自分をエルフだと思い込んでいる一般ポンコツ魔族   作:エルフの耳バーガー

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一発ネタです。
時系列とかは細かく気にしないでください。


フリーレンを追いかけて

 

 

 

───勇者ヒンメルの死から27年後。中央諸国ターク地方。

 

 

この村に辿り着いて数日が過ぎた。

 

村人達の困り事や周辺の魔物退治などをしながら、並行して村の住人達から目的の人物に関する情報収集を行う。

 

すると、思いのほか早いうちに件の人物と会ったと言う人に話を聞くことが出来た。

 

その人は薬草家を営んでいる老婆であった。

穏やかで上品な物腰のその老婆は、つい1年程前にエルフの魔法使いと人間の魔法使いの二人組が訪ねて来た事を話してくれた。

 

「この村にいたのは…半年くらいかしら。 二人とも可愛らしいお嬢さんだったわ」

 

この地方、ターク地方の植生を教えることと引き換えに、村の外れに建てられた勇者ヒンメルの銅像を綺麗に掃除してもらったらしい。

 

親切にも案内してくれると言う老婆について行くと、綺麗に手入れされた勇者ヒンメルの銅像が建てられた場所に辿り着いた。 周囲には青い花畑が広がっており、勇者ヒンメルの銅像の頭には、それらの花で作られたであろう花冠が乗せられている。

 

見たことのない花だが、これは一体どこの花なのだろうか。

 

「綺麗でしょう。 この花は蒼月草と言って、勇者ヒンメル様の故郷の花なのよ。 あの娘達がこの花を植えてくれたおかげで、村の皆もよく像の手入れに来てくれるようになったの」

 

 

───その後、魔法で周囲にあった細かいゴミを取り除き、『花を元気にする魔法』を蒼月草にかけると、老婆は喜んで二人の魔法使いの行き先について教えてくれた。

 

 

老婆から聞いた情報によると、二人は交易都市ヴァルムへ向かったという。

 

 

村に一つだけある小さな宿に戻り、荷物をまとめて村を発つ準備をする。

急いでいるわけではないが、ゆっくりしすぎるのも良くない。

 

目的の人物は、噂では千年以上を生きている大魔法使いだ。 それほど長く生きて、魔族の親玉である魔王すら討伐しているともなれば、そう簡単には死んだりはしないだろう。

 

とはいえ、人生何が起こるかわからない。

生きている内に会う必要がある以上、寄り道や長い滞在は控えた方が良いと判断する。

 

 

聖都シュトラールで購入した地図を広げて今後の道程を確認すると、老婆や世話になった村人達に挨拶をしてから村を発った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「珍しい事もあるものねぇ」

 

魔法使いの旅人を見送った老婆は、自宅で茶を啜りながらぽつりと呟いた。

 

脳裏によぎるのは、つい先ほど別れの挨拶をしながら村を去って行った一人の旅人だ。

 

村に滞在したのは数日程度だったが、その僅かな期間で村の人間のほとんどと仲良くなっていた。

元気で明るく好奇心旺盛な魔法使いで、どんな小さな困りごとでも力になろうとしてくれる優しい人。

 

喜怒哀楽が激しく、老婆がかつて村が魔物に襲われ、勇者ヒンメルに救われた話をしている時は泣いたり笑ったりと表情がコロコロと変わっていた。

村にいる小さな子供達と仲良く遊んでいたようだし、見た目はともかく、精神的にはまだまだ幼いのかもしれない。

 

 

かつてこの村を訪れたエルフの魔法使いよりも、身長はほんの少しだけ高いだろうか。

美しい金色の髪は肩にかからない程度の長さで切り揃えられており、腰までの長さのフード付きのローブを身に着けていた。

 

魔物退治の際には剣や弓矢を使っていたというし、何となく魔法使いよりも狩人か戦士のような趣があった。

 

「まさか二人目に出会うなんてねぇ…長く生きてみるものだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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───勇者ヒンメルの死から28年後。中央諸国グレーセ森林。

 

 

ターク地方の村から交易都市ヴァルムへ向かい、魔法使い二人組の行方を追った。

 

さすがに、都市ともなると村のように住人全てから話を聞くのは骨が折れる。 よって、情報に敏感な冒険者達や、食事処や露店を営んでいる人を中心に情報を集めることにした。

 

しかし、やはりエルフともなると珍しいのか、情報はあっという間に集まった。

どうやら二人は長くは滞在しなかったらしい。 旅の物資の補充目的で立ち寄っただけだろうか。

 

柄は悪そうだが快く情報を教えてくれた冒険者のお兄さん方に礼を言い、次の目的地であるグレーセ森林へ向かって歩みを進め………辿り着いたのがこの村だった。

 

 

村に着くと、入り口近くにいた村人が近づいてきた。

歳は以前、ターク地方の村で世話になった薬草家の老婆と同じくらいだろう。 麦わら帽子を首にかけた小柄な老人がにこやかに話しかけて来た。

 

まだ昼前には遠く、ヴァルムでは物資を補給したばかりだ。

可能であれば滞在せずにすぐに次へ向かいたいと思ったため、目的の魔法使い二人組について直球で問いかける。

 

「ほうほう、あのお二人を探してここまで…差し支えなければ、どのような用件か聞いても?」

 

件の魔法使いへの用件はあまり気軽に言えるものではないが、どうしても隠さなければいけないものでもない。

 

二人きりならば話しても良いと伝えると、老人が暮らしている家で話すことになったため道すがら軽く説明をする。

 

家に入ると、狩人としての気配察知と魔法による探知を併用して気配を探る。

 

…問題はないようだ。家の中はもちろん、外で聞き耳を立てているような者もいない。

中に自身と老人だけしかいないことが確認出来たため、フードを脱いで常に使用しているとある魔法を解除した。

 

驚きと警戒を露わにする老人に対し、警戒を解いて信用を得るために詳細に事情を話す。

 

「───なんと、そのような事が……所詮は私はただの農夫にすぎず、魔法についての知識が浅いとはいえ、失礼な態度をとってしまいましたな」

 

申し訳ない、と頭を下げる老人を宥めると、改めての謝罪と共にこの村へ訪れたエルフと人間の魔法使い二人組について話をしてくれた。

 

どうやら、彼女達はこの村の近くに封印されていた大魔族…腐敗の賢老クヴァールを討伐するために訪れたようだ。

 

クヴァールは魔族と戦う者ならば知らない者はいない程の超有名な魔族だ。特に魔法使いにとっては知ってて当たり前といえる。

 

クヴァールは80年程前にこの地で大暴れしたが、勇者ヒンメル一行と戦った末に封印された。

そして、クヴァールに封印を施した魔法使いが再びこの地を訪れ、その封印を解いてついに討伐することに成功したと言う。

 

老人に案内されてクヴァールが封印されていた場所へ向かったが、そこには僅かに戦いの跡が残っているばかりで、件の魔法使いやクヴァールの魔力の痕跡は見つけることは出来なかった。

 

「子供の頃から封印されたクヴァールの様子を見守って来ましたが、お二人が討伐してくださったおかげで安心して日々を過ごす事が出来ております。あのお方ならきっと、あなたの力になってくれるでしょう」

 

 

───その後、老人に次の目的地についての相談に乗ってもらい、熟考の末にブレット地方を目指すことに決めた。

 

 

ブレット地方には勇者ヒンメルと同じパーティで戦った、凄腕のドワーフの戦士が暮らしているとの事だ。

 

 

二人はグランツ海峡に向かったそうだが、北を目指しているにしては遠回りのように思える。

そう老人に伝えると、どうやら二人がかつての勇者ヒンメル一行が進んだ旅路を辿っているらしい、と言う事が発覚した。

 

ここまでの旅のペースを考えると、二人はまだグランツ海峡にいる可能性が高い。

このまま二人の後を追っていくより、先回りした方が確実に会えるのではないか…そう老人に伝えて返って来た返答がブレット地方へ直行する事だった。

 

かつての旅路を辿っているならば、同じパーティにいた仲間の家に寄って行く可能性は確かに高いだろう。

 

地図を見ると、ブレット地方へはここからグレーセ森林の周りを沿うように迂回していく道程であることがわかる。 森育ちの身としては森林を突っ切っても良いのだが、今の自分は一人旅。 なるべく危険は避けた方が良いだろう。

 

 

老人に別れを告げ、ブレット地方を目指して再び旅を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「難儀なもんじゃな」

 

小さくなっていく旅人の背中を見送りながら、老人は苦いものを吐き出すように呟いた。

 

クヴァールの封印を見守る為、30年程前までは勇者ヒンメルが毎年のように訪れていたこの村。

そしてこの村にクヴァールを討伐するために彼女達が訪れ、去ってから1年と経つ前にその珍妙な客は訪れた。

 

かつて勇者ヒンメルと共に戦ったエルフの魔法使い───つまりはクヴァールを討伐した魔法使い───を探していると言うその旅人。

事情を聞いてみると思いのほか深刻な話をされたが、それを語る本人はあっけらかんとしており、悲壮感などは微塵も感じ取れなかった。

 

聞けば聞くほど悲惨な境遇であったが…本人が前向きに生きている事が知れただけでも良かったと言うべきか。

 

意図していなかったとはいえ、深く事情に踏み込んでしまったお詫びとして知る限りの情報を伝え、今後の旅路について老人と相談すると旅人はすぐに村を発ってしまった。

 

一人旅と言う事で心配したが、聞けばなんと、南側諸国にある故郷から一人でここまで来たと言う。 驚いたが、よくよく考えてみれば外見と実年齢に差異があってしかるべき種族だ。 本人は不安な事はないと言わんばかりの自信に満ちた顔(ドヤ顔)をしていたし、自分が心配する必要はないのだろう。

 

 

体力が有り余っているのか、軽やかな身のこなしの旅人の背中はあっという間に見えなくなってしまった。

 

 

「…まぁ、悪いようにはならんじゃろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ドワーフかぁ。 初めて会う人間以外の種族は、出来れば可愛いエルフの女の子が良かったんだけどなぁ」

 

老人と別れを告げた旅人は、野生の獣や魔物、魔族に警戒しながらも険しい道を進んでいく。

 

街道からは逸れてしまったが、森と山に囲まれた地で育った旅人にとっては、どこをどう進もうが大して変わりはなかった。

 

そのまますいすいと進んでいたが、外敵から身を守れそうな場所を見つけると野営の準備に取り掛かった。水源となる小さな川も近くにあって都合が良い。

 

今まで数十年旅を続け、多くの魔法を使える旅人にとっては野営の準備は造作もない。 数分と経たずに準備を終えると、夕食を食べて横になった。

 

魔法で結界を張ってあるし、何かあれば周囲の警戒をお願いしていた動物達が教えてくれる。

 

「でも、エルフはともかく人間の方も美少女って…やっぱりそういう関係だったりするのかな。 美少女二人っきりでイチャイチャしながら勇者の足跡を辿って旅行みたいな?羨ましい…」

 

『間に挟まりたい』『おねロリになるのか?』などとぶつぶつ呟きながら眠りにつき、朝日が昇る前に目を覚まして朝食の準備に取り掛かる。

 

近くの川に行き、顔を洗いながら魚でも捕ろうかと考えていると、水面に映った自身の顔…正確には側頭部をしげしげと見つめ───魔法を解いた。

 

 

 

 

 

───するとそこに現れたのは、どこからどう見ても立派な二本の角だった。

 

 

 

 

 

「う~ん……個人的にはもうちょっとカッコいいのがよかったなぁ。 まったく、魔族のセンスが悪いよセンスが。それにこれを見てると何かアレ…アレだ…そう! クロワッサンが食べたくなるんだよね」

 

朝食はパンにするかなぁ、と言いながら、側頭部に生えた二本の角を撫でていた。

 

角はヤギのような角に近い、いわゆる巻き角になっている。

先端は丸みを帯びており、触っても怪我をするような事はないだろう。 巻かれているせいかサイズは大したものではなく、フードを被ってしまえば正面からでもほぼ見えなくなる。

 

 

端正な顔立ちに、頭に生えた立派な角…それはつまり魔族の証なのだが、旅人本人は自分を魔族だとは微塵も思っていない。

 

邪悪な魔族による魔法の実験台にされ、呪いによって角を生やされてしまったエルフ…という、魔法の師匠兼育ての親である魔法使いに言われた大嘘を、本人は心の底から信じ込んでいた。

 

 

旅の目的は複数あるが、一番大きな目的としては呪いを解いて角を消す事。 勇者ヒンメルのパーティにいたエルフの魔法使い───フリーレンを追っているのはそれが理由だ。

千年を生き、魔族と戦い続けているフリーレンならば、この呪いを解く方法を知っているのではないかと。

 

「さて、と…行きますか」

 

朝食を終え、手早く荷物をまとめると再び元気に歩き出す。

 

 

 

───この先に、どんな困難が待ち受けているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドワーフの戦士か………いや待てよ? 今まではドワーフ=髭もじゃの小さいおっさんだと思っていたけど、もしかしたらちっちゃい美少女である可能性もある…あるよね?」

 

…聖都シュトラールで勇者パーティの銅像を見ている筈だが、そんなことをすっかり忘れて『ドワーフの戦士アイゼン美少女説』の考察を続ける旅人。

 

「トランジスタグラマーか…いいね!」

 

 

───これは、自分をエルフだと思い込んでいる一般ポンコツ魔族が、人間と魔族の間にある因縁に果敢に立ち向かう感じの、何かそういった話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





主人公の容姿は基本的に皆さんの想像にお任せします。

私はドラゴンズクラウンのエルフっ子を金髪ショートボブみたいにして角生やした感じで想像してます。
角はまちカドまぞくのシャミ子の角っぽい感じ。あれより小さめだけど。

何がとは言わないがフリーレンより大きい。フェルンよりは小さい。着痩せするタイプ。
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