうと思ったら、三人が家に来た。

 

 昨日は雨の中ずっと待ってたそうだ。知るか。雨が降ったら休むだろう常識的に考えて。連絡先を聞かれたけどうちには電話も携帯もない。原則雨天中止と伝えておいた。

 

 三人はうだうだと日が暮れるまで駄弁り、青芽さんは一足先に帰ったかと思いきや食材を抱えて戻ってきて、チャーハンと中華スープを作ってくれた。

 

 味はしなかった。

 

 でも三人で食べるごはんは、すごくおいしかった。

 

 

 

7月13日

 血を吐いた。

 

 前みたいに塊ではないけど、ちょっとせき込んだだけで出るからビビる。

 

 まあ適当に魔力で補修しとけば大丈夫だろ。

 

 

 

7月15日

 もうすぐ夏休みらしい。道理で朝も昼もセミがうるさいと思った。

 

 アホ娘たちが期末テストの勉強に励んでいる。成績が悪いと親に変身機を取り上げられるらしい。なぜわざわざウチに来てやるのか謎だ。

 

 主にカガネとアオイの頭が残念なようで、スイが一人で先生役をやっている。二人同時に教えるのは大変そう。

 

 戦い漬けの私でも、中学生の勉強なら楽勝だ。ここはひとつ大人の知力ってものを見せてやろう。

 

 と思ったけど、私の学力は最先端すぎて伝わらなかった。まったく、これだから最近の子供は。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 曇り空の下、制服姿のカガネ、アオイ、スイの三人娘が立ち尽くしている。彼女達にいつも魔法少女の修行をつけてくれる木村が、時間になっても一向に来ないのだ。それも二日連続で。

 

 連絡を取ろうにも、木村の連絡先は誰も知らない。

 

 だから昨日は雨の中待ち呆けしたのだが、さすがに今日は違った。

 

「よし、家に行こう!」

「それしかないわね」

「急に行くと迷惑じゃないですか~?」

 

 三人は木村の自宅を知っている。連絡できないなら直接押しかければいい。

 

 急な来訪を懸念するスイに、カガネは神妙に返す。

 

「先にすっぽかしたのは木村さんだよ! 正義は我らにあり!」

「それに、何かケガでもして動けなくなってたら大変でしょ?」

 

 木村は今にも折れそうな体と手足が印象的な、華奢で儚い少女である。うっかり部屋の中でケガをして困っているというのは現実的な心配だったが、言った本人であるアオイが首を横に振った。

 

「いや、ないわ」

「ないない」

「なさそうですねぇ」

 

 三人にとっての木村は、現役魔法少女に囲まれてあらゆる魔法を打ち込まれながら、その場を一歩も動かずに傘一本で迎え撃つ理不尽の権化である。うっかりケガをして動けなくなるようなイメージとは縁がない。

 

 ともすればなおさらすっぽかした理由が分からない。

 

 それからしばらく待っていても来る気配がなく、三人は木村宅へ向かった。

 

 修行場所の土手から徒歩三十分程度の市街地に建つ、オートロックのマンション。

 

 玄関で木村の部屋番を打ち込むと、インターホンがすぐに応答した。

 

『はーい、ってRGBトリオじゃん、何してんの?』

「誰が三原色よ誰がっ!」

 

 カメラで見えているのか、あいさつ代わりのからかいが飛んできた。

 

 すかさずアオイが噛みついてから、スイが一歩前に出る。

 

「木村さん、突然の来訪申し訳ありません。昨日から木村さんのお姿が見えず、何かご自宅でトラブルでもあったのではと考え、お訪ねした次第です」

 

 露骨に木村への態度が丁寧なのはもう誰もツッコまない。

 

 果たして木村の返答は、拍子抜けするほど簡単だ。

 

『だって昨日、雨じゃん』

「へ?」

『今日も雨降りそうな天気じゃん。こんな日に外出る気にはならんて』

 

 一拍の間。

 

 最初に立ち直ったのはアオイだ。インターホンにしがみつくように食ってかかる。

 

「雨くらいで何よ! いつも持ってる傘は飾りなわけ!?」

『だってぇー、傘さしても濡れることは濡れるしぃ……電車だって雨降ったり風吹いたりしたら止まるでしょ? 同じ同じ』

「一緒にすんな! 駅員さんに失礼でしょうがこのナマケモノ!」

『ワハハ』

「わははじゃなーい!」

 

 アオイが唸る横で、カガネとスイは肩の力を抜いた。万に一つだったケガの心配がゼロになったからだ。

 

 ひとしきりアオイが吠えたところで、玄関の扉が開いた。木村が開けてくれたらしい。

 

『せっかく来たんだから上がってく? 大したもてなしはできないけど』

 

 三人は顔を見合わせた。どのみち木村は今日の修行をやる気がないようだ。木村の生態を覗いてみるのも悪くない。

 

 玄関を抜け、天井の高いエレベーターで上がる。カガネが木村の部屋まで先導し、扉の前で止まった。

 

 表札には名前が入っていない。インターホンを押しても応答がなく、代わりに扉の向こうから「開いてるよ」と声が聞こえた。

 

 言葉の通りドアノブを捻ると、抵抗なく開く。

 

「いらっしゃい。どうぞ上がって」

 

 玄関には車いすに座った木村が待ち受けていた。愛用のビニール傘は車いすの背もたれに引っ掛けている。

 

「お邪魔しまーす!」

「失礼します」

「邪魔するわ」

 

 廊下を抜けると、システムキッチンのある広々としたリビングに出た。奥はベランダで、左右にそれぞれ部屋がある。

 

 寂しい部屋だった。ダイニングテーブルとイス、テレビの他に家具と呼べるものはない。窓やベランダに通じる戸にはカーテンすらない。

 

 殺風景な部屋に面食らっている間に、木村はもてなしの準備を整えている。水道からコップに水を注ぎ、テーブルに置く。お茶請けのつもりなのか、霜の降りた未開封の食パンを中央に置いた。ごとん、と硬質な音が大きく響く。

 

 続いて車いすを椅子の横につけ、肘掛に手をついて肘を曲げると、腕全体が白く光る。エンチャの光だ。

 

「よいしょっ」

 

 腕を思い切り伸ばした勢いで体が跳ね、テーブルの椅子へすとんと体が収まる。エンチャで筋力を上げ、ハンデを解決しているらしい。

 

 何事もなかったように、テーブルに頬杖をつく木村。

 

「いぃやぁ~、悪かったねぇ。雨の日は休むもんだと思ってたんだ。ごめんごめん」

「あ、うん……」

「なんもないとこだけど、適当にくつろいでってよ。座れ座れ」

「なんもなさすぎでしょ……」

 

 三人は言われるままに腰を下ろし、視線を交わした。これマジなやつだ、と。

 

 アオイからのツッコミ待ちとか煽りとかではなく、真剣にもてなしをしてこの有様なのだと。明らかに生活臭のないこの部屋も、木村にとっては普通なのだ。

 

 悪い人間ではないのは三人にも分かっている。修行は厳しいがきちんと実力が上がっているし、初めての実戦ではちゃんとフォローしてくれた。というかフォローがなければ全員死んでいた。普通の大人とは違うものの、十分に尊敬に値する人物だった。

 

 しかしこの、もてなしと称して冷凍食パンと水道水を出す非常識さに触れてもいいものか。

 

 迷った末、カガネは決断した。

 

「どこからツッコめばいいのっ!?」

 

 椅子を蹴立てて立ち上がる。

 

 きょとんとする木村にまくしたてた。

 

「刑務所の方がまだ生活感あるよ! あとこの食パン何、何で凍ってるの今の流行り!? トレンディ!?」

「流行りなの? 私知らない」

「私も知らない! 流行に敏感な今時の女子中学生である私も全然知らない!」

 

 木村はカガネのテンションにちょっと引いた。

 

「え、何急にこわ……保存利くから冷凍してるだけだよ。もしかして好みじゃなかった? 悪いけどうちにある食料、これだけなんだよねー」

「冷凍パンだけ? 普段何食べて生きてるの?」

「水とパン」

「中世かここは!?」

 

 一度座って息を整えるカガネ。その拍子に食パンの消費期限が目に入った。一か月前の日付だ。

 

 次に口を開いたのはスイだった。がらんとした部屋におそるおそる視線を巡らせながら、木村に尋ねる。

 

「あの、携帯はお持ちではないのですよね?」

「持ってないよ」

「でしたら電話はどこでしょう? さすがにないと困るのでは……?」

「いらんいらん。どうせセールスしかかかってこないし」

 

 絶句した。あまりにも寂しい理由だった。

 

 電話番号がないと賃貸契約のときに困らないのだろうか、聞くべきか逡巡するしていると、気づく。人の営みに不可欠な道具が部屋に欠けている。

 

「時計はあった方が良くないでしょうか……?」

「特に欲しいとは思わないかな」

 

 即答だった。もしかすると何か深い訳があるのかもしれない。

 

「な、何かそういったこだわりが? ミニマリストのような」

「いや別に。めんどくさいだけ」

「めんどくさい……なら仕方がない、のでしょうか……?」

 

 水たまり並みに浅い理由に脱力し、何も言えなくなる。めんどくさいんじゃ仕方ない。

 

 そして三人目、アオイが満を持して立ち上がる。

 

「仕方ないわけあるかっ! 食料これだけってあんた、まさか三食パンと水じゃないでしょうね!」

「よく分かったね、天才か?」

「分からいでか! ああもう我慢できない。ちょっと待ってなさい!」

 

 アオイはぴゅーっと風のように部屋を出て行く──かと思いきや戻ってきて、指輪型の変身機に手を添えた。

 

「こっちの方が早いわ!」

 

 瞬時にブルーアビスへ変身し、ベランダから中空へ身を投げた。市街地の屋根を飛び跳ねて姿を消す。

 

 残された三人が呆気にとられているうちに、青色の魔法少女が戻ってきた。手には大きな紙袋を下げている。

 

「キッチン借りるわよ!」

 

 と言って、紙袋から食材や調理器具を次々に取り出し調理に取り掛かる、

 

 手早くささっと完成させたのはチャーハンと中華スープ、ビタミンと食物繊維をとるためバナナを一本。まだ夕飯には早い時間だが、持ち込んだ四人分の食器によそい、素早く配膳していく。

 

「はい手を合わせて、いただきます!」

「いただきまーす」

「……いただきます?」

 

 流れに乗っかって食事を口に運ぶカガネとスイ。木村は戸惑いがちに三人の様子をうかがい、おずおずとチャーハンを口にした。

 

 しばらく無表情でもそもそしてから、ゆっくりと一言。

 

「ああ、おいしいな」

 

 アオイは当然、とばかり強くうなずいた。

 

「でしょ。面倒だからってごはんを怠けちゃダメ。体壊すわよ」

「へへ……壊れても魔力で補えばいいかなー、って」

「横着しない! 一生魔力が使えるわけじゃないんだから!」

 

 木村は誤魔化すように笑い、チャーハンとスープを口に運んでいく。

 

 木村の言う通り、便利な力である魔力は上手く使えば体を癒すこともできるが、ずっとは使えない。力の依り代である少女性を失うにつれ、すなわち長じるにつれ魔力は使えなくなっていく。粗食の影響をごまかすために使うのが癖になっていては、将来困るのは木村自身だ。

 

「ごちそうさま。ご飯はおいしいんだね。思い出したよ」

「分かったらいいの。これからはちゃんと食べてよ。大人なんだからしっかりね!」

「うん、ありがとう」

 

 アオイが鼻白んで身を引いた。いつになく素直でしょぼくれた様子の木村を体が受け付けなかった。

 

 そんな様子を前にしたカガネとスイは、バナナを食らいながら言った。

 

「アオイちゃん、お母さんみたいだねぇ」

「そうですねぇ。お弁当を毎日自分で作ってるそうですし、妹さんたちのお世話にも熱心です。お母さん(ぢから)では校内トップクラスでしょ~」

「お母さん言うなし」

 

 照れくさそうに顔を背け、アオイもバナナを食らう。カガネとスイはにまにまと微笑んでいる。

 

 木村は少女たちのやりとりを、どこか遠い目で眺めていた。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 木村の家を訪ねて以来、アオイは修行を終えてから木村宅へ頻繁に押しかけるようになった。日々弟たちの世話を焼くお姉ちゃん気質のアオイとしては、横着して生活の手を抜く木村を見かねたようだ。余った食材やおかずを持ち込み、さっと調理して去っていく。

 

 木村はつっぱねるのも面倒だったのか、それとも掃除までしてくれるアオイに申し訳なくなったのか、炊飯器と電子レンジを購入し、米や野菜など自炊に必要な物資を近所のスーパーから取り寄せるようになった。もちろん木村が自炊するはずもなく、アオイがその日あるもので調理する。

 

 また、アオイほどではないが、カガネとスイも木村の人としてヤバイ生活に思うところがあったのだろう。アオイと共に木村宅へ通い、勝手にゲーム機や漫画、雑誌などを持ち込んで時間を潰した。夏が近づいて日が長くなったこともあり、駄弁る時間はそこそこあった。

 

 するとある日、何もなかった広いリビングにソファとラグ、カーテンが増えていた。床に女の子座りしてテレビに向かっていたカガネとスイは、嬉々としてふかふかソファに身を沈めた。

 

 こうして人間味のある生活空間が整っていくにつれ、三人は木村の生態を理解した。

 

 木村は自分の暮らしについて、凄まじく無頓着だ。最低限飢えず、眠れる場所があればいい、と割り切っている。アオイの世話焼きが発揮されなければ、ずっと無機質な空間で凍ったパンをかじり続けていただろう。決まって身に着けている白のワンピースも、お気に入りなどではなく丸洗い可能で着やすいために使っているだけで、寝るとき外に出るときもそれ一着だ。時と場所と気分によって服装を選ぶのが当たり前のカガネたちにとって、パジャマの概念すらない木村のファッション事情は衝撃的だった。

 

 三人が木村の家に通うのは、そうした放っておけない木村の性格を考慮したというのが一つ。

 

 もう一つ大きな理由は、たまり場としてちょうどいい立地である。三人の家から距離が等しい場所にあり、しかも通えば通うほど居心地が良くなっていく。

 

 故に、期末テストの勉強会に使われるのも必然だった。

 

「いい、二人とも? 今度のテストで五十点未満を一つでも取ると、魔法少女ができなくなります! つまりはチーム解散の危機! 死ぬ気で励むよーに!」

「あのさぁ、カガネ……」

「一番成績悪いの、カガネさんなんですよね~」

 

 修行を中止し、制服姿で集まった三人。

 

 木村宅のダイニングテーブルにて、カガネが勉強会の音頭をとるが、死ぬ気で励む必要があるのはカガネである。

 

「へーきへーき。地頭が良くて機転も利く天賦の才に恵まれた私なら、ちょっと頑張れば余裕だよ!」

「中間テストの平均、何点でしたっけ~?」

「なんと二十五点!」

「胸を張るなバカモノ」

「いだぁ!?」

 

 無駄にでかいアホ娘の尻を、木村がひっぱたく。地味に手をエンチャしての一撃なので相当痛い。カガネは飛び上がって倒れた。

 

 醜態を晒すアホにため息をつきつつ、アオイは鞄から教科書を取り出す。

 

「ま、カガネ程じゃないけど私は英語がヤバイし、頑張らなきゃね」

「分からないところは何でも聞いてね~」

 

 スイがふんわり笑顔で握りこぶしを作る。成績優秀な彼女は頼れる教師役だ。

 

 教師といえば、とふと思いつき、木村に視線をやるアオイ。

 

「助かるわ。ところで、木村は勉強できるの?」

「おん?」

 

 悶絶するカガネの尻を傘の持ち手でつついていた木村は、自身ありげに力こぶを作ってみせた。

 

「できるに決まってるでしょ。こちとら大人ぞ? 中学一年の勉強なんざあくびが出るわ」

「じゃあこの文章を訳してみて?」

 

 ページを開いた教科書を手渡した。関係詞を駆使した割と難しい英文が載っている。教師役が二人になれば、勉強会の効率が上がると考えてのことだ。

 

 受け取った木村は、顎に手を添えて「ふぅむ」と頷き、教科書を閉じた。

 

「日本で暮らしてたら英語とか使わんから」

「声震えてるわよ」

「木村さんもしかして、歴史の勉強で過去は振り返らないとか言っちゃうタイプ?」

「うるせーデカ尻!」

「俊敏な私はひらりと回避っ!」

 

 八つ当たり気味な木村の平手打ちを躱すカガネ。木村はむーっと頬を膨らませ、傘に魔力をエンチャしはじめた。室内で光波でも撃つつもりだろうか。

 

「落ち着いて木村、部屋壊れるから」

「ぐぬぬ……さんを付けろよ青の字ィ……」

「魔法少女は多忙故、勉学に費やす時間がなかったのでしょう。まったく恥じることではないと、スイは考えます」

 

 ほわほわした雰囲気から一転、スイが真面目くさった顔でフォローを入れる。

 

 木村は口をとがらせてそっぽを向いた。

 

「まあ、うん……教室にいた記憶より、災禍と戦ってる記憶のがはっきり覚えてる」

 

 空気が重くなった。

 

 片目を眼帯で覆い、いつも車いすを使っているのもまた、戦いの影響だろうか。折れそうなほど細く華奢な体に刻まれた重たい過去に、アオイとスイの息が詰まる。

 

 しかしカガネは良くも悪くも空気を読まない。

 

「ってことは、勉強できなくても木村さんみたいな大人になれるんだね。じゃあしなくてもいいかな?」

 

 木村が苦笑する。

 

「なっちゃダメでしょ、こんなのに」

「そんなことないよ。優しくて、誰かを見捨てることができない不器用さんで、ちょっと意地っ張りな照れ屋さん。そんな木村さんが私は好きだよ」

 

 一切の含みのない直截的な好意。聞いているアオイやスイの方が恥ずかしくなるほどまっすぐな感情だった。

 

 これに対し、木村は何も答えない。俯いて肩を震わせている。長い白髪に覆われて表情は見えないものの、露出した耳と首筋が赤くなっている。

 

 やがて木村は、俯いたまま車いすの車輪に手をかける。

 

「ひ、人を見る目がないやつ。将来変な男に引っ掛かる、間違いない」

 

 そう吐き捨てて、寝室に引っ込んでいった。

 

 目をぱちぱちさせて、首を傾げるカガネ。

 

「何か変なこと言ったかな?」

「さすがカガネ……!」

「恐ろしい子ですねぇ~」

 

 戦慄するアオイ、くすくす笑うスイ。二人の反応にカガネは一層戸惑いを深めるのだった。

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